※この作品はR-18です。

この怠惰な女神に信奉を   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

ウォルバクに影響されて魔法使いへの道を歩み始めたカズマの生活が、ここから少しずつ変わっていきます。でも、中身は相変わらず酷いやつです。

またお暇な時にでもお付き合いください。


この駆け出し冒険者に魔法生活を

この世界に来る前、俺は勉強も学校も嫌いだった。なんて、そんなの大半の人が同じだろう。学校が好きなんていう奴らは、そのマイナスを友達とか部活で塗り潰しているだけに過ぎないのだ。ちなみに、そういう意味で、今現在勉強が好きかと言われると……

 

「魔力は体内で生成されるものと、外的に取り込むものがあり、それらの合計が潜在魔力と呼ばれるの。ここまでは良いかしら?」

 

「バッチリです先生!」

 

こんな美人の個人授業なら、大好きだと答えざるを得ない。

 

………………………………

 

「私はこれから仕事があるから、授業は明日の夜の7時くらいに始めましょ?」

 

そんな言葉と共にウォルバクさんが置いていったのは、テレポートの魔法陣が書かれた1枚の紙。これに魔力を注ぐことで、俺はウォルバクさんの用意してくれた部屋に転移することが出来る。と言っても、約束の時間以外では飛べないので、深夜とかに自由に遊びに行くとかは出来ない。いや、アレは忘れ物を取りに行こうとしただけで、決して如何わしい理由ではない。俺は紳士なのて、決してそんな意図はない。本当にない。

 

「じゃあ、今日の勉強を始めましょう。次の議題は……」

 

そして、あれから週に二度くらいのペースで指導を受けることとなり、今ではこの風景も日常となっている。まぁ、それ自体は別に良いのだが、強いて言うなら不満が1つ……

 

「あの……基礎が大切なのは分かりますけど……なんか座学多くないですか?実践向けの魔法の訓練とかは……」

 

「ほ、本当はそう言うのもやりたいんだけど……カズマってテレポート1回で、殆ど魔力が残らないから……」

 

そう、何事も先立つ物が無きゃ始まらないのが現実である。魔力が無きゃ魔法は撃てないし、魔法を撃てない奴が実践トレーニングなんて出来る筈が無い。折角美人教師に手取り足取りだと言うのに、これでは生殺しだ。眺めて満足するにも限界がある。ちなみにドレインタッチの件は言ってない。セナさんに疑われて苦労したから言ってない。

 

「でも、そんなカズマに朗報よ!今日から魔法陣の授業に入るから、カズマの魔力不足が大幅に改善すると思うの!」

 

「マジですか?!あれ……それならなんで先にそっちを教えてくれなかったんですか?」

 

「きょ、教科書から外れると……戻すのに苦労するタイプだから……」

 

そう話すウォルバクさんの手に握られているのは、『良い子の為の魔法教科書』と言う可愛らしいイラストの付いた本。そりゃこの世界の教育なんて受けて無いわけだし、魔法に関しては素人も良いところだ。でも、流石にそんな本を出されると凹む。出来れば高校生向けくらいの奴が良かった。

 

「さて、取り敢えず魔法陣についてだけど、これは教科書に例題があるからこっちを見た方が早いわね」

 

パサッ

と言いつつ俺の前に教科書を広げるウォルバクさんだが、流石にそんな絵本に描かれた魔法陣では大したことは出来ないだろう。まぁ、それでも無いよりは多少マシで……

 

「………えっ、何これ怖っ?!書き込みの量が半端なくて怖っ!」

 

ファンシーな表紙の教科書の中から現れたのは、余りにもエグい情報量の魔法陣。日本の皆様にも分かるように説明すると、中学校の全授業の内容をノート1枚に書き込んだらこうなりそうってレベルだ。表紙のハロー○ティみたいなイラストからこんなの出てきたら、作者の情緒が心配になるレベルだぞ。

 

「この魔法陣は、地獄から溢れる魔力を自分の身に宿し、自分の使用した魔法を増強したり、自分の身体を魔法で治癒したりする効果があるの。対象者、発動内容、発動条件、効果範囲は……円の大きさに依存するわね。ただ、魔法言語は高等言語だから、大抵はよく使う命令文を丸写して暗記するのだけど……」

 

いやおかしい……ウォルバクさんの説明も、この例として出された魔法陣もおかしいのだが、そんな事より気になるのは………

 

「すみません。これが地獄なら、ここに大地とか書いたら大地の力とか引き出せるんですか?」

 

「へっ?まぁそうね。対象を書き換えればその効果になるけれど……えっ?貴方コレ読めるの?!」

 

どうやら神様の言語習得機能とは、この世界におけるあらゆる言語に適応されるらしい。余りにも密接した文字で読むのが辛いが、ちゃんと凝視すれば俺は魔法文字でさえ読めるのだ。つまり、俺は高度なはずの魔法言語をなんの問題もなく扱えると言うことになる。なるのだが……

 

「すみません。ちなみにこれって高度言語なんですよね?凄く真面目な言語なんですよね?なんか良く分からない所が……」

 

「えぇ、ベースはその通りよ。でも、分かりやすく単語を並べれば他の術者に解読されたり利用されたりするから、表現を変化させたり、ブラフを入れたり、時には記号を合わせて暗号化するのよ。だから、いくつか単語が拾えても、そう簡単に全容は理解できない筈なの」

 

なるほど。これはつまり難解にするためにこんな事になってるのか、だからこんな……

 

『地獄から魔力チューチューしてぇ、術者っちに渡すマン♪良い感じに魔法増幅させて、痛い痛いしたらキュアキュアしちゃえ!』※概要

 

いや、だとしても痛過ぎるだろこの文章!そりゃ翻訳家でもこんなの渡されたら困惑するわ!不思議系地雷アイドルでもこんなの書かんわ!!

 

「すみません。これお借りして次回までの宿題にして良いですか?ちょっと解読に頭使うので……」

 

「え、えぇ……それは良いけれど、あんまり無茶はしないでね?多くの学者が廃人になるような分野だし、私の書いた本は最高レベルの難読書の筈だから……」

 

あっ、これ書いてたのウォルバクさんだったの?!今度からもっと優しくしよ……

 

……………………

 

「ねぇねぇカズマさん、なんで突然勉強とか始めたの?孤独で引きニートだった青春を取り返したいの?」

 

「煩いぞ駄女神。勉強しないでお前みたいになったら困るからな。俺は今後、もっとインテリジェンスなキャラで行く!」

 

ウォルバクさんの元で色々と学んで分かったことだが、この世界の魔法にはある程度の規則性がある。例えば初級魔法は属性の発生のみだが、中級魔法は更に形状変化等が付与され、ティンダーはファイアーボールに、ウィンドブレスはブレイドオブウィンドになる。それらを人が最適に使用出来るようにオートメーション化したモノがスキルと呼ばれる……で、多分合ってると思う。

 

「インテリジェンスかはともかく、魔法への理解が深まるのは良いことです。例え自分で魔法を使えなくても、相手の魔法を知れば戦闘では優位に立つ事が出来ますし、時には相性により上級魔法を初級魔法が凌駕することもありますからね」

 

「ほぅ……それを分かっているめぐみんは、さぞ多くの魔法を使いこなすんだろうな?そろそろ他の上級魔法も習得してくれるんだろうな?!」

 

「いえ、結局は全部消し飛ばす暴力が最強なので、やはり爆裂魔法を取得すべきだと思います」

 

こいつ、なんて濁りのない目で言い切るんだ。相性の話は一体どこへ?

 

「そんなもん俺の魔力じゃ使えないし、何より撃った後で動けなくなるのは致命的過ぎるんだよ。せめて撃った後で動けるなら選択肢の1つに入るんだが……」

 

「あっ、実は撃った後で動くことは可能なんですよ」

 

……………えっ?!

 

「お、おい待てめぐみん!それは初耳だぞ!と言うかなんで今まで黙ってたんだよ?!」

 

「そうだぞめぐみん!それなら爆裂散歩の的が私でも、めぐみんは自力で帰れるじゃないか!」

 

いや、それならそもそもダクネスの行く意味がない訳だし、お前は本当に何を言っているんだ?

 

「いやいや、カズマだって見ているでは無いですか?ウィズがデストロイヤーに爆裂魔法を撃った直後、一緒に乗り込んでましたよね?」

 

「あっ……そう言われると確かにそうだな……」

 

いやでも、流石にリッチーは規格外の可能性が高いな……

 

「そして、私に爆裂魔法を教えてくれた恩人も、同じように爆裂後も動いていましたよ?」

 

「えっ?」

 

それがマジだと言うのなら、めぐみんだって歩くくらい出来るんじゃないのか?!

 

「おい!その恩人とやらの特徴を詳しく!俺にとってはある意味諸悪の根源だが、それが恩人になるかもだから詳しく!!」

 

「おい、私の爆裂を諸悪の根源とか言ったか?今まで何度救われたか分かっているのですか?!」

 

「そのせいでピンチになった回数を数えてみろ!」

 

「……そ、そんな事は無かったです」プイッ

 

なに目を逸らしてんだロリっ子?!本当にいつか分からせてやろうか?!

 

「しかし、我が師の事はよく覚えていないのです。何せ幼少期の事ですからね……」

 

「幼少期って……幼子になに教えてんだよ……めぐみんがやばくなったのはその先生のせいか……」

 

これは出会ったら説教の1つでもしてやらなきゃ気が済まないな……

 

「いえ、間違いなく自分で望んで覚えました。確か我が師はリスクが高いと止めていた気がします」

 

あっ、ただコイツが筋金入りなのか。会ったこと無いけどごめんめぐみんの先生!出会えたら一杯奢ります!

※もう奢っています。

 

「しかし、めぐみんが覚えていないのでは出会えそうにないか……爆裂に挟まれる夢を叶えるには、やはりウィズに手伝ってもらうしか……」

 

「それはウィズに迷惑だから辞めろ。でも、爆裂魔法を使っても平気で居られる人間なんて滅多に居ないだろうし、出来ることなら会ってみたいよな……」

 

爆裂魔法を撃って倒れないなんて、間違いなく相当な実力者だろう。きっとイメージ的にはRPGの大賢者か、はたまた日本から来た大先輩の可能性も……

 

「美人で胸が大きかったのは覚えているのです。そう、確か恐らくダクネスよりも大きかった様な……」

 

「……出来ることなら、会ってみたいよな」

 

「「「なんで2回言った?」」」

 

いや、これは流石にしょうがないだろ?!

 

「私の師である魔法使いですよ?カズマのいかがわしい目的の為に会いたいだなんて、それこそ私が許しません!」

 

「忠告も聞かないで爆裂狂になってるお前が言うな。俺は、ちゃんとした目的もあるんだよ!」

 

ペラッ

「これは、魔法陣か?」

 

そう、インテリジェンスを手にした俺は、遂に自分でも魔法陣を描くに至った。ちなみにこれは風の力で加速する魔法陣。これが上手く行けば「い、いつの間に?!」って強めの主人公ムーブをかますことが出来るのだ。まぁ、それはあくまで予定なのだが……

 

「ほう、付与と加速と風……つまりこれは風による加速の魔法ですね。うちには敏捷の高いメンバーが居ないので、こうして支援で補おうと言うことですか」

 

「流石はめぐみん、紅魔の知能は伊達じゃないな。俺もここまで魔法を理解した身として、やっぱり多くの人に学びたいと思ってさ?」

 

と言う建前を言い訳にしているが、実際これがそう上手くいく訳では無い。複数命令の魔法は変な解釈で暴走するし、時には発動した魔法が魔法陣を破壊したり、望まぬ効果に変化させる事もある。本当ならウォルバクさんに相談すべきだとは思うのだが、俺の魔法陣を地雷系アイドルにはしたくない。これで商品作って売ったり、万が一これで魔王を倒してみろ。転生者全員に痛い文章を書くやつだと思われてしまう。

 

「そう言うことなら話は納得です。ですが、この程度の魔法陣なら私でも扱えますよ。ほら、こうして上に立てば……」

 

ヒュオッ、バサッ!

あっ、黒のレース……じゃなくてなんで竜巻が?!

 

「ちょっ!なんですかこのエロ魔法陣は?!こんな手を使ってまで私のパンが見たいのですか?!」

 

「うわぁ……まさかカズマさんがガチのロリコンだとは思わなかったわ……ロリコンに勇者なんて勤まるのかしら……」

 

「いや誤解だって!俺だってカッコよく風を纏う付与魔法を書いたつもりなんだよ!そんな特殊な用途とか想定してないって!」

 

と言うか、そんなの狙って作れたらお前らに見せる訳がない。取り敢えずウィズの店の前に置いて試す。そしてギルドの入口にも置く。

 

「二人共言い争っている場合じゃないぞ!めぐみんの服がどんどん捲れ上がって、このままでは全部丸見えに………私も発動してみて良いだろうか?!」

 

「却下だ馬鹿!おいめぐみん!良いから早く魔法陣から出ろ!いつまで魔法陣の上に……」 

 

ってあれ、もう出てる?!

 

「止まらないんです!これ、私の身体に上昇気流を纏わせていて!しかも、どんどん風が強くなってるんです!」

 

めぐみんは必死にワンピースを抑えているが、全方位からの風に2つの手では為す術もない。歳不相応な大人パンツが常にどこかしら見え、その状態で睨まれると中々くるものがある。はっ!これが分からせか?!

 

「ちょっと!流石にこのままじゃ不味いんですけど?!めぐみんちょっと浮いてきたんですけど?!」

 

「うわっ!マジじゃないか!めぐみん、直ぐにその服を脱ぎ捨てろ!その服が風を受けて船の帆になってるんだ!そのままだと本当にどこかに飛ばされるぞ!」

 

「いや出来ませんよ?!何を真顔でとんでもない事を言っているのですか!そんなに私の身体が見たいのですか?!」

 

「馬鹿!これで窓に突っ込んだらマジで大怪我するだろうが!」

 

まぁ、見たくないかと聞かれれば見たいが……

 

「仕方ない!私がめぐみんの身体を捕まえて地面に降ろす!カズマは何か重そうな物とめぐみんをバインドするんだ!それで飛ぶことは無くなるはずだ!」

 

「良し分かった!重そうな物だな!」

 

俺は走るダクネスを見ながら、その右手に魔力を込める。小柄なめぐみんがまだ浮いていないと言うことは、それなりの重さを足せば時間は稼げるはずだ。最悪、その間にウィズを頼るしかない!

 

ガシッ!

「捕まえた!カズマ、何か重そうな……」

 

「『バインド』!!」

 

「「なぁ?!」」

 

バシュッ!

よし!良い感じに二人を束ねて簀巻きに出来た!

 

「おいカズマ!お前、今度は私のことを重いものとして扱ったろ?!硬いとか重いとか、これでも私だって乙女の端くれなんだ!そういう扱いはあんまりだぞ!」

 

「仕方ないだろ!帯刀して鎧まで着てるダクネス以上に重いものなんてそうそうねぇよ!余裕がないのに家の中探してられねぇし、取り敢えず症状が落ち着くまでくっついてろ!」

 

「くっ!また私をモノ扱いなんて……わ、悪くはないな……はぁはぁ……」

 

結局喜んでんじゃねぇか……

 

「そうだ!良いことを思い付いたわ!」

 

「そうか。却下だ大人しくしてろ」

 

コイツの言う良いことなんて、本当に良かった試しがない。どうせまた余計なことをする。

 

「なんでよ?!」

 

「お前がやる気を出すと大抵やらかすからだよ!自覚ないのか?!」

 

「今回は本当に良いことだもん!それに、もやしのカズマさんじゃ何かあってもこの二人を運ぶなんて無理でしょ!」

 

「もやしとか言うな!まぁ、確かにダクネスを運ぶのはちょっとキツイが……」

 

鎧無しならいけると思うんだが……

 

「だから重いもの扱いするな!私の鎧が重いと言い直せ!」

 

「そうだな。鎧と筋肉が重いもんな」

 

「筋肉言うな!」

 

いやいや、あの怪力で軽いとかねぇだろ。

 

「でも、この方法ならダクネスを解放して、しかもめぐみんが飛んでいくのを防ぐことも出来るの!それをやらない手はないと思うわ!」

 

「おぉ!まさかアクアからそんな素晴らしい提案が出るとは!それなら直ぐに実行すべきです!」

 

「まぁ、本人がそう言うなら止めないが……」

 

でも、絶対にろくなことじゃない気がするな……

 

「踏んで発動したから上に持ち上げられるわけじゃない?それなら、同じ魔法陣を頭に触れて発動すれば、上から押されてプラマイ0ってわけよ!」

 

「えっと……それ、めぐみん潰れないか?」

 

「それくらい考慮したわよ!この魔法は付与魔法としての機能はちゃんとしてるから、めぐみんの身体の表面しか流れていないの。つまり、風は相殺されてめぐみんも無事!まさに理想的な解決案なのよ!」

 

自信満々に魔法陣を拾うアクアだが、俺には何が大切はことを見落としてている気がして仕方がない。そう、例えば台風同士がぶつかって無風になるだろうかとか……

 

「えいっ」

 

ペタッ

 

「あっ馬鹿!」

ブワッ……ゴー!

 

あっ、やっぱりそうなる?強風がぶつかって無風にはならないもんな!

 

「ちょっ?!なんで風が強くなるのよ?!ちゃんと風向き逆にしたのにぃ!」

 

「お前の理論が間違ってるからだよ!風が正面衝突しただけじゃねぇか!ようは竜巻とか旋風の理論だろ?!」

 

だが、問題はそれより……

 

「ま、魔法陣が風に飲まれて……あぁ!身体の至る所から風が?!」

 

「くそっ!めぐみんの魔力量で風魔法を重ね掛けされたら、マジで近付く事さえ出来ねぇぞ!」

 

やっぱり紅魔族ってチートだろ!

 

「カズマ!私はいいので先ずはダクネスを!私の風はダクネスには容赦なく吹き付けます!」

 

「おおおお、お構いなく!私はこれくらい[ブチッ]……ブチッ?」

 

あれ?なんか俺の方に金の糸の束が……

 

「ねぇ、この飛んできた金色の束って……」

 

「くんくん……ダクネスの髪だな……」

 

「へぇ……ダクネスも髪は人並の硬さなのね?」

 

「すんすん…確かに、針金とかワイヤーみたいな感じはしないな……」

 

「おいカズマ嗅ぐな!と言うかやっぱり助けてくれ!このままでは私の髪がなくなってしまう!」

 

ほぅ、どうやらこの変態にも髪を大切にする乙女心はあるようだ。クンクン。確かに手入れも行き届いているし、クンクン、大切にしているのは間違いないな。すーはー

 

「よしアクア、取り敢えずブレイクスペルでダクネスを解放してくれ。可能ならめぐみんも頼む」

 

「可能ならって何よ?!女神の解呪魔法なんだから、こんなの丸ごと無かったことにしてやるわよ!」

 

そう、こいつに頼るのは癪だから言わなかったのだが、本来なら最初に解呪を依頼すべきだった。本人は今からでも遅くないというが、多分もう……

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』!」

 

パァ……ブチッ!ドサッ!

「ごふっ!」

 

ブレイクスペルの効果でロープが切れ、風に弾き出されたダクネスはそのまま激しく地面に叩きつけられた。そう、ここまではイケると踏んでいた。問題は……

 

「あ、アクア!私の風魔法は何故解除されないのですか?!」

 

「えっ!なんで解除されないの?!めぐみんにも当たったはずよね?!」

 

「いや、多分何個か解除されてると思うんだが……既に全身に発動してて追い付いてないんだろ……」

 

「「えっ?」」

 

そう、身体の周りを高速で魔法陣の書かれた紙が移動していると言うことは、それがどこかに触れる度に魔法は発動する。そして、そうすると更に風の勢いは増していき……

 

フワッ

「あぁ!遂に身体が浮きましたよ?!と言うか、なんか丸い何かに包まれているんですが?!」

 

「くそっ!遂に自由に動けない状態に!待ってろめぐみん!なんとかその状況を……」

 

「あっ、いえ。これはこれで秘められし力が目覚めたみたいで格好いいので、もう少しだけこのままでも……」

 

いやお前は一番危機感持てよ。マジで何も出来ないだろそれ……

 

「解除しても再発動するなら、その魔法陣を取り出せば良いのよ!それからなら、私の魔法で全部解除できるわ!」

 

「いやそうなんだが……あれに手を入れると……」

 

「行くわよ!宴会芸スキル『ヒラヒラティッシュ箸掴み』!」

 

いや何その無駄スキル?!と言うかどんだけあるんだよ宴会芸スキル!

 

パシッ!

「やった掴……ぶふっ!」

 

「あっ、これはまさか?!」

 

パァン!

俺の予想した通り、高密度な風のバリアーはアクアを押し出し、ついでに反動でめぐみんのことも吹き飛ばした。まぁ、アクアに関しては問題はない。顔面強打で失神なんていつもの事だ。だがめぐみんに関しては……

 

ポヨンッコロコロコロ……

「不味いです!身体が浮いてるから止まれません!このままでは何処までも転がってしまいます!」

 

「落ち着けめぐみん!室内なら外に出る心配はない!だから余計なことはするな!下手に魔力を込めて暴走したら困る!」

 

でないとこれはフラグになる!アクアの気絶がむしろ有り難いと思える程に!

 

バタン!

「良し!なら私がウィズを連れてくる!」

 

「おい馬鹿!いまドアを開けるなんてしたら……」

 

くそっ!他にも余計なことするやつ居た!馬鹿じゃねぇの!ここでドアなんて開けたら……

 

ヒュッ

「「「あっ」」」

 

うん、やっぱりめぐみんが転がり出る流れだよな!

 

「あぁ!止まれません止まれません!カズマぁ!早く何とか……あぁ〜…」

コロコロコロコロ………

 

「……おいダクネス。アレに弾き出されたダメージはどんなもんだった?」

 

「い、一撃必殺熊の一撃くらいだろうか……」

 

えっ?それが街に放たれたの?なにそれ無差別兵器じゃん!

 

「全力で止めに行くぞ!アイツが街を破壊しないうちに!俺のインテリジェンスな生活が脅かされる前に!」

 

「あれはカズマが用意したものだろう?!ちなみに、インテリジェンスな止め方は考えているのか?!」

 

「そりゃお前………ウィズに聞く!」

 

ジトー

おいその目を辞めろ!俺だってまだ駆け出しインテリジェンスだから辞めろ!これから新生活スタート予定だからやめろ!




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

主役がウォルバクだからってウォルバク目線とは限りません。でも、ちゃんと大筋はウォルバクとカズマの物語です。多分……

また不定期ですが、お暇な時にでもお付き合いください。
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