恋愛についてはポンコツなウォルバクさん。正式に恋人になったわけですが、ここらで彼女のポンコツっぷりをネタにします。可愛いポンコツなのでご安心を……
と言うことで本編と無関係なラブコメディ、お暇な時にでもお付き合いください。
カズマと過ごした初めての夜は、正直に言って期待以上だった。予想より破瓜の痛みはなく、それなのに快楽は予想以上。何度も愛を囁かれながら抱かれると言うのは、まさに女としての幸せを感じる時間だったと思う。
「でも駄目なの!アレじゃ駄目なのよ!!」
バンッ!
「いや知らねぇよ!今の話に駄目なとこあったか?!」
カズマと結ばれた2日後。私は業務報告と言うことにしてセレナを呼び出した。ちなみに翌日直ぐに呼ばなかったのは、余韻と筋肉痛でベッドから出られなかったからだ。抱かれる側でもあんなに疲れるなんて、恐るべしカズマの若さとテクニック。長く粘られたら2日は立てなかったかも知れない。
「取り敢えず赤飯でも食って落ち着けよ。あたしはてっきり自慢話かと思って、飲み物と文庫本まで用意してきたってのに……まだなんか不満があるのか?」
「その最初から真面目に聞かないスタンスを本人の前で言っちゃ駄目でしょ。と言うか、この流れで赤飯出すのはセクハラなんじゃないの?」
パキッ
「割り箸割りながら文句言うなよ……」
私は差し出された割り箸を割りつつ、セレナの行動に苦言を呈す。と言っても、立場が逆だったら私もお酒飲みながら話を聞くとかしていただろうし、さっきの話も半分は自慢だから、あまり強く文句は言えない。
「それで、幸せになった癖に何が不満なんだ。相手が数往復で逝ったとか、カズマのアレが小さかったとかか?どうせ女同士なんだ。恥ずかしがらねぇで直球で来いよ」
「貴女は少しくらい恥じらいなさいよ……まぁ、確かに方向性はそっちなんだけど……もぐもぐ……」
私は差し出された赤飯を食べつつ、セレナにどうやって要望を伝えようか考えている。何せ私の不満というのは、自分でも正解が分からない。あくまで関係性の改善と言うか、私の理想を叶えたいだけなのだから。
「上手く伝わるかわからないのだけど……男の子の望む大人の女性って、どんな感じなのかなって思って……」
「成程な。相手の理想になりたいって話か……」
カズマと私の関係性は、元々師弟関係から始まった。それ故にカズマは私を頼り、私はカズマを優しく導いてきた。しかし、そんな私達の関係性が、とある事象により変わりつつあるのだ。これは大人の女としてアピールしてきた私にとって、結構な一大事である。
「ってちょっと待て。カズマは彼女の居たことがない童貞で、ウォルバクは実年齢4桁の女神だろ?こんなの嫌でも大人の女って扱いを……」
「実年齢が何ですって?」
バチバチ
「み、見た目にはちょっと年上のウォルバクが、大人扱いを受けるのが自然だなと思っただけです……」
「そう……」
年齢の話は取り敢えず置いておくとして、セレナの言い分は決して間違ってなどいない。魔法に関係ない事柄でも相談は受けていたし、人生経験だって常人よりは豊富だと思う。しかし、それでも男女の関係においてはまだ足りない。特別な関係の男女には、それ以上に関係を決定付ける事柄があるのだ。
「確かにセレナの言い分は間違ってないわ。でも、男女の関係ってなれば話は複雑で、年上ってだけで大人な扱いを受けるとは限らないのよ。カズマはお金も持っているし、私を娶る為に凄い甲斐性をみせてくるの。ただ年上ってだけじゃ、もう大人の女を保つのも限界に近いわ」
「へぇ、ちなみに夜の方は?」
「うっ……何も出来ずに鳴かされただけよ……」
「はぁ〜!そりゃまた贅沢な悩みだな。カズマは甲斐性を見せたくて大人ぶって、お前はカズマの好みになりたくて大人ぶるときたか?それで夜の方じゃ負け越しと……腹立つから帰っていい?」
「それじゃ何のために呼んだか分からないじゃない!良いセレナ。カズマと私の関係が終われば、その閃光弾ネイルとかの便利な魔道具は勿論、うちの部隊の作戦だってままならなくなるのよ?それを解ってなお、この作戦から離脱するつもりなの?」
「くっ!作戦参謀を不要って言った件はお前の自爆だし、お前の色恋を魔王軍の作戦扱いするのは腑に落ちないが……だとしても子猫のネイルは私としても惜しい……仕方ねぇ!マジで今回だけだからな!」
「流石はセレナ!話が解る!」
まぁ、子猫のネイルをあげるかは、また別の話なんだけど……
…………………………………………
「だからってデートを見せろって言うのはどうなのよ?私にもプライベートがあるのだけど?」
セレナが私に手を貸す条件は、カズマの魔道具と情報の共有だった。そりゃ恋愛出来ないプリーストにとって、恋愛に興味は尽きないだろうけど……
「勘違いすんなよ。報酬はあくまで子猫のネイルだ。この情報共有の理由は、あくまで依頼遂行の為の準備だ。お前のキャラクターがブレるようなアドバイスしてみろ?それこそ関係が悪化するだろ?」
「な、成程……そこまでちゃんと考えていたのね……」
流石はプロの諜報員だわ。私のキャラに違和感なく、それでいてカズマが求める理想を作ろうと言うのね。まぁ、私は元から大人の女だし、改善点なんて殆ど無いと思うのだけど……
「そう言う事だ。取り敢えず1つ目のダメ出しだが……」
「えっ、早くない?私まだ何もしてないんだけど?!」
「ふざけんな!まだ待ち合わせの2時間前じゃねぇか!最初から無駄な時間を使わせやがって!遠足前のはしゃいだ子供かお前は?!」
「じ、時間的な余裕はあるじゃない!楽しみだったのは否定しないけど……」
デートの待ち合わせには遅れたくないし、早く目が覚めても他にすることがない。だからこうして早めに来た訳だけど、確かに2時間前はやり過ぎた気も……
「あれ先生?まだ約束の時間まで結構あるのに、どうしてもうここに?」
「えっ、カズマ?!あっ、いやその、これは……」
何これどうしよう?!いつもなら後から来た所に「私も今来たところよ」って大人の余裕をかます所だけど、今来てたとしても早すぎる!何よりセレナが他人のフリしてこっち見てるし、何とか大人っぽい対応を……
「は、早くカズマに会いたくて……来ちゃった……」
「へっ?!」
やっぱり無理!こんな状態で上手い嘘付けるほど器用じゃないし、本当は甘えたい女だもの!それなのにカズマを前に嘘を付くとか、そんなに器用ならそもそも困ってないのよ!
「前回のデートでも随分と早めに来てたなって思って、今回は俺も早めに来たんですけど……ひょっとしていつもこんなに早く来てるんじゃ……」
あっ、どうしよう引かれてる?!これ絶対に引かれてるパターンよね?!起きれなくてギリギリなケースは何度かあったけど、基本的には1時間半から2時間前に来ちゃってたもの。でも、それを素直に言えば余計に引かれそうだし……
「こ、今回はその……カズマが夢に出て来たから……早く会いたくなっちゃって……」
「………くっ!」
えっ、カズマがこめかみを押さえてる?!どうしよう!これって私が頭痛の原因になってるって事じゃない?!夢というランダム要素を入れて誤魔化そうとしたけど駄目だったの?!流石に夢に見るのは重すぎるの?!
※可愛かったのを堪えています
「おい、ちょっと女子トイレ来い。言いたいことがある」
「……はい。カズマごめん。少しだけお手洗いに行ってくるわね?」
「は、はい……ごゆっくりどうぞ……」
これ間違いなく叱られるから、ごゆっくりはしたくないかな。
………………………
「じゃ、取り敢えずあたし帰るわ。後は好きにやれ」
「…………へっ?」
セレナの呼び出しからの第一声は、予想を裏切り怒りの1言では無かった。と言っても、これは決して良い意味での裏切りでは無い。セレナが帰る準備を始めたと言う事は、早い話が諦められたと言うことだ。
ガシッ!
「ちょっと待って!ここは助言をくれる所じゃないの?!私の改善点を挙げるタイミングじゃないの!」
「………お幸せに」
「どうしてそんな悟った顔してるの?!まだ私はこれからでしょ?!いいから改善案を示してよ!」
ここまでの流れを振り返ると、確かに私にも至らぬ点はあったとは思う。でも、それはこれから改善すべきことであり、なんの助言もなく終了は違う。と言うか、それは私が本気で困る。
「取り敢えずアレですね。先ずは義務教育を終えてから来て頂いて……」
「えっ?流石に女神だからそこら辺は受けてるわよ。と言うかこの国より高度な教育を受けたと自負しているわよ?セレナは何を言ってるの?」
セレナの見当違いな指摘には、流石の私も異議を唱えた。まるで私が何も知らないかのような物言いだけど、そこは腐っても封印されてても女神。こんな発展途上国の教育レベルなど、何の問題もなく履修済みである。
「いやそういう事言ってんじゃねぇよ!お前のその、思春期みたいな恋愛観をどうにかしろっていってんだ!」
「どういうことなの?!それじゃ、私の恋愛観が思春期レベルみたいじゃない!」
「いやその通りだよ!と言うか同じ事言っただけじゃねぇか!」
確かに不慣れな部分は多いとは思うけど、だからって思春期と言うのは流石に……
「いい年した大人が、遠足当日に早く目が覚めると思うか?」
「えっ、流石にそれは子供だけのような……」
「好きな人が夢にまで出て来て、会いたくて仕方なくなるなんて想像出来るか?」
「きっとそれは初恋ね……とても一途でピュアだと思うの……」
「それで、想いが暴走して2時間前に集合場所に来る大人が居ると思うか?」
「流石にそんな奴は居ないと思うわ」
「いや全部お前だよ!!」
はっ?セレナは一体何を言ってるのかしら?私がそんな思春期女子?いやいやそんなバカな。
「落ち着いてセレナ。先ず、私は早く会いたいとかじゃなくて、休日の時間の使い方を寝る以外に知らないから早く来たの。夢に見るのだって週5くらいだし、昼寝の頻度からすれば確率は3割くらいよ。そして、遅刻しないようにあえて早寝早起きできるのは大人の証拠。つまり、私はその条件には当てはまら……」
「……お疲れ」
「ごめん!ごめんなさい!だって恋愛なんて初めてだし、女神に思春期とか無いんだもん!お願いだから見捨てないで!頑張って治すから見捨てないで!」
「おい辞めろ!これじゃあたしがモラハラする旦那みたいじゃねぇか!分かったから離れろって!一応指摘してやるから今は離れろ!」
ふぅ、取り敢えず最悪のケースは回避できたわね!
……………………………
「あの……本当に体調は大丈夫なんですよね?なんかトイレから絶叫が聞こえましたけど……」
「気にしないで。ちょっと30センチくらいの虫が出ただけよ」
「使えない!俺もうあそこのトイレ使えないです!」
セレナの指示を受けた私は、決意も新たにカズマの前に立った。と言っても指示は単純明快、甘えないことと、毅然とした態度を保つこと、そして、常に余裕を持った行動を心掛けることの3つ。まぁ、分かっていれば簡単なものよ。何せ私はマジものの女神、毅然としているのはいつものことだし、余裕だって常に持ち合わせているもの。
「それで、今日は何処へ連れて行ってくれるのかしら?」
「この丘を登れば直ぐですよ。先生もきっと気に入ります」
ただ、問題はこれがデートと言う事。何気ない日常なら耐えられても、ここで凄いロマンチックなのが来たら、乙女としては結構危うい気が……
「……えっ?」
なんて関係ないことを考えていたから……いえ、きっと身構えて居てもこれは無理だったと思う。目の前に舞う薄紅色の花弁は、きっとどんな状況でも私の心を奪っただろう。まさか、こんな所で季節外れの桜が見られるなんて、私は夢にも思わなかった。
「凄く綺麗だわ……まるでこの世界じゃないみたい……」
「そうでしょう?今日しか見られない特別な景色ですから、先生と一緒に見たかったんです」
あれ?なんか自然と魅入っているけど、これはとても良いムードじゃないかしら?毅然としてカズマの横に立っているだけなのだから、間違いなく大人の対応が出来ている筈で……
「あっ、先生の前髪に花弁付いてますよ。ほら……」
「あ、ありが……はっ?!」
カズマと視線があった瞬間、私はトキメキと同時に危機感を感じた。何時もなら、ここで目を閉じれば自然とキスの流れになる。でも、きっと大人の女はそんな欲しがり方はしない筈だ。つまり、ここでキスを求める最適解は……
チラチラチラチラ
「ぷふっ……先生って、やっぱり可愛いですよね……」
「もう、なんで今笑ったのよ……んっ」
ちゅっ
見つめ合った私達の唇は、カズマの手により1つに重ねられた。今の私は間違いなく完璧だったでしょう。それとない目配せで「良いのよ?」って感じを出した訳だけど、これなら結局はカズマの意志!つまり、私が欲しくて溜まらないって事なのよ!どうかしらセレナ!私のこれは完璧で……
チラッ
『✕』
あっ、凄い露骨に手でバッテンしてる。駄目なんだ。これ大人の女的に駄目な方法なんだ……他に方法思い付かないんだけどなぁ……
「ご、ごめんねカズマ。今ので口紅が取れちゃったから、トイレでササッと直してくるわね?」
「えっ、良いですけど30センチの虫が……」
「大丈夫!何度出ても焼き殺すわ!」
「強いなぁ……」
まぁ、そんなの最初から居ないんだけどね。
…………………………………
「なぁウォルバク。お前は大人の女を目指してんだよな?」
「さっきから何度も言ってるじゃない。と言うか、あの目配せの何処が不満なのよ?あれは完璧な大人女子だったでしょ?」
トイレで待ち構えていたセレナの顔は、何故かさっきより呆れている。あれだけ毅然とした態度を貫いたと言うのに、一体何が不満だと言うのだろう。
「いや何が目配せだよ!あんな超高速で4度見しやがって!かまって欲しい子犬かお前は?!」
「待って!例えるなら子猫のほうが私には合ってると思うから子猫にして!」
「どっちでも良いわそんなもん!」
そんな?!猫と犬は永遠のライバルじゃない!と言うかセレナも子猫のネイルを欲しがってたじゃない!
「それと、途中で手を握ってたみたいだが……」
「ふっふ〜ん!あれは手が触れてしまったら恋人としては握らなきゃならないという使命感を利用した完璧な作戦だったと思うのよ!あんな高度な駆け引き、大人の女じゃなきゃ出来ないわよね?」
「あんな露骨にスリスリ手の甲を擦り付けておいて、よくもまぁそんな言葉が出るな?!お前の持論だと、子猫はみんな高度な駆け引きが出来る事になる訳だが?!」
「そ、そう言われたらそうだわ!流石は可愛さで生き残ってきた生物……人をたぶらかす為に、人を遥かに凌ぐ知能を手に入れたのね……」
「現実から目を背けんな。猫の知性なんて、良くて人の3歳程度だぞ?」
「……えっ、そうなの?!」
なんて魔性な生き物なの!3歳児の知性で女神さえ惑わすなんて、下手したら悪魔より罪深いじゃない!
「と言うわけだ恋愛3歳児。もうお前に甘えるなって言うのは無理だって分かった。だから、別のアプローチでいくぞ」
「遂に3歳児扱いに?!でも、大人の女が甘えるなんてアリなの?甘えるなんて1番大人な対応から遠い気がするのだけど……」
「その認識と性格で、どうして大人の女なんて目指したんだよ……別に甘えるのが駄目って事はねぇんだ。不慣れだろうが、色気を出して甘えてこい。コンプレックスだったその身体も、好きな相手に喜ばれるなら本望だろ?」
「成程。甘え方がアダルティであれば、露骨に甘えても大人の女のイメージが守れるって訳ね。やってやるわ!ちょっと恥ずかしいけど、カズマの理想になってみせる!」
「あぁ頑張れ。これで駄目ならお手上げだ。他に手も思い付かないし……」
「あっうん。なんか色々とごめんね?」
そう言えば、最初の予定だと半日で解散だったんだっけ……
………………………………
「えっ、何これどういうことなの?!」
最後のチャンスをモノにすべく、私は決意も新たにカズマの隣に立った。この身体がカズマ好みなのはリサーチ済みだし、この桜吹雪が私達のムードを底上げしてくれる。そう、期待していたのだけど………
「日雇い冒険者の皆さん!急いでください!あと30分でさくらんぼの実が腐り落ちます!それまでに木から切り離してください!」
「切り離したら直ぐにパック詰めよ!こんな量を保管できる場所はないから、直ぐに市場に持って行って!」
さっきまで二人きりだった桜の丘は、今や凄い人数がさくらんぼの収穫をする農地へと変貌を遂げていた。見れば花も全部落ちているし、先程までのムードは見る影もない。私が席をたった数分の間に、一体何があったと言うのだろう。
「あの桜、何でも100倍の速さで実が取れる代わりに、枯れるのも実が落ちるのも100倍早いそうです。それを「季節を問わないでさくらんぼが食べられるんだから、これは間違いなく売れます!」ってウィズとうちのアホプリーストが苗を大量に仕入れたんですけど、収穫出来る時間も100分の1なので、こんなことになってるんです」
「なるほど……だから季節外れの桜が見られて、桜吹雪の量も凄かった訳ね……」
にしても、どうしてウィズはこんな馬鹿な商品ばかり仕入れるのかしら。魔王城で聖水仕入れて引っくり返してたし、商才ってものが皆無なのかしら。
「もうデートって雰囲気じゃないですし、手伝わされる前に移動しましょう。近くに温泉宿がとってありますから」
「えっ?あれは手伝わなくて良いの?カズマの仲間も共同出資だって言うし、少しでも売上を伸ばさなきゃ不味いんじゃ……」
「大丈夫ですよ。あのさくらんぼ、味見したら絶望的に不味かったんで、今更何しても報われませんから……」
「どういうことなの……それ最初に確認しなきゃ駄目じゃない……」
でも、それなら見捨てても結果は同じなのよね。だったら、私はカズマを優先するわ。ウィズ、ごめんね?
………………………………
「どうしよう!なんか全然上手くいかないんだけど?!」
ウィズを見捨てて早2時間。一見順調に見えるカズマとのデートだが、実はずっと大きな障害にぶつかっている。そう、何となく予想していたのだけど、セクシーに甘える方法が分からない。ということで、旅館の空き部屋で作戦会議を始めた訳だ。
「良かったじゃねぇか。子猫みたいに構ってオーラ出してる時より、今の方がずっと大人の女って感じだぞ?」
「は、図ったわねセレナ!そうやって私が甘えられない様にして、無理やり大人の女に仕立てようとしたのね!」
「だって、お前がなりたいって言うから……」
「くっ!なんて正論!」
「そりゃな?」
だとしてもこれは由々しき事態だわ!大人の女として待っているのに、全然カズマからアピールがないなんて、これじゃ関係が冷めるだけで、カズマの理想になれないじゃない!
「なぁウォルバク。お前の気持ちも分からなくもないが、今更取り繕う必要ってあるのか?」
「な、何が言いたいのよ?」
セレナは何か言いたそうだけど、そもそも取り繕うって言葉が間違っているわ。だって、元々の私はクールだったし、カズマはそれを見て私に憧れていた。だったら、私がクールさを取り戻したら、カズマだって嬉しいはずだもの。
「あたしから見ても、サトウカズマは子猫みたいなお前でも愛してると思うぞ?そんな似合わないセクシー路線にならなくたって、カズマが愛してくれりゃ問題無いんだろ?」
「セレナ……」
セレナの言いたいことは確かに分かる。カズマはどんな私でも愛してくれそうだし、今の関係だって嫌いじゃない筈だ。でも、セレナからそんな言葉が出るとしたら……
「セレナ、貴女もう面倒になってない?」
「……なってない」
やっぱり!これ間違いなく面倒になってるわ!顔がもう帰りたいって言ってるもの!
「悪いけど、ここで投げ出すなら子猫のネイルは渡せないわ。子犬で我慢して貰うからね?」
「おい待て!殆ど今日が終わるって時にそれかよ!というか、むしろ子猫二組でも割に合わねぇよ!こんなにかかったのはお前が恋愛3歳児だからだろ!」
「また恋愛3歳児って言ったわね!万年処女のプリーストの癖に!」
「あたしは男を手玉にとるのも仕事です〜!お前みたいに取り繕うことさえ出来ないポンコツとは違うんです〜!」
「何ですって!」
くっ!やっぱりセレナに頼るなんて間違っていたのよ!こんな性悪に恋愛なんて分かるはずが……
「えっと……その喧嘩の原因って、やっぱり俺ですよね?」
「えっカズマ!どうしてここに?!」
私達の喧嘩がヒートアップする直前、その喧嘩を止めたのはカズマだった。バレないように手を尽くしたのに、一体どうしてこの場所が……
「トイレに行くと言って反対側に向かっていたので、トイレの場所を教えようかと……」
「あっうん……それは確かにおかしいわよね……」
何これ恥ずかし!そんなしょうもない理由で見つかるとか恥ずかし!もう大人の女とか言ってる場合じゃないわ!
「それでその……なんか勘違いしてるみたいですけど、俺は今のクールじゃない先生の方が好きですよ?」
「へっ!そうなの?!」
「えぇ、クールな先生も格好良かったですけど、俺にだけ可愛いって特別感には勝てませんよ。だから、先生はそのままで良いと思います」
「カズマ……」
「先生……」
あぁ、私はなんて愚かだったんだろう……カズマの愛を信じないなんて、それこそ恋人としてあるまじき失態だわ。でも、今日からはもう大丈夫!カズマの気持ちを知ったからには、そのままの私を好きにさせてみせる!あれ?でもなんか忘れてるような気が………
「……………なぁ、あたしの休日返してくんねぇかな?!」
「「あっ」」
しまった!セレナへのお礼どうしよう!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
恋に恋するポンコツが好きな私です。
そろそろ魔王軍幹部としてのウォルバク対カズマの戦いとかしますが、安心してください。ちゃんと酷いです。
また不定期更新ではありますが、お暇な時にでもお付き合いください。