カズマサイドは下ネタとか酷いネタメインで、ウォルバクサイドはチョロインネタがメインとなるこの作品。えぇ、もちろん今回もひどいです。ラブコメは何処へ行ったのでしょう。でも、実はやってきたことは無駄ではないのです。まぁ、それでも酷いですけど……
またお暇な時にでもお付き合いください。
先生は遅漏の処女である。そして男性との交際経験はない。これは本人から聞いた事なので間違いない訳だが、このワードが重なることで、ここに1つの疑問が生まれることとなる。それは卵と鶏のどちらが先かとか、キノコとタケノコのどちらが愛されているだとか、知った所で人生に変化は訪れない疑問ではあるが、それでも男子諸君なら気にせずには居られないだろう。そう、どうやって先生が遅漏だと知ったかである。
「………ちんちんが生えている可能性は?」
「それはない。ちゃんとそこは確認したし、水着でもモッコリしてなかった」
「あっ、やっぱり警戒はしたんですね……」
先生と交際して数日が経ち、俺は再びロリーサとバニルに相談に来た。最近この組み合わせが多いと思うが、俺の周りはお子様だらけなので男女の色恋にはこのメンツしかありえない。まぁ、とはいえ全員経験はないのだが……
「普通に考えれば、自分でする時間が長かったとか、中々イケなくて悶々としたとかだと思うのですが、話を聞く限りそんな話を誰かとするタイプの方とは思えないんですよね……」
「そうなんだよ。最初は自信がなくてつい逃げちゃったんだけど、賢者になって考えたら、先生が遅いって分かった理由が気になってさ?」
ちなみに今日の相談内容は、早漏と遅漏の治し方についてである。先生の遅漏を治せるのが理想ではあるが、理由が分からねばそれは難しいそうだ。となるとやはり、俺が合わせて頑張るしかない。それじゃこの会話は何かと思うかも知れないが、可愛いロリーサとの猥談とか、楽しくない筈がないのである。
「おい小僧。しれっと汚い話題を出すな。と言うか、ここで馬鹿な相談を始めるんじゃない。話すなら淫魔の店でやれ」
「硬いこと言うなよバニル。俺は早漏じゃないけど、先生のために遅漏になるにはバニルの力が必要だろ?早漏じゃないけど」
「はっ?!だから硬いことを言ってるのでは?!常に硬くあり続ける為に!」
「おぉ、良く気付いたなロリーサ!それは中々に高度なボケだぞ!硬度だけに!」
「やかましいわ!妙な所で意気投合しよって!それで、一体何を相談したいと言うのだ。相談があるなら手早く済ませて、さっさと帰って欲しいのだが?」
どんなしょうもない話だとしても、金を払えば受けてくれるのがバニルの良い所だと思う。ちょっと今日は調子に乗り過ぎた気もするが、何だかんだでバニルも俺達との関係が嫌いじゃないと思う。そうでなければお茶など出ないし、普通につまみ出されるだろうし。
「取り敢えず、手っ取り早く遅漏になる方法を教えてくれない?先生のことは見通せないみたいだし、俺は早漏じゃないけど、先生が遅いなら合わせた方が……」
ゴトッ
「なら、その有害な遺伝子を貯める袋を切り落としてしまえば良い。出るものがなければ終わりも訪れまい?丁度それを好む淫夢も居るのだ。切り落としたものはくれてやれ」
あれ?これまさかメッチャ怒ってない?すまし顔で高枝切鋏を差し出されると普通に怖いんだけど?!
「さ、騒いですみませんでした……出来れば痛くない方法でお願います……」
「わ、私も下ネタにはしゃいですみませんでした……流石にそんな血みどろな精液困ります……」
「……次はないぞ」
あっ、やっぱりコイツ悪魔だ。ちょっと慣れ親しんで油断してたけど、この容赦のなさは間違いなく悪魔だったわ!
…………………………
「それで、何とか経験を積まずに早漏を治したいと言うわけか……本当に意味の分からん相談であるな……」
バニルの言い分は至極当然だとは思うが、童貞には童貞のプライドがある。純潔を捧げてくれると言う相手が居るのに、自分は練習と称して他の女性を抱くなんて出来るはずがない。そして、出来れば初体験でも恥は晒したくない。本当に都合の良い話だとは思うが、その理想を捨てたくないからこそ童貞なのだ。童貞の皆さんなら分かると思う。
「そうなんですよ。私で沢山練習して良いですよって言ったのに、そこは凄く頑ななんですから……」
「流石にそんな気持ちでロリーサを抱けないって……大切な仲間なんだから、それは愛する人に捧げてくれよ」
「そ、そう言われたら怒れないですけど……むぅ……」
俺の役に立ちたいと言う気持ちは凄く有り難いのだが、それでもロリーサの自己犠牲なんて俺の望むところではない。確かに受付さんに頼んで何度かリクエストしたことはあるし、「望めば本人でも良いと思いますが……」とか言われて夢の中で枯れるほど抱きまくったこともあるのだが、やはりこれはこれ、それはそれである。男の性欲なんて身勝手なものなので、本気にされると流石に重過ぎる。
「まぁ、汝らの複雑な関係は今は置いておくとして……早い話が刺激を遮断すれば良いのであろう?それなら、薄く防壁魔法でも張ってみれば良い。小僧が以前提案した避妊具とか言うアイテムに近い着想ではあるが、自分を基準に張る防壁魔法なら、外部からの刺激も関係なかろう?」
「板状に張るのも大変なのに、防壁魔法をアレの形にしろってか……いや出来たら理想的な方法だろうけど、流石にそんな高精度に張れるもんなのか?」
まぁ、球体状にする人とか居るし?一応やるだけやってみるけど、流石にそりゃ無茶だと思うけどなぁ……
……………………
「…………出来ちゃったよ」
「出来てしまったな。しかも吾輩も予想外のたった数分で……」
俺の右手から発せられた防壁魔法は、まさに俺の息子を完全再現して宙に浮いていた。そりゃ右手に残っているイメージは間違いなく正確だろうし、あらゆる妄想で眺め続けた主演男優である我が息子を見間違えるはずがないのだ。いやだからってこんな上手くいくとは思ってなかったけども!
「本物より長さ+4mm、外周+3mmって所でしょうか……」
「まぁ、それくらいは誤差であろう。むしろ汝の前で下手な見栄を張れば即座にバレてしまうであろうし、程よい見栄の張り方ではないか?おっと!その悔しさと恥ずかしさの悪感情!大変美味であるぞ!!」
「ち、違うし……目測とか魔力コントロールの誤差だし……」プルプル
畜生!思ったより高精度にコントロール出来るからって調子に乗るんじゃ無かった!と言うか良くこれに気付いたな?!ロリーサは俺より息子のこと知り尽くしてないか?!
「最も懸念していた形の問題が解決したので、後は強度と質感の問題であるな。流石にそのままではちり紙にも劣る強度であろうから、それを高密度にするトレーニングが必要である。まぁ、そのトレーニング方法も考えてあるので、そこは大船に乗ったつもりで居るが良い」
「なぁ、そのトレーニング方法は大丈夫なんだよな?以前の件があって不安なんだけど……」
「………ふふっ」
あっ、コレ多分駄目なヤツな気がする!絶対ろくな事にならないやつだ!
…………………………
「はぁはぁ……流石にコレは……予想してなかったぞ……ってあっつぅ!!!!」
パシャッ!
「ははははは!相手が愛する者の柔肌である以上、これくらいの精度が無くては話になるまい?さぁ、どんどん水風船を投げ付けてやれ!これは小僧の為でもあるからな!」
バニルの考えた特訓方法は、熱々の水風船ならぬお湯風船を俺に投げ付けると言うものだった。普通に防ぐ分には防壁魔法でどうとでもなるが、この特訓の要は風船を割らないことにある。身体の丸みに合わせつつ、しっかりと強度のある防壁魔法を局所的に展開することで、先生の柔肌を傷付けずに快楽を遮断すると言う理論なのだが、流石にこの難易度はおかしいと思う。と言うか、ぶっちゃけチ◯コだけ守れれば良かったんだが、ロリーサが「乳首とかお尻でも逝かされる可能性が!」なんていうからこんな事になるのだ。まぁ、先生相手だとそれでも逝けそうで怖いんだが……
「あ、あのバニル様?この特訓は私の手も中々に辛い訳なのですが……あとどれくらい続くので?」
「ん?そうであるな。汝が小僧とどれだけの時間交わりたいか、それを参考にすれば良いであろう。あくまで早漏改善なのだから、決めるのはあくまで女側の目線である」
「そ、そんな?!この過酷な特訓を3時間も?!」
いや、それはロリーサのお楽しみたい時間が長いだけな気がするぞ。と言っても普通の長さとか知らないけどさ。童貞だからAVの時間くらいしか参考にするもん無いし……
「ほら休むな小僧!展開は必要な場所に迅速に、そして大きさと薄さは最小限に留めるのだ。でなければ3時間も保たんぞ。まぁ、汝の魔力量ではそれでも保つとは思えんがな!」
「畜生!メッチャ良い笑顔で嫌な指示出しやがって!これで改善しなかったらマジで恨んで……」
「……あっ」
パチャッ
ツッコミで集中力を切らせてしまった事で、無防備になった息子へ熱々の水風船がかかってしまった。ロリーサが顔面とそこは避けてくれてたのに、多分熱湯で手の感覚が麻痺してきたのだろう。でも、こんな今こそ覚醒の時ではないか?お湯が染み込む前に薄く頑強な防壁を股間に張れば、ロリーサが自分を責めることも……
「いや無理!熱っ!!」
「ごめんなさい!」
なんて上手くいくはずもなく、俺はその熱に情けなく悶えて転がるしか出来なかった。いや良いんだロリーサ。多分この訓練方法が間違っているような気がする。そもそも防壁魔法を丸くなんてイメージ出来るはずがない。そんな印象的な丸いもの、俺は触れたことなんて……触れた……こと……なんて……
……………翌日……………
「これを言い出した吾輩が言うことじゃないが、ここまで身に付くとちょっと引くな……」
「これ、下手をすると性欲で魔法史が動きかねませんよ……割と冗談で無く……」
「ねぇ、それ褒められてないよね?俺メッチャ頑張ったのに褒められてないよね?!」
足元に転がる大量の水風船は、すべてが俺の身体にぶつかって落ちたものだ。1日で出来たので感動は少なめだが、俺は遂に柔肌を傷付けないほどに丸く……そして柔らかな魔法防壁を手に入れた。そう、早い話が魔法で作った極厚コンド◯ムである。
「防壁魔法なのに人の皮膚より柔らかく、しかも水風船が割れない程の弾力を持ち、しっかりと刃物や魔法は防げるなんて……これスキルにしたら特許料で凄いことになりませんか?」
「動きを一切阻害しない魔法防壁と言うわけであるからな……近接職の余りがちな魔力を防御に使え、しかも戦闘力の低下もないとなれば、相応の金額にはなりそうである。まさか防壁魔法に柔らかさを含ませるとは、こやつの執念は恐ろしいな……」
「さ、流石は先生のおっぱいだ……まさかそんなにも偉大だったとは……」
右手に丸い感触を思い浮かべた時、真っ先に浮かんだのは先生のおっぱいだった。名誉のために弁明しておくが、俺は別に揉もうとして触った訳ではない。ただあのサイズがくっついている事により、嫌でも……嫌では決してないんだが、避けたくても……いや別に避けても居ないのだが、ふとした拍子に触れてしまう事が多々ある。その度に真っ赤になりながら「べ、別にこんなの……なんてこと無いし……」って強がる先生とセットになることで、忘れられない思い出として深く心に刻まれる事になる訳だ。それで丸みを再現したら、なんか柔らかくなったと言うわけである。
「でも、そのスキル化の話はまた今度にしてくれ。こんなのが俺の名義で出回ったら、先生にスキルで早漏を誤魔化そうとしたのがバレちゃうからな!早漏じゃないけど!」
「数十億を前にしてそれであるか……ある意味では清々しいが、流石に正気を疑うな……」
なんとでも言うが良いさ。俺と先生との1度きりの初体験だぞ?そりゃ理想的な感じで迎えたいに決まっている。まぁ、本番でやらかさないとも限らない訳だが、準備が完璧ならその確率も減る。俺は常に万全の準備を持って……
バタン!!
「カズマ!今日はヒュドラ討伐のレイドクエストだと言っただろう!何時までここに入り浸っているつもりだ!」
「あぁ、そう言えばそんなクエスト発令されてたな!魔法の特訓に魔力を温存したくてサボるつもりだったが、完成したし俺も行くか……」
「お前という奴は!このクエストに私…いや、街の明暗がかかっているんだぞ!そんな心構えでどうする!」
いつになく熱いダクネスだが、そもそも街から離れているヒュドラなんて直ぐに脅威にはならないと思う。でも、最近なにか困っているみたいだし、近いうちに話は聞いてやろう。まぁ、それも全て俺の初体験が上手く行ってからの話だが!
「しょうがねぇな。魔法の試し打ちにはなりそうだし、俺も付き合ってやるよ。でも、ヤバいと思ったら直ぐに逃げるからな?」
「お前というやつは……いや、でもそれでこそカズマか……そのままクズで居てくれたほうが、私としても望む所だな……」
「ダクネス……いや、何でもない。ほら、さっさと行くぞ!」
普段なら軽く折檻してやる所だが、今日の所は許してやろう。そんな切なそうな顔をした女の子をいたぶるなんて、流石に俺も良心が痛むからな。
…………………………·
「よし撤退だ!先走ったバカ共は諦めろ!どうせ近いうちに同じ運命を辿ってただろうしな!」
「お前には良心というものがないのか?!流石に諦めが早すぎるだろう?!」
眼の前に広がる絶望的な光景に、俺は先程まで持っていた良心を投げ捨てた。現れたヒュドラはとてつもなく大きく、正直勝てる気など微塵もしない。と言うかこれに駆け出しの街が挑むなんて正気か?めぐみんの爆裂に耐えた所で、もう勝算なんてなにもないだろ?!
「レイドクエストが組まれた理由はこれかよ!10億エリスは確かに魅力だが、これは流石に分が悪過ぎるだろ!死んだら元も子もないんだぞ!!」
「しかし!私はこれを倒さなきゃ……危ないっ!!」
バッ!
眼の前を動く獲物に反応したのか、それともダクネスのデコイが有効なのか……突如ヒュドラはこちらを向くと、そのまま毒液を噴出した。まぁ、だからといってこれを庇ってもらう必要はない。毒も酸も、魔法障壁にしたらただの水だ。壊れる器官も溶ける肉もないなら、別に硬く構築する必要もない。
「『プロテクション』」
「なっ?!」
だから、こうして薄く傘のように展開すれば、魔力消費も最低限で済むわけだ。ただ、防いでもらったのに残念そうな顔は辞めろダクネス。むしろ今顔から行こうとしたよな?
「はぁ……一応聞くけど、こんなのが相手でも守る相手が居たら引けないのか?」
「当然だ!私はクルセイダーであり領主の血筋!それだけは……それだけは何があっても譲れない!」
最近は先生にばかりかまけていたが、俺が魔法を特訓する度にダクネスも筋肉を鍛えていたらしい。まぁ、それより器用さを上げろとは言ってやりたいが、弛まぬ鍛錬を続けると言う事は、その覚悟と信念は本物なのだろう。それじゃ、ちょっとは無茶しなきゃ申し訳ないな。
「ったく、しょうがねぇな。あの巨体からの物理攻撃は俺には防げないぞ。ちゃんと受け止めてくれよな?」
「物理攻撃ならどんな一撃でも止めて見せる!勝算があるならやってくれ!!」
「あぁ、成長した俺の力を見せてやるよ!」
魔法というのはあくまで手段、なんなら道具として考えろ。なんて言葉を先生から聞いた時、正直耳を疑った。あの人は魔法で何でも出来るし、実際に魔法を専門とするアークウィザードを生業にしているのに、俺には頑なにその持論を曲げなかったからだ。だから俺はアークウィザードになっていない。だから俺は魔法に特化した装備に着替えていない。先生が教えてくれた魔法を、あくまで道具として活用する為に、汎用性の高い冒険者を辞めていない。そう、これも含めて先生の意志だからだ。
「行くぞダクネス!魔法剣士ってのがどんなもんか、今日この場で教えてやる!!」
「あぁ、見せてみろ!ずっと磨いてきたお前の刃を!」
真っ直ぐ突撃する俺の前へ、ダクネスがキッチリと割って入る。カッコつけてみたは良いが、俺の魔力量ではあの質量は止められない。どんなに研鑽を重ねたとしても、圧倒的な物量の差は埋まらないのだ。だが、今は差を埋めてくれるクルセイダーが居て、その差を詰めて勝てる方法を教えてくれた先生がいる。これが勝機でないとしたら、きっと他に勝機なんてない!
「うおぉぉぉ!!」
ズドン!
打ち下ろされたヒュドラの尻尾を、ダクネスが正面から受け止める。あんな巨体を止めるとは、流石は筋力と強度はチートクラスのクルセイダーだ。それじゃ、チートのない俺はどうするかと言うと……
「俺とヒュドラの戦いじゃ勝ち目はないが、この瞬間相手をするのは鱗と肉だけだ!それくらいは勝たせてもらうぜ!『エンチャント』『ライトオブセイバー』!」
ズダン!
「「「キシャーー!!」」」
ライトオブセイバーを纏ったちゅんちゅん丸の一撃に、ヒュドラの尻尾が宙を舞う。普通に放てば鱗を傷をつけるのが精一杯の威力だとしても、密度を上げて武器にまとわせることで、その威力はゆんゆんのものと遜色ないレベルまで跳ね上がる。射程は長くとも2メートルまで落ち込むが、それでも消費は半分以下で継続発動が可能と、汎用性はかなり高まる使い方だ。そう、これが先生の教えてくれた戦い方。足りない射程は自ら詰める。さばけない攻撃は物理的に回避する。そして、魔法で不足する部分は武器で補う。魔法はあくまで手段の1つ。ここまで精度を高めたのは、その道具の使い勝手を良くする為に他ならない。
「ヤバイヤバイ!これ俺死ぬって!流石にこれは死んじゃうって!!」
「ダスト!そう思うなら、無防備に前に出んな!『狙撃』!」
シュパッ……ドォン!!
「うぉ?!すげぇ破壊力!ヒュドラの頭が消し飛んだぞ!!」
だが、だからといって小細工のみで戦うわけではない。魔法陣への深い理解により生み出される魔道具は、マナタイトを活用することでより効率的かつ大規模な攻撃が可能となるのだ。先程の爆発魔法を封じ込めた矢尻は、局所的だが紅魔族の魔法にも匹敵する破壊力を発揮する。まぁ、問題があるとしたら、それなりにお値段がすると言う部分だろうか……
「助かったぜカズマ!」
「今の一発で4000エリスだからな!これ以上無駄打ちさせんなよ!」
「ケチケチすんなよ!あいつの賞金は10億だぜ?」
それで死んだら元も子もないのだが、やっぱりこいつ馬鹿なんだな。
「さぁ、首1つと尻尾はなくなったぞ!お前ら気合い入れて……」
とかっこつけた所で、俺は不思議な事に気付いた。俺のことを睨むヘビの顔が、と言うか切り落とした筈の尻尾まで、なんか一つも減ってない気がするのだ。いや間違いなく吹き飛んだと思うし、なんなら尻尾はあっちでビチビチ動いている。ということはまさか……
「溜め込んだエネルギーが多過ぎるんだ。瞬間的に再生されるとなれば、総火力で勝るしか方法はないぞ。カズマ!次の手は……」
「………総員撤収!前衛は俺がつれて帰る!『テレポート』!」
「なぁ?!」
いやごめん!ちょっとカッコつけた所で情けないけど、これもう頑張っても無理なレベル!倒すのに数億以上かかるレベル!!
………………………
「………えっ?むしろ今の流れでどうやってこっちに?!」
テレポートで転送した先で待っていたのは、驚いた表情のエリス様でした。なんて、こんな情けない死に方をするなんて、あの流れからしたらあるまじき失態である。
「前衛連中を咄嗟にテレポートしたら座標が合わず、上から皆が落ちてきまして………」
「あんなに高速でテレポートを発動したのに、結果がそれは流石に……」
そうですね。それにはなんの申開きも出来ないです。
「でも、ここに来てくれたのはむしろ好都合なのかも知れません。実は折言って、カズマさんにお願いがあったので………」
「死んだのを好都合って言われるのもなんか微妙ですけど、エリス様のお願いでは断れませんね。それで、お願いって言うのはなんのことですか?」
その時俺が考えていたのは、高性能なパッドが欲しいとか、この世界で悪さをするモンスターを倒して欲しいとか、そういう女神っぽい願いを思い描いていた。しかし、事態は思わぬ方向へと進むことになる。世界にとってそれ程でもないが、俺にとっては超重要な方向へと……
「来週、カズマさんは大きな選択を迫られる事になるでしょう。でもどうか、その時にはダクネスを選んでほしいんです。憧れの先生を選ばずに……」
「…………えっ?……えぇ?!」
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ダクネス編は地味に長めです。それは例の件がアレして酷いオチになるからですけど、それはまたお楽しみにしておいてください。
また不定期ではありますが、お暇な時にでもお付き合い頂ければと思います。