※この作品はR-18です。

この怠惰な女神に信奉を   作:熱心なエリス教

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初めましての人は初めまして、引き続きお付き合いくださってる皆様はそろそろ精神科に通院してください。(挨拶)
ふざけないと死ぬ妄想家です。

クソみたいなギャグハーレム話を書いてる私ですが、隙間商法でサブキャラを……主に可愛い敵キャラをネタにすることが多々ありますが、今回はその中からウォルバクの別連載です。またお暇な時にでもお付き合いください。


この怠惰な二人に馴れ初めを

自分を変えたいと思うことは、多分誰にでもあると思う。

 

「こんなエロい巨乳美人が女神なはずねぇ!きっと淫魔だ!」「たとえ女神でもアクア様の敵だ!」「信者が惑わされる前に封印してやれ!」

 

例えば、大きすぎる胸を小さくしたいとか……

 

「司るのが怠惰と暴虐とかある?」「マジ邪神じゃん!」「それ居ないほうが良くない?」「やっぱり封印だ!」

 

司る力を再選定したいとか……

 

「ねぇ、あんまり見られると恥ずかしいのだけど……」

 

「お構いなく」

 

彼との出会いをやり直したいとか……いえ、これはそのままでも良いかも知れない。もしやり直して他人のままだったら、この運命には辿り着けないと思うから……

 

…………………

 

「はぁ、いいお湯ねぇ〜。これが最後になるかも知れないし、今日は思いっきり楽しまなきゃね〜」

 

「お前、本当に湯治に来てんだよな?どこら辺にキズなんてあるんだよ……」

 

ここはアルカンレティアの混浴温泉。魔王軍と王国軍の戦いに身を投じている私は、時折こうして湯治に訪れている。ついでにハンスの報告を話半分に聞いたりすれば、これはもう間違いなく仕事って訳ね……

 

じーー

 

「あら、それはセクハラかしら?私の身体を舐め回すように見るなんて……」

 

「はっ!俺にはお前の身体は食料にしか見えねぇよ!お前は食用の牛に欲情するのか?」

 

「誰が牛みたいな胸よ!」

 

「いや言ってねぇよ?!」

 

まったく、これだからスライムって嫌だわ。デリカシーが無いもの。ハンスは人間態も可愛くないし、やっぱりセンスがスライムなのね。

じーーー

 

「………ところで、さっきから凄くこっちを見てくる子が居るんだけど……ねぇ、あんまり見られると恥ずかしいのだけど……」

 

「お構いなく」

 

「そ、そうよね。混浴だもんね……」

 

「お構いなく……」

 

いやだとしてもよ?少しくらい分からないように見なさいよ!流石にガン見されたら落ち着かないわよ!あの子常識とかないわけ?!

 

「ねぇハンス、こういう時どうするのが正解なの?ライトニングボルトで良いの?」

 

「おい辞めろ。お前は俺の苦労を水の泡にする気か?そんなもん、見られたなら見返してやれば良いだろ?」

 

どういうことなの……スライムって性別がないから何でも同じ事やり返せば良いとか思っているのかしら?まぁ、他に手もないからやるけど……

 

じーーー

「お、お姉さん?そんな熱視線を送られると、俺も流石に恥ずかしいと言いますか……」

 

「お構いなく」

 

じーーー

「いや、えぇ……」

 

じーーー

 

「くっ……」プイッ

 

あっ、目を逸らした!

 

「ふっ!どうやら私の勝ちみたいね!貴方意外とシャイボーイなのかしら?」

 

「くっ……さ、流石にこんな美人に見られると恥ずかしいと言いますか……ちょっと童貞には刺激が強過ぎると言いますか……」

 

ふふふ、こうなっちゃえば可愛いものね……なんか顔も幼く見えると言うか、この国の人間とは違う顔付きをしているし……

 

「馬鹿な悩みも解決したみたいだし、俺は先にあがるぞ?あとは暇人同士、にらめっこでもしててくれ」

 

「あ、あなたがやらせたんじゃない?!」

 

もう!これだからスライムは嫌いよ!私のこと馬鹿にして!

 

「えっと、あの人は?」

 

「あぁ、ただの女体に興味のない雑食系のおっさんだから、気にしないでいいわよ?」

 

「悪い意味で凄く気になるのですが?!」

 

えぇそうでしょう?その悪評を広めるのが私の仕返しだもの!

 

……………………………

 

「へぇ、貴方冒険者なの。それじゃ、私達は湯治仲間ってところね?」

 

私を見つめていた男の子は、話してみると割と普通の子だった。と言っても、私の関わった人間にろくなのが居なかったから、ちょっと判定は甘い気がする。人型で普通に会話できる相手だって、私の身の回りにはほとんど居ない訳だし。

 

「えぇまぁ……と言うか、なんか近くないですか?」

 

「君みたいなタイプは緊張したら大人しくなるでしょ?こんなに近くに居たら、流石に堂々と見るなんて出来ないかと思ってね?」

 

「くっ!確かにここまで近いと緊張が勝る!すぐ隣に男の夢があるのに!」

 

ふふっ、やっぱり可愛い反応するわね。今の私って、この子にとってはイケないお姉さんって感じかしら?まぁ、魔王軍幹部なのだから、イケないどころか大悪党なのだけど……

 

「というか、見られたくないのになんで混浴に居るんですか?普通に女湯に行けば良いのでは?」

 

「混浴のほうが人が居ないでしょ?のんびり楽しむなら、やっぱり広々使いたいじゃない?」

 

なんて、本当はなるべく人に顔を見られたくないだけなんだけどね。私って女の子の中でも浮くから……あっ!別に胸が浮くって自慢じゃないからね!

 

「そもそも、君みたいに女の人の裸目当てで来る方がマナー違反なんだからね?そんなに見たいなら、夜のお店に行きなさいよ」

 

「いや本当はこっそり楽しもうと思ってたんですけどね……お姉さんレベルのグラマラス美人は見たことなくて、目が離せなかったからいっそ開き直ってガッツリ見てやろうかなと……」

 

「貴方、大物なのか小物なのか良く分からないわね……」

 

なんか、ヤバい紅魔の子供を思い出すわ。あの子、まさかまだ世界征服とか目指してないわよね?

 

「お客さん、長湯するなら清酒なんていかがですか?アクア様のご加護を受けた清い水で作っているので、沢山飲んでも悪酔いしないって評判なんですよ!」

 

「えっと……私は遠慮しておこうかしら……今あまり持ち合わせが無くて……」

 

今月は温泉巡りし過ぎちゃったのよね。アクシズ教の清酒は美味しいのだけど……

 

「じゃあ、ここは俺が奢りますよ」

 

「えっ?流石に初対面でそれは……」

 

「毎度あり!支払いはお帰りの際にお願いします。空き瓶とグラスは脱衣所に置いてくれたら回収しますんで」

 

まるで私の制止なんて聞こえないかのように、彼は店員からグラスとお酒を受け取った。そして、大きく深呼吸すると、私にグラスと酒瓶を差し出して………あれ、なんでそこで深呼吸を……

 

「さぁ、お姉さんもどうぞ?」(イケボ)

 

「……ねぇ、ひょっとしてだけど……グラスと酒瓶を受け取る時に色々見えるのは事故〜とか考えてない?」

 

「………か、考えてないです」プイッ

 

あっ、これ絶対に考えてるわ……分かり易い子……

 

「お酒は有り難く頂くけど、温泉慣れしてる私のガードが崩れると思ったら大間違いよ。ほら、大切なところは見えないでしょ?」

 

「あっ、はい……そう……ですね……」

じーーー

 

あれ?何この反応。まさか何処か見えちゃってる?!アーネスと何度も訓練したから、間違いなく大切な部分は見えてないと思ってたのに、実は何処かに穴が?!

 

「ちょっと待って!その反応は何処か見えちゃってたの?!見えてたんなら教えて!タダで見ないで教えて!」

 

「いえ!だ、大事なところは大丈夫なんですけど……何処を見ても綺麗だなって思って……」

 

「…………ふぇ?!」

 

さ、流石にその反応は予想外かな……そりゃこれでも女神だし?お手入れも欠かさないようにしてるけど……でも、面と向かってそんな事言われたら、私も意識しちゃうじゃない……

 

「…………あ、あんまり見ないでよ……えっち」

 

「す、すみません!」

バシャッ

 

慌てて後ろを向いた彼の耳は、温泉の熱とは異なる理由で真っ赤に染まっている。まさかこんな若い子にドキドキさせられるなんて思わなかったけれど、お互い様なら不思議と悪い気はしないものね……

 

「ねぇ?マナー違反だけど、タオルを着けても良いかしら?」

 

「へっ?!お、俺は構わないですけど……何でイキナリ……」

 

「君と顔を見て話したいと思ったの。それに、そろそろ名前を教えてくれてもいい頃じゃない?エッチで奥手な冒険者さん?」

 

「か、カズマです……俺の名前は佐藤和真……それでその、貴女の名前も聞いても……」

 

「私の名前はウォルバク。常人より、ちょっと凄めの魔法使いかしら」

 

これが、このカズマとの出会いが、私の人生を大きく変えるなんて当時の私は思ってもみなかった。だってそうじゃない?最弱の冒険者が魔王を倒して女神を救うなんて、一体誰が予想出来ると言うのだろう。

 

…………………………

 

「へぇ……この国の人間には見えないと思ったら、勇者候補の転生者だったのね。貴方にはどんな特典があるの?」

 

お酒を飲みながら自己紹介をしてみると、なんとカズマは日本からの転生者だと言う。転生者と言えば、戦況を一人で覆すほどの戦士が殆どで、下手をすれば私より強いこともある特殊な存在。ただ、何事にも例外はあるようで……

 

「無いです。俺には特典とか呼べるものは全く無いです。と言うか戦いたくもないです」

 

「そ、そうなんだ……そういうパターンの転生者も居るのね……」

 

カズマのような不幸なケースもあるらしい。トラックに轢かれそうな女の子を助けたのに、流石にそれは可哀想じゃないかしら……

※一部正しくない情報があります

 

「俺はただ平穏に生きていたいだけなのに、仲間は自称女神に、魔法が一発しか撃てないアークウィザード、攻撃が全く当たらないクルセイダーですよ?あいつら3人返品して、ウォルバクさんみたいな美人で有能な仲間に代わってほしいくらいです…」

 

「そ、それはまた……良くここまで生きて来られたわね……」

 

そんなギャグみたいなパーティを組んでいるなんて、下手をしたら初心者殺し相手でも死にかねないわ。もう赤の他人って感じでも無いし、ちょっとくらい助けてあげようかしら……

 

「お酒を奢ってもらった恩もあるし、私にして欲しいことは有るかしら?エッチなことは叶えられないけど、魔法でそれなりの事なら……」

 

「じゃあ……清い関係でも良いので結婚してください」

 

「うん、ごめんね?それは無理かな……セクハラは警戒してたけどそれは予想外だったわ。というか、そういうのはお互いを知ってからじゃないの?」

 

まぁ、嫌いなタイプじゃないんだけどね?可愛いお年頃男の子って感じで……

 

「この世界でこんな話の分かる有能美人に出会える確率を考えたことあります?美人でもギルドの受付達は危険なクエストに俺を送り込むし、冒険者で美人とか大抵腹黒いし、残った美人は先約が居るか、大抵致命的な欠陥があるんですよ……」

 

どういうことなの……多分コレは全部実体験から来てる話よね?この子どれだけ美人に悪い縁があるのよ……

 

「明日生きてるかも分からない冒険者家業……せめて可愛い奥さんが欲しかったな……」

 

あと多分だけど、ろくな恋愛もしてない気がするわ。まぁ、私が力になるのはそっちじゃないのだけど……

 

「えっと……お嫁さんは無理でも、貴方が長生き出来る方法なら教えられると思うの。ほら、私って凄い魔法使いだから、カズマにその気があれば魔法の先生に…………」

 

「こ、こんなグラマー年上美人が先生だと……いつか先生と生徒の禁断の………是非お願いします!」キリッ

 

「うん…なんか早まった気がしなくもないけど……よろしくお願いします……」

 

もし変なことしてきたら、最悪テレポートで逃げましょう……

 

…………………………

 

「えっと、光魔法のフラッシュ、闇魔法のシャドウショット、風魔法のウインドブレス、水魔法のクリエイト・ウォーター、土魔法のクリエイト・アース、火魔法のティンダー、氷魔法のフリーズ、雷魔法のスパーク………多分魔法って呼べるのはこれくらいです」

 

「どういうことなの……本当に全部初級魔法じゃない……」

 

早速魔法を教えてあげようとギルドの訓練所に来た私は、カズマの習得魔法を聞いて唖然とした。世間で言う初級魔法というのは、基本的に日常生活で使うようなモノが多く、正直戦闘向けとは言えないものが多い。まぁ、それも使う人の魔力コントロールで多少マシになるけど、カズマにそんなコントロールが出来るとも思えないし……

 

「取り敢えず、あの的に魔法で攻撃してくれる?」

 

「それじゃ、『クリエイト・ウォーター』!」

 

パシャッ、パシャッ

「あら、これはひょっとして……」

 

生まれ待った器用さなのか、それとも低い魔力から編み出したのか……カズマの水魔法は標的に到達するギリギリの魔力量で放たれている。と言っても、素人にその違いが分かるとは思えないけれど……

 

「カズマ、貴方の魔法だけど……」

 

「おいおい!訓練所は水遊びする場所じゃないんだぜ?」「そうだぜガキ!遊びなら他所でやれよ!」「でも、お姉さんは俺たちと遊ぼうぜ!」

 

うわぁ……ここでチンピラに絡まれるとか、そんなベタな展開あるの?まぁ、カズマの実力を見るには好都合だけど……

 

「えっ……何この絵に書いたようなチンピラ!まさか訓練所で弱そうな奴探して絡みに行くタイプか?!」

 

「「「ギクッ!」」」

 

いや素直!貴方達、流石に反応が素直過ぎるわよ?!と言うか5人もいる!弱いやつ狙いのくせに5人も必要?!

 

「あぁそうさ!確かに俺達はここでカモを探してるチンピラさ!でも仕方ねぇだろ……アルカンレティアは、聖地巡礼に来る高レベルな冒険者に当たりやすいんだよ!!」

 

「街のやつは信仰心で狂ってて怖いしな……」

 

「もう弱そうな冒険者以外にカモが居なくて、下手すりゃチンピラ家業も続けられねぇ状況なのさ……」

 

「えぇ……完全に逆ギレじゃない……と言うか普通に働きなさいよ……」

 

なんでそこまでしてチンピラするのよ……その拘りはなんなのよ……

 

「そんな訳だから!お前は有り金置いてさっさと消えな!」

 

「カズ……へっ?!」

 

シュタッ!

ここで先に襲いかかるのは、普通に考えたらチンピラの方だと思う。と言うか、そう言う輩をチンピラと言うと思ってた。

 

「武器持って脅迫したなら、これはもう正当防衛だよな?」

 

でも、カズマにはそんな常識は通じないようね。だって、誰より先に前に出てるんだもの!

 

ガッ!

「『クリエイト・ウォーター』!」

 

「ガボボボボ?!」

 

「アイアンクローからの水魔法?!」

 

なにそのダイレクトに溺死させにいく技!

 

「てめぇ!なんて危険な技を!」

 

「カズマ危ない!」

 

「そいっ!ついでに『フリーズ』!」

 

ドゴッ!

「ごふっ!」

 

「あっ!すまねぇ!」

 

チンピラ仲間の攻撃を、そのまま溺れてるチンピラでガードした?!なんて躊躇のない動き!ただそれ、多分悪人側のやる技よ!

 

「うわぁ……溺れてるやつに殴りかかるとかマジかよ……」

 

「お前が言うな!溺れさせた奴を盾にしやがって!人としてその行動は良いのかよ?!」

 

「弱いやつを狙って絡んでくるチンピラに言われたくないな!それと、早く溶かさないとその人死ぬぞ?」

 

「あががががが………」

 

「く、口と鼻の水が凍ってやがる!」

 

「畜生!なんて悲惨な手段を考えるんだコイツは!」

 

「良いから早く溶かせ!」

 

「誰かお湯持って来い!」

 

余りにも悲惨な仲間の姿に、チンピラ達が1箇所に集まる。なるほど、これなら簡単に逃げられるって訳ね。よく見れば少しだけ空気が抜けているし、これで死ぬなんて事にはならないでしょう……

 

「『クリエイト・ウォーター』&『ティンダー』。ほらお湯だ!」

 

バッシャー!

「「「「「あっつぅ!!」」」」」

 

「えっ?逃げるんじゃないの?!」

 

まさかここで追撃するの?!普通に考えて逃げるところでしょ?真っ向勝負で搦手なんて使えないでしょ?!

 

「くそっ!何処までもおちょくりやがって!」

 

「でも氷が溶けてこれで5対1だ!」

 

「これからてめぇをボコボコにしてやるからな!」

 

「大丈夫なのカズマ?!もう警戒されてて騙し討ちは無理よ!やっぱり私が……んっ?!」

 

カズマの人差し指が私の唇を塞ぎ、言葉はそこで遮られてしまう。そんな自身に溢れた顔をしているけど、貴方じゃ5対1は流石に……

 

「下がってなウォルバク。悪いが、勝負は付いたようなもんだしな……」

 

「ふざけんなクソが!」「ぶっ殺してやる!」「後で泣いても許さねぇからな!」

 

同時に駆け寄る5人のチンピラを前に、カズマはそっと指先で地面に触れた。呼び捨てに関しては後で文句を言うけれど、今はそれよりもカズマが……

 

「『スパーク』!」

 

バチッ…バリバリバリ!

「「「「「あががががが!」」」」」

 

カズマの放った電撃魔法は、濡れた床を経由してチンピラ達をまとめて感電させた。最初の不意打ちから今の流れまで、カズマは本当に初級魔法しか使っていない。やっぱりこの子には才能がある。魔法の特性を最大限生かす才能がね。まぁ、さっきカッコつけただけの活躍かと聞かれたら………

 

「あががががが!」

 

「どういうことなの…なんで濡れた方の手でスパーク出したのよ……」

 

カッコ良くは無いのよね……むしろ不思議なレベルで……

 

「はぁはぁ……どうだチンピラ共……これだけやられて、まだやるか……」

 

「いやカズマも満身創痍じゃない……これで良く強気に出られるわね……」

 

でも、立ってるチンピラは残り一人。普通に考えればこの場は引くはずよね。ただ、最初に溺れかけた奴が立ってるのはなんでなの……

 

「やるじゃねぇかクソガキ……俺がウィザードで女湯潜水士で無きゃ、今頃とっくにノックアウトされてただろうぜ……」

 

えっ、なにそのクソみたいな生存理由?なんなら今からでも私が焼きたい!ハンスに迷惑かけてもあいつ焼きたい!

 

「だが、お前はどうやら魔力が低いようだな?魔法に耐性さえありゃ、お前の攻撃なんて痛くも痒くもないぜ!」

 

「ふっ、そこまで言われちゃ、俺の最強魔術を使うしか無いみたいだな?」

 

「なに!まだ隠し玉があるのか?!」

 

随分と強気に出ているけれど、カズマの魔力はもう殆ど残っていない筈。でも、今までの魔法が全て次に繋がったように、あるゆることが準備されていたように、多分これも何かあるのでしょう……

 

「良いだろう小僧!真正面から打ち砕いてやる!」

 

「やれるもんなら……やってみな!」

 

この時カズマの放った技を、私は忘れることはないだろう。

 

「『ファイアーボ……』」

 

「『スローイングダガー』!」

シュパッ!

 

「くっ!剣を投げるだと?!」

ガクンッ

 

魔法の詠唱を遮るように、カズマは抜き放った剣をチンピラに向かって投げ付けた。ただ、それさえもただの下準備、本当の狙いは……

 

「その膝もらったぁ!」

 

タンッ!

「なっ?!」

 

「食らえ……これが俺の最強の魔術!」

 

剣を躱して屈んだ相手の、膝をそのまま踏み台にする。真の狙いは、その体勢を作ること。昔、私も何かのショーで見たことがある。ただ、これを実戦で使うなんて聞いたことがない。魔術の名を関する、この技の名前は………

 

「閃光魔術!!(シャイニングウィザード!!)」

 

ドゴンッ!

「ごふっ!」

 

チンピラの顔面に刺さるカズマの膝はその意識を容易に刈り取った。全体重で突き刺さるその膝蹴りは、確かに他の魔法とは段違いの威力があるのは間違いない。でも、だとしても……

 

「いや何が魔術よ!完全に物理攻撃じゃない!」

 

「まぁ、そりゃプロレス技なんで……」

 

全く紛らわしい名前つけて!

 

「ただ、これでカズマの戦い方は分かったわ。貴方には、間違いなく人にはない才能がある。これから私の元で学べば、きっと今までに無い魔法使いになれるわ!」

 

「マジですか?!俺にもアークウィザードの素質が?!直ぐにでも魔法使いに転職したほうが良いですか?!」

 

「あっ、ごめんね?残念だけどアークウィザードになれるだけの魔力は無いから、職業は冒険者のままで……」

 

「えっ、なにそれ酷い!期待させて落とすのが早過ぎる!」

 

「そ、そんなこと言われても……」

 

魔力と賢さは並だし、流石に専門職での活躍は難しいかな……

 

「なんて……貴女が言うなら信じますよ。今日からお願いしますね。ウォルバク先生?」

 

「カズマ………うん!任されたわ!」

 

こうして私は、多分世界一魔法使いっぽくない弟子を取ることになった。短い関係だとは思うけど、私もこの子から学ばせて貰おうと思う。あんな魔法の使い方なんて、私でも思い付かなかったのだし……

 

_____おまけ____

 

 

「どこへ行こうと言うのだハンス!」

 

「ハイ」

 

「ここは通さないわよハンス!」

 

「ハイ」

 

「そんな言い訳は通じないですよハンス!」

 

「ハイ」

 

「やっぱり男が好きなのかハンス!」

 

「おい待て?!今の流れにそんな話は出ていないだろう?!誤解される事を言うな!!」

 

あれ?それじゃ先生の話って……




最後までお付き合い頂きありがとうございます。ウォルバク視点で始まりましたが、今回はカズマからの視点も含めてやっていきます。

時系列的に時間が飛ぶことが多々ありますが、また気長にお付き合いください。
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