ラードのモノにしゃぶりついたマリアの口の中は唾液に満ちており、体温もあがってその温度は温かい。
心地よい温度に包まれたラードの竿は脈をうち、唾液に混ぜ込むように先走り汁が先端から溢れた。
(う……おえ……)
初めてのその味に嘔吐感を得たマリアは口を解くと、溜まっていた汁混じりの唾液を床に吐き出してしまう。
ぺっぺっと、品もなく唾を吐く姿はとても貴族の令嬢には見えない。
「床に吐き出すとは下品な。叔父上が見たら悲しみますよ」
「壺や桶があるのならば、わたしだってそちらにしますわ。そもそも、そんな下品なモノを見せつけてきたのは貴方じゃないか。叔父上が見れば激昂するのは間違いありませんわ」
「流石に叔父上も夫婦の営みを邪魔する無粋な人では無いでしょう。しかも今宵は特別な初夜。邪魔しようものなら国王と言えども許されざる罪です。キミは本能では自分が尊い花嫁に選ばれたのだと理解していても理性が邪魔をしているようだ。こういう女は少し強く行かないといけませんね」
マリアは落ちかけていた理性を吐き気取り戻したのをだが、それを掌に浮かぶ模様でラードも把握している。
シヴァの加護を受けるためには必ず新郎の子種を新婦のお腹に注ぐ必要があるのだが、ラードはそれを成し遂げるべくマリアを床に押し倒した。
本来ならば純藍に選ばれる夫婦は様々な面で相性の良い二人になるため、このような強姦は滅多に起こり得ない強硬手段。
普通はマックたちのように一目惚れか、あるいは同年代の異性に対しての性的興味をきっかけに一度肌を重ねてしまえば、あとは若さに任せた交尾に溺れるのがお定まりというもの。
だがラードたちの場合はどうもそのように事は進まず、なおかつラードもそうなるのがわかっていたかのように力づくでマリアを犯そうとした。
「きゃあ!」
「うるさいな。叫んだところで外には聞こえないよ。だけどその口は塞いだほうがいいかな」
そう言うとラードは手首を掴んで床に押さえつけながらマリアの唇を奪う。
先程先走り汁を舐めさせて、込み上げてきた胃液も混じってそうな唾を気にせずに唇を重ねたラードはそのまま無理矢理に舌をねじ込んだ。
奇しくも隣の部屋では盛りがついたマックがディープキスをしている頃だろうか。
(こ、この!)
抵抗してマリアは舌を噛み切らんとするのだが、ラードの舌は巧みに口の中を犯すので狙いが定まらない。
半開きのままじゅるじゅると唾液が混じっていくうちにマリアの頭の中には再び霞がかかりだした。
裸を見られたばかりか、素敵な殿方に出会うまで取っておきたかったファーストキスも奪われたショックも次第に上の空。
キスを解き、口の中だけではなく顔や首筋まで舐め回し始めたラードの舌先による愛撫が彼女を初めて感じる夢心地に誘い出した。
小振りな乳房やその先端についた果実を喋む頃にはマリアは力が抜けてしまっている。
抜けているからこそラードも両手の拘束を解いて顔を下げることが出来ていた。
(嫌……このままじゃ、わたしの純潔が汚される。そうなったらもう、お嫁に行けない)
わずかに残った理性も心の奥底で悲鳴をあげるのみ。
だが快楽よりもそれに抗えない自分への絶望で無気力化したマリアの様子を汲んだラードは身体を起こす。
それでは意味がない。
シヴァの加護という選ばれし者の力を行使する為には無気力な性奴隷がパートナーでは効果がない。
ラードが求める嫁の条件とは──
「僕はキミに素直になって欲しくて押し倒したが、そんな腑抜けた眼ではダメだ。それではヨシハラの魔物には到底勝ち目がない。僕はキミには従順になって欲しいけれど、人前やいくさ場ではさっきのようにツンケンと高飛車に振る舞って欲しいんだ。キミは八大辺境伯に連なる大貴族の娘……それくらい出来るハズだろう?」
(な、生意気な!)
ラードからの支離滅裂に近いラブコールに奮い立ったマリアは身体を少しだけ起こすと、握りこぶしを弱々しく叩きつけた。
汗ばんだ肌に当たってペチンと弱い音が響いたのを聞いてラードは微笑むと、再び身体を倒して彼女に寄りかかる。
そのまま腕を背中と地面の間に通したラードは掌を彼女の後頭部にあてがう。
何事かと困惑したマリアにラードは頭を撫でながら耳元で囁いた。
「よく出来ましたマリア。キミはやはりやれば出来る子だ」
(急に褒めて……どういうつもり?)
「これでこそ僕の奥さん……共にシヴァの加護を授かるのに相応しい女性だ」
(さんざん辱めておいて、今更当然のことを言って褒めても遅いわよ)
「キミは素敵で綺麗で最高だよ。大貴族の血筋だとか、義務隊の成績優秀者だとか、そんな肩書のない裸のキミはとても強い子だ。これならパートナーである僕の方こそキミに見劣りしてしまいそうだ」
「は……はだか⁉」
「そうだとも。僕があえてプレッシャーをかけたのに最後は僕に逆らった。これだけ強ければヨシハラの魔物なんてキミには雑魚だよ」
(褒められるのは悪い気はしないけれど、さっきから言っている、ヨシハラだとか魔物だとか、何のことかしら)
「だからそろそろ僕も本気でキミを抱くよ。抱かないとシヴァの加護を受けられないしね」
マリアへの説明はラードに任されていたため、この段階に至っても彼女は純藍がどのような部隊なのかを把握していない。
シヴァの加護についても会話に出てくる程度という認識。
だが辱められたかと思えば褒めるというラードの行動は次第に彼女の自我を崩していく。
これまで義務隊で優秀な結果を残しても、どこか感じていた心の中に溜まった澱。
どんな成績を残しても「大貴族の令嬢として下駄を履かせてもらっている」からだという僅かな被害妄想。
そうやって僻む相手は極稀とはいえ実際にこの言葉を突き付けられたことがマリアにはあった。
大半の相手は純粋に彼女を称賛していたが、その際にもシツダルダ家の事を褒め言葉の引き合いにされることが多かったため、彼女の中での欺瞞を残す原因となっていた。
しかし一方で目の前にいる男は地位も名声もない裸の自分を見て褒めてくれる。
本来ならば突然告げられた結婚も、その相手に早々に抱かれることも承知しかねるこの状況を前にして、マリアはふと思ってしまった。
彼に身体を捧げるのは妻として当然の行いなのではないかと。
「抱くと言ってから、ずっと焦らしてきたわけだけど……流石にもうキミも我慢の限界かな。自分から僕の種を求めて来るだんて」
この時のマリアはラードに後ろから抱きつかれた状態で首筋を舐められていた。
太ももをくすぐる怒張したラードのイチモツは汗やら何やらで潤っており、すべすべと滑りよく擦っている。
そんな彼をマリアは自分から太ももで挟み込んだ。
濡れ絵巻で見たことがある素股という行為を自分がしているという驚き。
そしてそれ以上の驚きである、自分の太ももに挟まれた男のモノが、まるで自分から生えているかのような錯覚。
このまま滑るように彼を包み込みたい。
彼と繋がって一つになりたい。
いつの間にかマリアはラードの虜になっていた。