ヒロインと言うかもはやチョロイン。魔法以外はポンコツな女神を信仰したい方はこちらにお並びください。と言うことで勧誘回。前回の失敗を引きずりながら、アクセルで新たな宗教が爆誕します。
またお暇な時にでもお付き合いください。
先生がマジの女神だと知った時、正直俺はそこまで驚かなかった。何処か常識外れな言動に、最早チートとしか言えない魔力量、そして人並み外れた美貌とプロポーション。身近に女神がいる俺にとって、そしてその女神が思ったより残念な事も相まって、先生が女神だと言われた時、否定する理由は無かった。無かったのだが……
「良いじゃない呼び捨てで呼ばれたって!私だって女の子なの!好きな人には甘えたいの!出来ればエスコートして貰いたいの!」
「いや女神って人々をエスコートする側なんじゃ……」
うちの女神は、揃いも揃って神様には向いていない気がしている。
……………………
「ち、違うからね?!名前で呼ばれたいって言ったのはプレイって言うか!カズマが喜ぶから言っただけだからね?!」
事後の仮眠から目覚めて最初に聞いたのは、以上の先生の言い訳だった。そりゃ確かに言われたら嬉しい言葉だし、先生ならサービス精神で言ってくれることもあるだろう。だが、その弁明をするのなら、せめて体勢は変えるべきだったと思う。俺の腕にしがみついたままこんな事言われても、ただのツンデレプレイにしか聞こえない。
「と、取り敢えずそれは分かりましたから、まず右腕を解放してくれます?」
「へっ?!あっ!!」
さっ
正直そんな気はしていたんだ。基本的には俺にエスコートを任せるし、寝る時には俺の腕を枕にしているし、酔ったら頭を撫でろと強要されるし、この人はきっと彼氏に甘えたいタイプなのだろう。神様と言う立場からしたら、中々際どい話ではあるが……
「と、取り敢えず、今は勧誘に行きましょう!ちょっと欲望を垂れ流しましたが、本当に真面目な作戦も用意してます!だから先せ……」
「むぅ……」
ぷく〜
「えぇ……」
一体どこら辺がプレイだったと言うのだろう。先生呼びに戻した途端、明らかに顔が不機嫌になっている。自分から変な弁明しておいて、流石にその反応は不条理ではなかろうか。一応確認の意味も込めて、試しに名前で呼んでみるか……
「……ウォルバク」
「はーい♪」
ニッコニコじゃねぇか。さっきの話どこいった?
「えっと……呼び捨てオッケーならさっきの弁明は……」
「ほ、本来なら目上の人を、ましてや女神を呼び捨てにするのは良くないことよ?でも、パーティーとしてはカズマがリーダーな訳だし?どうしてもと言うなら呼び捨てを認めてあげなくもないかなって……」
成程。自ら呼び捨てを望むのは癪だけど、俺が呼びたくて呼ぶのは認めてやろうって話か。周りから見たら同じだと思うが、なんだろうそのこだわりは……
「言いたいことは分からなくも無いですし、俺だって呼び捨てしあう関係には憧れますが……」
「じゃ、じゃあ特別に……」
「ですが!これから俺達は勧誘に向かう訳です。そこで女神様が街で話題のクズに呼び捨てにされてるとか、流石にイメージ悪いと思いませんか?」
「そ、それはえっと……」
先生の申し入れは正直嬉しいが、だとしても今は状況が悪い。これから信者を増やそうと言う時に、御神体が信者に呼び捨てにされるなんてどんな状況だ。お客様は神様とか言うが、流石に本物の女神は超えちゃ駄目だろ。
「と言うことなんで、ウォルバク様ではどうですか?名前で呼んでれば、少しは気分違いますよね?」
「えぇ……カズマが様付けするとなんかイヤらしい……足とか舐めそう……」
「どんな偏見ですか?!いくら俺でも、流石に足は差し出されなきゃ舐めませんよ?!」
「そ、そうよね〜!って、なんか後半おかしくなかった?!」
あれ、普通は舐めないのか?!先生って基本的に体臭ないし、凄い美脚だし、美人の足ならご褒美なんだけどな。駄目だったのか……
「じゃ、じゃあ……もう少し譲歩してウォルバクさんで……」
「う〜ん。それならギリギリオッケーかしら。私がカズマさんって呼べば……」
「いや先生が同じレベルに降りてきてどうするんですか?!それじゃ完全に対等ですよね?!先生は女神として、もう少し威厳のある態度を取ろうとは思わないんですか?!」
いや確かに威厳のある姿は殆ど見た覚えがないけども!だからって俺の下に就こうとするのは辞めてくれ。絶対に俺が弱み握ったとか言われるから!
「良いじゃない呼び捨てで呼ばれたって!私だって女の子なの!好きな人には甘えたいの!出来ればエスコートして貰いたいの!」
「いや女神って人々をエスコートする側なんじゃ……」
「そうだけど……女神だけど女の子だもん……」
どうしよう駄目そう。駄々っ子になると譲らないからなこの人。押し通しても顔に出ちゃうだろうし、その場の嘘とか苦手なタイプだし……仕方ない。俺が白スーツの真似をするのはなんか嫌だが、会話を聞かれない方法でいくか………
…………………
「えぇ〜、お忙しい中集まってくれた皆様……って流石にお前ら暇すぎるだろ?!殆ど全冒険者いるんじゃないか?!」
めぐみんを使ってギルドに冒険者を集めさせた所、待っていたのはほぼ全ての冒険者。確かに暇なシーズンではあるが、クエストボードが真っ白なんてことは無い。こいつら、どんだけやる気が無いのだろうか……
「良いから始めろよカズマ!」「その美人さんは誰なんだ?」「恋人がいるのかも教えてくれよ!」「パーティーへの勧誘は良いのか?!」
「お前ら美人につられて集まりやがったな?!今から説明してやるから待ってろ!それと、悪いが勧誘はお断りだぞ!」
めぐみんのやつ、ひょっとして美人で巨乳のアークウィザードとか言って人を集めてないか……そりゃこの街には女性オンリーのパーティーは殆ど居ないし、男を釣るにはそれが手っ取り早いのも分かる。しかし、流石にそんな露骨な方法では、宗教勧誘なんて出来るだろうか……
「勘違いがあると困るから先に伝えておくぞ。まずこちらの方は……」
「本物の女神様です!!」
「「「「「「………えぇーー!!」」」」」」
いやそこお前が言うなよめぐみん!なんか話変わってくるから!お前が言うとなんか怪しくなるから!
「えっと、これは打ち合わせとは違うような気が……」
「すみません。すぐに軌道修正するので、ウォルバクさ……ウォルバクは女神感を出して座っててください」
「う、うん。信じてるからね?」
ヒソッ
くっ!アイリススタイルで会話すると顔が近くてドキドキする!一応法衣を着せてはみたが、身体がエロすぎて悪の女幹部みたいになっててむしろヤバい!刺さる!急いで女神だと認識させなきゃ、ただのエロ可愛い人の紹介で終わってしまいそうだ!
「あ、頭のおかしい奴が言うと信用ならないと思うが!これはマジの話なんだ!ここに居るウォルバクさんは、本物の女神で……」
「いや、それに関しちゃこの街のクズ代表が言っても信用はないだろ?」
「……くっ!」
余計なこと言うなよダスト!それはマジで否定できないから困る!というか、お前にだけはクズとか言われたくないぞ!まだ俺のがマシだろ!
「成程。それで私達に入信を勧めたいって訳ね。その手に持ってる紙って、見たことないマークだけど入信者でしょ?」
「さ、流石はリーン。目敏いな……」
どうしよう。頭のおかしい馬鹿のせいで、何もかも予定から外れてしまった。こんな状態で勧誘なんて言われて、不信感を持つなと言うほうが無理がある。エロ可愛いので入信しますなんて言われても、間違いなく信仰心は芽生えないだろうし、何とかここから逆転の一手は……
「なら1枚頂戴。名前だけで良いんでしょ?」
「えっ?良いの?!」
思いもよらぬリーンの対応に、先せ……ウォンバクも自然と声が漏れてしまう。しかしこれは仕方ない。見ず知らずの女神を突然信じるだなんて、どんなお人好しでもそうそうない。
「勘違いしないで。ウォルバクさんとカズマを無条件で信じた訳じゃないから。ただ、細く真っ直ぐに飛ぶクリエイトウォーターとか、炎が全く揺らがないティンダーとか、カズマの魔法って全部ウォルバクさんに習ったんでしょ?女神として信じるかはこれからだけど、魔法使いとしての貴女は信じられると思ったの。教えを請うなら、入信くらいしなきゃ悪いじゃない?」
「ありがとう……信頼を裏切らないように頑張るから、魔法のことなら何でも聞いて!」
一見地味な日々の努力が、こうして生きる事もあるらしい。ゲーム以外の何かを本気で頑張ったのは初めてだが、こうして褒められると誇らしいな。これからも、魔法の特訓は頑張ろう。まぁ、今はアーネスのパンツ盗るだけなんだけど!
「私も魔法学校出てるのに、身近にゆんゆんとか居て立場がないの。だから、私もカズマの特訓に参加させてよね?」
「おう!そう言うことなら、俺も大歓げ……」
あれ、ちょっと待て?俺の特訓に性欲に依存しないものあったか?リーンが一緒に参加すると、最初のクリエイトウォーターの特訓でリーンの服がスケスケになるんじゃないのか?!いやでもあくまでトレーニングですし?決していやらしい目的ではないので、俺が非難される事は……無いはずだけど黙っとこ!
「あっ、それじゃ取り敢えず水着がいるわね!基本的には危険のない水魔法で訓練するから、濡れて良くて動きやすい水着の準備は必須よ!」
「み、水着ですか……いや、別に持ってないことは無いんですけど……それを前に水着になるのは……」
リーンの苦笑いの理由は、多分目の前の比較対象だろう。あのボリュームを前に水着になれと言われたら、誰だって自信をなくすに決まっている。しかし、ウォルバクから言い出してくれたのは助かる。これなら俺は変態扱いされることはない。ありがとうウォルバク。これからはリーンの水着も楽しめる訳だし、俺としては良いことしかないな。
「お、おい待て?今、ウォルバクさんの魔法訓練は水着って言ったよな?!つまりそれは、あのボリュームの水着を間近で見られて、しかも魔法も強くなれるって事じゃねぇか?!」
「ま、マジかよそれ?!おいカズマ!俺も入るぞ!なんなら今からでも魔法職に転職する!」
「おい待て!それじゃパーティーの前衛はどうすんだよ?!」
「それはお前がやれ!」
「魔法の上達は私もしたいわ!」
「1流アークウィザード直接コーチなんて、良く考えたら凄い破格よね!」
「えぇ、魔法なら任せてくれて良いわよ!」
巨乳、水着、そして魔法の上達と、三拍子揃った提案を前に、アクセルの冒険者達は次々と入信書にサインをしていく。何となく狙いがズレている気がしなくもないが、ウォルバクが良いならそれで良い。そのおっぱいの水着は高く付くと、近いうちに分かるだろう。とは言えこれで信仰心は手に入った。これでもう、消滅することはない筈だ。
「ちなみに、入信者は全員爆裂魔法を覚えるのがこの宗教の教示です。そう、この爆裂教の教示なのです!!」
「「「「「「「…………は?」」」」」」」
えっ、ちょっとアイツ何言ってんの?いくら何でもそんな馬鹿な話がある筈が……
「おや、その顔は信じていないようですね?では、ここでもう一つ大切な情報をお教えします。なんと!そこのウォルバクさんは私の師!つまり爆裂魔法の元祖とも言える方なのです!」
「どういうことなの?!私は全魔法を使えるだけで、別に爆裂魔法が好きな訳じゃないって言ったわよね?!と言うか習得も止めたわよね?!あと、私の宗教に変な名前付けないで!」
「お、おい待て……今ウォルバクさん、師の部分を否定しなかったぞ?!」「それどころか教えたって認めたよな?!」「ま、まさかマジなのか?!頭おかしいのの師匠だって言うのか?!」「さ、流石にそれはヤバすぎるだろ?!大人しそうに見えて狂ってるってことじゃねぇか!」「にゅ、入信書ってどうやって無効化するんだこれ?!」
おっぱいに釣られたアホ共にとっても、流石に頭のおかしい爆裂娘は許容できないらしい。悪魔である淫魔にエロいサービスを依頼する癖に、めぐみんはそれ以上に危険だと思われているなんて……どうしよう、全面同意だから何も言えない。
「普通はあんなハイリスクな魔法勧めないわよ!魔力コントロールの訓練だけなら初級魔法で十分だし、スキルポイントだって馬鹿にならないからね!」
「大丈夫ですよ師匠。魔法を極めしものは、結局最後に爆裂魔法に行き着くのですから!」
「それスキルポイント余ってからの話よね?!」
俺が止める間もなく始まった討論は、既に入信の話より盛り上がってしまっている。これではウォルバクの女神としての威厳とか、なんなら入信希望者も離れていってしまう。本来なら止めなきゃいけない所なのだが……
「ウォルバクさんは結構普通ね?」「女神とか言うからちょいとヤバい奴かと思ったが、身体と性格がこれなら別に問題ねぇな」「むしろ親しみやすくて良いんじゃない?本当に女神かは、そのうち分かるだろうから」「あんだけ美人でいい人だって言うなら、もはやそこはどうでもいいだろ?紅魔族とも悪魔とも仲良くやるのがこの街だしな」「だよな!エルフでも人でも女神でも、俺はウォルバクさんなら問題なく抱けるぜ!」「おっと!抜け駆けはさせないぞ!」
自称女神にも変人にも慣れているこの街の住人にとって、もはやそんなのは些末な問題らしい。親しみやすさと人柄さえあれば、案外簡単に受け入れて貰えるらしい。しかし、それならそれで牽制は必要だろう。親しみやすくて狙われるなら、誰のものかは先にハッキリしておかないとな。
「盛り上がっている所申し訳ないが、ウォルバクはもう俺の女だ。残念だが、もう君達にチャンスはないんだよ。なぁウォルバク?」(イケボ)
「へっ?!い、いやそれはそうだけど……でも、人前で言うのは……」
愛らしく照れるウォルバクの反応に、一転して静まり返る冒険者ギルド。それも仕方のないことだろう。この国のエースと女神の交際なんて、一体誰が割って入れると言うのか。こんなにも羨望の眼差しに晒されるなんて、俺達はなんて罪作りなカップルで……
「せいっ!」
パンッ!
「ぶふっ!」
なんて余裕をかましていたら、右の頬に叩き込まれたリールの張り手。ここで俺が殴られるとしたら、それはもうヤキモチとかそういう類の話しかない。まさかリーンが俺狙いだったとは、それにしたって暴力はよくないな!
「おいリーン!いくら俺が取られたからって暴力に訴えるなよ!それに、お前にはダストが居るだろ!」
「ば、馬鹿言わないで!カズマなんてどうでも良いし、ダストと私はそんなんじゃないから!カズマこそ、一体どんな手でウォルバクさんを脅したのよ!」
えっ、なにその偏見?!そりゃ見た目には釣り合ってないと思うけども、それにしたって脅したってことはないだろう?!
「あの……大丈夫ですかカズマさん?」
「ルナさん!ありがとうございます!リーンに言ってやってくださいよ!これだけ武勲をあげた俺に対し、こんな偏見は……」
「どんなに武勲をあげたとしても、洗脳や脅迫をして女性を娶るなんてしてはならないんです。カズマさん、あなたの倫理観は大丈夫ですか?」
「そっちの大丈夫?!」
なにこれ酷い!なんかもう誰も俺を助けてくれないじゃん!
「クズだとは思ってたけど、遂に一線を超えたな……」「今更拘置所で反省するとも思えないが、流石にコレは……」「衛兵さんこっちです!」
まさか、ここまで見事に信じて貰えないなんて予想して無かった。どうして俺の評価だけはこんなにも低いままなんだ。俺は英雄じゃなかったのかよ?もう二度とこの街のために戦わないからな!
「ちょっと待って!カズマを責めるのは辞めて!」
「……ウォルバク」
激しく打ちのめされた俺の前に立ったのは、被害者として女性陣に庇われていたウォルバクだった。良く考えたらこの状態、ウォルバクがはっきりと否定してくれれば話は終わる。恋人関係って言うのは本来当人同士の問題なんだから、ウォルバクの弁護があれば俺は無罪になる。今回は別にやましいことは無いのだから、それで全て解決じゃないか!
「ウォルバク言ってくれ!俺は一線は超えてないよな?!」
「へっ?!いっ、一線はえっと……今朝も超えてるけど……」
「このクズ野郎が!!」
ズドンッ!
「ぶふぁ!」
リーンのやつ魔法職とは思えないボディブローを!と言うかそっちじゃない!一線超えるってそっちの意味じゃない!遅れてきた思春期を晒してる場合じゃないから!
「今朝にも重ね掛けを施してるなんて……倫理的な間違いを認識出来なくなる洗脳はもはや悪質を超えて正気を疑うわ……術者を殺して解除するべきかしら……」パキパキ
「ちがっ……これはそういう意味じゃなくてだな……と言うか一線の意味がだな……ごふっ!」
なにコイツ怖っ!流石にここまで露骨な殺意を向けられたこと無いぞ!と言うか指鳴らすな!お前は本来魔法職だろ?!
「ち、違うの!私相手に洗脳とか無理だし、カズマはそんなことしないわ!」
「じゃあ、今の一線ってどう言う意味よ!術者を守る為に言わされてるんじゃなきゃ、さっきの一線の意味が分からないじゃない!」
男女の一線が分からないなんてことある?!なんなら人としての一線の方があまり使わねぇだろ?!いや俺は後者のほうが使ってますけども!
「えっ!今のわからないんですが?!」
「えっ?ルナさんわかるの?!」
「そ、そりゃ私だって大人ですし……でもそれを説明するのは……えっと……」チラッ
「……ごほごほ…ごふぅ」
ルナさんの目が俺に助けを求めているのは分かるが、残念ながら俺は今被害者である。本当はとても助けたいのだが、あんな見事なボディブローを食らっては、すぐに声なんて出せる筈がない。そう、とても遺憾ではあるのだが、ここはルナさんに説明して貰うしかないのだ。本当に遺憾ではあるが!
「教えてルナさん!確かにカズマはクズでモテないけど、やっぱりそこまでの事をするとは思えないの!もしこの一線が違う意味なら、カズマは無実の可能性もあるわけでしょ?!ウォルバクさんが本当の事を言えるか分からないし、今はルナさんの話が一番信用できるわ!」
いきなり張り手したのリーンだけどな?それは、お前が言うセリフじゃないんだよ。そう思うなら話くらい聞け。
「そ、それはその……一線というのは多分、男女関係の事で……カズマさんがその……ウォルバクさんを……」
「そんな勿体ぶらないで!一体カズマは何をしたの?!」
「ですからその……オシベとメシベが………」
「「「「オシベとメシベが?」」」」
「皆さんは分かっている筈ですよね?!」
真っ赤になって必死に声を絞り出すルナさんへ、更に追い討ちをかける変態冒険者共。よくよく考えたらそこまでして俺を庇う必要はないのだが、やはり根が生真面目なのだろう。ありがとうございますルナさん。そして、ご馳走様です。
「つ、つまりえっと…ウォルバクさんとカズマさんはその……せっ……くちゅ……をしたってことだと……」
「「「「「「ご馳走様です!!」」」」」」
「本当に怒りますよ?!」
「えっ……それってつまり……男女の……えぇー!!!」
一線の意味を説明したルナさんと、内容を察したリーン、ついでに盛大に自爆したウォルバクの顔は、まるで茹でたザリガニのように赤くなっている。何にせよ怒られる空気では無くなったので、今はそれを喜ぼう。勧誘に来て逮捕者が出たなんて、それこそアクシズ教みたいな団体だと思われてしまう。せっかく仲間が増えたと言うのに、そんな風評被害は受けたくない。
「ご、ごごご御免なさい!まさか2人がそんな深い関係だったとは思わなくて!そうですよね!カズマのレベルでウォルバクさんの洗脳なんて無理ですよね!私ちょっと混乱してて!」
「ご、誤解が解けたなら良いから!なんとなく良くはない気もするけど!取り敢えずもうこの話は終わりにして!」
仲良きことは美しいかな。そして恥じらう乙女は素晴らしきかな。多少のすれ違いはあったにしても、初めての勧誘は何の問題もなく終わりを迎えられそうだ。一時はどうなる事かと思ったが、終わり良ければ全て良し。勧誘初日と考えてみれば、中々悪くない結果だと思う。
「すみませんカズマさん。ちょっとお時間良いですか?」
「あっ、セナさんお疲れ様です。お騒がせしてすみません。さっきの件は勘違いでして……」
普段ならここで誤認逮捕されるまでがフラグだが、今回はそれさえも見事に回避した。やはり持つべきものは出来る女神。アクアのようなトラブルメーカーではなく、ウォルバクのような実力派の女神こそ、俺の冒険には必要で………
「勘違いですか?さっきギルドを覗いていた女性が、「カズマさんが女性を辱めて居た」と聞いたのですが?」
「いやそれが困ったもので、俺とウォルバクの関係が怪しまれてたんですよ?俺達の関係は決して不健全ではないので、その件はただの勘違いで……」
「いえ、何でも公衆の面前で、性的行為の説明を強要されたとかでして……」
あっ、どうしよう別の問題だった。確かにそこだけ切り取られると俺が悪い気がしなくもない。しかし、それはあくまで勘違いから始まった話であり、リーンとルナさんに俺を責める意志は……
「「「「「「「あっ、それはカズマです」」」」」」」
「おい待て!いや結果的には俺のせいかも知れないが!だとしてお前らがそれを言うのか?!いや違うんですセナさん!これには複雑な事情があって……」
「分かっていますよ」
さ、流石セナさん!あいつらのリアクションから俺を売ったのが分かったんですね!信じてました!俺は貴女の事を信じてまし……
「詳しい話は署で聞きますので、無駄な抵抗は辞めましょうね?分かってます。ちゃんと情状酌量の余地はあると思ってますから……」
「あっ、完全に無罪って信用はないんですね……」
「あると思ってます?」
冷ややかな視線に晒されながら、俺は真っ赤になって俯くウォルバクを見た。こう言う時こそ神頼みなのだろうが、この世界の女神は頼んだところで問題を大きくしかねない。いや本当に、何でこの人達が女神なんだろうな……
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
最終決戦に向けての伏線?らしきものを張っていますが、安心してください。そんなに真面目に読まなくて大丈夫です。全話そうなんですけど!
また不定期ではありますが、お暇な時にでもお付き合いください。