かっこいい勇者の物語には絶対にならないこの作品。取り敢えず日常回(本編)で一旦落ち着かせてください。
あっ、平和でもキャラは当然のごとく落ち着きません。
またお暇な時にでもお付き合いください。
魔王軍幹部の熾烈な罠を乗り切った俺達は、砦攻略の報酬を受け取るべくアイリスの元を訪れていた。先生の名前と顔が知られていなかったこともあり、ついでにミツルギの証言もあって、爆裂魔法を撃とうとしたオークが魔王軍幹部であると言うことになったのだが……
「一体何をしてくれているんだお前は!!」
華やかな表彰式の会場で、何故か俺だけ正座である。
「王国軍を守る為に煙幕を使ったのはまだ理解しよう。確かに爆裂魔法を部隊に撃たれれば被害は甚大だ。だがな!だとしてもなんだあの悪臭は?!砦を突破したと言うのに、風下のこちらは悪臭のせいで地獄絵図だぞ!悪臭が原因で前線を押し上げる事も出来ないし、浄化魔法を使いたくとも接近さえ出来ん!これじゃ砦の陥落も意味がないだろうが!お前は何処まで馬鹿なんだ?!」
「お、落ち着いてクレア!お兄様のお陰で魔王軍幹部が倒されたわけですし、匂いさえ取れれば直ぐに反撃に出られますよ!まぁ、その匂いが一向に取れないのが問題なのですが……」
揺動の為に使用した例の煙幕だが、煙幕の範囲より悪臭の範囲の方が圧倒的に広く、前線部隊ははるか後方で悶え苦しんでいたそうだ。その匂いはあまりにも強烈で、先頭を走っていたミツルギがとんでもない変顔となり、あのイケメン成分を完全に消し去ってしまったとか……流石にこれは申し訳ないので、今度お見舞いに行こうと思う。
「ですが、魔王軍を撃退した功績は間違いなく素晴らしいものです。カズマ様には、魔王軍前線部隊を打ち倒した報酬として、総額6億エリス……」
「「「「おぉ〜!」」」」
「から、部隊の治療費と匂いの封鎖作業にかかる費用を差し引きまして、残った2億エリスを進呈します」
「……………ですよね」
畜生!やっぱりオチはこんなのかよ!
………………………………
「改めまして、怠惰と暴虐の女神のウォルバクです。この通り、覚えられる魔法は全部修得済みのちょっと凄いアークウィザードです。今日からよろしくお願いします」
「「「お〜!」」」
普段なら失われた4億に嘆いているだろうが、今回ばかりは状況が違う。今回の勝利で得た1番の報酬は、間違いなく先生のパーティー加入である。ヒュドラに張り合えるアークウィザードが居ると言うのは、やはり安心感が違う。と言うかもう冒険者カードから凄い。見たことない魔法が沢山ある!
「と言うわけだから、今日から仲良くしてくれよアクア。一応女神仲間なんだし?」
「嫌よ!あの仕打ちの後に仲良くしろなんて正気?!そもそも、私はまだ加入に反対なの!あんな必要な栄養が胸にしか行ってない女なんて、絶対にろくなもんじゃないわよ!」
いや、胸に行った栄養は必要かつ立派に仕事をしてるだろ。むしろお前の接種した栄養は何処へ行ってるんだ?少なくとも脳には行ってないよな?
「ちょっと強火過ぎたのは謝るわ。ほら、私のおつまみあげるから、これで仲直り出来ないかしら?」
「ふんっ!そんな安いお詫びで私が許すなんて思わないことね!でも、その殊勝な心掛けに免じて、今回のところは受け取っても……」
すっ『炙りサーモン、炙りベーコン、かつおのたたき、炙ったスルメ』
あっ、これ仲直りする気微塵もない!流石にこのラインナップは天然とかの次元じゃないぞ!いやでもアクアなら気付かなかったり……
「………ありがとうウォルバク。私からもお返しに最高級シュワシュワを御酌してあげるわ」
「あら、ありがとうアクア。私達、意外と上手く付き合っていけるかも……あら?」
トポトポ
いや透明!シュワシュワとは思えないレベルで無色透明!これ完全に浄化した水だろ!こいつら仲直りする気微塵もねぇな!
「「………………ふんっ!」」
ガシッ!
もう組み合ってるし!
「ふざっけんじゃないわよ!人をあんだけ炙っておきながら、よくもまぁこんな態度が取れたものね!」
「そっくりそのままお返しするわ!カズマに免じてあの程度で済ませたのが理解出来ないのかしら!いっそこの家の裏に封印してやろうかしら!」
この屋敷が変な聖地にされるからそれは無しで!と言うか封印を解きに過激派が集まるでしょそれ!
「まったく、本物の女神になんて態度を取るのかしら!そんな態度を続けるなら、水音だけしてトイレがちゃんと流れない天罰を下すわよ!自分の排泄物を晒すが良いわ!」
「残念ね!私も女神だからトイレはしないの!それに、私だって怠惰の女神として天罰くらい出来るのよ!取り敢えず、歯磨きしながら洗濯物畳もうとして、洗濯物の上によだれを垂らさせてやるわ!」
「残念だったわね!面倒な時には歯なんて磨かないわ!」
いやそこは磨けよ。浄化されるんだろうけど、なんか気分的に嫌だから!
「落ち着け二人共!これからは命を預ける仲間なんだぞ!そんないがみ合っていてクエストがこなせるのか?!」
「そうですよ!パーティーにはチームワークが大切なのです。こんな馬鹿ないがみ合いをしていては、カエルだって満足に狩れませんよ!」
いや流石にカエルは狩れるだろ。なんなら、この街でカエルに苦戦するのは俺達くらいだし……
「いいわ。なら、そのカエル討伐で決着を着けようじゃない!私の方が出来る女神だって事を、テロリストの親玉に教えてあげる!」
「受けて立つわ!私が神格の違いって奴を、あんたに教えてあげようじゃない!」
いやなんでアクアが自信満々なんだよ。お前こそカエルに一番弱いだろ?
…………………………
「これで2匹!『ライトオブセイバー』!」
「ぐえぇー」
大方の予想を裏切ることもなく、カエル討伐は先生優位で進んでいる。そりゃアクアにカエルを倒す手が無いのだから、これは分かりきった結果と言えるだろう。ただ、少し気になるのが……
「おかしいわね……そろそろだと思うんだけど……」
「おかしいのはお前だろ。自分から挑んでおいてサボるなよ……」
アクアがここで先生を見ているのは、一体何の冗談なのだろう。
「あのステータスだと、あの邪神は100メートルも走れない筈なのよ。だから、疲れて倒れた所に嫌がらせしてやろうと思ってたんだけど……おかしいわね。冒険者カードに記載ミスなんてあるかしら……」
「そんな貧弱な奴いる訳ないだろ。普段からクエストやら修行やらしてるし、そこまで体力が無いようには見えなかったぞ。冒険者カードにはなんて書いてあったんだ?」
「筋力15,敏捷12,体力8」
「いや幼児かよ?!」
アクアの告げた数値が本当なら、先生は幼児と同じだけの力しかないと言うことになる。そりゃ魔法使いだから力は弱くてもおかしくはないが、いくらなんでもその数値は日常生活にも問題が出る筈だ。あんな重いものをぶら下げてる訳だし、下手したら歩くだけでも重労働なんて事になりかねない。
「ひょっとして……『ブレイクスペル』!」
「ひゃわっ!」
コケッ!
突如放たれた解呪魔法に驚いたのか、先生はその場で尻餅を付いた。ブレイクスペルは解呪魔法だし、これでダメージは無いはずだ。だが、どうしてこんな馬鹿な妨害を……
「や、やってくれたわねアクア!くっ!1度破壊された魔法を再構築するのは、流石に時間が……」
「先生!何してるか分かりませんが、取り敢えずカエルが来てますよ!」
「もう!間が悪いわね!『ライトオブセイバー』!あっ!」
スカッ!
5m先のカエルに魔法が当たらない?!なんか、先生の身体も魔法の反動で大きくブレていたような……
「ごめん!カズマ助けて!」
「は、はい!今直ぐに……」
「ゲコッ」
あっ、不味いこっちにもカエルが?!
「くそっ!アクア、こっちはお前が……」
シュパッ……パクッ
「……ぶはぁ!助けてカズマさん!!」
あ、良かった囮としては機能してる。流石はカエルに食われる事に関しちゃプロフェッショナルのアクアだ!そのまま数分頼む!
「急いでカズマ!このままだとカエルの唾液にぬるぬるにされちゃう!アクアみたいな恥ずかしいことになっちゃう!」
「分かってます!この距離ならギリギリで……」
いやちょっと待て?いつもの先生ならカエルなんて接近さえ出来ない筈だ。つまりこの状況は滅多にない大ピンチなのは間違いない。しかし、だとしてこんな機会はまたあるのだろうか?決して先生が心配じゃないとかそういう話ではなく、先生の防御力というか耐久性と言うか、ぬるぬるになった時のエロさと言うか、仲間としてそこら辺も知っておいても良いような気がしなくもない。
「……間に合うと思います!」
「今ちょっと減速しなかった?!コレは本当にピンチだから!もっと本腰入れて助けに……」
シュパッ………パクッ
「……畜生!間に合わなかった!」
いや別にまだ大丈夫だ。食われたと言えどカエルに歯はない。先生が窒息する前に助けられれば間に合うだろう。つまり、ぬるぬるになって出てくる所を眺めた後でも、決して遅いなんて事は……
「………あれ出てこない?!ちょっ!先生ー!」
…………………………—
「はぁ……はぁ……はぁ…はぁ……はぁ……本当に……死ぬ……所だった……わ……」
カエルを倒して出てきた先生は、今にも死にそうな程に息を切らせて俯いている。そりゃ苦しい思いをしたのは間違いないだろうが、たった数秒でここまで息切れするだろうか?
「私も師匠のステータスは気になっていたのですが、これで何となく予想がつきました。師匠は恐らく、ほぼ魔力だけで身体を動かしていたのではないですか?」
「あら、流石は私の愛弟子ね?私が倒れていなければ、頭を撫でていた所よ……」
「師匠はぬるぬるなのでそれは遠慮します。しかし、まさか魔力だけであんなにも自然に動けるとは、信じられない魔力コントロールですね……」
格闘スキルや剣士のスキルにも、実は魔力は使われている。例えば素人が正拳突きを取得した時、あの有段者のようなモーションを再現しているのは体内の魔力だ。そこに自らの意志やら筋肉の使い方を連動させていく必要はあるが、ただ動かすだけなら魔力のみで可能。それがスキルと言うわけだ。なお、強力な一撃や超高速の動きを再現するには多量の魔力が必要となる為、俺の魔力だと特に凄いことは出来ない。
「ふふふ……化けの皮が剥がれたわねウォルバク!身体を動かすにも魔法を使うって事は、アンタは魔法が無効化されたら役立たずって事よ!やっぱりパーティーには要らない子だわ!」
「魔法使いは基本的に皆そうだと思うが……多少歩けたとしても、魔法がなければ自衛できないだろう?」
「と言うか、これは魔力切れを起こした私と同じですよね?」
「そもそも、魔法使ってもやらかすお前が言うことじゃ無いだろ……」
「最近はそこまでやらかしてないわよ!精々4割くらいじゃない!」
やらかす前提なのがおかしいからな?!普通はやらかさないもんだから!
「と、取り敢えず勝負は先生の勝ちですし、今日は早い所帰りましょう。魔力が使えない状態でも、少しくらいは動けるんですよね?」
「そ、そうね……頑張ってみ“っ……」
ビキッ
あっ、どうしようヤバい音した!今絶対にヤバい音したって!!
………………………………
「流石にもう、隠しきれないわね……」
屋敷のベッドに先生を寝かせ、俺はアーネスと共にこんな事になった事情を聴くことにした。別にアーネスを召喚した訳では無いのだが、先生を風呂をいれようとしたら勝手に出てきたので、恐らく何処からか見ているのだろう。せめて湯上がりに出て来いよ。無抵抗な先生を洗う楽しみをコイツは……
「どうか話してくださいウォルバク様。以前なら100m走を3分で完走できたのに、流石にこれは異常です。やはり、これも封印による弊害が?」
「べ、別に3分もかかってないわよ!2分と40秒あれば完走できるもの!そこまで遅くは無いんだから!」
それは最早完走と言えるのか?そのタイムだと、間違いなく走るって速さではないと思うが……
「でも、確かにアーネスの読みは当たっているわ。永きに渡る封印により、私の魂は2つに裂かれたの。その裂かれた片割れに神格を持っていかれたから、この身体には不自由が多いのよ……」
「ま、まさかそんな事に……片割れの特徴とか分かりませんか?もし片割れを見付けて先生が救われるなら、懸賞金をかけてでも俺が探し出しますよ!」
「なー!」
一見些細な弱点にも見えるが、何故かそれをピンポイントで踏むのがうちのパーティーだ。こういう懸念は早めに潰しておかないと、どうせかっこいいシーンがぶち壊しになったり、馬鹿な理由で俺が死ぬのだ。そんなのマジで御免である。
「ありがとうカズマ、ちょむすけ。私、やっぱり魔王軍じゃなくてこっちに来て良かったわ……」
「俺達だけじゃないですよ。アーネスだって、ここに居ないけどめぐみんやホーストだって手伝います!なっ、アーネス?」
「そ、それに関してはその……私は片割れの方の家臣でもあると言いますか、流石に引き合わせるのが限界と申しますか……」
あれ、なんだこの微妙な空気?こいつは即答すると思ったのに……
「そうね。貴女が忠誠を誓ったのは1つだった頃の私……もう半分がどんな姿でも、変わらず貴方には主だものね。大丈夫よアーネス。たとえどんな姿の私が現れたとしても、その決着は私が付けるわ。だから、引き合わせてくれるだけでいいから……」
「ウォルバク様……」
成程。俺は今の先生しか知らないけど、きっとアーネスの知る先生はまた別人だったのだろう。もう半分がより以前の姿だった場合、こっちの先生は敵になるかも知れない。しかし友好的だったらどうだろう?その時にはワンチャン左右から挟んでもらえたりするのだろうか?
「ごめんね。湿っぽくなっちゃったわね……私の事はちょむすけが癒してくれるみたいだから、2人はご飯でも食べて来て?私にも、適当に野菜の少ない燻製された魚の入ったサンドイッチとか買ってきてくれたら良いから」
「適当にって言う割には具体的ですよね……じゃあ、後は頼んだぞちょむすけ?」
「なー!」
俺達は先生の部屋を後にして、日の落ちた街へと繰り出すことにした。ついでに適当な酒でも買っていけば、喜んでアクアがヒールしてくれるだろう。何だかんだで、アイツも面倒見は悪くない訳だし………
「おいカズマ……ウォルバク様の半身だが、実はあたしには宛がある……」
「えっ?そうなのか?!なら、直ぐにでも先生に……んっ!」
突如アーネスから爆弾発言が出たと思ったら、俺の口はアーネスの手で塞がれた。この真剣な顔を見るに、先生に知られる訳にはいかないらしい。いやそれにしても顔が近い。そして、やっぱりコイツ可愛いよな。不覚にもちょっとドキドキするじゃん。
「騒ぐな馬鹿!これはある意味では主への裏切りだ。本来なら判明した段階で報告し、ウォルバク様の判断を仰ぐべきだった。しかし、あたしはウォルバク様の忠臣。主に恥をかかせる訳にもいかない。だから、これはカズマから伝えて欲しい。アタシが知っていたと言う事実を、ウォルバク様に悟られないように……」
「………分かったよ。お前がそこまで言うなら俺が伝える。安心しろ!俺は先生の恥ずかしくて可愛い姿を死ぬほど見てるからな!それくらいは余裕で…『ガッ!ミシミシミシ……』……すみません!場の空気を和ませようとしただけです!」
何こいつ怖っ!いい意味のドキドキが恐怖に変わったぞ!良いじゃん恋人なんだし!お前も祝福してくれてるんじゃないのかよ?!
「……いつか寝取ってやる」
「そのマジのトーンは辞めろ。生々しくてリアクションに困る」
でも、先生が恥をかくって一体どういうことだ?近くにいるのに気付いてないとか、そもそも衰えに半身は関係ないとかだろうか?
「それで、その半身は何処に居るんだ?先生が恥をかくって、一体何を見てそんな……」
「ウォルバク様の半身は……ちょむすけだ」
…………んっ?ちょむすけって、うちのちょむすけか?!
「いやいやいや!ちょむすけが先生の半身って……流石にそれは気付くだろ?!なんなら、今2人っきりだぞ?!」
「恐らく間違いない……本物にお会いしてからは使い魔か何かかと思っていたのだが、今回の件で半身だと確信した。魔力の波長も同一だし、なんなら魔力の匂いも同じだ。ちょむすけが無条件に懐いているのも、恐らくはそこら辺の影響だと思う……」
何なのあの人!あんな重苦しい感じを出しておきながら、そんな馬鹿な展開ある?!いや確かに色々と抜けている人ではあるけども!だからって自分の半身抱っこしながらあんな話する?!
「じ、自覚症状とかってないのか?ほら、半身が側に居れば回復するとか……」
「流石にそれがあって気付かない筈がないだろう!確かにちょっと抜けている所もあるが、ウォルバク様は女神だぞ?!いくら何でもそこまでアホじゃない!あれはそう、ちょむすけの力が弱り過ぎて、結果的に判別が難しく……」
「あっ、二人共まだ居るじゃない!アニマルセラピーって凄いのね!ちょむすけで猫吸いしてたから回復したから、私も一緒にご飯に行くことにしたわ!って、どうしたのアーネス?」
「なんでもないです……すみません。今日は少しショックな事があったので、私はお先に失礼します……じゃあ、後は頼んだぞカズマ……」
「えっ、ちょっとアーネス?!」
どうしよう凄く嫌なんだけど?!先生に伝えるの凄く嫌なんだけど!!
………………………
「えっ、ちょむすけが私の半身?!」
夕食を食べて一息ついた所で、俺は意を決して先生へ真実を告げた。と言っても俺も確証がある訳では無い。何せ半身なんて居たことがないので、あくまで推測として話をしている。
「せ、先生の分裂が弱体化の原因なら、半身が側に居て回復するって事もありますよね?ほら、元々の先生はそんな貧弱じゃないって話ですし……」
「そ、それは確かにあるかもだけど……でもだからってこれ?暴虐の化身がこんな子猫ってことあるかしら?」
「なー?」
いやそれは俺に言われても困る。何せそれに気付いたのはアーネスだし、俺には判別方法がない。しかし、猫吸いで傷の回復なんて普通はしないし、その懐きっぷりも普通ではない。正直もう、十中八九半身だと思う。
「お、俺も可能性を示しただけですよ?でもほら、一応半身なのか確かめてみても良いかなと……」
「一応って……半身の力を私に戻すには、その半身を消滅させる必要があるのだけど……」
「なっ?!」
「えっ?!」
そ、それは流石に困る!うちのちょむすけはもはや家族!いくらなんでも消滅は困る!半身説は濃厚だが、せめて確信持てるまで保留にして欲しい!
「か、勘違いだったかな!良く考えたら、先生の半身がこんな小動物なはず無いですよね!先生ほどの大魔法使いの半身なんですから、間違いなく神獣クラスの生き物が出てくるはずですよね!」
「な!なー!」
「やっぱりそう思う?!別に自慢するつもりは無いんだけど、この魔力量からしたら大型魔獣くらいは出てくるはずなのよ!それこそヒュドラさえ一掃するようなね!」
そうですね。本当にそういうのが出て来てくれたら、俺も悩まなくて良いんですけど……いややっぱり今のナシ!出てきたら普通に被害が出る!そんなフラグ要らないです!
「でも良かったわ。こんなに可愛い生き物を消滅させるなんて、やっぱり心が痛むものね……」
「そうですね……それは心が痛みますよね……」
すみません!俺はその心の痛む決断を先送りにしただけです!後で間違いなく辛い想いをすることになるんです!俺が2人を養うから、何とかそのままで………
「ふふふ、命拾いしたわねちょむすけ?同じ男に惚れたよしみで、今回は特別に見逃してあげる。私が消滅する前に、ちゃんと片割れを探すのよ?」
「なー!」
いやちょっと待って消滅すんの?!半身見つからなきゃ先生が消滅すんの?!それって二人共は選べないってことじゃん!いや無理!可愛い家族と恋人を天秤にかけるなん俺には無理!こんなの残酷過ぎるって!
「ち、ちなみにですけど、半身以外に先生の力を元に戻す方法とかってありませんか?」
「これでも女神だから、一応信者が増えたら回復するのよ。でも、怠惰と暴虐の女神じゃ流石に勧誘も難しくてね……根底は人の神だから、魔物や悪魔じゃ効果が薄くて……」
「成程。それじゃ、明日から勧誘始めましょうか!」
「いや話聞いてた?!」
例えどんなに困難だとしても、それしか二人の生きる道がないなら仕方ない。あいつらと同類にはなりたくないが、先生のためなら俺は狂信者になってやる!そして、幸せもふもふライフとぷにぷにライフをどっちも手に入れてやる!
「………まぁいっか?消滅まで1000年くらいあるし、毎年1人増えたらラッキーくらいの感覚で……」
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ここからちょっと日常が続き、そして魔王編へ向かいます。
やりたいこと好きにやるスタンスなので、また脱線したらすみません。
また不定期ではございますが、お暇な時にでもお付き合いください。