里香が屋敷に来てから半年が経った。部屋に囚われている少女の数は14人に増えていたが、初日にいた11人の内、今も残っているのは5人だけだ。半分以上の子が何気ないミスの結果、その命を落としていた。
この間、里香は何人もの新しい子達の面倒を見てきた。仲良くなった子もいれば、自分を姉の様に慕ってくれる子もいた。しかし、そのほとんどがもうここにはいない。どれだけ気に掛けていても死ぬ時は一瞬だった。そんな状況が続けば誰かと親しくなるのが恐ろしくなるのは必然だろう。里香は七海以外と関わる事が少なくなっていた。
自分の心を守る為に新しく来た子の面倒を見ない。そんな自分勝手な里香の選択を、七海は尊重してくれた。七海は里香にとって絶対にいなくならないと思える唯一の存在だ。里香以上に主人に気に入られており、もし別れる時が来たとしてもそれは里香の死によってだろうと考えていた。
夜、里香は七海に密着して横になっていた。昼間は他の子の面倒を見ている七海を、里香が独占出来る貴重な時間だ。誰かと親しくなるのが怖い、だけど誰かに必要として貰いたい。そんな想いを全て七海にぶつけている。
七海にとって里香は多くいる後輩の1人に過ぎないのかもしれない。面倒見の良い彼女が精神の不安定な里香を放って置けず他の子より時間を割いてくれているだけ。そこにあるのが"親愛"ではなくただの"善意"である可能性に里香は気付いていた。──それでも。優しく抱きしめてくれて、自分が大事にされていると思わせてくれる。そんな七海が里香は大好きだった。
数日後。数ヶ月ぶりに主人が友人を部屋に連れて来た。初めて見る白人女性で歳は20代後半くらいだ。彼女は居並ぶ少女達をニコニコと笑いながら見回した。そして七海の顔を見つけると「久しぶりね、ナナミ」と微笑みかけた。彼女が「しばらくこの子で遊ばせて」と主人に頼むと、彼は不機嫌な顔で部屋を後にした。
初めての展開に驚いている里香の横で、女性は七海の秘所に手を伸ばす。陰核を剥き出しにし、割れ目を弄った彼女は「半年も溜まって辛いでしょ? 今楽にしてあげる」と告げた。珍しく怯えた表情を浮かべた七海は、その直後陰核を擦り上げられてあっさりと嬌声を上げさせられた。
里香にとって七海は頼りがいのある女性だった。主人やその友人に犯されて絶頂や失禁をしてしまう事はあったが、その表情を崩す事は一度もなかった。他の子達も七海を特別な存在として見ていただろう。そんな彼女が女性に身体を弄られて喘ぎ続けていた。
女性器に太いディルドを挿入された七海は、奥を突かれると潮を撒き散らして許しを請い、それが聞き入れられないと分かると涙を流し始めた。里香には女性の手によって七海の本来の姿が無理やり暴き出されているように見えた。数分後、七海は床に倒れていた。顔は白目を剥き、大きく開かれた脚をピクピクと痙攣させている。その無様な姿は里香の中の彼女のイメージを壊すには十分だった。
白人女性は七海の膣内からディルドを抜くと、側に立つ里香の方へ顔を向けた。「貴女も綺麗な顔をしているわね」と言った彼女は里香の秘所に指を入れると腰を振るように命令した。里香はそれに従うべきか分からず一度目は無視したが、女性が苛立たしげに再度命令すると仕方なく腰を動かし始めた。
最初は義務的に腰を振っていた里香だったが、女性の指から与えられる快感に少しずつその気にさせられていった。気付けばガニ股になって夢中で腰を振ってしまっており、恍惚とした顔を晒していた。嬌声を我慢せず自分から快感を求めても良いという状況は抑制されていた里香の心を丸裸にしてしまった。それからそう時間を掛けることなく堕とされた里香は七海の隣に倒れて仲良く白目を剥いていた。
主人は1時間程してから部屋に戻って来た。その頃には辛うじて平静を保てるにまで回復した里香と七海は淫らに開いた女性器を晒しながら直立していた。白人女性が主人に自分達の痴態を告げるのではないかと内心不安を抱いていた里香だったが、その心配を他所に女性は「ナナミとこの子を私にくれない?」と主人に言った。
2人を他の子より気に入っている節のある彼は当然断ったが、女性はしばらく食い下がっていた。それを煩わしく思ったのか主人は溜息を吐くと「お前が欲しがっていた別館の娘をやる」と女性に言った。すると彼女はしたり顔で頷くとようやく引き下がるのだった。
目の前で行われる自分の所有権を巡る会話に耳を傾けていた里香は、その中に気になる部分があった。別館の娘。里香達のいるこの本館とは別にもう一つ建物がある事は知っていた。主人達の会話を聞く限り、そこにも日本人の少女達がいるように聞こえたのだ。その少女達を主人が人形扱いせず娘と呼んだ事が里香には驚きだった。
その日の夜、里香は七海から別館について知っている事を教えてもらった。彼女が言うには主人に気に入られた子が別館に移される事が時々あるそうだ。4年間ここにいる七海は5人が連れて行かれるのを見てきた。日本人の少女達を"人"として扱わない主人だが、選ばれた子を連れて行く時には目を見て話しかけ、1人の人間として接するらしい。その事から気に入った子を愛妾にしているのではないかと七海は予想していた。
彼女はいつか自分も選ばれたいと里香に話した。正確な事は分からないが、きっと一つの部屋の中で死に怯えながら過ごすよりは自由があるに違いない。日本に帰る事を殆ど諦めている七海は最低限でも人らしく生活出来る事を望んでいた。
──その願いが叶ったのだろう。3日後、1人減った分を補うように七海の別館行きが決まったのだった。
その日、部屋を訪れた主人は七海にそれを伝えた後、いつもより優しく彼女を抱いた。それが人形相手と愛妾相手の違いのように見えて里香にも少しだけ別館に憧れる七海の気持ちが理解出来た。行為が終わると七海はそのまま部屋を連れ出されて行った。少し高揚しているように見えた七海だったが、一瞬里香の方を見て心配そうな目を向けた。それが彼女との別れだった。
絶対に自分の前からいなくならないと思っていた七海が突然いなくなってしまった。それから里香にとって孤独な日々が始まった。大好きな七海が幸せになれた事を心から祝福していた里香だったが、数日もすれば戻って来て欲しいと強く思うようになった。里香以外の子達からも慕われていた七海がいなくなった事で部屋の雰囲気は一気に暗くなった。少女同士の会話も減り、夜に泣く子も増えた。里香も夜になると七海の不在をより強く感じてしまい毎晩のように嗚咽を漏らした。
そんな日々が半年も続いた。率先して新人の面倒を見る子もいない為、人の入れ替わる頻度が以前よりずっと早くなっている。一応、七海に次いでここでの生活の長かった少女が助言などをしていたみたいだが、七海ほど熱心ではなかった。
ある日、以前訪れた白人女性がまた主人に連れられてやって来た。前回と同じ様に主人を部屋から追い出した彼女は里香と新人の子を選ぶとその身体を心行くまで弄った。最近は無気力気味で全くその気がなかった里香だったが彼女の愛撫に簡単に喘がされてしまう。彼女に屈服させられる快感に里香はしばらく夢中になった。
女性は行為の後、里香に名前を訊ねた。いなくなった七海の次のお気に入りとなったのだろう。久しぶりに自分の名前を口にした里香は、そのタイミングでどうしても知りたかった事を彼女に聞いた。──七海が今どうなっているか。それを里香に訊ねられた女性は「可愛らしく笑っていたわよ」と教えてくれた。
その日から七海にまた会いたいという想いが里香の中で強くなった。同じ屋敷の中にいるのだと再認識し、決して会えない距離ではないと分かったのだ。ならば行動してみようと彼女は決意した。この部屋から外に出る手段を1つしか知らない彼女はその為に部屋の中での態度を改めた。
新しい子達の世話をしてその心をケアしていく。気を付けるべき事を注意し、それを実践出来るように訓練を実施した。七海がしていた事をなぞるだけだったがそれは思ったよりも大変で、余程の善意か或いは目的でもなければ続ける事は難しかっただろう。いつの間にか里香は部屋の中心的な存在となっており彼女を慕い、依存する子まで現れはじめた。少女達の人形としての質が上がった事で主人も満足気だ。
七海が世話役の様な事をしていたと彼が気付いていなかったとは思えない。目に入らない所で少女達がする事を黙認している事は白人女性の件で分かっていた。だから少女達を指導して主人の望む環境を作り上げる事は、彼のお気に入りになる手段として有効だと里香は判断した。
里香が世話をしても亡くなる子はどうしても出てくる。主人の機嫌を損ねたり、彼の友人の玩具にされ何人もの少女達が悲惨な最期を迎えていった。その中には里香と親しくなった子も当然いて、その度に彼女の心を擦り減らした。それでも七海に会いたい一心で里香は世話係を続けた。
それから3年後。21歳になった里香は一層美しく成長していた。女性として完成し肉体的にも精神的にも磨きのかかった彼女は確実に主人の心を掴んでいた。そしてある日の訪室時、遂に別館への移動を命じられたのだった。初めて"人"として主人に抱かれた彼女は七海に会える喜びもあり、頬を上気させて深い絶頂を迎えた。その後部屋を出る事になったのだが自分に懐いている子の事が気になり、つい視線を向けてしまった。七海も同じ気持ちだったのだろうかと考えた里香はこれから本人に聞いてみればいいのだと気付き、頬を緩めた。
4年間生活した部屋を出て、初日に歩かされた廊下を反対に進む。途中にあった窓から久しぶりに空を見た里香は晴れやかな気持ちで主人の後を着いて行った。1分ほど歩き、渡り廊下を通ってようやく辿り着いた別館は里香には夢のお城の様に感じられた。
この先に七海がいるのだと思うと胸が高鳴った。彼女は3年も前に世話をした少女の事を覚えているだろうか。20歳を過ぎて大人になった自分を変わらず抱きしめてくれるだろうか。お願いすればまた一緒に寝て頭を撫でてくれないだろうか。そんな風に色々な事を考えて里香は楽しくなった。たとえ七海が自分の事を忘れていたとしても、これから思い出して貰えば良いのだとそう思ったからだ。
玄関を抜け。
長い廊下を歩き。
そして彼女はその部屋に辿り着いた。
日本人の少女を"人形"として扱う男が、お気に入りの少女達を集めたその部屋に。
★
室内に窓はなく昼間にも関わらず薄暗かった。クーラーが効いているようで少し肌寒く、こもった独特の臭いが里香の鼻を突いた。部屋の広さは教室2つ分といったところか。その広い空間に20人近い少女達がいて横一列に並んでいた。その全員が例外なく超の付く美人だった。里香クラスの美貌の持ち主のその全盛期の状態を維持しているのだろう。
ここでも少女達は服を身に着ける事は許されていないらしく皆裸を晒していた。しかし、その表情はとても豊かで、笑っている子もいれば泣いている子や怒っている子もいる。
里香は真っ白になった頭で主人の後ろを歩いた。立っている少女達を手前の子から順番に見ながら少しずつ奥へと進んでいく。その先が里香の定位置になるのだと主人は言った。
彼は歩きながら独り言の様に話し始める。いくら人形として扱っていても、人である少女達は全盛期を迎えると緩やかに劣化していく。肌が衰え不要な皺を作る。長年愛用していた少女がそうなっていく姿は見ていて心が痛くなる。だからそうなる前に本当の人形にして時間を止めてしまうのだと男は語った。
19人いた少女達。その1番奥。最も新しい者が立つ場所に七海はいた。それを見た瞬間、里香はその場に崩れ落ち、声にならない叫びを上げる。
──他の子と同じ様に剥製にされた七海は、優しい顔で里香に微笑んでいた。
ずっと向けて欲しかったその顔。しかしその目が里香を捉える事は永遠にない。その胸に抱いてくれる事も、手で頭を撫でてくれる事ももうない。何故なら彼女は3年前にもう死んでいたのだから。白人女性の言った通りだ。確かに可愛らしく笑っている。でも想像していたものとは全く違った。
七海の身体に目を向ける。清楚な笑みを浮かべる彼女の身体は淫らに花開いていた。胸の先の乳首は硬く尖り、股の間では皮を剥かれた陰核が顔を出している。女性器は左右に広がって内側の陰唇を晒していた。死ぬ瞬間、彼女が強い快感を得ていた事は間違いなかった。
嗚咽を漏らす里香に主人は愉しげに話す。どうやって七海に死の瞬間まで笑顔を維持させたのかについて。
「──お前を惨たらしく殺すぞと脅したんだ。恐怖で泣いていたくせにそう言ってやると必死に笑っていたぞ、コイツ」
それが答えだった。七海が死ぬ直前まで自分を守ろうとしてくれたのだと知って、様々な感情が溢れてきた。
主人はしばらく里香の悲痛な叫びを聞いて笑っていたが、やがて飽きたのか彼女を組み敷いて殺す準備を始めた。里香は彼が愛用している媚薬を割れ目に塗り込まれ、恥部を淫らに反応させてしまう。七海の死で絶望している中で無理やり発情させられた彼女は怒りと屈辱の表情で主人を睨んだ。しかし、彼が秘所に指を挿入すると一瞬で快楽に屈してしまう。それが悔しくて涙が溢れた。
主人は里香の身体を満足のいく状態に変化させると、最期の表情を指定した。里香がそれを拒否すると、主人は彼女が最近可愛がっていた少女の名前を口にした。その意味を理解した里香は思い付く限りの罵倒を繰り返し、そして彼の指示に従う事を告げた。
──里香は殺される瞬間まで指定された表情を維持したのだった。
彼女は2年後に主人が警察に逮捕されるまで七海の隣に飾られた。
警察が、保護した少女の話を受けて別館の最奥の部屋に踏み込むと、そこには20人の美しい日本人女性の亡骸があった。
その最も新しい遺体は満面の笑みを浮かべていて、隣の遺体の少女と仲睦まじそうに寄り添っていたそうだ。
この事件は被害者が100人を越える規模だった事とその惨たらしい内容により世界中で大々的に報道された。