※この作品はR-18です。

この怠惰な女神に信奉を   作:熱心なエリス教

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いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

脱線まみれのウォルバクのサブストーリーも、そろそろ真面目に終着に向かいます。と言うことでちょむすけ回です。安心してください。終着に向かおうとちゃんと酷いです。

またお暇な時にでもお付き合いください。


この愚かな女神と半身と

探し物と言うのは、探そうと思っても見当たらないものだ。しかし、こういうのは思い掛けないタイミングで進展したりする。そう、例えば諦めた時とか、その存在を忘れた時とか……

 

「ねぇ、カズマあった?」

 

「こっちにはなさそうだ。めぐみんの方はどうだ?」

 

「それらしき物はありません。ダクネスは?」

 

「こちらもだ。と言うか、ウォルバクの耳にイヤリングは付けられるのか?そのエルフ耳には耳たぶなんて無いだろう……」

 

「が、頑張れば着けられるのよ!そりゃ、ちょっと抜けやすいとは思うけど……」

 

私が落としたイヤリングは、皆で探しているのに見当たらない。そして諦めようかと思った時、転機は突然訪れた。

 

「なー」

 

「あっ、良くやったわねちょむすけ!まさか貴方が見付けるなん……えっ」

ピリッ

 

「なっ?!」

 

イヤリングを咥えたちょむすけに触れると、指先に伝わる独特な感覚。これは魔力の同調と存在の共鳴。魔法に精通しているからこそ分かるこの感覚は……

 

「ちょむすけ……まさか、貴方が私の半身なの?!」

 

「な〜?」

 

この抱き上げた時の感覚は間違いない。これは使い魔を召喚し、それを身体に戻す時の感覚だ。元々同一の存在が溶け合うような、自分が複数存在する矛盾に呑まれるような感覚は、それ以外にあり得ない。

 

「「「あっ、やっと気付いた」」」

 

「えっ、どういう事なの?今やっとって言った?」

 

というのも割と鈍った感覚だったらしく。私はまぁまぁ恥をかくことになった。

 

………………………

 

「申し訳ございませんでした!この罰は如何様にも……カズマ諸共如何様にも!」

 

「おい!俺を巻き込むんじゃない!元はと言えば、アーネスが早く言わないからだろ?!」

 

土下座で許しを請うアーネスの姿を、私は真っ赤になって見下ろしている。まさか私とアクア以外の全員がそれを把握して居たなんて、さっきまでシリアスな雰囲気を作っていた自分を殴りたい。と言うか、なんで今まで気付かなかったのだろう。添い寝も餌やりもしているのに、ここまで気付かないことあるかしら。

 

「い、一応師匠に気を遣ってそれとなく伝えようとしたんですけど、それも上手くいかなくてですね……ほら、部屋看板にちょむすけを書いてみたりとか……」

 

「あっ、あれそうなの?可愛い絵が描かれてるとしか思わなかったけど………」

 

分かる訳無いでしょそんなヒント。と言うか、皆が答えを知ってる前提じゃなきゃヒントとは思えないわよ。もし名前を書かれたとしても、相部屋って意味にしか感じなかっただろうし……

 

「俺も先生のおにぎりだけちょむすけの形にしたこともあったんですが……ほら、食べたら一体化って思うかなって……」

 

「あんなの可愛い以外の感想でないから!食べて1つになるとか思わないから!」

 

これ、間違いなくヒント出す方にも問題あるわよね?私だけの責任じゃないわよね?

 

「それでその、ウォルバク様の半身は明らかになった訳ですが、やはり1つに戻られるので?」

 

「あっ、そう言えばそれで探してたんだっけ……」

 

信者獲得で多少は力が戻ったから、あんまり気にしてなかったわね。でも、確かに戦闘力も上がるし、一応戻る意味はあるのよね。

 

「あの、ウォルバク様?今、そう言えばと仰りました?」

 

「そ、そそそんな事ないわよ!元に戻るのは私の悲願だもの!そんな忘れるなんてこと……」

 

「……本当に?」

 

「………ごめんなさい。忘れてました」

 

「そうですか……」

 

ごめん!反省してるからそんな絶望顔しないで!残機減らしてまで頑張ってくれたのに本当にごめん!今度ケーキ奢るから!

 

「でも、師匠と一体化するとなればちょむすけは……」

 

「仕方ないんだめぐみん……これが本来の姿なんだ……くっ!」

 

「皆で話し合っただろ?ウォルバクの決断を尊重するってさ……ぐすっ」

 

「うぅ……我々の事は気にしなくて大丈夫です。なのでウォルバク様、どうかご決断を……」

 

「いや無理!この空気の中ちょむすけ消滅させたら、もう人としてアウトでしょ?!」

 

と言うか、皆分かっててやってるでしょ?!これ完全に確信犯でしょ?!

 

……………………………

 

「成程。それで私達に協力を……」

 

「何と言うか、アンタも大変なのね……」

 

ちょむすけ消滅を認めないなら、両者が残る選択しかない。となれば現実的なのは、使い魔としてちょむすけを再度召喚する方法だ。ただ、普通の召喚では直ぐに消滅してしまうので、それなりの魔力で身体を作る必要がある。と言う事で呼び出したのが、元魔王軍幹部のメンバーだ。

 

「私は召喚に集中するから、カズマは皆の魔力を使ってちょむすけの身体をお願い。いつも一緒に居たのだから、イメージの構築はバッチリよね?」

 

「任せてください。ちょむすけが生きていく身体ですから、俺が最高の身体を構築してやりますよ」

 

召喚魔法と肉体生成魔法の同時展開は、流石の私にも難易度が高い。身体の生成はカズマに任せ、私がその身体に魂を定着させる。今できる方法でちょむすけを救うなら、この方法が1番確実だ。

 

「ねぇねぇカズマさん?ちょむすけって、確か口から高級シュワシュワを吐くんじゃ無かったかしら?」

 

「おい、ちょむすけの身体に自分の願望を混ぜようとするな!俺のイメージが鍵になるんだ。ちゃんと集中させてくれ!」

 

アクアだけは摘み出した方が良かった気がしなくもない。けど、女神だから魔力量は多いし、ここで選り好みなんてできないか……

 

「我が魂の片割れよ。汝に新たな生命を与える。その身体に宿る確かな意志を、新たな身体へ宿すが良い!」

 

「今です!行きますよカズマさん!」

 

私がちょむすけを取り込むと同時に、ウィズがカズマに魔力を流す。その膨大な魔力は質量を持ち、カズマのイメージを具現化する。そこに魂が宿ることで、その身体は新たな生命を得るというわけだ。

 

「良いわ!そのままイメージを固めて!私の半身を、この世界に再び呼び出すのよ!」

 

「任せてください!戻ってこい!ちょむすけー!!」

カッ!

 

眩い光に辺りが包まれ、私はゆっくりと膝をついた。魂を分けるこの疲労感は、何時までも慣れることはないだろう。しかし、この疲労感こそ朗報だ。こうして感じる気怠さこそ、魔法が成功した証で……

 

「な〜?」

 

「………どういうことなの?」

 

そんな疲労感も達成感も、目の前の光景に掻き消されてしまう。それも当然と言えば当然だ。ちょむすけが居ると思ったその場所に、何故か私が居るのだから………

 

「し、師匠が2人居ますよ?!」

 

「いや待て!こっちには猫耳が付いている!つまり、こっちがちょむすけって事じゃないのか?!」

 

「なー!」

 

取り敢えず、私の身体が無事で良かったわ。もし2人の身体が逆にでもなれば、多分儀式がやり直せない。でも、私が2人居るって話になると、その原因は………

 

「………ねぇカズマ」

 

「はいカズマです」

 

「あなた、肉体生成の時に何か余計なこと考えなかった?例えば、私の身体のことだとか……」

 

「わ、私の半身とか言うので……ついウォルバクの双子って想像を……」

 

「なんでこの土壇場で余計な事を考えるのよ?!」

 

「すみません!」

 

そりゃ確かに双子みたいなものだけど!と言うか元々同一だし、こうなってた可能性はあったけど!

 

「な〜?」

 

「うわ〜……いい歳した女神が猫耳つけて猫語とか……流石にちょっとキツイんですけど……」

 

「触れないで!それ一番キツイの私なんだから触れないで!」

 

アクアに言われると凄く腹立つけど、私から見てもキツイから強く言えない。と言うかこれ、身体の生成やり直しじゃないの!

 

「いいちょむすけ!儀式をやり直すからちょっと待ってなさい!その身体で変なことしたら、マジで消滅させるからね!」

 

「なっ?」

 

「それも駄目!」

 

私の身体で可愛く首を傾げるんじゃないわよ!キツイから!自分のそれ見るの結構キツイから!

 

「大丈夫だって、中身はあくまでちょむすけだ。普段からとても良い子だし、こうして優しく撫でてやれば、ちゃんと大人しくなるよな?」

 

「なっ……なぁ〜……にゃうん……」

 

「ちょっ!なんか凄いエッチな顔してるんだけど?!」

 

いつも何気なく撫でてたけど、なんかこうしてみると凄くいやらしいわ!そりゃ女の子の身体を撫でまくったらヤバいけども!だからってそのリアクションはアウトでしょ!

 

「な〜……」

ペロペロ

 

「なんだこれ最高かも知れん!」

 

「なに顔をペロペロさせてるのよ!辞めてよ!見てる私が恥ずかしいから!」

 

と言うか抵抗しなさいよ!何甘んじて舐められてるのよ!

 

「か、カズ……かずにゃ……」

 

「えっ、今度は俺の名前を?!」

 

「そりゃ人の身で私の半身なら、人語くらい解するわよ。でも、言えたとしてもご飯とか、精々遊ぼうくらいだと思うわよ?」

 

そりゃペットと話せたら嬉しいだろうけど、そういうのはせめて猫の身体でやって欲しいわ。私の身体でやられると、ただ私が拙く喋るだけじゃない。

 

「かず……にゃ……」

 

「頑張れちょむすけ!かずまだぞ!あと少しだぞ!」

 

「めぐみんと呼んでも良いんですよ!」

 

「ダクネスも出来ればチャレンジしないか?!」

 

「どういうことなの……それ絵面的には私なのだけど……」

 

本当に親馬鹿って言うか飼い主馬鹿って言うか……まぁ、頑張る様は微笑ましいけど……

 

「かず…ま……あの……ね…」

 

「おぉ!なんだちょむすけ?なんでも言ってみろ!」

 

「こうび…しよ?」

 

「しょうがねぇなー!」

 

「はいそこまでー!しょうがなくないから!駄目に決まってるから!と言うか、あんたもなんで最初にそれなのよ!本当にいい加減にしなさいよ!まさかずっと狙ってたとか言わないでしょうね?!」

 

「な〜?」

 

ここに来て猫語に戻った?!本当になんなのよコイツは?!

 

………………………

 

「それで今度は私ですか……まぁ、カズマに頼むとアレですからね……」

 

「アレとか言うなよ。ある意味完全再現だろ?」

 

そもそもスケベなカズマに任せると言うのが、今回の根本原因だと思う。やっぱり元々の飼い主である、めぐみんに頼むべきだった。

 

「じゃあ、もう一回いくわよ!」

 

「はい!」

 

「な〜」

 

高めた魔力をちょむすけに流し、再びその魂を切り離す。魔力で形成された身体は形を失い、今度はめぐみんの手に託された。きっと今度こそ大丈夫。私の恩人で愛弟子のめぐみんなら、間違いなくうまくやってくれる!

 

「我が魂の片割れよ!新たな肉体を手に、再び世界に現出せよ!」

 

「あれ?なんかさっきと呪文違わない?」

 

「あぁ、基本的に魔法陣で発動する魔法に呪文は要らないからな」

 

アクアとカズマは黙ってて!私の気分の問題だから!

 

「私の幼き日からの相棒……私の元に帰ってきなさい!」

 

「良いわ!完璧なシルエットよ!」

 

今度は明確な猫のシルエット!流石はめぐみん!そのままちょむすけをイメージして、無事に儀式を遂行するのよ!

 

「いでよ!我が使い魔……ちょむすけ!!」

カッ!

 

ちょっと使い魔にされてるのは気になるけど、確かに猫の形が浮かんでいる。これなら間違いなく大丈夫!このシルエットなら……

 

「な〜!」

 

「「「「おぉ〜!」」」」

 

完璧!完璧だわ!何処からどう見てもちょむすけそのもの!まさに理想の状態だわ!

 

「やったわねめぐみん!一時はどうなるかと思ったけど、貴女に任せて良かったわ!」

 

「私の可愛い相棒ですから、これくらいは朝飯前ですよ」

 

「良かったわねちょむすけ。これであなたは正式に自由の身で……」

ズシッ

 

えっ、なんかこの子凄く重くない?まさか私の力が奪われてる?いやでも魔法の杖は普段通りだし、ちょっと疲れが出たのかも……

 

「良く頑張ったなちょむすけ。ほら、お気に入りの猫じゃらしを……へっ?」

スンッ………パラパラ……

 

ダクネスが取り出した猫じゃらしが、何故か突然空中分解する。それは鋭利な刃物で切られたかのようであり、切れるとしたらもうちょむすけしか居ない。いや確かに研いだ爪は良く切れるけど、だからってこんな……

 

「な〜」

シャキーン!

 

「ちょっと?!なんか爪の代わりに鋭利な刃物が飛び出してる!と言うか羽の横にジェット付いてるじゃない!肉球の横には車輪もあるし!!」

 

「す、すみません。少しだけ願望が混ざってしまったようで……」

 

これ少し?!猫って言うか、もう生物に付いてるパーツじゃないでしょ!確かに羽はあったけど、車輪とジェットは何処から出てきたの?!

 

「ねぇねぇちょむすけ。あなた、口から高級シュワシュワとか出せたりは……」

 

「なっ!」

カッ!

 

「ひえっ?!」

 

今度は口からビーム出た!元から炎は出ていたけど、なんでビームを出そうと思ったの?!使い魔って言うか生物兵器じゃない!

 

「これは……有りね!」

 

「分かりますかシルビア。流石は元グロウキメラの依り代ですね!」

 

ガシッ!

 

「そこ!変な所で意気投合しない!これも却下よ!下手したらカズマの屋敷が燃えちゃうから!!」

 

と言うか人の手に余るから!暴虐の野獣のほうがまだ可愛げあったわよ!

 

………………………………

 

「ちょっとやってみたかったんだが、まさか回ってくるなんてな……」

 

「頼むわよダクネス。貴女は性癖以外はまともだと信じてるからね!」

 

「性癖?!くぅ!」

 

消去法になってしまったけれど、こういう時はやはり常識人。ちょっと不器用なのが気になるけど、ダクネスなら馬鹿な事はしないはず。

 

「気をつけろダクネス。それ、ちょっとした妄想にも反応するぞ?」

 

「些細な理想を浮かべるのもアウトですよ?」

 

「むしろ貴方達がおかしいから。その助言、かなり底辺向けだってわかってる?」

 

「流石に家族を取り戻すのに、変な妄想はしないと思うが……」

 

「「ごめんなさい」」

 

うん、やっぱりダクネスって良い子だわ。2人が変な子なだけかも知れないけど、家族を復活させようって時にそんな馬鹿なこと考えないわよね。それが保証されただけでも、全然安心感が違うわ。

 

「それじゃあ……復活しなさいちょむすけー!ほら!ダクネスイメージして!」

 

「こ、こんなイキナリなのか?!ちょ、ちょむすけー!」

 

「遂に呪文がなくなったわね」

 

「まぁ、何度もやるのは恥ずかしいでしょうしね」

 

「感覚を掴むと掛け声だけでいけたりするしな」

 

もう外野は黙ってて!こんなの普通は何度もやらないの!感覚掴むほどやらないものなの!

 

「こ、こんな感じだったはずだー!」

カッ!

 

いや流石にもう大丈夫よね?真面目にイメージしてただろうし、ここまでやってミスするなんてこと………

 

「なぁぁぁ……」

 

「ひっ?!な、なによこのドロドロの化け物!」

 

「せ、生物の形を成してない……」

 

「こんなの、いくらなんでも……」

 

「むしろ、イメージするのが難しいだろこれ……」

 

「そ、そんな筈は……結構真面目にやったんだが……」

 

ダクネスの生み出したちょむすけは、何故か半ゲル状のヤバい生き物だった。その形状は波打つように変化をし、発する声は、もはや声と言えるかも分からない。これはもう不器用と言うか、逆に凄い想像力じゃなきゃ作れないと思う。まぁ、だからってこれを飼いたいかと聞かれれば、多分誰もがNOだろうけど……

 

「こ……こ……」

 

「おい!何か喋ってるぞ!」

 

「き、きっと見た目に反して中身はちゃんとしてるんだ!そうだろうちょむすけ?!」

 

見た目がゲル状の段階で、もはや中身は見えているのよ。まぁ、だとしても心があるなら、何を言うか興味はあるけど……

 

「こ……ころ……し…て……」

 

「ごめん!すぐやり直すから!と言うかその姿で喋るの辞めて!内容もそれはキツイから辞めて!」

 

「ごめんなちょむすけ!!私が不器用で本当にごめん!!」

 

もう今夜絶対に悪夢見るじゃない!こんなの誰も望んでないから!

 

…………………………

 

「術者無しのほうが上手くいくなんて……流石にこれは予想外よ……」

 

何度も失敗を繰り返し、遂にちょむすけは帰ってきた。結局カズマ達は頼りにせず、ちょむすけに身体をイメージさせたわけなのだが、結局これが一番良かった。本当に、役に立たない飼い主達だ。

 

「どうしてもって言うなら私が力を貸したのに……ほ〜らちょむすけ、こんな身体になりたくない?」

 

「なっ!」

シュボッ

 

「あっつい!火を吐かないで!」

 

アクアの持つイメージ図なんて、もはや初心者殺しのような体躯だ。これはこれで強そうだけど、こんなの居たら間違いなく街で討伐される。何処をどう見ても危険生物だし、人と共存なんて出来そうにない。と言うか、口から高級シュワシュワを吐くって書いてんじゃないわよ。それはもう諦めなさいよ。

 

「でも、これで本当に完全復活だな。クエストでの活躍を期待してるぜ?」

 

「えぇ、任せなさい!」

 

でもまぁ、力を失ってたからカズマに会えた訳だし、これからも大事に飼ってあげるわ。感謝しなさい、ちょむすけ。

 

…………………………

 

「ではカズマさん、こちらがワイバーンの群れを討伐した報酬5億エリスです」

 

「嘘だろ……あんな伝説級のクエストを……」「単独パーティで……」「マジで英雄のパーティーじゃねぇか……」

 

私に暴虐の力が戻り、その力はあるべき姿を取り戻した。その力はまさに厄災と呼ぶのにふさわしく、爆裂魔法を放てば龍の大群さえ消し飛ばす。そんな力を使った事で……

 

「そして、消し飛んだ農地の補填に2億エリス、消えた山の賠償1億エリス、河川の再生費用4億エリスを差し引きまして、合計2億エリスの賠償金になります」

 

「………持っていってください」

ドサッ

 

「はい。ありがとうございます」

 

私はカズマの財布にまで、厄災を招く事になった。

 

「ちょっとウォルバクさん?」

 

「は、はいウォルバクです」

 

「貴女は魔力コントロールの凄さが最大の取り柄だった筈じゃないですか?にも関わらず、このような事態になることありますか?」

 

「そ、その面談みたいな口調は気になるけど……魔力量が増えた事で、ちょっとだけコントロールがブレたって言いますか、少しのブレが大きくなったと言いますか、ちょっと扱い切れない部分もあると申しますか……」

 

私を見るカズマの顔は、普段の優しい笑顔のまま。ただ、その表情が微動だにしないので、これはきっと怒っている。まぁ、そりゃ二億の損失なんて出して、怒るなと言う方が無理だろうけど……

 

「撃つ時にやたらハイテンションに見えましたが?」

 

「それはほら?暴虐の方の権能が疼いた結果と言いますか……」

 

「おいアクア、暴虐の方だけ再封印してくれ」

 

「ごめんなさい!調子乗ってごめんなさい!違うの!なんか絶好調でテンション上がっちゃっただけなの!本当は上手く手加減出来るから!もうこんな事起こらないから!」

 

「それ最初から気にしてくれます?!」

 

私が放った魔法の威力は、もはや全盛期を超えていた。人は予想を超えて調子が良い時、ついついやり過ぎてしまうものだ。それは人の子に限らず、神にだって言えるのだ。だとしても、今回は流石にやり過ぎたけど……

 

「ご安心くださいウォルバク様!雑魚相手ならこのアーネスが代わりに戦いますゆえ、貴女は伝説級の敵にのみ尽力を……」

 

「それもう殆どニートじゃない!このアクセルで貴女より強い敵なんて、ほぼ現れないからね?!」

 

と言うかカズマでも殆ど何とかなるから!このパーティーがアクセルに居座り続けてる方がおかしいから!

 

「大丈夫よ。女神は居るだけで尊いんだから、もう諦めてゴロゴロしときなさい。あんたがゴロゴロしててくれると、私もゴロゴロしやすいわ」

 

「私はアクアとは違うのよ!変な同士に加えないで!!」

 

「そうですよアクア!師匠は爆裂の高みを目指して、これからは私と鍛錬をするのですから!」

 

「ごめん!それも無し!それはそれで目を付けられるからそれも無し!」

 

どうしよう!このままだと私マジでニートか借金製造機になっちゃう!ニートで借金製造機のアクアよりはマシだけど、だからってそれは人として不味いわ!

 

「別に、冒険が無理でも専業主婦とかなら……」

 

「あっ、それなら私としても……」

 

「「「「絶対認めない!!」」」」

 

「なんでアーネスまで結託するのよ?!それじゃ私はどうしたら良いのー!!」

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

あと数話で終わり予定のこの作品。そろそろ魔王戦の事も考えなきゃいけない訳ですが、あんまりカッコいいとアレなので、実は酷くする方向に苦戦中です。

また不定期ではありますが、お暇な時にでもお付き合いください。
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