NTR同人誌の世界で竿役を始末しながら人理を救う 作:成間饅頭(旧なりまんじゅう)
ですがしょせんは一発ネタ。どのようにケリをつけるか悩んだ結果、主人公たちの人理修復を書いて完結にしようと思いました。
今までの四話とは時系列が不明だったりギャグ色が薄かったりと毛色が異なりますが、お楽しみいただければ幸いです。
【特異点F 炎上汚染都市 冬木】
「サーヴァントはマシュ含め全員どっか行った! ロマニもフォウくんもいねぇ! 頼みの綱の通信からはさっきからなんか喘ぎ声が聞こえてくる! 終わり! 終わりです! 全部終わり! 俺たちの人理修復は特異点Fで終わりでーす! ……って、諦められねぇよ! まだ死にたくねぇよ! なんでどいつもこいつもまだ生きてんのにヤケになってんだ! アホか!」
「ふふふ、一人で騒いで、ずいぶんとうるさい虫ですね?」
「そんでもって何でコイツが召喚されてんだよ! お前はどっちかっつうと人理を滅ぼす側だろ! なにが触媒で召喚されたんだ、この状況そのものか!? 」
「さあ? 衆生が救いを求めていたからではないですか? 私は貴方のような羽虫、全く興味無いので」
「……よし。まあいい、落ち着いた。落ち着いたという事にしておく。早速だがキアラ、情報共有をしよう。座からどの程度情報が降りてきてるかは知らんが、とにかく今は人類が滅びるかどうかの瀬戸際で、今すぐここを離れないとエネミーが寄ってきてタコ殴りにされて死ぬ。いくらお前でも、さすがに死にたくはないよな?」
「……まあ、はい。何ですか? あなた。人が気にしている所にズケズケと」
「それはごめん。今は時間が無いが、あとからいくらでも謝る。俺はカルデア所属の■■■■、人類最後のマスターだ」
「……アルターエゴ、殺生院キアラです。既にご存知のようですが」
「よし、自己紹介終わり。じゃあ行くぞ、マップデータ通りなら南東にデカい屋敷がある、まずはそこを拠点として確保しよう」
「はーい」
「クソ、なんてやる気のない返事だ。そもそも俺の顔を見てもくれないし。人と話すときはちゃんと目を見て話せよな……」
「ええ、
「ウワ~~~~~~~」
【第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン】
「話の途中だがワイバーンだ! ってか。カルデアの通信はさっきから喘ぎ声しか聞こえてこねーけどな。おーい! 聞こえてるか―!? そこのサーヴァントと後ろで腰振ってるカルデア職員の○○くーん!! 御年35歳、趣味はアニメ鑑賞と盆栽の○○くーん!? ちょっと水音がうるさいから少し静かに腰振ってもらっていーいー!? ……チッ、切りやがった。後で覚えてろよ。通信担当のサーヴァントが全然喋れてなかったじゃねーか、なんであれで誤魔化せてると思うんだよ。脳にまで精子が登ってんのか?」
「ああ、みなさま随分と生を謳歌しているようで……わたくし、とっても羨ましいですわ? それに比べて私といえば、無粋なマスターに四六時中付き纏われる始末。このままでは心が乾いて仕方ありません……」
「やかましいわ。最初は自害させようとしたのに、お前が今は禁欲中ですって言い始めたんだろ。教祖なんだったら言った事は守れよな。ただでさえウチはまともに運用できるサーヴァントに飢えてるんだ、人理を救うまではセックスできると思うなよ。欲しがりません、勝つまでは」
「負けた側の標語じゃないですか……」
「そんな事はどうでも良いんだよ。この特異点についてだ。ここの民衆はマジでどうなってるんだ? フランスの聖女が蘇って皆を殺して回ってます、なんか化物もたくさん出て来てます。この状況で真っ先にやる事が寝取りセックスってどういうことだよ。 全員命を張ったギャグでもやってんのか? 俺のサーヴァント、全員現地民とゴブリンに連れ去られたんだけど。どうすんだよこれ、協力しようとしてた現地サーヴァントもさっき孤児院に慰問しに行くって言ってから帰ってこねぇしよ」
「うふふ、文字通り
「その話いま必要か? お前のセックスカルト話、ちょっと面白いから余計に扱いづらいよ。……とにかく。今のままだと最悪、キアラと俺の二人だけでこの特異点を修復する事になるぞ。何とか戦力を掻き集めないとヤバい。今から野良の現地サーヴァントがいないか聞き込みに行こう」
「そんな面倒くさいあれこれ、やりたくありません。あなた一人で行ってください? 私、戦いで傷ついた兵士の方々を
「い、い、か、ら、来い! お前がちょっとでも禁欲解いたらヤバいんだよ、こんな田舎町にサキュバスの逸話を刻みつけに行くな! 令呪使ってでも連れて行くからな!」
「……はあ……面倒な方ですねえ、あなたも」
「アアアアアアアアアアア! なぜ、なぜです、ジャンヌゥウウウウウウウ!」
「クソ、結局俺とキアラの二人だけで終わった……。何とかなったから良いけど、こんな綱渡り二度とやりたくねぇ……」
「うふふふふ。後悔に囚われた男の妄執、なかなか楽しめましたわ? 貴方のように縋りつく事しかできなくなった男、わたくし沢山見てきたのですが……いつ見ても哀れで、滑稽で、本当に笑えますわね? 羽を捥がれた虫のように、そこで悶えていてくださいませ?」
「唯一まともなサーヴァントの性格は
「訳の分からない事を言っていないで、ほら、聖杯が出ましたよ。さっさと回収してください」
「了解。……マジな話、今回はかなりお前に助けられたよ。基礎スペック高いし宝具で魔力補充できるし、お前じゃなかったらどっかで詰んでたと思う。ありがとう。キアラが居て良かったよ、ほんとに」
「あら、うふふ。でしたらご褒美に、戻ったら少しつまみ食いしてもよろしいですか?」
「いい訳ないだろ、アホか。お前が職員とヤり始めたら絶対に自害させるからな」
「はあ……。本当に、理解の無いマスターですこと」
【第二特異点 永続狂気帝国 セプテム】
「へー、ローマってもう遠隔操作のローターが開発されたんだ。やっぱ文明が進んでたんだなー。……ってバカ! こんな古典的なノリツッコミを人類最後のマスターにやらすな! どうなってんだこの特異点も! ローマの皇帝、股間にローター突っ込んでんじゃねぇか! バイブ音で話が全く聞こえねぇんだよ!」
「魔力による通信の応用ですわね。音はつまり振動な訳ですから、魔力で音を伝えられるなら振動もまた当然、というわけです」
「説明ありがとう! でも知りたくなかったかな! 畜生、今回も現地サーヴァントには期待できそうに無いぞ。連れてきたサーヴァントは当然の様に寝取られてるし」
「最初の方は活躍していたんですけどねえ。あの方たち、もう連れてこなければ良いんじゃないです?」
「いや、俺はまだマトモに運用する事を諦めてない。一応序盤は戦力になってくれるし。……あと、こんな事を言うのはいくら何でも非人道的かもしれんが……あいつらが寝取られてる相手、普通に現地の敵対的サーヴァントだったりするんだよな。そういう場合、なんか敵サーヴァントも特異点が終わるまで一生腰振ってるから……まあ、助かるっていうか……」
「ああ、人間爆弾というわけですね?」
「違う、人理を修復しに来てくれてる英雄に対して敬意を払え。体を張って敵を食い止めてくれているんだ。悪意のあるまとめ方をするな」
「何でも良いですわ。しょせん虫と虫の睦言、興味ありません。それで、どうなさいます? もう諦めて菩薩に身を委ねるなら、私が優しく蕩かしてさし上げますが」
「諦めるわけないだろ。俺はまだ五体満足でピンピンしてて、味方には超強力なサーヴァントがいる。諦める理由がどこにあるよ。……とにかく、カルデアのサーヴァントにも現地のサーヴァントも戦力として期待できない。となると、お前を強化していくしか今の所解決策が無い。前回の特異点で手に入れた聖杯、これをお前にやるから強化リソースにしろ。……だからお前、マジのマジのマジで絶対に裏切るなよ。お前、今の所カルデアで唯一マトモなサーヴァントなんだからな。頼むから自覚しろよ、お前の両肩に人理がのしかかってるからな」
「そんなもの乗せられても困ります。わたくし、元はビーストなので。……それより、よろしいのですか? あなたは随分わたくしを警戒していたようですが……」
「良いわけない、良いわけないが……これから先、トップサーヴァントたちと戦っていく中でお前の強化は避けて通れないと判断した。だが、俺とお前が持つ聖杯は常に同数か俺の方が多くなるように分配する。だから変な事に使おうとしても無駄だからな」
「ふうん……まあ、よろしいでしょう。つまらないマスターなりに、少しは気を利かせたじゃありませんか。菩提に布施を積むのは功徳のあかし。あなたの信心、私がたしかに受け取りましたわ?」
「勝手に変な解釈をするな。誰がお前のセックスカルトの信者になるか」
「……あの、その言い方やめてくださいません? わたくしにも一応、恥じらいという物があるのですが」
【第三特異点 封鎖終局四海 オケアノス】
「……船とかさ……やっぱオワコンっていうか……う、海って、海ってなんかダサいよな……」
「はいはい。阿呆な事を言ってないで、早く吐いちゃってください。吐けばその船酔いも楽になりますよ」
「時代は陸と空、車と飛行機がナウでチルい……」
「はい、指を入れますよー。はーい、げろげろー」
「■■■■■■■■■■■■!!」
「どんな声出してるんですか。まったく」
「……ハア、ハア……。なんかキアラ、やけに手際が良くないか……? 」
「私、生前は医療系の職種についておりましたから。一通りの手技は修めております」
「そういや元セラピストだったっけ……さすが、道を違えなければ救世主になれた女……」
「あら。道を違えたなんて、心外ですわ? 今でも私、人間への深い慈愛の心を持っているつもりですのに」
「嘘つけ。自分以外の全員が虫に見えるって理屈だろ、それ」
「うふふ、その通りです。たった一人の人類である私を、自己救済する救世主。何もおかしな所はございませんわ?」
「いや、全てがおかしい……はあ、まあいいや……今は、ちょっと、お前と軽口を叩く元気もない……」
「あら、マスター?」
「………………」
「あらあら、寝てしまいましたか。……うふふ、口を開けば罵詈雑言のマスターも、こうなれば可愛らしいものですね?」
「………ぐう……」
「うふふふふふ。カルデアとの通信も断絶し、 今や私を縛るものは何もありません。あらあら、どうしましょう?このままマスターを吸い尽くすのも乙ですし、海賊の皆さんをお相手するのも楽しそうですねえ。私という獣の手綱を離したあなたが悪いのですよ?さてさて、どうしてくれましょうか……?」
「……………」
「……………。マスター、随分と辛そうですわね。こういうときは確か、回復体位を取らせて、水差しを準備して……」
「…………。…………!? ヤバい、気絶してた! ヤバいヤバいヤバい、キアラが暴れたら人類史が詰む! 死んじゃう! おい、キアラ! キアラ、どこだ!?」
「……起きて早々うるさいですねえ、マスター。必死になって私を求めるのも悪くはありませんが、今は静かにしてくださいませ?」
「うおっ……。キアラ、いたのか。……正直に言ってくれ、何人喰った? まだこの船は航続可能か?」
「失礼ですね、一人も食べていません。……私、今は禁欲中ですから」
「え、マジで? ……アルターエゴの霊基に変化なし、嘘じゃないのか。……キアラ、偉い! よく我慢した! お前は最高のサーヴァントだ! やっぱりキアラがナンバーワン!」
「はあ……なんて心のこもってない賞賛ですこと。やっぱり吸い尽くしてやればよかったでしょうか……」
「帰ったら蛮神の心臓、好きなだけ食べていいぞ!」
「嬉しくありません! 私が霊基再臨用の素材をすき好んで食べてると思うのは偏見です!」
【第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン】
「……あのクソボケ……能無し……口だけ……『死体が喋っている』を素で行くアヘアヘゾンビマンがよ……。お前がこの狂いきったカルデアの元凶だと思ってたのに、全く違ったじゃねえか……! 黒幕であれよ! なんかよくわからん魔術で常識改変をかけてろよ! 元凶がいないのが一番つらいんだよ! 誰か俺に黒幕を、そいつ殺せば何とかなるよっていう分かりやすい敵をくれ!」
「うふふ。理想にのぼせ上がった可愛らしい方でしたね、魔術王という方は。なぜだかわたくし、随分と嫌われてしまって……悲しいですわ?」
「そりゃそうだろ……。お前とゲーティアなんて、言ってしまえば同業他社だもんな。どっちが人類を滅ぼせるかで競争してんだろ?」
「してません、そんな胡乱な競争!」
「いいだろ別に、お前のとばっちりで俺も滅茶苦茶嫌われてんだから……。『獣を利用してでも生き足掻こうとする、この世で最も醜い生命』って言われたんだぞ。俺だってこんなソドムとゴモラ一歩手前のカルデアで人理修復したくなかったわ」
「だいたい合っているじゃありませんか。全く頼りにならない味方を抱えて、たった一人ぽっちで特異点を駆けずり回って……。醜いと言われても当然じゃありませんか? わたくしとしては、あなたが必死に生へしがみつく姿は見ていて面白いですけど……時々、どうしてそうも懸命なのか疑問に思います」
「一人じゃない、
「……………………。……まあ、そうですけど。話をそらさないでくださいませ? 今はあなたの、何処から湧き出てくるのかも分からない異常なモチベーションについて聞いているのです」
「そんな事言われてもな……まず、今俺たちは生きてるだろ?」
「まあ、はい」
「死にたくないだろ?」
「はい」
「じゃあそれで理由には十分だろ。それ以外何が必要だって言うんだ」
「……はあ。それだけですか?正直わたくしには、もうあなたは死んだ方が幸せなんじゃないかと思える時がありますが……」
「アホ言え、死んで幸せになれる奴なんかいるかよ。逆に言えば、人間生きてればなんだかんだ幸せになれる」
「だから、死にたくないと?」
「そうそう。俺の知り合いにはな、重病でベッドに繋がれてても『息を深く吸えるだけで嬉しい』って言ったやつもいたぜ。そんなもんだろ。生きてる限りは、生きるために必死になって当然じゃないか?」
「……信じられませんね。呆れた愚かさです。カルデアの男たちがあなたのことをなんて罵っているか、知っていますか? サーヴァントを奪われても気にしない間抜け、男としての価値がない種無し。……それに、ずっと無駄な足掻きをしている大間抜け……。断言いたしますが、あなたの行いに誰も感謝なんてしてくれませんよ」
「……まあ、別にいいよ。感謝なんて求めてない。こっちだってあいつらの為に人類を救おうなんて思っちゃいないしな。ただ俺が生き残りたいだけだ」
「…………」
「この世界はどう考えても気が狂ってるし、カルデア職員もサーヴァントも全員新種の寄生虫に乗っ取られてんじゃないかってくらいにおかしい。だが、それだけだ。俺が生き足掻こうとする事とはなんの関係もない」
「……この世界が、どれだけおかしくても……ですか」
「ああ」
「……魔術王に対抗する手段は現状、全くありません。貴方が語る物語にいた盾の少女も、疲れた顔の青年も、黄金比の女性もみな奪われました。今の貴方には魔術王の光帯を防ぐすべも、彼の不死性を削ぐ手段もありません。……あなたがしている事は、ただの徒労に終わるのですよ。それでも歩みを止めないのですか?」
「承知の上だ」
「誰も感謝してくれませんよ。誰も褒めてくれません、誰も認めてくれません。救ってくれとあなたに縋りつく事すらせず、享楽にふけるばかりで……。それでも彼らを守るのですか?」
「そんな事は関係ない」
「カルデアの者はみんな、あなたのことを蔑んでいますよ。奪われたサーヴァントだって、あなたを慕っていたことを忘れて馬鹿にしています。それでも前に進むのですか?」
「当然だ」
「……周りはみんな、性欲に突き動かされた虫のようにしか見えなくて……信じられないほどの低能に囲まれて、貪られて、自分一人だけがまともな人間なように思えて……病で体が痛み、何もかもが嫌になっても……それでも、貴方は人類を救うと言うのですか?」
「……誰の話をしてるのか分からんが、それでもだ。生きてる限り、必ずどこかに良い事がある。たまたま入ったチェーン店が当たりだったり、空が晴れわたるように澄んでいたり……そういう低俗でくだらない、些細な幸せが必ずある。それを取り戻すために、俺は人類を救わなきゃいけないんだ」
「…………そう、ですか」
「そうだ。……
「…………そう。そう、なんでしょうか。わたしは……」
【第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム】
「寝取られ同人誌でさ、よく黒人の竿役が出てくるんだよ。たいてい日本人離れした股間とフィジカルで、主人公の女を寝取っていくわけだが……あれ、一歩間違えたら人種差別じゃないか? 黒人に対する偏見が酷すぎるだろ。でもポリコレに配慮した同人誌なんてそもそも存在が矛盾してるから気にしないでいいのかね」
「もう。人が真面目に考えているときに、妄言を吐き散らさないでください」
「すまん、第五特異点に来てまで言うことじゃなかったか。アメリカってなるとちょっと考えちゃってな。まあ……不慮の事故が起こらなければ、そんなに苦戦しないはずの特異点だ。トップサーヴァントであるカルナとアルジュナはお互い対消滅してくれるし、一番の難敵であるクー・フーリン・オルタも、聖杯に聖杯を重ねまくったキアラなら勝てない相手じゃない」
「……あなた、今回は他のサーヴァントを連れてきませんでしたわね」
「ああ、まあな。今回はほら、魅了と洗脳の専門家みたいなやつがいるだろ? 今までと違って、寝取られたサーヴァントが改造されて敵に回る可能性を考慮させてもらった」
「ふーん……、そうですか……」
「何だその顔、どういう感情だ? 言っておくが、お前に依存しきって舐めプしてるとかじゃないからな。妙な勘違いをして俺を溶かそうとするなよ」
「そんな事考えていません! まったく。口を開けば暴言しか出てこないのですか、あなたは」
「口を閉じててもエロい事しか考えてないお前が言うなよ……まあいい、そろそろユナイテッドステイツ、エジソンたちの勢力圏だ。エレナ・ブラヴァツキーがマハトマキメてようがエジソンが獣姦の餌食になってようが、何が起こってもおかしく無いからな。お前も覚悟しとけよ」
「何を世迷い言を。あなたの方こそ、私にしっかりついてきてくださいませ?」
「マスター! このへっぽこ! ばか、おまぬけ、暴言寝取られ男!何が『不慮の事故が無ければ苦戦しない』ですか! 不慮の事故が起きまくりじゃないですか!」
「知らん知らん知らん、そもそも俺のせいじゃないだろ! メイヴが洗脳&魅了のコンボでエジソンもエレナも支配下においてるなんて想像つくか! 何であいつが超強化されてんだ、ケルトとかいう生まれついての竿役たちの女王だからか!? そのせいで機械化ケルト戦士とかいうカスのメタルクウラみてーな化物が誕生してんじゃねーか!」
「どうするんですか! 」
「逃げるに決まってんだろ! クソが、こっから先は泥試合だぞ……! まずは潜伏、その後はお前の魅了を使って軍勢を簒奪……そんで最後には電撃作戦でメイヴを暗殺だ! しばらくはゲリラ戦だ、泥水すすってでも生き延びるぞ!」
「そんな!嫌です、わたくし一日に3回はお風呂に入らないと……!」
「言ってる場合か!しずかちゃんじゃねーんだぞバカ!」
「キアラ……キアラ、悪かったって……。機嫌直してくれよ、頼むからさあ……」
「マスターは乙女心というものが全くわかっていません! わたくしがあの特異点中、どれだけ辛い思いをしたか……!」
「その甲斐あってちゃんと特異点は修復できたじゃんって……悪かったよ、いろいろ……」
「許しません! わたくしの体をあんなにも汚して……! おぞましいです! マスターは獣です!」
「ビーストはお前だろうが! いいだろ別に、レイシフトして戻ったら汚れも綺麗さっぱりなんだから……」
「つーん」
「つーんって……なんかお前、初めてあったときと比べてだんだん幼くなってきてないか? どういう心境の変化なんだよ、成長の仕方がアクロバット過ぎるだろ……」
「知りません。ふふっ、許してほしければちゃんと私の機嫌をとってください? まあ、貴方には到底無理でしょうけど」
「キアラちゃんサイコー。ビースト界でナンバーワン」
「ビックリするほど雑ですね! ……はあ、もういいです。次のレイシフトに私がいるとは思わないで下さいね」
「冗談、冗談だって。……ありがとな、キアラ。今回もお前には助けられたよ。……これからも頼りにしてる」
「……まったく、仕方ないですね……なんて、そんなチョロい事言うと思いましたか! ぜんっぜん違います!」
「これも違うの!?もう手持ちの慰める言葉がゼロなんだけど!?」
「うふふ、せいぜい絞り出してください? 第六特異点までに私を満足させられなかったら落第ですからね」
「畜生、クソみてえな試験出しやがって……!」
【第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット】
「さて、円卓の騎士だ。……正直、原典からして寝取り寝取られで滅んだ奴らだ。この特異点でどうなってるのか想像もつかん。ランスロットが全員寝取って屈服させて、聖槍の騎士(意味深)になってても動揺するなよ。……前回の第五特異点で、何が起こってもおかしくないってのは嫌というほど学んだからな」
「下劣な想像力ばかり鍛えられて行きますわね、わたくしたちの人理修復……」
「もう今更だ、気にすんな。事前の知識では、ここの聖杯の持ち主である獅子王は【秩序・善】の魂を集めて巨大な博物館を造るっていう阿呆な計画を進めてるはずだが……どうだろうな。今のお前なら獅子王の円卓とも真正面から殴り合えるだろうが……」
「わたくし、もう幾つ聖杯を胎内に入れたか覚えてませんものね。ええ、その獅子王という可愛らしい方も蕩かしてさしあげますわ?」
「……いや、他の円卓の騎士たちを計算に入れると俺が邪魔だな。遠距離からトリスタン辺りに狙撃されたら、お前はともかく俺が死ぬ。やっぱここはジワジワ削っていくぞ。また飯も風呂もない生活を覚悟しとけ」
「だからそれが嫌だというのに……。野良のサーヴァントはどうなのです? もうカルデア側のサーヴァントは皆さまどこかへ行きましたが、力になってくれる方がいるかもしれないじゃありませんか」
「ああ。有力な候補としてはオジマンディアス王を中心としたエジプト勢力と、ハサン・サッバーハたちの暗殺者勢力がある。だが……まあ、接触は無理かもな。あそこのトップ、両方とも獣狩りの専門家みたいなもんだし。キアラもろとも
「……わたくしを見て首を横に振らないでくださいまし。しくしく、傷つきますわ? 私、今まできちんと貴方の指示に従ってきましたのに」
「はいはい。……どうするかな……。いや、思い出したぞ。たしかこの特異点の聖杯の持ち主である獅子王は、善なる者しか通れない白亜の城の持ち主……。ってことは他の勢力と合流できないと確実に詰むじゃねぇか。クソ、前から懸念してた『キアラ以外のサーヴァントがいないと詰む』ギミックか……。キアラ、作戦変更だ。土下座でも何でもしてエジプト勢力を仲間にするぞ。山の翁と違って、あそこならまだワンチャンある……あるか? いや、あると考えないとやっていけない。キアラ、くれぐれも大人しくしといてくれよ」
「はーい。ふむ、しかし砂漠越えですか。サーヴァントであるわたくしはともかく、貧弱なマスターで耐えられるかどうか……」
「あー……確かに。あれだ、お前の魔神柱に乗っていくとかどう?」
「無理ですわ、生やした場所から動かせませんから。それに、一応魔力を消費しますし……」
「だよな。うーん……仕方ない、先に周辺の町で砂漠越えのマントやら帽子やらを整えてから行くぞ。時間はロスするだろうが、安全には変えられん。熱中症で人理修復できませんってなったら死ぬに死にきれない」
「いえ、マスター? わたしに良いアイディアがございますわ?」
「……言ってみろ。ちなみに、セックス関係だったらブチのめすからな」
「ふう。マスター、意外と軽いのですね? わたくしはもっと肉がついた男性が好みです、明日からはもっと食べるように。私が食事を作って差し上げましょうか?」
「お前の好みに合わないのはむしろ喜ばしい事だろ。……まさか、お前がおんぶなんて言い出すとはな。意外というか何と言うか……。ちなみに精神状態は大丈夫か? お前の視点だと、今まさに全身に俺という虫が纏わりついてる訳だけど。ストレスを溜め込まれても困る、遠慮なく言ってくれ」
「たった今ストレスが溜まりました。妙な事を言わないでください、気持ちの悪い……。そもそも、マスターのその恰好は何なんです? 目隠しをして鼻も塞いで……こんな珍妙な格好をした方を背負いたくは無かったのですが」
「さらに言うと全身に感覚鈍麻の魔術もかけてるぞ。ほら、お前って誘惑と堕落を司るビーストだろ? そんな奴に至近距離で密着して無事で済むかどうか分かんないじゃん。余計なリスクを背負って火遊びする趣味は無いんだよね」
「まったく、口を開けば屁理屈ばかり……。はい、着きましたよ。さっさとその不愉快な装備を外してください」
「おう、ありがと。……道中、まあまあな規模の砂嵐とかサンドワームとかの音が聞こえてきたが……やっぱ英霊は馬力が違うな。っておい、顔が近い顔が近い」
「そ、その……マスター、口吸いをしたい気分なのですが……って、痛い!」
「アホな事言ってないでさっさと行くぞ! ……お前、第五特異点あたりからマジでちょっと変だぞ。どうした? カルデアの職員に脅されてるなら殺していいし、現地民にセクハラされてんならやっぱり殺していいぞ。ゴブリンに負けたくなったんならもう俺は人理も何もかも全部投げ捨ててどっか行くから、何にせよとにかく相談はしてくれ」
「違います! ……別に、貴方が想像している様な事ではありません。……わたくしもわたくしなりに、思い悩むことがあるのです」
「何に悩んでるのかは知らんが、とにかく行くぞ。この特異点はこっからが長い。さっさと太陽王に土下座して山の翁にも土下座して、その後は獅子王の円卓を全員お前の触手でアへ顔ダブルピースさせてやるんだ。山の翁にお前のセックスカルトが邪教認定されないよう慎み深く振舞えよな」
「だから、その言い方は止めてください! わたしにもいい加減、恥じらいという物があってですね……!」
【第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア 】
「…………死にたくない」
「あら、マスター。こんな所に居たのですか。そんな所で黄昏て、カッコつけても似合いませんわよ?」
「……っ! ……ああ、キアラか。あー……お前、あんまり俺から離れるなよ? 少女漫画的意味じゃなくて、猛獣の手綱的意味で。このバビロニアはお前好みの益荒男が多いだろうが、人理修復までもうちょっと禁欲しといてくれよな」
「……マスター」
「というか、似合わないって事は無いだろ。俺は人類最後の希望だぜ? 相棒はまあ……どっちかっていうと人類の絶望寄りだけど。人理が元に戻ったら自伝でも書くかね。いや、実は女だった過去の偉人を羅列していくだけで歴史家がひっくり返るかもな」
「マスター!」
「……んだよ、でかい声出すなよな。真夜中だぞ? いま」
「…………」
「なんだよ……。そんな顔すんなって。お前が俺の事をどう思ってるのか知らんが、俺なんてただの一般人だぞ? 真夜中に、ちょっと不安になるくらい……別に、普通の事だろ」
「……ええ、そうですね。ところでわたくし、カルデアの○○さまの雄々しい逸物にずっと前から夢中になってしまいました」
「は?」
「ああ、あとちょっとチャラめの○○様とは何度も体を重ねましたし、陰気な○○様には家伝の洗脳魔術で性奴隷にしてもらっています。○○様には聖杯をお貢ぎして、何度も子種汁をおねだりいたしました」
「おい」
「貴方のいない間にこっそりレイシフトしてゴブリンさまに犯して頂きましたし、実は現地の孤児院では何度も何度も肉便器にされていました! 残念でしたが、わたくしはもうとっくの昔に寝取られていたのです!」
「おい!」
「申し訳ありませんが、もう貴方の貧相な一物では満足できません! ヘタレの寝取られマスターなんてもういらないんです! あなたの事、ずっと前から大っ嫌いでした! 童貞! 種なし! このっ、ゴミクズ寝取られ男……っ!」
「おい……おい、キアラ!」
「触らないでください! なんですか、貴方なんか……!」
「……あのさ、何でもいいから泣くなよ。酷い顔だぞ、お前。泣きながら罵倒されても、辛くもなんともないし……そもそもお前、俺の裸見た事無いだろ。……とにかく、泣き止んでくれよ」
「離しなさい! 目障りです、さっさと何処かへ行ってください! 行きなさい! 行け!」
「『
「……っ、そうですよ! 死にたくないのでしょう!? 生きていたいのでしょう!? じゃあ、ほら! 逃げれば良いじゃないですか! 誰もあなたを責めません! いいえ、私が責めさせません! 貴方を馬鹿にする全ては、私が
「キアラ……」
「カルデアの職員が貴方の悪口で笑っているのを見た時! 現地の屑どもが貴方に石を投げつける時! 恥知らずにも貴方を裏切ったサーヴァントが、貴方を罵倒しながら快楽を貪っているのを知った時! わたしが、いったいどんな気持ちでいたか分かりますか……!? 虫、虫、虫! 誰も彼も、みな人以下の虫ケラじゃありませんか!
「…………だから、寝取られたふりして人理修復を諦めてもらおうってか? 手段が珍妙すぎるだろ」
「うふふ……仕方ないじゃありませんか。こんな事、初めてなんですから。初めて
「……時々様子がおかしかったのは、それが理由か」
「ええ。特異点Fで私が召喚された理由、今ならよく分かります……。人がみな虫に見えて絶望した私と、それでも諦めなかった貴方。私たちは、この魂が引き合う縁によって召喚されたのです。……好きです、マスター。貴方の事が大好きです。……だから、お願いです。『諦める』と、そう言ってください。優しく、甘く……何十年、いいえ、何百年何千年もの時間をかけて蕩かしてさし上げます。共に二人で、永劫を生きましょう?」
「……ありがとな、キアラ。まさか、お前がここまで俺に入れ込んでくれるとは思わなかったよ」
「……っ、では……!」
「でも、ごめん。その願いだけは叶えてやれない」
「……そう、ですか。結局、あなたも……」
「キアラ、話を聞いてくれ」
「聞きたくありません。……自己犠牲に酔いましたか? 人類最後のマスター、人類最後の希望。その肩書が、そんなに心地良かったですか? ……生きていて欲しかったのに。初めて、そう思えたのに……!」
「死にに行くつもりは無い。自己犠牲なんて、この世で一番嫌いな言葉だ」
「じゃあ、どうやって!」
「あのなあ! まず、お前はちゃんとこっちを見ろ! 人と話をする時は、しっかり相手の目を見るように!」
「……! なんですか、今更そんな……!」
「俺はお前の基準で
「……見えません」
「よし。ならどう見える?」
「……訳の分からないくらいの意思の強さと、それと……底なしの欲望が見えます」
「そうだ。人理修復後にハワイで超豪遊する事を夢見て燃えている眼だ。なぜこんな眼をしているか分かるか? ……それはな、今この瞬間に人理修復の道筋が見えたからだよ!」
「……はい? ま、マスター? いったいどういう事ですか?」
「後で説明してやる! とにかく、今はさっさとこのバビロニアを片付けるぞ! その後はゲーティアもサクッとアへ顔ダブルピースさせて、俺とお前でハワイ旅行だ!」
【終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン】
「魔術王の無敵性。それは大きく分けて二つだ。まず、ネガ・サモンというスキル。古今東西全ての魔術を修めたソロモンは、召喚術という分野においても頂点だ。神秘はより濃い神秘によって破却される、したがってサーヴァントの攻撃は全て魔術王に届かない。そして二つ目、七十二という数字の魔術。『七十二柱の魔神』という伝説によって、魔術王が従える魔神柱は常に七十二柱を維持する。この魔術と聖杯からの魔力供給、そして宝具である固有結界を組み合わせることによって、いくら倒されても無限に復活し、なおかつ全てが滅びるまでは魔術王も滅びない魔神柱という不死の軍団が完成するわけだ」
「確か貴方の言う物語では……疲れた青年の献身と、今まで築いてきた英霊との絆がそれを打破するきっかけとなったんでしたか。……うふふ。今のわたくし達には、どちらも必要ありませんわね♡」
「ああ。……キアラ、信じてるぞ」
「ええ♡ 人理が壊れたこの星では、今や私が宇宙の中心。何人たりとも、我が指先から逃れる事能わず――!」
「行くぞ……令呪三画に、聖杯を幾度と重ねて命ず……! ……【キアラ、本性を現せ!】」
「ああ、ああ……!私が、拡がっていく……!」
『……なんだ、この霊基反応は……!』
『異常! 異常! 魔神柱、緊急起動せよ! 繰り返す! 魔神柱、緊急起動せよ!』
『不可! 不可! 魔神柱、緊急起動不可! 異常発生! 異常発生! 魔神柱、個体数急激に減少!』
『馬鹿な……! 我々が、喰われているだと……!』
――――【人類悪 変生】。
「――今ひと時だけは自重禁欲を解き、サーヴァントの垣根を超えましょう。我がクラスはビーストⅢ/R、随喜自在第三外法快楽天。『快楽』の理を持つ獣でございます♡」
『がああああああ! 緊急通達! 緊急通達! 我ら魔神柱への魔力供給を停止するよう要請! 我々の魔力は―――
「……ですが、既に私は打倒されています。―――美しいものを見ました。どれだけ傷つこうとも進み続ける意思。どんな悪意に囲まれていても、決して消えない捻くれた善性。……おめでとうございます、マスター。第三の獣は、貴方によって倒されました。」
「だから、今だけは。人類悪ではなく、たった一人の為の
「ナイスだキアラ! やっぱりキアラがナンバーワン!」
「もう♡ 相変わらず誉め言葉が雑なんですから♡」
「キアラの【万色悠滞】で、魔神柱はいくらでも取り込める。因果が逆転しているようだが、ゼ、ゼパ……ゼパなんとかさんの実績もあるし、そもそも親玉と同格の奴にその眷属が勝てる訳ないしな。つまり魔術王は、魔神柱を維持する限り無限に魔力を吸われ続ける。向こうからしたら最悪だ、あんまりにも魔力を失えば今後の新人類創生にも差し支える。となると、合理的に考える魔術王はこうするしかないわけだ」
「――あら、魔神柱が消滅していく……。なるほど、魔術王自らが七十二の魔術を解いたのですね」
『……不快だ』
『不快だと思う事すら不快だ』
『穢れた獣に、その獣にしがみつく愚者』
『どちらも、私の目指す宇宙には必要ない物だ』
「……来たか。ラスボス、魔術王ソロモン。いや……人理焼却式、ゲーティア!」
『お前たち人間はいつもそうだ。死を恐れ、死から逃れようとする醜い生命たちよ』
「うふふふふ。見解の相違ですね♡ 生にしがみつく姿こそ、この世界で最も尊いものですわ」
『限られた人生を無意味に消費する』
「限りある生を、ありふれた幸せで彩っていく」
『無駄』
『無為』
『無価値』
『無意味』
「愚直」
「不屈」
「懸命」
「前進」
『わざわざ獣を解き放って、対抗したつもりか? そんなに死にたいのならば一人で死んでいろ』
「ただひたすらに、生きたいと足掻き続けた。そしてついに、マスターは私という獣を打倒しました」
『実に人間的で無為な行為だ。私には理解しがたいが』
「実に人間的で素敵な行為ですわ。私を虜にするほどに」
『……お前の姿は見ていたぞ、星見台の魔術師。退廃に満ちたカルデアで、お前が苦悩し、足掻くさまを』
「……マスターの奮闘を、私はずっと見てきました。悪意と性に満ちたカルデアで、一人懸命に生きようとする姿を」
『もしそのまま大人しくしていたのであれば、あるいは見逃してやっても良かった。余りある聖杯でカルデアを維持し、細々と生きれば良かっただろう』
「もしマスターが逃げるなら。私も、共に永劫を生きても良かった。有り余る聖杯で、二人の楽園を築いても良かった」
『しかしお前は獣を目覚めさせ、愚かにも私の前に立ちふさがった』
「しかしマスターは私を打倒し、こうして決戦の場に立っている」
『やはり人間は欠陥品だ』
「やはり人間は素晴らしいです」
『生にしがみつく行為、それそのものが人間という生命の欠陥なのだ』
「生命の輝き、その尊さを貶める事など誰にもできません」
『創生する。欠陥品のお前たちと違う、完璧な生命を私たちが作る』
「貴方の創生なんて、誰も求めていませんよ。この太陽系の外でやってください?」
『救済する。無意味な生命であるお前たちを、私たちが救ってやるのだ』
「救済しましょう。私が初めて他者愛に目覚めた者のために。無意味でありふれている、それでも素晴らしい人生のために」
『……もう、話は終わりだ』
『やはり我々に分かり合う余地などなかった。理解し合う余地などなかった』
『死ね。死んで薪になれ。お前たちのような物を産んでしまった地球という星は、やはり最初から全てを間違えていたのだ!』
「やるぞ、キアラ! 綱渡りに綱渡りを重ねたこの人理修復の、最後の賭けだ……! いいか、信じてるぞ! お前の両肩に人理がかかってるんだからな!」
「あらあら。そんなもの載せられても困りますわ? ―――わたし、今は貴方の愛以外には何もいりませんもの♡」
「聖杯に命ず……! 【キアラ、宝具を使え!】」
『ではお見せしよう。貴様等の旅の終わり。この星をやり直す、人類史の終焉。我が大業成就の瞬間を!』
「――――済度の時です。生きとし生ける者、全ての苦痛を招きましょう。大悟も解脱も、我が指先で随喜自在……」
『我が偉業、我が理想、我が誕生の真意を知れ! この星は転生する。あらゆる生命は過去になる!讃えるがいい―――我が名はゲーティア! 人理焼却式、魔神王ゲーティアである!』
「渦を巻くのは万色悠滞、上求菩提の快楽天……。―――行きつく先は殺生院。愛する人の為、泥中の蓮のようなあの人の為に! 今こそ、今こそ楽土の土壌とならん―――!」
『――第三宝具、展開。【
「――天上解脱、なさいませ? 【スカーヴァティー・ヘブンズホール】!」
「……ビーストとなったキアラの宝具、それは第三魔法の亜種! たった一人の宇宙、全てを呑み込む天の孔だ……!」
『―――馬鹿な。馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な! 人類史の熱量を! 我が大願を! 全て吸収しようとしているのか!? そんな事が出来るはずがない! お前のスペックも、規格も、我々は計算した! お前の中に、これほどの熱量は入らないはずなのだ!』
「うっふふふふ……! っ、わ、わたくし……! すべてを、気持ちいいとっ、思ってしまう女ですから……! 」
『想像を絶する苦痛なはずだ! 想定を超える損傷のはずだ! 霊基がひび割れ、魂魄が掻き消えるほどの痛みが今お前を襲っているはずだ……! 諦めろ! 諦めて楽になれ! 私の偉業を、私の大願の邪魔をするな―――!』
「―――いいえ。諦めません。
「キアラ!」
「ああ、マスター♡ 私の手を、貴方は取ってくれるのですね……♡」
「こんなんで良ければいつでもやってやる! それより、諦めるなよ! 相手の熱量は無限じゃない、たかが人類史三千年分だ! その程度の熱、その程度の熱量で
「ええ、ええ……! 心強いです、マスター♡ 繋がった手から、こんなにも愛が溢れて―――!」
「人理修復! 人類救済! なんか国連の方からカルデアに色々来てるらしいけど、うるせ~~~~~~!知らね~~~~~~! FINAL FANTASY!俺の仕事は人類を救うとこまでだ! セックスしてただけのお前らが何を報告するか楽しみだわ! せいぜい肝を冷やしとけ!」
「うふふふふ♡ わたくしこういうトロピカルジュース、初めて飲みました♡」
「俺も! なんの果実が使われてるのか分からんけど、とにかくうめぇ~~~~~!!!」
「ええ、美味しいですわ♡」
「青い空! 青い海! そんで余りある金でビーチで豪遊! 隣には良い女もいる! なんだこれ、人生のあがりか!?」
「あらあら♡ 良い女だなんてそんな、照れてしまいますわ……♡」
「それにしても、キアラが受肉してるのにはさすがに驚いたけどな! まああんだけ聖杯がありゃ当然って感じだけど!」
「うふふふ♡ 愛しい私の救世主さまと、もっと一緒に居たくなってしまったので♡」
「そっか! とにかくキアラ、最高だな!イエーーイ!」
「いえーい、ですわ♡ それにしてもマスター、テンションが高いですわね♡」
「そりゃな! もう人理は修復したし、二度とあんなクソみたいなカルデアに戻らなくて良い! ハワイの次はどこに行く!? モルディブでもラスベガスでも、何処にでも行けるぞ!」
「……うふふふふ♡ うふふふふふふふ♡」
「……何だよ、その愉しそうな顔は」
「いえいえ♡ わたくしの獣の直感というか、何と言うか……♡ なんとなく、次の苦難を予測しただけです♡」
「……え? マジで? ちょっと待ってくれよ、人理崩壊なんて一生に一度で充分だろ。なに? また何かあるの?」
「うふふふふふふふ♡」
「いや、うふふじゃなくてさ。おい……おい、キアラ? 何が起きるの? もうちょっと教えてもらっていい?」
「心配ありません♡ あなたには私がついていますから♡ 」
「いやそうじゃなくてさ。キアラさん? 美人すぎる尼さんナンバーワンのキアラさん?」
「うふふふふふ♡ これからも楽しそうですわね、マスター♡―――未だ大悟に至らぬ未熟な私ですが、貴方のためになら救世主にもなりましょう。ですから愛しい貴方、どうか私の事を魅了し続けて―――。この手を、離さないでくださいましね?」
これにてこの作品は完結です。
沢山の感想に評価、ありがとうございました。