2023/06/21 大幅に加筆致しました。
第四話です。
方針を語った結果、色々満足した回です。
やはりナツメも『いーくん』も真面目です。傍目に見てえげつねえ!と思われる行為であってもお互いの同意の上で提案・採用して取り入れているので(双方の間では)別に何も問題はない。
『いーくん』の描写は意図的に少なくしている部分もあるのですが、いい奴だと思って頂けてたらいいなあと思います。
布越しに肌がきしむ。
隠れてるとはいえ流石に恥ずかしさを感じて身をよじる。それでも、他の買い物客には気付かれない様に。背を伸ばして「なにもありませんよ」という顔で買い物を続ける。
色々買い出しを終えて外に出ると、爽やかな風が吹いた。いつもなら心地いいとしか感じないそれは布越しの外気として肌に届くと、途端にこちらへの刺激と化す。
乳首が固くなっているのが分かる。そこから更なる刺激を受け、完全に下が滴ってきたのを感じた。
───いやだ、これじゃ歩く人に気付かれちゃう。
そう意識が飛びそうになった私の手に、するりと指が絡んできた。全身に電流が走り、ひゃんだか、ひぃんだか、変な声が漏れる。
私の手に指を絡ませ、手を繋いだままでいーくんは言った。
「買い物も終わりましたし、帰りましょうか」
それの意味する所を知っているのは私達二人だけ。その事実がまた私の身体をゆだたせる。
彼は知っているのだ。私が今どんな状態なのか。その上で平然と、「なにもありませんよ」と振る舞っている。
───もうこちらはふらふらで、倒れそうになっているというのに。
「さあ、帰りましょう」
爽やかに、そしてこちらにしか分からない濃厚な意味を含んで笑う顔。その顔を見ながら、内股でそろそろと歩く私。もう既に身体の熱は、顔を見たら明らかなぐらいに昇りつめている。
───今ここで服が身体に貼り付いて私がどんな状態か分かっちゃったら、いーくんはどうするんだろう。
どうするのかなんて知らなかった。そうなって欲しいとすら思った。それならきっと、もっとあなたの新しい顔を見られるから。
優しく強く握る手でふらつく私を支えながら、あなたは済んだ瞳でずっと、私だけを見ていた。
玄関扉を後ろ手でぱたりと閉めた彼に、私は早速擦り寄った。
身体を引っ付け、服越しに一番敏感な部分を彼の脚の間に押し付ける。身体を押し付けられた扉が軽く音を立てて鳴る。
「っつ……ねえ、はやくぅ」
そうねだり、再度身体を押し付ける。早くあの熱い怒張が、欲しい。
そんなに急かさないで下さいよ、まずは荷物を置いて、鍵を閉めてからです、と微笑む彼の眼は熱が籠もっていて。それでもその熱に飲まれ切る事無く涼し気な様子を保っている。
彼が全てを終えるのと、こちらが喰い付くのと、どちらが早かったのだろうか。ほぼ同時に、私達は唇を貪った。床に荷物を置いたまま、扉を背にしたままの状態で。
口付けの中でお互いの身体が動く振動が伝わり、また扉が跳ねる。お互いに唾液を交える音と、くぅ、と私の口から漏れる媚び甘えた声。
早く、貫いて欲しい。
再度お互いに顔を寄せた時、もう待ちきれないと私は彼のズボンの前を漁り、その上にのしかかった。元から下着を付けていない滴る部分は、十分に興奮し熱くなった彼を、何の予備動作も必要とせず受け入れた。
口付けを交わしながら腰を押し付け続ける。扉は今や私の動作で揺さぶられ続け、震えてぶつけられる音を出し続けている。快楽に跳ね続けている。今の、私自身と同じ様に。
「いー、くん、もっとぉ……!」
彼の手は私の太腿に掛けられていた。最早遠慮がちではなく、積極的に私を引き寄せ、腰を打ち付ける。
されるがままになどされてはいない。積極的に責めているのは、彼の方だ。
太腿に掛けられた指が動く。またも電流が身体を走り、私の胎中が熱く膨らみ、粘性の欲が溢れて来る。
ぴちゃぴちゃとした水音と摩擦音、打ち付け、お互いをまさぐり合う音。熱く膨らみ終わりを待つのは私だけじゃないわ。彼が一層硬く熱くなって、打ち付けながら私の中を塞いでくる。
ナツメさん、出します、との声に受け入れる心の準備をした。終わるか終わらないかの所で震えた彼から胎に精が注ぎ込まれる。その感覚に気が昇りつめそうになりかけた所で───
彼は太腿のガーターに手を伸ばし、コードを一気に引いた。
後ろが開かれて、仕込んでいたものが体外に吐き出される。
ぬぽん、と空気混じりの音を立てて、一気に三つのローターが肛門から吐き出された。
射精されながらの排泄感に身体が痙攣する。異物をひりだす、絶対に見られてはいけない情けない姿を見られてしまったという感覚が、脳を痺れさせる。
おほぅと情けない呻きを立てて、がくがくと身体を痙攣させ脱力しながら、私は絶頂を迎えた。
余韻の中、しばらくは扉に持たれたいーくんに身体を支えられていた。余韻が冷めて身体を起こすのと、いーくんが顔を覗き込むのは、ほぼ同時だった。
「ナツメさん、ちゃんとお願いしてくれなきゃ分かりませんよ?」
───まだまだ満たされていない事を分かっているのだ。私が『何処』をいじってもらわないといけないのかも、全部。
だから、ちゃんと示そう。
着ているワンピースのボタンを開け、一気に剥いた。
その下には下着らしい物は何も付けていない。ただ、黒い革製のハーネスが乳房や秘部を隠さぬように肌を覆い、ストッキングのガーターにはローターのリモコン部分が差し込まれているだけだ。
だらしない乳房はハーネスに支えられても尚、いや、却ってだらしない脂肪である事が強調されて示されている。秘所は言わずもがな。あれほど満たしてもらったのに精の痕跡を残しながらも、新たな愛撫を求めてねばついた汁を吐き出し続けている。
早く何とかしてもらわなきゃ。ねえ、はやく。
靴を脱ぎ、床に落ちた布地を避ける足すらもどかしく、一歩前へと進む。
そしてその場に跪き、床に這う姿勢を取った。
尻を掲げ尻肉を自ら割り広げ、排泄の為の孔を開けてみせる。普通よりも肉厚で赤味を帯びた『そこ』は、どんな愉しみ方をしているのかを見る者にすぐさま分からせる形態をしている。───もし知らなかったとしても、すぐに知ってもらう事になるわ。
「どうか、お……おしりにいっぱいいれてください」
だって、今こうして主人然として私の痴態を見つめる彼だって、元々は何も知らなかったんだから。
後腔を自ら押し広げて肛交をねだる私を、彼は十秒ほど黙って眺めていた。後ろを伺うわたしの様子含めて楽しんでいるのだろう。
そして頃合いを見計らって、こちらに素早くやって来て一気に貫いた。
「あっ、ああ……」
どんどん腰の打ち付け方が激しくなってゆく。肛門の襞から腸管までも熱い物を詰め込まれる。摩擦によってどんどん大きく固く、熱を増してゆく。
「ひぐぅ!」
奥の良い部分を突かれ、衝撃で身体が震え悲鳴の様な声が漏れる。身体を支える震えた腕に、彼の腕が添えられ、床に這う指に指を絡めた。
玄関先で這いつくばり、上体を押さえ込まれ後ろを犯されている。その事実に改めて興奮した。腰と尻肉がぶつかる音と水温と、時折混ざる私の悲鳴と。今のこの空間には、そんな物しか聞こえてこない。だから、肛内を擦られる感覚と激しく動くぬめった怒張だけに意識が集中する。
いぃん、いひぃん、と、最早ちゃんとした声では無く鳴き声が、揺さぶられ続ける身体から漏れる。鳴き声に反復を合わせて彼が激しく突き立て責め立てる。もう終わりが近い。
いく、いく、いく、と漏れる声に、オレもです、と果てるのを堪え、ガンガン突いて意識を飛ばそうとして来る。
中に出します、との言葉も無しに出された精は熱く、脈打ちながら腸管に注がれ続ける。
そのぞんざいな扱いと注がれる熱に甘く痺れながら、身体は痙攣し続けた。
こうやって欲しいと乞うたのよ、私は。
いーくんは床に伏した私を起こす事も無く荷物を部屋の中に運んだ───これも私が頼んだ事だ───そしてその後、未だ玄関先に留まる私にひょっこりと顔を見せ、お風呂に入りましょう、と笑った。
「ドロドロになっちゃいましたからね。お互い一旦綺麗になりましょうよ」
そして、まだまだこれからですから、と更に明るく笑った。
週末の午前中。休みは今日と明日の、二日。
私達は、まだまだ始まったばかりなのだ。
いっぱい出しちゃいましたね、と私の中から精を掻き出しながら、いーくんは言った。挑発を意図した台詞なのだろうけれども、そこに躊躇いやこちらに対する気遣いを感じた。私を支えながら浴室に連れて来てくれた態度といい、どうも彼は見せかけだけでも冷徹になり切れない。
出していいと言ったのは私だから、と伝えると、紅潮した頬と共に、それでも申し訳ないという影が一瞬浮かび上がる。
そんな風に思わなくていいのに。
これからあなたの精は私の中に。これからずっとそうして欲しいと乞うたのは、私の方なのに。
これからは避妊具を付けないで中に出して、と伝えたのは私からだった。彼から質問が出る前に事情を説明した。不要な疑いやら不安やらは抱いて欲しくなかった。
「私、避妊処置を受けてるの。あくまで『避妊』だから別に妊娠出来ない訳じゃない。でも、そっち方面での万一は無いわ」
「それ以外を考えて、避妊具を付けてもらっていたんだけど……やっぱり本当はあったほうがいいものね」
「でもどうしても、中であなたを感じたくて」
「『あなたを感じてもっと気持ちよくなりたい』なんて、私のわがままなのは分かっているわ。リスクがあるのも知っている。それでも」
もし色々気になるなら診断書を見せましょう、それでも気になる事があるなら処置を受けた病院に一緒に行って説明してもらってもいい、と、どういう方法を取ってもらったのかと、インターネットの画面を指して冷静に説明していた筈の口は、いつの間にか興奮していた。
慌てて、あなたも調べて納得がいく答えを出してね、危険だ、納得できないと思ったら付ける方で構わないから、と付け加える。冷静に説明する筈がずるい方に持っていってしまった。
いーくんは深く考え込んでいた。考え込んで、こう言った。
「オレの方でも気を付けますし、無理はしない。けれども、もしナツメさんの方に何かあったら、絶対に隠さないで下さいね」
「責任は取ります。一緒に病院やら然るべき所にも行って説明やらも受けます。だから、何があったのか隠してオレに心配させないようにするなんて事だけはしないで下さい」
オレもそうしますから、とこちらに伝えた声と瞳は本当に真摯で。それを見られただけでも、言ってよかった、と思えたのよ。
───誠実というのは、無責任では無いというのは、それだけで得難い存在だから。
何でこんな身体に手を加える『避妊処置』なんてわざわざ行ったのか。それはあの男が───お酒を一緒に呑んだら居付いてしまい、追い出すまでだらだらと何年もかかってしまったあいつが───原因だった。あの男は、そういう事をしちゃくれなかった。お願いだからと言っても、お前も気持ちいいならいいだろうと、快楽で責め立てる方にしか目を向けやしなかった。だから、自分一人で出来る事をした。こんな男との間に万が一の事態があっては大変だ。だから、そうなる前に。
その時の事を今思い返すと笑えてくる。ああ、自分は逃げの選択肢を取ったのだな、と。
あの男を追い出すよりも自分の身体に手を加えられる方を、与えられる快楽を無くすよりは自分に負荷を掛けるかもしれない方を、選択した。
そちらの方が面倒ではないと、そう判断したが故に。
あの男は無責任で不誠実だ。それは、追い出す前のずるずると居座らせるがままにしていた時から知っている。
だから思う。
もし、あの男が。例えば「下着を付けずに外を歩け」「見ているぞ」なんて、言って来たら。
私は、それに応じただろうか。
碌な事をしないのは分かっている。下着を付けていないと分かる状態を写真に収めて『何かしらの糧を得る材料』としたり、守ってくれる物が少ない、下手に動くと恥をかくだけじゃ済まない状態に置いた事を十分理解した上で財布から金やらクレジットカードを抜き取ったり、場合によっては、何処かに居るであろう碌でも無い仲間達に私を売り金品を得る、なんて事すらやりかねない。
そんな状態にされそうになっても尚、そんな男を居座らせたままの、だらしない状態を保っていただろうか。
いえこれは、その碌でもない状態を抜け出せたからの結果論。さっき思った通り私は逃げていた。もしかしたら、『流されるまま』の選択肢を押し付けられるがままにして、そんな目に遭っていたかもしれない。
でもそれは、愉しい事だろうか。
信用出来ない相手に対して、何も選ばず酷い目に遭い続けるだけの状態を、私は幸せだなんて思わない。そんな事になっていたら『流されるまま』の自分を、もっと嫌いになっていただろう。
今は違う。今、私は信頼を置ける人と居る。碌でもない状態を抜け出せたから。彼のお陰で、一歩前に歩こうと思えたから。
そして彼と行う『そういう行為』はとても楽しい。
傍に居るにしても離れて見ているにしても安心出来る。不慮の何かが起こっても嘲笑ったり見捨てて逃げたりはしないとそう思える。恥ずかしい筈の行為が、無防備過ぎる状態が、安らかで、全てを委ねたいとすら思える、信頼と幸せに満ちた行いとなる。
こんな心境には、以前ならなり得なかった。
ナツメさん?と不思議そうな顔であなたが聞く。物思いに耽り過ぎていたみたいね、申し訳ない。そう答えると、余韻に浸ってくれていたんですか、とからかい、頬にキスを落とす。
シャワーを浴びている時も、湯船の中でも、私達は一緒で。
身体を洗っているから今は中に入ってはもらえないけれども。綺麗になり温まった身体で二人過ごす時間は、何とも安心出来る物だった。
いーくんとは、沢山話し合った。
避妊の有無以外にも、どんな事が好きか、これからどんな事をやって欲しいか、そんな話題でずっと話し合った。
いーくんは、終始真剣な顔だった。
オレにはよく分かりませんが、と前置きをした上で大真面目な顔でこう提案してきた。
「例えば、家で会う時には毎回『何をされたいかを』自分からお尻を割りながら伝えるとか」
言ってしまってから、「これは過激過ぎたかな」とでも思ったのだろう。何か詫びの言葉を差し込もうとしたのと、こちらからの発言はほぼ同時だった。
「……そんな事、してもらっていいの……?」
そこまで付き合ってくれるなら、とのこちらの発言と共に、いーくんの白い肌がどんどん赤くなってゆく。完全に赤面している。まさか自分の彼女が『ここまで』とは思っていなかったのだろう。
その反応は、こちらが「こんな物を使っているの」と提示した時も変わらなかった。
しばらくは冷静な顔を保とうとしていた。けれども、あまりに数が多いのと形やら大きさやらが想定外だったのだろう、徐々に「こんな物を……」と興味深そうな声を漏らすようになった。お気に入りをそうと言って差し出した時には「こんなボールを入れてるんですか!?」やら「エイリアンの尻尾みたい」やら、興味深さを通り超えた驚愕しか漏らしてはいなかった。
そんな風に声を上げられる度に身を焼かれるような熱を感じた。無くなってしまいそうに恥ずかしい。
けれども、それよりも、何より、気になるのは。
ねえ、私に引いていない?
付いていけそうにないのに、合わせようと無理していないかしら。
そう尋ねると彼は、出来ないなら出来ないと言いますよ、と返してくれた。
興味はある。けれども興味本位じゃいけない。色んな意味で慎重に考え動いて、丁寧にしないといけない。頑張ります。そう、目の前にある物や指している物が不似合いである事を除けば、綺麗に意思表明をして来た。本当に、まっすぐで綺麗だった。
どんな事でも真剣なあなたが好き。
こちら側からやって欲しい事を尋ねた時にあなたはただ「変な隠し事はしない」、「無理はしない」とだけ言った。それは確かに大切だけど。もっと思いつく限りのやりたい事も言えるでしょうに、そうはしなかった。
そんな、こちらを思いやる優しさが好き。
無理などさせてはいけないという、規律正しい所が好き。
それから二人でお昼ご飯を作った。食べながら、職場内での近況やら最近のお互いの業務についてを少し話し合った。
そこからの映画鑑賞。ここからは長い。アクションと恋愛の、間に夕食を挟んだ二本立てだ。
こうしてゆっくり映画見るなんてのも久しぶりですね、と私の隣でいーくんが言う。ソファの上で二人きり。私は彼の横でソファの生地の上にほんの少し身をうずめる。
ええ本当に、お互いに忙しかったものね、と電源を入れる。満足な休みの形をした休みをこうして二人で過ごせるのはいいわ、なんて、そう思った。
テレビの中の銃撃戦。クッションを胸に置き前のめりになる私を、彼はしばらく眺めていた。いい所なのにこっちを見て大丈夫かしら、と思うこちらとは裏腹に別に困った様子もない。元々器用なのだ、彼は。
そこから小休止も兼ねての夕食。お昼と同じ物に肉やらの数品を付け加えて。おもしろかったですねえ、なんて、他愛ない感想を言い合って。
今度は恋愛映画。かなり前の話題作。主人公の動きがなかなか不可解だった。主人公は不条理、むしろ周りの人間関係や思いやりに甘い雰囲気や絆を感じた。面白くないわけじゃないけど、何だか変わった話。そう思ったのは私だけではないようで、クライマックス周辺、いーくんの方をちらりと見ると、何でしょうねこれは、といった具合の視線と絡み合ってしまった。
そうよね、分からないわよね、私も同じよ。
そんなこんなであっという間に時間が過ぎてしまった。あと少しで深夜の時間帯になる。もう遅い時間だ。
と、ここでいーくんがこう言った。
「ナツメさん、気付かないと思っているんですか?」
ほらもう、準備もちゃんとして来てある、と言いながら、いーくんは私を指差した。正確には『私』の、更にその下だ。
自分で脱いで見せて下さい、と言われるまでも無く、私の手は既に服に掛かっていた。
何てことないTシャツとハーフパンツ。その下にちゃんと準備はしてあった。トップレスという言葉すら生ぬるい、朝の黒いハーネスとはまた違う赤い帯は、金色のハート形の輪で乳輪を強調していた。金属で押さえられる事で刺激され、乳頭は既に固くなっている。
下はレースの下着。布がほぼ無いレースのみの下着だ。ワインレッドのレースは、秘部を隠しやしない。裂け目の入ったスリットは、彼の訪れを今か今かと待ち続けている。
準備は、万端だ。
全てが露わにしてしまった後は、もう正直になった。
ソファに押し倒され、映画の合い間に色々準備してたでしょう、こんな物を着込むなんていやらしい人ですね、と彼の言葉を受け、震えた。
どうやら自分は思っていた以上に淫乱らしいと、最近気が付いた。
衣装の細部が肌に食い込む感触も、この姿をどんな眼で見てくれるだろうかと考える時も好きだ。期待に打ち震える感覚も、気持ちがいい。
ああ私は、いやらしい衣装を身に付けるのが好きだ。
けれども、一番好きなのは。
こんなに濡れている、やっぱりいやらしい人ですね、と言いながら、いーくんが私の裂け目に手をやり、突起を撫でた。言うまでも無くそこは濡れていて、腰の感覚がなくなりつつあった。
そしていーくんは、指先で濡れたレースを器用に翻した。
───いやらしくて、可愛いナツメさんをたくさん可愛がってあげますからね。
秘裂から近い、息がかかる位の場所でそう言われたかと思うと───そのまま彼は、その部分に舌を入れてきた。
「あっ、あっ……!」
悲鳴が漏れる。息がかかった程度でも溢れてきて止まらないのだ。そんな事をされたら、どうなってしまうかだなんて、自分でも分からない。
くちゅ、くちゅ、と粘性の音だけが辺りに響く。電流が走るような感覚が舐められている部分から全身を駆け巡り、今の自分が出しているはずの悲鳴すら聞こえない。かわいい、との声と共にいーくんの舌がぐっと奥に入る。何とも言えない悲鳴を上げて、腰が浮く。その浮いた腰と尻を、ぐいと掴まれた。
「恥ずかしい姿を、もっと見せてください」
腰と脚が、頭上に持ち上げられる。え、と一瞬理解出来なかった頭が理解したその時には、既に新たな熱が頭を巡っていた。
恥ずかしい部分が全部、前に出されている。文字通り、全てが露わになっている状態にされてしまった。
姿勢を変えた事でいーくんの責めは止まった。思考が戻り一息付こうとした時に、強引に尻肉を開かれ、またも舌が奥深くに差し込まれた。
いやだ、恥ずかしい、なんて台詞はまともに受け取っちゃもらえていないのは分かっていた。だって秘裂の先端は更に硬くなり、秘裂からはとめどなく粘ついた液が溢れているのだから。
何度も細やかな責めに電流を感じ、甘く痺れ、それを繰り返して意識が無くなりそうなその時、ずどんとした重量と共に彼が入って来た。
熱く響く重たい感覚に、一気に意識が戻る。意識は飛ばないで、振り回され、掻き回され続ける。
「最高にいやらしい姿ですよ、ナツメさん!」
そう打ち付ける衝撃と、尻を押し広げ続ける指の感覚に、いい、いい、としか言えなかった。
あの男には脂肪の付き過ぎた身体を───肥満な訳では無く、元からそういう体格なのだ───デカ尻だの豚尻女だのと普段から罵られていた。私はそれが嫌でたまらなかった。行為にて興奮を煽る材料などでは無く、常日頃から見下しているんだな、と、いくら愚かでもそれが分かってしまうから。
いーくんはそんな事は言わない。
いーくんは常に丁寧に扱ってくれる。行為の際の言動でもそれは変わらず、彼の煽りは全てにおいて細やかだった。その細やかな彼に肉の付き過ぎた身体を指でなぞられ、尻肉を開かれるのが好き。彼がいやらしい事をする素振りが好き。
彼が手を伸ばし、片方の手の平で私の両の乳房を一まとめに鷲掴んだ。紐状の下着とハートの金属リングが肌に擦れて少し痛い。
けれどもそれよりも、今の自分の身体がいーくんの眼にどう見えているのかの方がずっと気になってしまう。
乳房はいやらしい形に歪んでいるだろうか。紐状のブラや金属リングの部品は、気持ちを煽る様に肌に食い込んでくれているだろうか。
溢れた蜜で十分濡れた肛門に、尻を支えていた彼の指が差し込まれるのを感じた。
準備はしてあったとはいえ、簡単に指を受け入れてしまうその在りように、ここでもまたじゅぼじゅぼと指を出し入れしてみせる彼の手法に、やはり脳を痺れさせ、何だかよく分からない声を上げてしまうのだった。
いーくんと居ると、どんどんいやらしくなってゆくのを感じる。あの男との生活ではこんなのでは無かったのに。あの男の為にいやらしい下着を自ら着ようとなんてしなかったし、下着なしで外を出歩きたいだなんて、半ば自分からねだるなんて事をしたいとも思わなかった。
ここまで来ると、ひょっとして巧妙に誘導されているのでは、なんて馬鹿げた考えさえ浮かぶ。
おだてと気付かれない程度に褒めて私がそちら側を選ぶように染め上げているのでは。露骨だと誘いにすらならず、交流を断たれるだろう。けれども巧みに、長い時間をかけてならどうだろうか。
いいえ、やっぱり、これは妄想よ。
交際経験も身体の経験もあまり無い、うぶな人だったのは間違いない。それはやり取りの中で分かる。いかがわしい発想もむしろこちら側の方がよく思い付く。こちらが何か言った時の驚いたり頬を赤くしたりする表情が演技だとは、とても思えない。
───むしろ『だらしない女を意のままに弄びたい』という単純な翼の為に時間をかけて、二年もの間親身になって話し、告白という形を取って「だめならすっばり諦めますから」と大芝居を打ってまでこちらを丁寧に侵食していたのならば、むしろその演技力やら技巧を讃えてもいい。
その労力に報いる為に全てを捧げてもいいんじゃないかなんて、そう思ってしまうのだ。
熱く固い彼から、精が注がれる。秘部やらを上に掲げたままでそれを拝受する。熱い物で満たされた身体が弛緩する。
弛緩に浸る間も無く彼が、肛門に入れっぱなしだった指を中で動かし始める。表面の窄まりも中の襞も全て、彼の指の上だ。
彼自身や彼の舌は十分に気持ちいいけれども、指で恥ずかしい部分を撫でてもらう、指を入れてもらうのが一番好き。本能的な欲望同士のぶつかり合いじゃなくて、明確な意志を持って、綺麗な部分で恥ずかしい場所、穢い場所を弄ばれるのが好き。
こちらの欲を冷静に観察されて、検査の上で解きほぐされている気持ちになるから。
いい感じにほぐれてますね、と彼が後孔に沈み体重をかける。精を十分に放たれ満足したはずの前の裂け目から、精の混ざった蜜が零れる。もっともっと愉しみたいと、ねだっているのだ。
ゴンゴンと直腸への刺突感を感じながら目をつぶる。感覚を、より味わう為に。
愉しみ過ぎてもう夜中になってしまった。それでも、私達は終わらない。
あともう少しで今日が終わる。
さあ、明日は何をしましょうか?