2週間後
空と旬は旬の実家で暮らしている。
空のお腹の中に旬との子供がいる。
空は悪阻に悩まされていた。
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「どうや具合?」
部屋からは、嘔吐と鳴き声が聞こえる。
「う……うぇ……げほげほ……気持ち悪い……助けて……旬……」
「はいはい、大丈夫や、落ち着いてゆっくり呼吸してみぃ」
空は、布団の上で吐き気と戦っている。
「悪阻きつそやな。」
「旬……ごめんね……ごめんなさい……」
「謝らんでええよ。」旬は空の背中をさする。
泣き出す空。
「泣くな、泣くな、涙とゲロが出るだけや」
空の目には涙。そして吐瀉物。
空は不安に押し潰されそうになる。
「もうちょいしたら先生来るからな」
「旬……怖いよ……」
空の手を優しく握る旬。
しばらくして先生が来た。
「空くんは、悪阻が酷いですね。点滴打ちましょうか。」
先生は空に注射を打つ。
「特に空くんは、両性体だから、悪阻もきついだろうね。」
「空……」
旬が空の手を優しく握る。
「大丈夫……大丈夫だから……」
空はそう言うものの、やはり恐怖心はあるようで、震えている。
「大丈夫……俺がおる……」
先生が帰って行くと、また悪阻が始まる。
その度に、旬は優しく声を掛ける。
空が寝ている時も。
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数日後 空のお腹はだいぶ大きくなり始めた。
悪阻も酷くなってきている。
そんなときだった。
(旬視点)
「組長お時間です。」
いつものように部下の組員が来る。
いつもの見回りだ。
今日は、俺が組長になってから初めての組内の集会だ。
組長として、しっかりやらねば……。
俺は組員を連れて見回りに行く。
空に無理はさせられへんからな。
「ほな、行ってきます。」
空の頬に軽くキスをして見送る。
空が微笑んでくれる。
俺は、空の笑った顔が一番好きや。
今日も頑張ろうと思う。
あの事件以来、俺は組長になった。
最初は大変やったけど今はなんとかなってる。
組員達も、俺についてきてくれるし、感謝しかない。俺は幸せ者や。
空が俺の子供を身籠もってくれてる。
俺の子や。
嬉しくないわけがない。
これからもずっと一緒やで……。
俺は車に乗り込み集会場所に向かう。
外は雨だった。
傘を差す旬の横には亮二がいた。
「若、いや組長。お送りします。」
「あぁ。ありがとう。」
「雨……降ってますね。」
「せやな……」
空と俺の子供はどんな子になるんやろか……。
俺は男でも女でもどちらでもええけど、できれば女の子の方がええな。
名前は……どうしようか……。空に似た可愛い
「女の子がいいな……」
俺の言葉に亮二は、驚いている様子だった。
「そういや、空どうです?」
「元気にしてるで。悪阻は酷いみたいやけどな。」
亮二が、空の話をした途端表情が変わった。
「えぇ?空って…。」
「あぁ、亮二、お前に言うてへんかったな。」
「言ってくださいよ。」
亮二は俺を睨んだ。
「すまん、すまん。」
「てっきり、あの事件で嫉妬で監禁したと…、女やったんですか…。」
「いや、俺も男だと思ってたんやけどな……、両性らしい。」
「両性ですか……?」
「まぁ、その辺はいずれわかるわ。」
亮二は黙り込んだ。
俺は、車を走らせた。
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(亮二視点)
若……じゃなくて組長が連れてきた相手って……あの人か……。空か……。
「お前やから話すわ、亮二。今は女の身体になってるかも知らん。
俺はどっちかって聞かれたら男やって言い張るけど。」
「若……いえ、組長が男好きになったんかと思いましたよ。」
若が笑う。
「はははっ。確かにな。」
俺は黙り込んだ。組長は、真剣な表情で話す。
「子供産んだ後があった。」
「えぇ!」
思わず声が出た。組長は話を続ける。
「この島来る前やろういうてはったわ、先生が…。」
俺は黙り込む。なんて言葉をかければいいのかわからないからだ。
すると組長は笑顔で話を続けた。
「記憶ないからな、聞くにもきけん。」若は俺の方を見る。
「そうなんですか……、なんか事情が複雑そうですね。」
若はうなずく。
「そうなんや。空は、俺らの知らないところで苦しんでたんや。それに気づいてやれんかった自分が情けないわ。亮二、お前ならわかってくれるやろ?」
「当たり前じゃないですか……。」
俺は黙り込んだ。若は続けて話す。
「俺らは極道や、いつ死んでもおかしくない職業や。だからこそ、後悔だけはしたないねん。お前もわかるやろ?」
俺は黙り込む。
「そうですね。」
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集会所につくと既に組員が集まっていた。
若が、壇上に上がると皆んな静まり返る。
「えー。皆さん、本日は集まってくれてありがとうございます。この度、組長として就任することになりました、大道寺旬といいます。若輩者でありますが、一生懸命頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。」
拍手が聞こえる。俺は、組員一人一人の顔を見た。皆んな真剣な眼差しで旬を見てる。やっぱり組長として尊敬してるんだな。
俺も負けないようにしないとなって思った。
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帰りの車では……
「組長、改めておめでとうございます。」
「おおきに。」
若は照れ臭そうに笑った。
俺は思った。
旬には幸せになって欲しいって。
空にも幸せになって欲しい。
旬は家に帰り、空の様子を見た。
点滴を打って少し楽になったのか、眠っている。
空の額にキスした後、お手伝いにお風呂入ってますとうながされる。
「ほな、お風呂入ってくるわ」
お手伝いは、俺の着替えを用意してくれる。
脱衣所に行き服を脱ぎながらふと思う。
「しかし、ヘタ打ったわ。」
空の事だ。
「あの後、連絡するべきやったかな……」
組でゴタゴタあって、自分も怪我したんやけど、拘留されたんで、連絡が出来なかった。
その間に空は匠と浮気して、匠のおっさんもおっさんやで、あの野郎、人の女に手を出しよって!許せん。
まぁ、空の腹にいるんは、俺の子供やけどな! なんや腹立ったてきた。
頭を洗い流し、湯船に浸かる。
あのおっさんこれで何回目や浮気。
ホンマ懲りんな、おっさんは……。
由美子も可哀想に。
あんな浮気者のどこがええんやろか?
おっさんのどこが好きなんや?
今回は刃物持ち出す程にキレたし、離婚やな。
腹立つわぁ…。
でもまぁ元々、落ち着いたら空と結婚する気やったから別にいいんやけどさ?
俺と別れた後も付き合ってるってのが、むかつくわ。まぁ、空も悪いけどな。
弟の事があったからやけど。
まぁ、それは俺も一緒か……。
空には悪いことしたなって思うわ。
お風呂を出て部屋に戻り、テレビをつけてみるが、何も面白い番組はやってなかった。
空が起きてこないうちにお手伝いさんが作ったご飯を食べておこうと食堂に向かった。
「あら、若さん、今日は早いですね?」
お手伝いが話しかけてくる。
「あぁ、今日は集会所の片付けがあったからね。」
お手伝いさんにお茶を入れてもらう。
俺はご飯を頼み、空の部屋へ向かった。
コンコンっとノックするが返事がない。
ドアを開けるとベッドの上で横になっている空の姿があった。
「入るで」一応、断りを入れる。
空の顔色はだいぶ良くなっていた。
俺は空の隣に腰掛けた。
空は起き上がり、「もう、大丈夫だよ。ありがとう。」
「ほんまかいな?」
「うん。まだちょっと頭がクラクラするけど、大丈夫だよ。」
空の手を握った。
「そっか、良かったわ。無理したらあかんよ?」
「ありがとう」
空がニコッと微笑む。
旬は、空にキスする。
「ふふっ。」と笑い、もう一度空に口付ける。
「んーっ。」と甘い声を出す空。
そして舌を入れる。
「あっ……んんっ……。」
空は、旬の胸元に手を置く。
そしてギュッと握った。
そして旬は、空を押し倒した。
「あの、旬さん?」
「あかん?」
「ダメではないですけど……、口は吐いてるし、また吐くかも。」
「じゃあ、口以外でしよか。」
「安定期まで…えぇっと…」
「わかったわ。じゃあ口以外な。でも俺我慢できへん。」
「うっ……うぅっ……」と小さくうなり、渋々納得した様子だった。
「じゃあ、服脱がすで」
空のパジャマのボタンを外すと、プルンっと大きな胸が現れる。
「あっ……んっ……」と甘い声をだす空。
「胸ふくらんだんちゃう?」
と旬は言いながら揉み始める。
「あんっ……。」と喘ぐ空。
そして首筋から胸にキスマークを付けていく。
「んっ……あぁんっ……。」
そして空のパンツの中へ手を入れる。すると空の割れ目からは、すでにヌルヌルとした愛液が出ていた。
旬は空にキスをしながら空を愛撫する。
「あんっ……。んっ……はぁん……。」と気持ち良さそうな声を出す空。
空は、妊娠発覚からセックスをしていない為、久しぶりの快楽で身体中が敏感になっていた。
そして、秘部に指を入れようとすると、「あんっ……。あっ……あぁっ……。」
空は、身体をビクンッとさせた後、グッタリとする。
「もうイッたんか?」
「うぅ………。」
顔を赤らめ、下を向く空。
そして空の足を広げ、ゆっくりと自分のペニスを入れようとする。
「えぇか?」コクりと首を縦に振る空。
ゆっくりと挿入し、奥まで入れた後ゆっくりと腰を動かし始める。
「あっ……あんっ……。あぁんっ……。」
ゆっくりと動く度に、可愛い声で喘ぐ空。
空の手を握り、キスをする。
「あっ……はぁん……、ゆっくり…。」
空は気持ちいいようで、少し涙を浮かべている。
「あぁ、ごめん。」
旬はゆっくりと動かしながら、腰を激しく動かす。
パンパンッと肉のぶつかる音が部屋に響く。
「あんっ……あっ……んっ……はぁん……。」
旬は空を抱きしめる。
「んっ……。あんっ……はぁん……。」
そして絶頂を迎えそうになったとき、「赤ちゃん……。」空は呟いた。
旬は動きを止める。
「どないした?」
空が旬を見つめる。
「赤ちゃんに精液かかるかな?」
旬は空の頭を撫でる。
「安心しぃ。かけんでえぇように、外に出すから。」と言い、空を四つん這いにさせ後ろから突き始めた。
「あっ……あぁん……。」
「出すで……。」と旬は腰を早める。
「あぁんっ……。あっ……あっ……。」と絶頂を迎えたあと、空の膣から自分のペニスを引き抜こうとした時、部屋の外から声が聞こえた。
「組長、いらっしゃいますか?」
と声がする。
「ちょっと待ってぇや。」と声を出す。
空からペニスを引き抜く。
「あ…あぁっ……!」と声を出す空。
旬は、下だけ着て部屋の外に出る。
「何やねん?どないしたんや?」と聞くと、若い組員が、慌てながら話す。
「実は、例の薬を持ってるヤツが見つかったんですよ!」
「ほんまか!どこや!?」
「はい!それが……」と話し始める。
話を聞き終わると、すぐに部屋に戻った。
「ちょっと出てくるわ。」と空に声をかけ、服を着る。
組員の話によると、その男は昨日も取引していたらしく、おそらく薬は昨日取引された物だろうと言うことだった。
空は快楽の余韻に浸りながら、空は「うん……。」と小さく答えた。
急いで服を着て部屋を出ると、そこには数人の組員が待っていた。
「こっちです!」と組員について行く。
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空は余韻に浸っていた。
(やっぱり、旬、凄かった……。)と空は考えていた。
(あんなに気持ちいいなんて……。それに久しぶりだったからか、いつもより感度も上がってた気がする。)
そんなことを考えながらボーッとしていると、部屋の扉が開いた。
旬だ。
空は起き上がり、「おかえりなさい。」と出迎える。
「ただいま。寝てて良かったのに。疲れてるやろ?」
とベッドに座る旬の隣に行く。
「ううん。全然大丈夫だよ。お仕事どうだった?」
「バッチリやで。」と旬は微笑む。
「そう。よかった。」
すると旬が、「さっきの続き、してえぇか?」と言う。
すると旬は空を押し倒す。
「ちょっ……まだ赤ちゃんいるんだから……。」と抵抗するが、空の胸に触れる。
「大丈夫やって。」と旬は言うと、空にまたが膨らんで来た胸にしゃぶりつく。
「んっ……あぁんっ……。」と空は感じ始める。
「んっ……あっ……あんっ……あぁっ……。」と甘い声を漏らす空。
そして空の手を掴み自分のモノを触らせる。
「んっ……あぁんっ……。ダメだよ……。」
しかし、空は抵抗することなく触り続ける。
「あっ……あんっ……あぁんっ……。」と喘ぐ空。
「やっぱり、胸は良いわぁ~。」
と胸から顔を離すと、そのまま舌で乳首を舐める。
「あんっ……あんっ……あっ……んっ……んっ……あぁっ……。」と甘い声を漏らす空。
「あかんなぁ、ほんま、可愛すぎや。」
「あっ……あんっ……あっ……んっ……はぁん……。」と空は絶頂を迎えそうになると、「待ってぇや。俺がまだイッてへんで。」
と言い、ペニスを空の中に入れる。
「あっ……あんっ……あっ……んっ……はぁん……。」と再び甘い声を漏らし始める空。
旬は空に覆いかぶさり、キスをする。
「んっ……ちゅっ……はぁん……あぁんっ……。」とキスをしながらも、ピストンを続ける。
パンパンッと肉のぶつかる音が部屋に響く。
「あんっ……あんっ……あんっ……あっ……あぁん……。」
と絶頂を迎えると、「あかん、あかん、イクッ……。」と絶頂を堪えながら言い、空の中に出した。
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しばらくして空は目が覚めた。
(私、寝ちゃったのか……。)
ふと隣を見ると、裸の旬がいた。
「一緒に風呂入ろか?」
ドアを開けて、お手伝いの睦を呼ぶ。
「はい、ただいま。」とやってきた。
空は服を着る。
「今から風呂入るから準備してくれ。」と旬が言った。
睦は頭を下げ、バスタブにお湯を張る準備をする。
その間に旬と空はお風呂に入る。
2人でバスタブに浸かり、睦の準備ができるのを待つ。
旬は後ろから空を抱き締めた。
空の耳元で「俺の、もう1回洗ってくれへんか?」と言う。
空の顔が赤く染まる。
「えっ?でも……ここじゃ、誰か来るかもしれないよ?」と小さな声で答える。
「かまへん。見せつけたったらええねん。」と再び、空の耳にキスをする。
空の肩がビクッと震える。
「そ、そうだね。」
空は立ち上がり、浴槽から出てバスタブの縁に座る。
すると旬も立ち上がり、空の前に座り、空にペニスを握らせる。
空は旬のを優しく握り、上下に動かす。
(すごい……。さっきより、もっと硬い……。)と思いながら手を動かし続けていると、だんだん大きくなっていくのが分かった。
(こんなに大きいのがいつも私の中に入ってたんだ……。)と思うと空の心臓がドキドキと高鳴った。
旬は、自分の手を重ね、一緒に動かそうとした。
「待って……。私には、刺激が強すぎる……。」
「なんや?もう限界なんか?」
と笑いながら、空の太ももを撫で回す。
「違うもん……。だって……こんな大きいの入れたらおかしくなる……」
と顔を赤らめながら言った。
「そうか。」とニヤリとする旬。
「ほな、これならどや?」と空の手の上に重ねていた手を外し、空の秘部に触れた。
「あっ……。」と甘い声を出す空。
指で空の割れ目をなぞる。
「あっ……あんっ……あぁんっ……。」と腰を動かす空。
そして、空の手を止めて、自分で擦り始める。
「あぁんっ……あんっ……あんっ……あぁんっ……。」と声を上げる空。
(すごい……。いつも私がしてもらってるみたいに……。私もあんな風になってるのかな?)
すると旬が空を後ろから抱きしめた。
そして、胸を揉みながら、「入れるで。」と言う。
空の身体は火照っていたので、何も言わず、小さくコクッとだけした。
空の足を広げ、旬は空の膣内へと入れていった。
「あっ……あんっ……あっ……あぁんっ……。」と声を上げ、快楽に堕ちる空。
(ダメ……。声、抑えられない……。気持ちいい……。)
すると旬が動き始めた。
「あんっ……あんっ……あんっ……あぁんっ……。」と喘ぎ声が大きくなる空。
そこに、睦が入ってきた。
睦は驚いた様子で、「失礼しました、準…。」と言って、出て行こうとした。
「ええから。」と旬は言った。
「でも……。」と戸惑う睦。
空は慌てて、旬を止める。
「ちょっと…」
睦が部屋を出て行った後、旬は激しく動き出す。
パンパンッと肌と肌のぶつかり合う音がする。
「あっ……あんっ……あんっ……あんっ……あぁんっ……。」と喘ぐ空。
旬が「もう我慢でけへん……。イクッ……イクッ……!」と叫ぶように言い、射精した。
(私の中に……。熱い……。)
旬のペニスが引き抜かれると同時に精液が流れ出る。
「あぁんっ……。」と声を上げる空。
「次は、ベッドでしよか?」と旬は微笑んだ。
[newpage]
次の日、空の嗚咽が響く部屋。
(苦しい……。息ができない……。)
「ゴホゴホッ……オェッ……。ゲボッ……。ガハッ……。」
(昨日、旬と一緒にお風呂に入って……それで……そのまま、抱かれて……。気持ち良すぎて意識が飛んだ……。その後、お風呂で気を失って……気が付いてからは、何度もイカされて……。)
(気持ち悪い……、気持ち悪い……、気持ち悪い……、気持ち悪い……、気持ち悪い……。)
(このままだと……また……。)
(お願い……止まって……。もう許して……。もう無理だよ……。)
空の嗚咽と嗚咽の合間に漏れる呼吸音だけが響く部屋。
*************************
「組長どこや?」
1人着物を着た女性が、組員に旬の居場所を訪ねる。
組員が、その女性の前まで来て、「お呼びですか?お姉さん。」と言う。
「旬探してりるんやけど、どこにおるか知らん?」
と女性は言った。
組員は、「組長なら奥の部屋で書類整理されとります。」と言った。
「ほんまか、行ってくるわ」と女性が奥の部屋に向かった。
「入るで、組長。」
と女性が言う。
すると奥から「どうぞ。」という声が聞こえた。
女性が部屋に入ると、スーツ姿で書類と格闘している旬がいた。
旬は、「なんや、おかんか。」と言う。
女性は、ため息をつく。
「あんたが、書類整理するなんて珍しいな。」
と女性は笑った。
「たまには、せんとな……。」と苦笑いをする旬。
この女性は、旬の母親で、大道寺楓。
「今日はどんな用や?」
と旬が尋ねると、楓が「事務作業とかの話なんやけど。」言う。
すると、旬の顔が険しくなる。
「ほら、腕プシの強くて、頭のいいほら、あんたが可愛がってだ、空くんおったやろ?その子に任せられへんやろか?」
「空か?」
「最近、ぱったり見かけへんけど。」
と楓は言う。
「空なら…えぇと…。」と口ごもる旬。
「何かあったんか?」
と心配そうな顔になる楓。
「いや……。」
「はっきり言い。うちとあんたの関係やないか。」
と楓が真剣な眼差しで旬を見つめる。
「妊娠したらしい……。」と下を向く旬。
「えっ?それ本当か?」と楓は驚いた様子だった。
「あぁ…。」
「?せやけど…あの子…男の子やで?」
「らしいなぁ…」
と俯きながら話す旬。
「あんた、なんか隠してるやろ?」
と詰め寄る楓。
「………………。」と沈黙する旬。
「まさか、あんた……。」と驚く楓。
「あぁ……えっと…。」
と目を瞑りながら答える旬。
「あんたら……うちが、何年一緒に暮らしてると思うんや?」
と睨む楓。
「はぁー。降参や……。」と話す旬。
楓は、「なんやねん、うちらは家族ちゃうんか?」と怒る楓。
「バタバタしてて、すっかり忘れてた……。ごめん……。」と謝る旬。
「で?空ちゃんどこ?」と詰め寄る楓。
「えっ?えぇっと……悪阻で寝とる。」と慌てる旬。
「まさか、病院か?」と楓が言うと、旬は、目をそらした。
「離れ家やな?」と詰め寄る楓。
「いや……えっと……。」と困る旬。
楓は、「行くで!!」と言いながら立ち上がった。
「ちょっと待ってや!」と焦る旬。
空の部屋の前につく2人。
*************************
「入るで。」と楓がドアを開ける。
するとそこには、、泣きながら嗚咽を繰り返している空がいた。
楓は、慌てて駆け寄り、「大丈夫?どないしたん?」と声をかける。
空は、「あぁ……うぅ……。おぇっ……げぇ……。うっ……オェッ……。」
と部屋のトイレで嘔吐いていた。
「えらい大変やな……。大丈夫か?」
と背中をさすりながら心配そうに言う楓。
「はぁ……はぁ……はぁ……。おぇっ……。」
と吐き続ける空。
(どうしよう……もう無理……。耐えられない……。助けて……。)
嘔吐に血が混じりだす。
(もう駄目だ……限界だ……。助けて……旬……。)
楓は、空に近づき「ちょっとごめんな。」と言いながら脈を計る。
「ちょっと、やばいかもしれん……旬車出してや!」と楓が言うと、旬は走って部屋を出て行った。
楓は組員を呼び、空を車に乗せる。
空は意識が遠のき、そのまま気絶した。
空を乗せた車は病院へと走り出した。
楓と旬は車の中で、組員に事情を説明した。組員達は黙って話を聞いていた。
そして、病院に着く。
*************************
組員は、すぐに医者を呼んだ。空をベッドの上に寝かせ、医師は脈拍などを確認する。
「これは……ひどい……。悪阻がひどかったんだね……。」と医師が呟く。
「先生!どうなんですか?空は大丈夫ですか?」と焦る楓。
「悪阻でここまで衰弱してると、母子ともに危ないので、入院して下さい。」と医師が聞く。
「空くんはどうなるんですか?」と心配そうな顔で医師に尋ねる楓。
「とりあえず今は点滴をして安静にしています。命に別状はないですが……このままの状態が続くと母子ともに危険になるので早急に対応します。」と医師は言った。
そして、空が入院してから数日後、状態は安定した。
空は、目を覚ましたが、自分の置かれた状況がよく分かっていなかった。
自分が病院にいるのだと理解するのに時間がかかっていたのだ。
空は、ベッドの横で寝ている旬を見て、「旬?なんで……?ここはどこ?」と聞く。
すると、隣にいた楓が「空ちゃん……起きたか……。ここは病院やで……。」と答える。
「えっ?」と空が困惑していると、「ごめんな……。」と旬が言う。
「えっ?どういうこと?」と空が聞くと、「その……な……。悪阻が酷くて、吐血したから緊急搬送されたんや……。」と下を向きながら言う旬。
空は、状況を理解すると、「赤ちゃん……。」と一言呟いた。
「うん……。」と下を向いたまま答え、頭を下げる旬。
空の目からは涙が零れ落ちた。
空は「赤ちゃんが……。赤ちゃんが死んじゃう……。うぅ……嫌だ……。うぅ……うぅ……ぐすっ……ぐすっ……ふぇぇぇん……うわぁぁぁん……」と子供のように泣きじゃくる。
「俺が悪かった……。」と旬が空の手を握る。
「俺が、空の体調の変化に気づいていれば……。」
と自分を責める旬。
すると、旬の隣に座る楓が、「いや……あんたが悪い訳ちゃうやろ?」と冷静な口調で言う。
そして、「でも……どうして、今まで隠してたんや?」と空を見る楓。
「それは……色々込み入ってて…。」
旬はこれまでの事を話す。
匠との不倫の事、由美子の事件の事。
弟の事、学校の事。そして、今回の悪阻の事。
楓が黙って話を聞く。
「そっか……。そんな事が……。
あんたら、ほんまにアホやな……。」と楓が呆れたように言う。
「はい……。」と落ち込む空。
すると、楓が、
「あのな……悪阻はな……。個人差あるし、人それぞれ辛いのは当たり前やねん。それに、不倫なんか私も若い頃したしな……。別にあんたが責任感じる事ないんやで……。」
と空の肩をポンッと叩き、優しく微笑む楓。
すると、
「はい……。すいません……。」と謝る空。
すると、
「まぁ、でも、これでわかったやろ?夫婦ってもんはな、お互いに気を使って生きていくのが理想なんやけど、実際は難しい。時にはぶつかる事もある。でも、それを乗り越える事によって夫婦の絆も強くなってくんやと思う。夫婦なんてそんなもんや。」と言う楓。
「はい……。そうですね……。僕達も夫婦喧嘩とかしてるんで……その辺よくわかります……。」と納得する空。
「うん……。でもな、一つだけ言える事は、お互いを大事にしてるかどうかや。それがないと、どんないい夫婦でも続かない。だから、旬、空ちゃん。
あんたらはお互いに思いやってこれからも過ごしていくんやで。それが一番大事な事やからな。」
と旬と空に言う楓。
すると、空が、
「はい……。そうですね……。僕達、ちゃんと話し合っていきます。」と答える。
「ならいいよ。私、もう怒らないから……。」と微笑む楓。
「てか、おかん不倫しとったんか?」
と旬。
「うん。まぁね……。」
とあっさり答える楓。
「まじかよ……。」と驚く旬。
「あんたの父親、私にぞっこんだったからな……。でも、私も悪い所があったし……。お互い様かな……。あははは……。」と笑っている楓。
「まぁ……おかんらしいわ……。ほんま……。」と旬が笑う。
「冗談はこのくらいにして、空ちゃん休みや。」
と楓が空に言う。
「はい……。」
空は、ベッドに横になり目を閉じた。
旬と楓は、病室の外に出て話をする。
「おかん……ありがとう……。おかんのおかげで助かったわ…。」
「私はなんもしてないよ。ただ、あんたらに言いたい事言っただけ。でも、少しは役に立ったならよかったわ。」
「はい……。本当にありがとうございます。お母様。」
と深く頭を下げる旬。
「あー!もうそういうの良いから!」と楓は照れくさそうに答える。
「そういえば、弟は大丈夫なのか?」と心配そうに聞く楓。
「今、昏睡状態らしい。」
と旬が答えた。
「そうか……。まぁ……でも意識不明ってだけで生きてはいるってことやな……。」と楓が安堵した表情を浮かべた。
「あ、それといつ籍入れるんやあんたら?」
と興味津々な楓。
「あ、忘れてたわ、性別変更も申請ださな。」
と旬が言う。
「あんなた、なぁーに呑気にしとんねん。役所行くで、役所。手続き早いとこやっといた方がええやろ?」
と呆れる楓。
「はい…。」
「あんた、書類系はあかんな……。やっとたるから、あんた、空ちゃんについててやりぃ。私は手続きしとくから。」
「はい……。ありがとうございます。」
楓は市役所に行き手続きを行う。
楓が病院に戻ったのは昼過ぎであった。
すると、病室から声が聞こえる。
旬と空の声だった。
「ねぇ、赤ちゃんの名前はどうする?」と空が聞く。
「そうだな……。」と答える旬。
「名前な……。女の子の名前なら愛理衣とか、亜梨沙とかありきたりな名前より、莉愛とか愛羅とか可愛い感じの名前が良いと思うんやけど……。男の子なら……優希とか……海斗とかかな?」
と空が提案する。
「うん……。いいかもな……。じゃあ名前は、空、愛理衣、亜梨沙、莉愛、愛羅、優希、海斗、楓の9人分で考えよう。俺、愛理衣っていいかも……。愛理衣にしようかな……。」
と呟く旬。
「ふふっ。旬、顔緩んでるよ。嬉しいんだね。」
「う、うるせぇよ……。」
と恥ずかしそうにする旬。
すると、「愛理衣……愛理衣……良い響きだな。うん、私も良いと思う。じゃあ、この子の名は『愛理衣』だね。」と微笑む空。
そして、「愛理衣か……どんな子になるんだろうね。早く会いたいよ。」と自分のお腹を撫でながら空が言う。
「あぁ……きっと優しい子に育つだろうな……。空の子供だし……。」
と空を見つめる旬。
すると、
「なぁ、旬。」
と楓が旬に話しかけてきた。
「おかん、どうした?」
と振り返る旬。
「あ、いやな……。おめでとうって思ってな……。幸せになってな……。空ちゃん。あんたの事も空ちゃんの事も絶対守るから。」
と涙ぐみながら言う楓。
「ありがとう。おかん……。おかんもな……。幸せになれよ……。」
と笑顔で言う旬。
「おう……。わかっとるわ。」
と泣き笑いしている楓。
すると、楓は涙を隠す様に旬に背を向けた。
そんな母を見て旬は何も言わずただ見つめていた。
「じゃあ、おかん手続き済ませてくるわ。あと、あんたらも今日から家族や。だから……何かあったら私に相談しぃや。わかったな?」
と楓が言うと、旬は「うん……。わかった。」と答えた。
「ほな……また来るわ……。」
と去っていく楓。
*************************
その日の夜は3人で夕食を取った。
「しかし、あんたも不倫するとは、匠は変わらんな。」
と空のお皿に肉を入れる楓。
「変わらない?」と空。
「そう、昔からな……あの人は浮気症やったからな……。私も匠とは遊んでたけどな。」と楓は匠と付き合っていた事を話してくれた。
「あれ?旬、空ちゃんに話してないんかいな。」
「ちょい、話た…。」
「ふーん。まぁ、ええわ……。
空ちゃん、落ち込まんでええよ。
騙された、教科書代払ったおもとき。
匠はなぁ、昔から女好きやったんや。私より美人で胸も大きい女の人と付き合ってた、それも男女問わず。」
「そうなんですか?」と聞く空。
「あぁ……。」と答える楓。
「あの人は昔っから女が好きや。まぁ……でも由美子の事があって、結婚して落ち着く、おもてたけどな……。まさか浮気症やとは思わんかったわ。
あんたが、もし、まだ匠の事好きなら、匠と会ってみたらええわ。あいつカスやかや、空ちゃん以外にもおるで。多分。」
と楓は空にアドバイスをした。
「そうなんですか?私も、もう匠さんの事は何とも思っていないです……。旬と楓ちゃんが一緒にいてくれれば……。それに、旬には私しか必要ないと思うから……。」
と笑う空。
すると、「そうや、空ちゃんは、もう旬の家族なんや。遠慮はいらんよ。いつでも頼ってくれてええから。」と微笑む楓。
「ありがとうございます。」と答える空。
「旬、由美子の話さてはしてないな」
と睨む楓。
「うっ……」と目を逸らす旬。
「由美子は、空ちゃんが来るまでこいつの愛人やってん。」と話す楓。
「そうなんですか?」と驚く空。
「そうやで。由美子はな、この子が小さい時からこの子の面倒見てたんや。この子が小学生くらいまでは由美子もこの病院で働いててな。まぁ、旬も小さい時は可愛かったわ。」と昔の旬を思い出しているのか懐かしそうに語る楓。
「旬?」
と聞く空。
「うっ……言わんでくれ……。恥ずかしいだろ……。」と赤くなる旬。
「そうなんですね。じゃあ、由美子さんがいなかったら、私達は出会ってなかったかも知れませんね。ふふっ。旬は可愛いです。」と笑う空。
「や、やめろよ……。俺は可愛くねぇし……。」と顔を赤くする旬。
「旬も極道の男やから、狂喜乱舞やねんで。ふふっ。空ちゃんが来てからは特にそうやなぁ。あんたは本当に変わったよ。」と笑う楓。
「やめろや…。」
と苦笑いをする旬。
そんな2人を見て微笑む空。
3人の幸せな食卓がそこにあった。
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数ヶ月後。
空は出産を迎えた。
空のお腹は少しずつ大きくなっていき、そんなある日の深夜。
空は陣痛が始まった。
「うっ……いたっ……。うーん……。うーん……。」と声をあげる空。
「大丈夫か!?」と心配そうに見つめる旬。
「うーん……。痛い……。うっ……。痛いっ……。」
と叫ぶ空。
看護婦が空の子宮口を見に来た。
すると、看護婦はお産の準備を始める。
看護婦はお湯を沸かし、看護婦がベッドで寝てる様に促すと、お尻の下へ枕を入れた。
それから数分経つと陣痛が更に激しさを増してきた。
絶叫する空
「痛い!痛い!痛い!」
「頑張れ!空!俺がついているからな。安心しろ。俺も初めてだけど、母さんが色々準備してくれたんだ。」と汗ばんでいる空の手を握る。
「うん……わかってる……ありがとう……うっ……いたたたたた!」
旬の手を骨を折る勢いで、握る。
「ぐっ……いてぇ……でも、空が辛い思いしていると思うと我慢できる……。もう少しだ……。」
と空の頭を撫でる。
その日の夜は長い夜となった。
「空さん、もう一息、息んで!」
「うーん……。はぁー……。ふぅー……。」
「頭見えてきましたよ。ほら、ここですよ。」
と空の身体に、触れる看護婦。
「空、もうちょっとだよ……。頑張って……。」
と励ます旬
「はぁはぁはぁ……痛いよ……。いたっ……もう無理……」
泣き始める空。
「まだ、あと半分ありますから。空さんファイトです。いきましょう。」
「まだあるんですか……?嫌です……うっ……」
「はい、空さん、いきんで。」
「ふっ……ふんっ……。」
「よし、上手、次です。いくぞぉ~!!」
「ふっふっふっ……うーん……。」
「もう、頭がみえて来ました。いきみ続けてください。」
「ふっふっふっふっ……。」
すると空は突然、痛みを感じなくなった。
すると
「おぎゃあああああ。おぎゃあああ。おぎゃあ。おぎゃあ。」
「生まれた……。おめでとうございます。元気な女の子ですね。」と笑顔になる看護婦。
まだ、陣痛は続く。
「もう1人でますからね~!」
「えっ!?」
「赤ちゃんもうでてこられませんからね~!いきんじゃだめですよ!」
と看護婦が叫ぶ。
そして、すぐに赤ん坊の声。
「オギャア!オギャア!オギャア!!オギャア!!!」
「よかった……。無事に生まれた……。空……よくやったな……」と涙を浮かべながら微笑む旬。
すると空は疲れきったのか、気を失ってしまう。
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しばらくして、意識を取り戻した空に、
「空、おめでとう。よう頑張ったな…。」
「ありがとう……私……がんばり……ましたか?」
「あぁ、よく耐えたわ、空はすごいわ。ほんまにありがとう。愛しとる、空。」
と空の頭を優しく撫でる旬。
「うん……。旬、大好き……。私も、本当に本当にあなたを愛しています。ずっと側に居させてくださいね。」
「あぁ、ずっと一緒におる、絶対に離さなさへん。」
空は目を瞑り涙を流し、
「旬……。」
「空……。」
旬はそっと
「ちゅっ……。」
空の額にキスをする。
「ふふっ。」
と笑みが溢れる空。
「空は寝てええよ。後は俺がやっとく。」
「うん……。ありがとう……。よろしくお願いします……。」
空はそのまま、深い眠りについた。
[newpage]
生まれたのは双子の姉妹。
「可愛い……可愛い……。」
2人は空の胸の中で眠る。
出産を終えた空は、病院の一室で2人の子供に囲まれて幸せそうにしていた。
「双子か……。名前どうしようかな……。空が決めてくれへんか?」
「そうねぇ……。」
と考える空。
「空はどんな名前がええんや?」
と旬が質問すると、考えがまとまった空は答えた。
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「うーん……愛を持って生きてほしいだからこっちの金髪の子は愛。
こっちの黒髪の子は、心に希望を持って生きてほしいだから心。」
「ええ名前やないか。空にしてはセンスが光っている。俺も気に入った。」
と褒めると、嬉しそうな表情をみせる空。しかし、旬には一つだけ不安があった。
それは妊娠前の空と瓜二つの姿であるからだ。その事を、旬は口にした。
すると、 空は笑ってこう答える。
その答えとは……