※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~   作:ポチ&タマ

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□月○日 曇り

 

 父上が逝きました。暗殺などの他殺ではなく老衰で。

 五十五歳という若さで亡くなりました。前世含めて現代日本出身の私からすると、若すぎる死という印象ですが、この時代ではむしろ長寿に値する模様です。男性の平均寿命が四十歳との話ですから、父上はよく生きたと言えるでしょう。

 なので急遽、皇位継承権第一位の私が玉座に座ることとなりました。

 齢十五にして皇ですか。まあ、こうなるのも時間の問題でしたので、精一杯頑張るとしましょう。

 

 

 

□月△日 晴れ

 

 皇となった私が真っ先に取り掛かったのは宮殿の増築です。

 宮殿なのに謁見の間がないのです、この家は。

 これまでカの国の使者殿が来た時は、応接室のような場所で対応していたようです。それも普通のテーブルを囲って。

 円卓でもあるまいし、こっちは皇ですよ? なぜ皇が使者と同じ目線で語り合わなければならないのでしょうか。

 ということで、こちらの権威を大きく見せるために玉座の間のような場所を用意させました。

 とはいえ、木造建築の茅葺き屋根のような家なので、精々段差をつけて上座と下座を作り、すだれで顔を隠すような簡素なものではありますが、これで我慢するとしましょう。

 

 

 

□月□日 晴れ

 

 本日、カの国から使者殿が参られました。

 亡き父上への弔事と新たな皇となった私への祝辞とのこと。それも嫌味を交えながらの言葉でしたので、つい「使者殿は嫌味を口にしないと死んでしまう病気にでも罹っておられるのですか?」と口にしてしまいました。

 そんなことを言われると思っていなかったのでしょう。こめかみに青筋を浮かべた使者殿から飛び出す罵詈雑言の嵐。

 そのボキャブラリーの豊富さに思わず「よくここまでスラスラと言葉が出るものです。私には無理な芸当ですね」と、称賛の言葉を送ってしまいました。ですが、どうやらそれも気にいらなかったようでして。使者殿は顔を真っ赤にして帰ってしまわれました。

 外交の難しさを思い知った日です。

 

 

 

□月☓日 雨

 

 昨日の使者殿への対応について、家臣の方から苦言を呈されました。使者殿は怒って帰られてしまいましたし、その点は素直に反省です。

 ですが、これが何故戦争に繋がるのでしょうか。私は挑発などした記憶はないのですが。

 何はともあれ、家臣たちは昨日の外交失敗が戦争に繋がると思っている様子です。ならその不安を取り除くのが皇である私の仕事でしょう。

 とりあえず、カの国に派遣している諜報部隊を増員させましょう。

 

 

 

□月○日 曇り

 

 何やら国境へカの国の軍隊と思わしき一団が向かおうとしているとの情報を、諜報部隊から伺いました。兵数はおよそ千とのこと。

 話を聴いている限りカの国は兵数こそ多く有していますが、個々の実力に関してはこちらの方が圧倒的に上のようです。

 なら、とりあえずこちらは五百で十分でしょう。

 後はどこで迎え撃つか、策を練る必要がありますね。

 まあ向こうに攻撃する意志があるのなら、の話ですが。

 

 

 

□月△日 雨

 

 今回は私も出陣することを決めました。それも最前線で戦うために。

 将の身ではありますが、現状私が最高戦力。手っ取り早く終わらせるにはこれが最善です。

 国境付近にやって来たカの国の軍勢。相手方の将は、以前使者としてやって来た某でした。

 その方は何か喚き散らした後に弓で一斉に攻撃してきました。これで正当防衛という大義ができたため即迎撃します。

 弓の大半は私が叩き落し、兵士たちは私が教えた通りに三人一組になって、確実に敵を各個撃破していきます。

 寡兵ではありますが、兵の質はこちらの方が圧倒的に上。特に被害が出ることなくジリジリと敵戦力を削っていき撤退まで追い込んだあと、予め左右の高台に展開させていた弓兵部隊で掃討。

 一人も逃がすことなく討ち取りました。

 何か息巻いていた割には呆気ない勝利です。

 

 

 

□月○日 晴れ

 

 本日、カの国から再び使者が送られて来ました。やって来たのは、以前一度だけ見かけた、腹黒そうな鴉っぽい方です。

 その方の言い分としては「お前たちのせいで我々の軍から死者が出た。全面戦争を避けたければ謝罪し、賠償金を払え」という意味不明なものでした。

 あまりにも頭が悪い内容でしたので思わず「申し訳ないですが、貴方は馬鹿ですか?」と内なる言葉が漏れ出てしまう始末です。

 

「そもそも攻撃を仕掛けたきたのはそちらです。我々はあくまで防衛のため戦闘しただけに過ぎません。その結果、貴方方は敗北したわけですが、それを建前に交渉するにしてもお粗末すぎますねェ。むしろ要らぬ労力を働かせたこちらに謝罪するのが筋というものでしょう。それが何をとち狂ったのか、謝罪した上に金をよこせ? 寝言は寝ていうものですよ。全面戦争? よろしい、受けて立ちましょう。ただし、その時は可及的速やかにそちらの大将を討ち取り、宮殿を陥落させて頂きますので、相応の覚悟で挑んでください。今度も、全滅にならないと良いですねェ……」

 

 それだけ告げた私は謁見を打ち切り、使者殿を追い出すように命じました。

 侮辱したという理由で身包みを剥いで、裸のまま帰らせても良かったですか、まあ武士の情けです。

 持ち物を没収する程度で手打ちと致しましょう。

 

 

 

☓月△日 晴れ

 

 どうやら先日の使者殿への返答は相当の痛打となったようで、以来抗議することなく静観を貫いています。

 今になってこれまでのように、容易にやり込める相手ではないと悟ったみたいです。

 そのままずっと引っ込んでいてください。

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