互いにパートナーを求め合う二人は快楽に悶えながら抱きしめ合う。
言葉すら忘れて夢中になる様子はさながら獣だが、若さあふれる発情期の二人を例えるのには獣が相応しい。
夫婦とはいえ客観的に言ってしまえば出会ってまだ二日目。
昨日の朝の時点では互いの顔さえ知らなかった間柄である。
いや……アモルテル城で生まれ育ったマレーネだけではなくマックも城下街の出身なので顔くらいは何処かで見たことがあるのかもしれないがそれでも初対面と大差はない。
そんな二人が出会って翌日の晩には当たり前のように交わっている。
特にマックは異性に対しての恋愛感情すらマレーネと出会うまで希薄だった子供なのもあり、胸の中にいる彼女が愛おしいと感じる心境の変化にも驚いていた。
(マレーネを抱きしめると俺はコイツの事を愛しているんだていう実感が溢れ出して止まらないのが自分でも不思議だ。今まで女に惚れるという感情を知らなかったのに)
肉欲に溺れているのは間違いないが、それ以上に愛欲に溺れてマックは腰を動かしている。
マレーネに気持ちよくなって欲しい。
彼女にももっと自分のことを好きになって欲しい。
自分がこれだけ彼女を愛しているのだと証明する手段として彼女を抱いていた。
豊満な乳房も。
柔らかな肌も。
茶色い髪の毛も。
幼さが残る顔も。
視力を補う眼鏡ですら条件反射で欲情してしまうほどにマレーネのすべてがマックには愛おしい。
そしてそれはマレーネも同じようだ。
(こうして抱きしめられているとアタシの腟内でイきそうなのを必死で我慢して強張っているマクシミリアンの身体が凄くムキムキしているのが伝わってくる。そのくせただでさえ幼いって言われがちなアタシよりも幼い顔つきで、そのギャップもたまらないわ)
顔も、筋肉も、子種の一滴すらマックのモノであれば好みの色男に感じて惚気けるマレーネの顔はニヤけている。
深く考えればマレーネはマックが同じ土地の産まれであることも知らない。
それどころか食べ物や色の好みや趣味、それどころか異性に求めるものすら把握していない。
わかっていることといえば自分を好きだと言ってくれた言葉だけ。
口先ではなくテレパシーを通して真だと証明してくれた彼のプロポーズだけがマレーネの心を支えていた。
(そろそろマクシミリアンも限界みたいだ。気づいてしまうとアタシまでゾワゾワと何かが込み上げて来ちまうよ)
「そろそろ射精るぞ」
「アタシのことは気にせず、何時でも射精して構わないって」
「でもちゃんと口で言ったほうがお前だって気持ちが良くなるだろ?」
(やだ……マクシミリアンにアタシの弱いところに気づかれちゃったよ)
(図星を突かれると口をつむぐが……そこがまた可愛いな)
マレーネの場合、概ね沈黙は肯定である。
初夜の最中に気づいた彼女のクセを愛おしく感じつつ、マックは白濁した花火を打ち上げた。
今夜二回目の射精。
しかも夜通しの初夜で厳密にはワグナリア卿の呼び出し前にもこの日は射精している。
それでも倒れずに大量の子種を愛妻にそそげるのはひとえにシヴァの加護のおかげ。
加護を授かった夫婦は身体を重ねる度に力をつけていくのだから。
(そろそろおさまったかな?)
搾り出すように押し付けていたマックの腰が止まったことで、マレーネは一先ず彼が一息で注げる精液尽きたのだと悟る。
小さくなり始めたおちんちんを引き抜くと、まだマレーネのお腹は許容範囲内だと言わんばかりにぴっちりと閉じて注がれた白濁液を逃さない。
「今ので溜まっていたぶんが全部射精しきっちまったみたいだ」
余程マレーネの腟内が良かったというべきだろう。
一回じゃへこたれないとマレーネも褒めていたマックの竿は二回でしばしの休眠に入っていた。
無論、シヴァの加護による回復力を考慮すればこのまましばらく抱き合っているだけでまた貯まるだろう。
だけど風呂場でこのままというのはただでさえ心がのぼせているのに身体までのぼせてしまう。
熱にふらつくマックの様子にマレーネは夫の身体を労った。
「それじゃあ軽く身体を洗って出ましょうか」
シャワーで温水にまみれながらのお風呂えっちでのぼせ気味なのはマレーネも同様であり、湯船にお湯を張ったのは少し余計だったのかと思うほど。
せめてお湯を止めてから始めれば違ったかと思いながら液体石鹸を泡立てると、胸の谷間に盛ったそれをマックの背中に押し当てた。
母親から学んだ夫を喜ばせる身体の洗い方。
泡踊りの時間である。
「こうやって背中を流していると、マクシミリアンの身体もちゃんと男らしいんだね。広くて筋張っていて、なんだかたくましい」
「そういうマレーネさんの押し当てているモノが泡だけじゃない柔らかさだが……もしかして胸で洗っているのか?」
「フフ。ママ直伝の夫を喜ばせる洗い方だってさ。ママも胸が大きい人だったけれど、大きいほど効果絶大だってさ。ほうら、背中の次は腕だよ」
マックの背中を充分にこすり終えたマレーネは彼の腕を取ると泡だらけの谷間でそれを挟む。
胸の谷間が刺激されて身体の内側を触られているかのように感じるマレーネも包み込まれて腕まで敏感なマックも陶酔した様子で二人はそのまま泡にまみれていった。
背中から左右の腕を洗い終えて、最後は向かい合って身体の正面。
足は転ばぬように泡まみれのまま絡ませたので今回は省略といったところで、汗で汚れていた二人の身体は最初の射精で汚れていたマレーネのお腹も含めて泡が綺麗に洗い落とした。
残るは軽く湯船に入ってこの泡を落とすだけ。
泡踊りに興奮して濡れていたマレーネの股もこれで流せると思ったわけだが、このえっちな洗いっ子にマックの身体は反応していたようだ。
「そろそろ綺麗になったし泡を落として出るよ。いくらなんでものぼせて倒れちゃうし」
「それなんだけど……」
もじもじと申し訳無さそうな顔で股を開くマックを座椅子の足から見上げると、マレーネの身体を包むほどにそそり勃つ影が一つ。
ほんの数分だがマレーネの泡踊りに包まれたことでマックのスタミナは風呂場に向かう前よりも回復していると思えるほどに大きい。
これでは風呂場の湯気よりも先に股間に集まった血でのぼせてしまいそうだ。
マレーネは風呂場でも外さずにいたオクタゴンフレームの眼鏡をくいっと位置合わせをして「仕方がないな」と新しく立てた泡をマックのモノに塗りつけた。