私はウォルバクさんも好きなんですけど、同じ位にアーネスも好きです。ただ良識的な奴を虐めるのが好きだからなのですが、それが悪魔ってのがまた皮肉ですね!
と言うことでアーネス参戦回です。またお暇な時にでもお付き合いください。
運命の出会いがあるとしたら、それはきっと先生との出会いだと思う。出会い方は取り敢えず置いておくとして、クソ雑魚冒険者の俺がここまでの地位と実力を得るに至ったのは、間違いなく先生のお陰だ。そして何よりも……
「だ、駄目だってば……同じ旅館にセレナも泊まってるのに……あっ!凄っ…硬いのが奥まで……んんっ!」
「ここは離れだから大丈夫ですよ。ほら、もっと可愛い声を聞かせてください。どうせ1回で終わらないんですから、今だけ耐えても無駄ですよ?」
「ばかぁ……そんなに奥を……優しく小突かれたら……あっ、あぁん!声でちゃうからぁ……」
こんなにエロ可愛い彼女が出来たことは、人生最大の幸福でもある。ただ、これで運命の出会いが終わりかと言うと、実はもう一人控えていたりする。
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「すみません。なんか、私の部屋まで取って頂いて……」
「いえいえ、貴女のお陰で色々と得してたみたいなんで、これくらいのお返しはさせてください。お気に入りだという子猫柄の護身魔道具も、いくつか用意しておきますよ」
先生の大人チャレンジから一夜明け、俺達3人は旅館の前で再び顔を合わせた。このセレナと言うプリーストの女性は、何でも先生の恋の相談相手らしい。つまり心象を良くしておくことで、今後色々と得があると言うわけだ。まぁ、そうでなくとも俺好みの黒髪美人だし、どっちにしろ優しくはしていただろう。宿の部屋を1つ取るくらい、先行投資にしては安いものだ。
「カズマさんは本当に素敵な方ですね。ウォルバクさんが羨ましいです」
「な、なによ?うちのカズマは絶対にあげないからね。一夜の迷いも駄目だからね!」
「いや、私プリーストなんでそれはしませんけど……」
ちょっとポンコツ感が出ている気もするが、先生が素のままで話せる相手は意外と少ない。先生の友好関係を良好に保つためにも、今後ともセレナさんとは仲良くしよう。この人はポンコツじゃなさそうだし。
「これからも仲良くしてくださいね。セレナさん」
「ちょっとどういうことなのカズマ?!まさか貴方からそんな……」
「そ、そちらから来られたら私もその……困ります……」
「いや友人としてですよ?!」
あっ駄目だ。この人もこの世界の例に漏れずポンコツだ。まだ可愛い方だけど……
………………………
「はい!それじゃ今日はこれで終わり、次までに練習して身に付けておくように!」
「が、頑張ります……」
先生と交際して結構経つが、魔法の訓練は今も継続して行っている。それは俺の生存確率を少しでも上げると言う当初の目的のため、そして先生と肩を並べられる魔法使いとして世に名を馳せるため……と、表向きはしているが……
「つ、次あんな意地悪したら、今度はこんなもんじゃ済まないからね。ほら、抱っこして!」
「……はい」
最近は専ら、夜の生活で虐められた仕返しを修行と称して行う場所になりつつある。特に麻痺状態で動けと言うこの訓練に関しては、麻痺した俺をひたすらにくすぐってくるだけなのだから、もはやイジメさえ疑うレベルだ。まぁ、プレイと割り切れば悪くないのだが……
「先生だって疲労を理由に抱っこを求めるのに、麻痺状態で歩くとか本当に可能なんですか?訓練とか変な理由を付けるより、いっそプレイって言ってくれた方が気が楽なんですけど……」
「いやプレイじゃないから!体内の魔力を精密にコントロールすれば、その魔力で身体を動かすことは可能なの!スキルで身体が動くんだから、出来ない道理は無いでしょう!」
「いやそんな無茶な……」
言いたいことは理解出来るが、スキルと言うのはかなり複雑な命令の塊だ。発動が容易なので見落としがちだが、口伝で覚えただけの素人が、達人と全く同じ動きが出来るのがスキルである。それを自力で再現しろとか、並の冒険者に出来る筈がない。と言うか、出来たらもう達人である。
「難しいのは百も承知よ。でも、それが出来るようになれば危機的な状況でも身体が動かせるし、熟練したアークウィザードなら魔力で体液を操作して止血も可能なの。イメージをしっかり構築できるまで、地道だけどトレーニングは続けなさい」
「は〜い……って体液を?!」
それがもし本当だと言うのなら、このトレーニングは早漏改善効果も望めるって事じゃないか!今は先生が早すぎてバレてないが、俺だって先生の身体に5分も保たない。先生が人並みの知識を得る前になんとかせねばと考えていたのだが、まさかこんな所でチャンスが巡ってくるなんて……
「先生。良かったら部屋でもう一度このトレーニングに付き合ってください。ナニか掴めそうなんです。そう、ナニが掴めそうなんで!」
「と、突然やる気になったわね……まぁ、今日は昼までフリーだから、程々になら構わないけど……」
程々に……ですね!
……………………………
「どういうことなのぉ……こんな特訓方法だなんて、いくら何でも……んんっ!」
ビクンッ
突如として股に入り込んだ俺に対し、先生はほんの少しの不満を漏らしている。と言ってもただ不満を漏らすだけで抵抗など無く、恐らく半分は期待していたのだと思う。下着を取る時には腰を浮かせたし、実質合意だと思う。
「それでもちゃんと応じてくれるなんて、先生は本当に理想の師であり恋人ですね……いいじゃないですか、お互いに嬉しい特訓なんですから……ちゅっ」
「もう、こんなのばっかり…あっ…上達するんだからぁ……はぁん!」
真っ赤に充血した蕾へ舌を這わせると、返ってくるのは甘く切なそうな先生の声。先生の言い分が正しいとするなら、先生の溢れ出るものだって抑え込める筈である。という事にして前戯をしている訳だが、少しくらい俺を疑おうとは思わないのだろうか……
「ほら、凄くトロトロになって来ましたよ。もっと頑張って抑えてください?」
「うぅ……こんなの気持ち良くて……集中出来な……んっ!」
最初は俺も麻痺させてくすぐってやろうかと考えていたが、先生に俺の麻痺魔法が効くとは思えない。と言うことで魔力による体液操作に焦点を当て、こんなに素敵なトレーニングを思い付いたと言うわけだ。まぁ、開始一分でビチャビチャだったので、実質ただの前戯だった訳なのだが……
「じゃあ、俺もここで一緒に訓練させて貰いますね?俺も先生の腟内を長く楽しめるように、頑張って特訓しますから……」
ぐちゅっ
「あっ……カズマの硬くて熱いのが……あぁんっ!」
先生の身体の抱き心地は、恐らく何度抱いても慣れることはないだろう。蜜を蓄えた柔らかな膣壁は、まるで包容のように優しく俺を包み込み、そのままみっちりと吸い付いて来る。そして隙間なく包み込まれた俺の分身は、僅かな動きでもその全てを柔らかなヒダでねっとりと舐られてしまうのだ。正直、こんなの2分も保つ筈がない。
「くっ……やっぱ先生の腟内ってメチャクチャ気持ち良い……こんなの、本当に直ぐに出ちゃいますよ……」
「そんなこと言われても……自分じゃ分からなっ……はぁん!」
だが、甘い声をあげる先生の愛らしい姿を2分だけしか楽しめないのは余りにも惜しい。俺の手で蕩ける愛らしい先生を長く楽しむ為にも、この訓練は必須である。ちなみに防壁魔法は「いつもと形と感触が違う。ちゃんとカズマのでしてよ」と先生にはバレてしまった。大変エッチで素晴らしいバレ方ではあるのだが、バレずに使うには日本製の0.2ミリ以下の薄さを再現しないと駄目らしい。こちらも日々練習中である。
「くっ!魔力を高めても抑え込めない……もう、出ますよ先生!」
「た、高めるのは違っ……そのまま、出されたら……あっ……あぁー!!」
びゅくっ!びくん!
まるで魂まで抜けそうな射精感に、俺は達すると同時に意識を手放した。高めるのは違うと先生が漏らしていたのは、多分こうなることを予見していたのだろう。これはきっと、起きたら怒られるだろうな………
……………………………
「おい起きろカズマ。起きろって」
俺の名を呼ぶ声に少しだけ意識が戻ってくる。この身体を揺さぶる手の強さと、今までになくドスの効いた声からして、恐らく先生は相当な怒りを感じているのだろう。行動より先に相談をしろとお叱りを受けていた事もあり、俺を揺する力も相当な力だ。下手をすれば鬼の形相で……
「おっ?やっと起きたか!そろそろチェックアウトの時間みてぇだが……」
「えっ、鬼の形相を超えて悪魔の形相になってる?!」
何これやばい!もはや未知の領域で怒ってるじゃん!と言うか骨格から違うような気が……
「すぅすぅ……」
「あれ、先生がこっちで可愛いまま寝てる?!と言うことは……」
これマジの悪魔じゃん!人喰いそうな悪魔じゃん!!
「小僧、この状況で声をあげないとは、中々の胆力じゃねぇか……流石はウォルバク様の弟子兼ツガイだな?」
「ま、ままままぁな!これでも冒険者として修羅場を潜って来てるんだ!今更悪魔にビビるとかありえねぇしな!」
「ビビり過ぎて喋れなかっただけかよ……悪感情物凄いことになってんぞ?」
そりゃ起きたら悪魔が居てビビらないとか有り得ないだろ?!敵意と殺意は見えないが、だとしてもこんな人を食いそうな悪魔は……
「あれ?でも今ウォルバク様って言ったよな?ひょっとして……」
「おぅ、俺様はウォルバク様の忠臣ホーストだ。主の帰りがあまりに遅かったからな。心配になって迎えに来たんだ」
マジか!悪魔と契約する魔法使いとか本当に居るのかよ?!俺とバニルも契約のようなもんだけど、従えてるのは流石に凄すぎるだろ!!
「あれ、なんかカズマとホーストが一緒に居るわぁ……まだ夢の中みたいだし、このまま二度寝しよ〜」
「いや起きてください先生!貴女の関係者が来てるんで起きてください!じゃないと俺が食われるかも知れないんで!!」
「いや食わねぇよ?」
「だとしても起きてください!これと2人きりは流石に無理ですぅ!!」
………………………………
「そう、遂にバレてしまった訳ね……私がホーストを従えていることが……」
俺の説得により目を覚ました先生は、身だしなみを整えてからホーストについて意味深に語り出した。ちなみに身だしなみを整えたのは俺とホーストであり、寝坊助な先生を一緒にお世話した今となっては変な仲間意識さえ芽生えつつある。それでも一応話を聞くとしよう。悪魔を従えている理由とか、別に聞いてないけど話したいみたいだし……
「俺様から喧嘩を売ったら見事に返り討ちにあってな?こりゃもう仕えるしかねぇなと思って今に至る訳だ」
「ちょっと?!そこは格好いい死闘の部分とか、強者は惹かれ合う的な話を先にしなきゃ格好つかないじゃない!」
「いやそんなこと言われましても、ここで盛り上げる意味無いですし……」
成程。要は先生の強さに惚れ込んで仕えているが、オフの時の駄目駄目っぷりには手を焼いているって感じだろう。流石にここまで分かり易い関係だと、むしろ黙っている意味など無かった気さえする。割り切った関係って話なら、俺だってバニルとそんな感じだし。
「分かりました。危険な契約をしてないって言うなら、俺から言うことはありません。むしろ、悪魔を従えているなんて大魔法使いの先生には相応しいと思いますし」
「そ、そう?大抵は悪魔と契約してるなんて聞いたら、それなりに警戒すると思うのだけど……」
「悪魔は契約主義者ですから、胡散臭い人間より余程信頼出来ると思いますよ。えぇ、何処ぞの水の都のプリーストよりね!」
何せこっちの世界で俺を追い詰めているのはそのプリーストだ。借金の原因を作ったのも、アルカンレティアで命を狙われかけたのも、基本的にアクアの馬鹿な行動が原因となっている。それに比べれば、バニルの悪感情を求めたおちょくりなんて、全然可愛いものである。
「い、意外と悪魔に寛容なのね……まぁ仲間にアクシズ教徒が居るんじゃ、そう思うのも仕方ないけど……」
「小僧、お前中々分かってるじゃねぇか!ウォルバク様、この小僧の考え方は悪魔に通ずる所があります。いっそ使い魔を持たせては如何でしょう?」
悪魔に通ずるってなんだよ。俺はこれでも善良な一般市民であって、悪魔にまでイメージ下げられる覚えはないぞ。まぁ、鬼畜とか外道とは言われてますけど!
「成程。確かに抜け目のないカズマになら、悪魔との契約は向いてるかも知れないわね……お金はあるからそれなりの対価は払えるだろうし、何よりカズマの身の安全を守れるものね……」
「えぇ、小僧の鍛錬の相手を探す意味でも、悪魔との契約は有りだと思いますよ」
俺を置いて話が進んでいるようだが、こんな化け物を連れて居たら俺の気が休まらない。そもそもアルダープの末路を見たばかりなのだし、ここで悪魔と契約なんて流石にハードルが高過ぎる。
「いやいやいや!そりゃ悪魔を従えていたら凄いとは思いますけど、俺に付き従う悪魔なんて居ませんよ!と言うか、ホーストみたいなのが出て来たりしたら、間違いなく食われますから!」
「だから悪魔は人を食わねぇよ。人の悪感情で生きてんだから、数減らしたら食い扶持が減るだろう?」
あれ、そう言えばバニルもそんなこと言ってたな?そうなると、実は悪魔ってメチャクチャ有用な契約相手なんじゃ……
「安心して!人を食うのは本当に稀だし、都合良くコントロール出来る廃人にされる可能性はあるけど、カズマならそれは大丈夫でしょうし!」
「なにそれ怖っ!大丈夫な要素が何一つないですよ!何を根拠に安心とか言ってるんですか?!」
あかん!やっぱり悪魔って危険な存在だった!程よく距離を置いてお付き合いした方が良いでしょこれ!隣人にはなれないでしょこれ!
「だって、カズマって精神耐性凄く高いじゃない?それこそ、恥辱に塗れた死を何度も経験させられたレベルで……」
「それは俺様も気になっていた。まるで生きたまま溶かされたようなレベルの苦痛や、死んで尚その死を笑われ続けたような精神的苦痛、心と身体がそれくらい乗り越えてなきゃ、こんな耐性は付かない筈なんだが……」
あ、それはどっちも経験があるな……嫌な思い出でしか無いんだけど……
「そういう訳だし、折角だから1度くらい試してみても良いんじゃないかしら?種族の違いなんて、案外気にならないかも知れないわよ?」
「そこまで言うなら試してみますけど、召喚の時には側に居てくれるんですよね?」
「うん!善処はするわね!」
いや善処って何?!
…………………………………
「成程、善処っていうのはこういう事か……」
先生と使い魔の話をした翌日。まさに何も無いという言葉が似合う草原の中央へ、俺は悪魔召喚の魔法陣を持って立っていた。と言っても一人という訳ではなく、はるか遠方には一応先生が居たりする。本当に遠方過ぎて点に見えるレベルだが……
「そりゃ先生が居たら俺は見劣りするだろうけど、だからってこの距離は流石に不安だな……」
先生の言う悪魔との契約は、会社で言うところのプレゼンのようなものらしい。目的があればプランを説明し、無ければ自分に仕えるメリットを提案する。俺の場合は金で買えるものしか提案出来ないのだが、問題はそれで食い付く相手が来るかどうかである。
「まぁ、やるだけやってみるとするか……地獄の奥底に住む者よ。我が呼び掛けに応えよ!」
ピチャッ
先生に習った言葉を告げて、魔法陣の中央に体液を垂らす。本来なら血液が基本となるらしいのだが、痛いのは嫌なので先生から溢れ出た精液を採取しておいた。これでも一応体液だし、なんならサキュバスでも来てくれたら大当たりだ。別にいやらしい意味ではなく、人前に出ても見た目が人に近いので誤魔化しやすいという意味である。そう、決していやらしい意図はない。無いのだが……
「こ、これは間違いなく大当たりじゃねぇか!!」
「ふむ?懐かしい気配を感じたと思ったが、どうやら私の勘違いだったらしい。さて人の子よ。私の名はアーネス、私を呼び出した目的を聞こうか?」
俺の呼び出しに応じた悪魔は、何処をどう見ても美人なお姉さんにしか見えない。獣のような鋭い目と、人にはない特徴的な角を除けば、人里に降りても騒がれないだろう。そして何より顔と身体が余りにも良い。これは間違いなくSSR悪魔に違いない。
「実は今契約する相手を探してまして、貴女みたいな美人で強そうな悪魔が仲間になってくれたら心強いと思っているんですが……」
「契約だと……直ぐに悪魔を裏切る癖に……最初から守るつもりなんて無いのに甘い言葉で騙して……都合が悪くなったら捨てるくせに!!」
えっ、何これ怖っ!ダメ男に騙され続けて、歪んだヤバイ女みたいになってる!
「お前もどうせそうなんだろ!あたしを都合良く使い捨てて、最後はボロ雑巾みたいに捨てるんだろ!」
「おいアンタ何いってんだ?!そんな経験今までないし、今後もそんな予定はない!「そんな男なんて皆同じよ!」みたいなくくり方はやめろ!」
「人間なんて皆同じでしょ!」
「より雑になってんじゃねぇか!」
駄目だ!一瞬最高の当たりクジかと思っていたが、こいつも拗らせている事には何も変わりはない!何なんだよこの世界は!先生とエリス様以外に当たりは居ないのか?!
「なら証明してみせろ!お前を信じられるとした根拠を!今までのダメ男とは違うって所をな!!」
「えっと……じゃあ、取り敢えず報酬は先払いにします?」
「………はっ?」
あれ外したか?この方法なら報酬未払なんて起こらないし、一番確実な方法だと思うんだが……
「そ、それは本気で言っているのか?」
「初対面でいきなり信頼を勝ち得る方法なんて無いんだから、報酬を先に渡す以外に俺を信じてもらう方法なんて無いだろ?ただ、俺は魂なんて差し出さないぞ?果たせない約束はしない主義だから、対価がお気に召すかどうかはまた別途相談だからな?」
もしこの悪魔が約束を違えぬ契約主義者なら、向こうから裏切る筈はない。そして報酬先払いなら、対価の内容を確認してから仕事を頼めるので、対価に魂を取られるなんて最悪のケースも起こらない。どれだけ小心者の提案なんだと自分でも思うが、信用を勝ち取るならこの方法が間違いない。
「そんな破格な条件………い、いや待て!そんなことを言いながら、差し出す対価が最初からショボいんだろ!都度交渉と言いつつも、先払いを理由に内容をケチるなどすれば……」
「俺の魔力を込めた手の平サイズのマナタイト鉱石か、日当なら二万エリスくらいでどうかなと………」
悪魔の相場が分からないが、取り敢えず中堅冒険者くらいの日当ならこんなものだろう。それで戦闘力が割に合わないなら、値下げ交渉か他の悪魔にチェンジすることも視野に入れて……
「……よ、よろしいんですか?」
「えっ、何で突然敬語?悪魔の相場は解らないけど、今回は俺もよろしいんですかって感じなんだけど……」
「是非よろしくお願いします!その信頼にお応えできるよう、あたし一生懸命頑張りますから!」
グイッ
「いや顔が近い!と言うか、さっきまでの人嫌いは一体どこへ?!アンタそんな就職氷河期の新卒みたいな反応で良いのかよ?!」
俺の提示した条件が破格過ぎたのか、それとも彼女の心に響く殺し文句があったのか……さっきまで難しいと思われていた契約は、ここに来て向こうから頼み込まれる事となる。それにしても、これはさっきと同一人物なのだろうか?ここまで態度が急変すると、むしろ罠ではないかと疑ってしまう。簡単に探りを入れておくべきか……
「勿論です!!あぁ、あれだけ男運の無かったあたしに、遂にまともな男との縁が……しかもこんなに良物件なんて……ぐすっ…なんか涙出てきた……」
「えっと……契約する前に何があったのか聞いても良いですか?俺に惹かれたって言うより、過去になんか辛い事があったみたいな……」
「良くぞ聞いてくれた主殿!私は以前仕えていた主を救う為に旅をしていたんだが……」
まだ主ではないんだが、既にアーネスの中では契約が完了してしまったらしい。これが悪魔の価値観による自業自得のクソエピソードだったら反応に困るが、一応話だけは聞いておくとしよう。可愛い使い魔の言うことなのだし、他の悪魔と契約するのは、正直怖くて嫌だからな。
……………
「と言うことがありました。あたしがここまで人嫌いになったのは、その紅魔のクソ親子が原因でして……」
「そ、そっか……流石にそれは気の毒だな……」
どうしよう、これどう考えても犯人がめぐみん一家だ。クエスト中にアーネスを呼んだら、その場でめぐみんと喧嘩になる恐れがある。取り敢えず30万エリスは俺が立て替えるとして、前の主の件をどうしたら良いだろう……
「と、取り敢えず!契約したからには俺も以前の主探しに付き合うよ!俺達の関係は日雇いみたいなもんだし、前の主が見付かるまでの関係でも良いからさ?」
「そ、そのようなお気遣いまで?!しかし、その恩に私は報いる事が出来ません。例の一件で力を殆ど失った私では、差し出せるのはこの身体くらいで……」
「この身体って……それはつまり……」
このエロボディが俺のものになるって事だよな?!豊満なのに引き締まったこの身体を、思うままに楽しんで良いって事だよな?!なにそれ最高じゃん!先生とのラブラブエッチも最高だけど、豊満美女のお礼エッチも男の夢には違いないぞ!
「ま、まぁ……それでアーネスの気が済むなら構わないけど?取り敢えず、早い所契約をしよう。俺の師匠を待たせているからさ」
「では………これより我が身は主のもの。我が盟約に従い、この身を貴方に捧げます!」
俺の右手に触れたアーネスは、そのまま自らの魔力を俺へと注ぎ込む。それは身体に吸収などされず、右手の甲へ魔法陣となって残った。どうやらこれが悪魔との契約の証らしい。本人の魔力で描いた魔法陣となれば、確かに何処に居ても召喚が可能だろう。これで以前の主でも見つけた日には、サキュバス店に行くのが馬鹿らしくなってしまう。
「これで契約は完了です。本日より、よろしくお願いします。主様」
「カズマで良いよ。こちらこそよろしくなアーネス。前の主の事は、近いうちに教えてくれよな?」
まぁ、だとしてもそれは主が見つかったら考えるとしよう。俺には先生が居るのだから、アーネスとのエッチはあくまでお礼として割り切る必要がある。そう、悪魔の価値観に従い仕方なく相手をするのだ。それなら先生とて解ってくれる筈だ。まぁ、敢えて言わないつもりなのだが……
「分かりました!ウォルバク様のことについては、また近いうちにお話したいと思います!それにその、身体の相性についても、本番無しで確認しても……」
「そ、それはなんて魅力的な提案!って、ちょっと待て?いま口走った主の名前って……」
「あらあら〜、感動の再開かと思ったのだけど、これはちょっとお話をしなきゃ駄目かしら?」
「ウォルバク様!な、何故このような場所に?!」
あっ、やっぱり聞き間違いじゃなかった!アーネスの主って先生なのかよ!いやでもまだ大丈夫だ!俺はまだアーネスには手を出してないからな!
「……ねぇカズマ。私には変な言葉が聞こえた気がしたのだけど、アーネスとの契約対価は何かしら?」
「ま、マナタイトと現金です……」
えっ、なにこれ疑われてる?俺はまだ何もやましいことしてないのに、なんか先生に疑われてない?!
「ねぇアーネス?カズマは私の弟子だったりするのだけど、変な契約して無いわよね?」
「勿論です!カズマ様は私にとっても大切なお方ですから、決してやましい契約は致しておりません!それにその……初めてを捧げる相手がウォルバク様の弟子だなんて、ある意味運命な気もしてますし……」
あっ、これ駄目そう。そう言えば、悪魔って嘘付けないんだっけか……
「へぇ〜、良かったわねぇカズマ?今日から可愛い悪魔に愛され放題じゃない。大当たりとか喜んでたもんねぇ?」
「違うんです!!俺は本当に先生一筋ですから!アーネスからは気持ちだけ受け取るつもりでしたから!」
畜生!一夜の遊びも悪魔だとバレバレじゃねぇか!と言うかそこの接点は想定してねぇよ!分かってたら欲出さなかったよ!
「えっと……師弟にしてはウォルバク様が過剰な反応に見えるのですが、ウォルバク様とカズマ様の関係はいったい……」
「おぅアーネス。お前もまた間が悪いな。そのサトウカズマってのは、師弟以前にウォルバク様のツガイだぞ?」
「……………はっ?」
あれ?なんだろうこの嫌な空気。ホーストから俺達の関係を聞いたアーネスの顔が、徐々にマジものの悪魔になっているような気が……
「カズマ様。人の交際と言うのは、早い話が異性の独占契約と言うことですよね?」
「そ、そうとも言えるかな……」
「つまり、カズマ様はウォルバク様との契約を反故にし、私にも手を出そうとしたと……と言うことですか?」
「そう言うことに、ならなくも無いかも……」
あっ、なんか俺を見る目が違う!さっきの恋する乙女の目から、獲物を狩る獣の目になってる!
「ウォルバク様………どうぞ」
ガシッ
「えっ、なんで突然俺を羽交い締めに?ちょっとアーネスさん離してくれません?!と言うか先生も無言で詰め寄ってこないで!本当に浮気はしてませんから!」
悲痛な声で許しを請う俺の眼の前に、凍り付いた笑顔の先生が迫る。そして、俺の鼻に指を添えると………
「『クリエイトウォーター』!!」
「ごぼぼぼぼ?!は、鼻の中にそれはやめっ……ツーンってするぅー!!」
契約にうるさい悪魔族は、どうやら契約違反者には容赦がないらしい。異なる価値観を持つアーネスと俺は、今後上手く付き合っていけるのだろうか……
「ぺっ!クズが……」
うん、なんか駄目そうな気がしてきた。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
チョロイン枠のウォルバクに、ツンデレ枠のアーネス。これがこの話のメインヒロインです。と言うことで、ここから魔王討伐に向けて話が加速します。
また不定期更新ではありますが、お暇な時にでもお付き合いください。