※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~   作:ポチ&タマ

30 / 45

 中忍試験第三試合、本戦です。



30ページ目

〇月〇日 曇り

 

 本戦までの猶予は一か月。

 娘たちも他里の忍びたちと同じく、母の元で修行漬けの日々を過していたようです。

 私はアンコや綱手たち現地妻勢のご機嫌取りや、娘たちの修行の手伝いに費やしました。約束通りアンコに種付けして、綱手たちにも近々子供を授けることを確約させられましたが。

 その後、木ノ葉崩し対策として狩人を集結させた私は、作戦の最終確認を済ませた後に試験会場へと向かいました。

 試験会場は原作通りのバトルフィールド。観覧席には一般人に化けた暗部の姿が確認でき、VIP席には各国の大名や忍び頭などの要人もいらっしゃいます。

 私の分体も神隠れの里長として来訪しており、ミナトさんの隣に座っています。その後ろには護衛の小南が控えており、ミナトさんの隣には先代のヒルゼンさんが、その横を風影に化けた大蛇丸さんが座っていました。

 仕方ないとはいえ、ここだけ戦力が滅茶苦茶集中していますね。

 

 ちなみに、ヒナタの実父殿ですが案の定難癖をつけてきました。その場にミナトさんとヒルゼンさんも居たので良い機会だと思い、ヒナタを呼び出した私は彼女が我が里に所属するまでの経緯を話したのです。

 話を聞いた実父殿は苦虫を噛み潰したような顔で黙り込んでしまいました。心当たりがあるのでしょう、日向家に残ったら確実に辿っていた未来を話したのですから。

 当時の状況とヒナタの未来を鑑みた結果、神隠れの里に保護されたのは仕方ないと判断したようです。その上でヒナタの意志を尊重するとミナトさんが明言しました。

 それを聞き、それまで黙って実父殿の顔を正面から見据えていたヒナタは、毅然とした態度で言ったのです。

 

「私が日向に戻ることはありません。私の故郷は神隠れの里で、私のお父様はテンガ様ただ一人です。ですので日向ヒアシさん。私のことは忘れて、あの子を大切に育ててください。それが私の望みです」

 

 そう言い切ったヒナタは流麗な所作で一礼をすると退室しました。

 娘にキッパリと絶縁を言い渡された実父殿はしばらく呆然とした顔でヒナタが去った方を見ていましたが、まあ自業自得です。

 こうしてヒナタの件は決着がついたのでした。

 

 

 

〇月△日 晴れ

 

 さて、第三試験本戦ですが、参加者は十四名。試合の順番は以下の通りです。

 

 第一試合、シカマル VS 君麻呂

 第二試合、サーシャ VS ヒナタ

 第三試合、白 VS 榛名

 第四試合、キサラギ VS サイ

 第五試合、シノ VS カンクロウ

 第六試合、ヨタ VS 我愛羅

 第七試合、ナルト VS サスケ

 

 第一試合の相手は頭脳戦に秀でたシカマルくんです。君麻呂にはくれぐれも注意するように告げました。恭しく頭を下げた彼を見送った私は、娘たちと一緒に観賞です。

 皆、君麻呂の実力を知っているので、彼の勝利を疑っていませんでした。むしろ、そんな君麻呂を相手にシカマルくんがどう立ち向かうのか、そこに着目しているみたいです。

 それは私も同じ。格上である君麻呂を相手にどのように立ち回るのかワクワクしながら見守ったのですが。

 私は、君麻呂の忠誠心――いえ、信仰心を少々甘く見ていたようです。

 

 開始早々に君麻呂は瞬身の術を小刻みに使う技、“瞬身乱舞”でシカマルくんを攪乱しながら接近。咄嗟に自分の影を円状に広げたシカマルくんですが、それを見越した君麻呂は指の骨――基節骨、中節骨、末節骨を弾丸として飛ばす“十指穿連弾”で弾幕を張り、彼の術を解きました。

 その隙を突き、懐に潜り込んだ君麻呂は、血継限界と『テンジ流戦闘術』を組み合わせたオリジナル技、“熊手徹甲砲弾”を放ち、一撃でシカマルくんの意識を絶ったのです。

“熊手徹甲散弾”は熊手貫き手で相手に一撃を与えた瞬間、手首から先を構成する骨のすべてを散弾のように放つことで即座に二撃目を与えると言う技です。屍骨脈という血継限界を有する彼ならではの技ですね。

 熾烈なバトルを予想していたのに反し、あっという間に決着がついてしまったためか、会場内を静けさが支配。そんな中、君麻呂は「彼のお方に勝利を望まれた以上、僕に敗北の二文字はない。相手が悪かったな」と告げて颯爽と去っていきました。

 そんな君麻呂に会場は大きな盛り上がりを見せたのです。

 君麻呂のクールな一面にときめいた女性もいるらしく、彼のファンクラブも出来たとか。

 帰ってきた君麻呂にサーシャたちが背中を叩いて喜びを分かつ中、当の本人は当然のような顔をしていました。

 ですが、私が「よくやりましたね」と頭を撫でると、薄っすらと頬を赤くして硬直してしまいました。狂信者の君麻呂ですが、こう見えて可愛らしい一面があるのですね。

 

 

 第二試合はサーシャとヒナタ。親友同士の戦いです。

 相手が友人だからといって手を抜く子たちではありません。むしろこれまで切磋琢磨してきた間柄ですから、本気で戦うことでしょう。

 なので私は、二人に対し「この試合に限って全力を出すことを許可します」と告げました。

 私の言葉に満面の笑みを浮かべて親指を立てるサーシャと、嬉しそうに微笑みながら行儀よくペコリとお辞儀をするヒナタ。

 そんな二人を見送った私は転生眼の力で観客たちを観察すると、やはりヒナタの存在に驚きを隠せない大人たちが多く確認できました。特に日向一族の方々は半ば混乱しているようです。実父殿に駆け寄り口々に何かを言っているのが見て取れますが、彼は苦々しい顔で黙り込むだけですね。

 さあ、日向の皆さま。その白い眼を見開き、刮目し、網膜に焼きつけなさい。

 貴女たちが才能なしの落ちこぼれと内心嘲笑い、見捨てた子が大成したその姿を。

 

 試合開始の合図とともに駆け出した二人は、バトルフィールドの中央で激突しました。

 まずはウォーミングアップといったところでしょうか。サーシャが繰り出す灼遁の球体を紙一重で躱しながら懐に潜り込み、当て身を食らわせてから投げ飛ばすヒナタ。

 サーシャも上手く受け身を取ると、空手の天地上下の構えに切り替えました。

 彼女を守るように灼遁の炎がとぐろを巻く中、ヒナタはチャクラを纏った掌打を放ち風圧で炎を掻き消すと、今度は地面に叩きつけるように投げつけますが、空中で体を反転させたサーシャに逆に投げ返されてしまいます。

 空中で体勢を整えたヒナタ。両者の間合いが開いたことで、それまで息を殺して観戦していた観客たちが盛り上がります。

 そんな中、サーシャたちの顔には不敵な笑みが浮かんでいました。純粋にライバルとの対決を楽しんでいるみたいです。

 

 ウォーミングアップが終わったのでしょう。ヒナタが「ここからは本気だよ、サーちゃん」と告げるとサーシャも「うん! あたしも本気で行くです、ヒナちゃん!」と返事を返し、同時に懐から巻物を取り出しました。

 武器などを封入する巻物です。サーシャとヒナタは体術使いで、武器術はそこそこ程度だったと記憶していたので、これは面白い選択でした。

 彼女たちが巻物から口寄せしたのは、なんと仕掛け武器だったのです。

 サーシャが手にした仕掛け武器は『爆発金槌』で、本来の担い手は母のパクラ。

 柄の先に巨大な金槌が取り付けられており、後部の撃鉄のような部位は起爆札を作り出す特殊な作りに。これは忍び刀の【爆刀】を参考にしたと聞いています。

 撃鉄を起こした状態で振り下ろすと、起爆札が作動して金槌の接地面が爆発するという仕組みです。金槌そのものもかなりの重量を誇るので、忍刀の【鈍刀】と【爆刀】を足して割ったような仕掛け武器ですね。

 

 対してヒナタが手にした仕掛け武器は『月光の聖剣』。別名、月光剣と謳われる翡翠色の刀身が特徴の大剣です。

 普通の大剣として使用しても申し分ない切れ味と頑丈さがありますが、月光剣が真価を発揮するのはチャクラを込めた時。刀身が淡い光を放ち、その状態で振るうと翡翠色の斬撃が飛ぶのです。

 これは高密度に凝縮した風のチャクラで、風遁の性質を刀身に加えてあります。

 こちらの担い手は雪なのですが、彼女の方を見ると我が子を見守るような優しい眼差しを向けていました。恐らくヒナタから頼まれて貸したのでしょう。

 

 言ってしまえば狩人の代理戦闘。持ち主であるパクラと雪から熱心な指導を受けたのは彼女たちの戦いっぷりを見れば明らかで、次世代の担い手候補に挙がるほどの実力を示しました。

 灼遁で上手く退路を塞ぎながら爆発金槌で一撃必殺を狙うサーシャ。灼遁を誘導に使っていましたが、これも触れれば最期ですからね。虚実を上手く使い分けた巧みな戦術を披露してくれました。

 対してヒナタは上手く間合いを調整しながら『テンジ流戦闘術』の歩法で一気に懐に潜り込み、打撃を織り交ぜた攻撃の中、櫛灘流柔術で宙に投げ飛ばす。そして空中で身動きが取れない隙を突き、月光剣の斬撃を飛ばす。そのような戦法を取っていました。

 

 互角の戦いを繰り広げていた二人ですが、最後はサーシャの作戦勝ちです。

 震脚で地面を砕いたサーシャはチャクラで膂力を向上させると、大岩サイズの土塊を片手で持ち上げました。

 それを宙に放り投げると、一流バッターの如き見事なスイングで爆発金槌を振るい、爆破させたのです。

 散弾のように飛び散る土塊の破片。月光剣を盾にすることで防いだヒナタですが、その隙に接近していたサーシャは、既に爆破金槌を振り被っていました。

 そして月光剣に衝突する寸前で止めしたのです。困惑した様子のヒナタに「へへっ、あたしの勝ちー! です!」と笑うサーシャ。

 そう、ヒナタの背後には灼遁の炎球が待機していたのです。あのまま振り切っていたら、爆破の勢いで吹き飛び、背後の火炎に呑まれていたことでしょう。

 それが分かったからこそ、苦笑を浮かべたヒナタは「負けたね。今度は勝つよ」と素直に敗北を認めました。

 いやはや、勝負の内容もそうですが娘たちの友情を目にすることが出来て、嬉しい限りです。

 

 そして、ヒナタの見事な戦いっぷりに日向の皆さんは一同絶句していました。

 特に実父殿は開いた口が塞がらないといった様相を呈していまして。まさかここまで成長していたとは思っても見なかったのでしょう。

 ヒルゼンさんもヒナタたちの戦いっぷりに驚いており、「神隠れの里が有する『狩人』の話は聞いておったが、まさかこんな小さな子が……」と勘違いしていたので、それとなく訂正しておきました、分体が。

 あくまでも彼女たちは狩人の武器を借りただけで本人ではありませんから。本来の担い手であるパクラと雪の実力は、あんなものではありません。

 分体の言葉に更に言葉を失ってしまった皆さまですが、試合は予定通り行われます。

 

 

 第三試合は白と榛名の戦いです。これまた娘同士の対戦となりました。

 互いに手の内を知っている二人。どのように頭を使い戦うのかとワクワクして見守ります。特に氷遁と雷遁では相性の問題がありますので。

 今回は流石に仕掛け武器は借りて来なかった様です。純粋な体術と忍術での勝負となりました。

 白は氷分身を三体生み出すと、氷遁で遠距離攻撃を仕掛けつつ、本体が接近。得意の空手技や関節技を繰り出します。

 対して榛名は雷遁を纏わせた薙刀で距離を取りつつカウンターを狙う戦法です。端からスイッチが入っており、最高の笑顔で薙刀を振るっています。

 埒が明かないと感じたのでしょう。白が早々に勝負を仕掛けました。

 榛名を中心に氷の鏡面を作り出したのです。それも確実に逃さない三重構造で、その数はざっと三十枚。

 白が作り出す氷の鏡面は非常に硬度が強く、並の武器では傷一つ付けることが出来ません。雷遁を纏わせた榛名の薙刀でも、全力でようやく壊すことが出来るといったところでしょうか。

 氷分身とともに氷の中へと入った白が、すべての鏡面に映し出されます。その光景に会場がざわつきました。

 半身になって拳を向けるを白に対し、榛名も嬉しそうに薙刀を構えます。

 そして、鏡面から一斉に四人の白が飛び出しました。

 

 原作では千本を使って攻撃をしていた白ですが、この世界線では無手の技を好んでおり、特に空手に力を入れています。

 日々の鍛錬で指に至るまで鍛え上げたため、普段は白魚のような綺麗な女の子の手ですが、力を入れると鋼のような硬さが宿るのです。まさに、天然の千本といったところでしょうか。

 そして、高速移動をしながら相手の急所を連続で叩き込み、時には秘孔なども突くのが、この術を使った戦い方です。

 正直、鏡面から鏡面へ移動している白を肉眼で捉えるには、カカシさんレベルの写輪眼の使い手でないと難しいでしょう。瞬間移動に近しい速度で移動しているので。

 榛名も目で追うのは無駄だと判断したとのか、瞼を閉じると五感を集中させました。

 恐らく、意識の起こりを見抜こうとしているのでしょう。

 何度か反応して直撃を免れた榛名ですが、カウンターを食らわせることは出来ない様です。

 さて、この状況をどうひっくり返すのかとワクワクしながら見ていたのですが。まさかの力づくで行くとは。

 

 埒が明きませんね、と呟いた榛名は薙刀に特大の雷遁チャクラを込めると、それを振り回したのです。

 榛名が使用している薙刀の柄には、伸縮性のある紐が取り付けられており、これを持って距離を伸ばすことで、見事に周囲の鏡面を切断してみせました。

 残った鏡面は、頭上の四枚のみ。それらに白の分身と本体が潜んでいる訳ですね。

 手元に引き寄せた薙刀を頭上に翳す榛名。その動作を見て慌てて白が鏡面から脱出すると、雷遁“サンダーボルト”で頭上の氷を消し飛ばしたのです。

 見事な脳筋っぷり、誰に似たのでしょうか。ですが、突き抜けた力は時にすべてを凌駕することがあります。今回はその典型的な例ですね。

 仕切り直しとなった戦い。今度は榛名の方から仕掛けました。薙刀を旋回させて加速させると、雷遁を纏わせた斬撃を次々と飛ばしたのです。これはカマイタチですね。

 チャクラでカマイタチを再現するのではなく、純粋な技術で発生させた榛名に観客一同驚いた様子ですが、私たちはこのくらい出来ると知っていたので然したる反応はありません。

 紫電を纏った風の刃を掠めながらも、ギリギリで躱しながら氷の弾丸を飛ばして応戦する白。

 次々と雷を纏った風の斬撃を飛ばしながら接近する榛名は、速度の乗った薙刀で一閃しますが、ドンピシャのタイミングで放った回し受けにより流され、カウンターの正拳突きが彼女の鳩尾に綺麗に入ったのです。

 一瞬の呼吸困難に陥り苦悶の表情を見せるその隙を逃さず、脱力・脱骨、そして体重移動により重みが増した前蹴りが榛名の胸部に刺さりました。

 思わず薙刀から手を放し膝をつく彼女の首筋に寸止めの手刀を添えて、決着です。

 両者の見事な対決に私たちは惜しみない拍手を送りました。

 

 

 第四試合は私とサイさんの戦いです。

 娘や妻たちから信頼の言葉とともに見送られて、ついつい気合を入れ過ぎてしまいまして。サイさんの実力は大体分かっていたにも関わらず、やり過ぎてしまいました。

 恥ずかしいことに、ワンサイドゲームを行ってしまったのです。

 

 サイくんの得意技は鳥獣戯画という忍術による遠距離攻撃です。遮蔽物のある森や町中なら真価を発揮しますが、残念ながら此度のフィールドは遮蔽物が少ないグラウンド。

 なのでどうしても距離を稼ぎながら筆を奔らせて絵を書かないといきません。

 始めから不利な状況だというのは向こうも分かっているでしょう、苦難を強いられると予想していたと思われます。

 ですが私はポケットに手を突っ込んだ状態で、常に先手をサイくんに譲りました。

 むっとした顔で虎や狼、鷹などの絵を描き召喚するサイくんですが、呼び出す度にそれらを弾き飛ばし、粉砕していったのです。

 これを観戦していた観客はもちろん、当の本人も何をされたのか分からなかったのでしょう。啞然とした顔をしていました。

 何せ両者の距離は優に二十メートルは開いていたので。

 このカラクリが分かったのは、神隠れの忍び以外だと、恐らくガイさんくらいだと思います。

 

 私がやったのは、投擲武器でも忍術でもありません。至ってシンプルな体術です。

“居合拳”という技をさらに加速させた“居合空拳”。これがサイさんの鳥獣戯画を破った技名です。

“居合拳”は刀の抜刀術である居合いを参考に作った技で、ポケットを鞘に見立て、腰のキレと脱力から生まれるスピードをそのまま拳に乗せて放つ技。これに脱骨と重心移動をプラスし、さらにハンドスピードを上げることで拳圧を飛ばすことが出来ます。これが“居合空拳”です。

 妙手レベルに至った武術家であれば恐らくすぐコツを掴めることでしょう。事実『テンジ流戦闘術』七段の小南やパクラたちはこの技を修得していますから。

 ちなみに六段は弟子寄りの妙手、七段は達人寄りの妙手、八段で達人に認定しています。九段で特A級に、十段で超人級という段階に達するのですが、我が里で私以外に八段に到達したのは、現在たったの二名のみ。九段はまだ一人もいないのが現状です。

 誰が最初の九段所有者になるのか楽しみですね。

 

 閑話休題。

 何時まで経っても“居合空拳”を見破ることが出来なかったので、もうちょっと分かりやすい技に切り替えました。今思えば、これが悪手だったのでしょう。

 次に繰り出した技は“居合空拳”を更に発展させた技、“居合火拳”。

“居合空拳”を更に加速させることで拳に摩擦熱を加え、拳圧に炎を纏わせる技です。これに近い技はガイさんの“朝孔雀”でしょう。

 ただ、“居合火拳”はその構えから一方向のみにしか拳を放つことが出来ませんが、拳速は“朝孔雀”以上。例えるならガトリングガンです。

 火を纏うことで可視化されたので、出処の見えない技を目にすることは出来たと思いますが、計算外だったのは“居合空拳”より“居合火拳”の方がハンドスピードが早いため、見切るのが難しいという点。そして、物理的にも後者のほうが威力が高いという二点が抜け落ちていました。

 その結果、ガトリングガンの如く連射する拳圧(炎)にあっという間に呑まれ、戦闘不能にしてしまったのです。

 直ぐに手を止めたため、全治一カ月程度の怪我で済んだのが幸いでした。あと一秒、手を止めるのが遅かったら、今頃サイさんはお墓の中でしたから。

 そんなワンサイドゲームを行ってしまったため、次の試合が始まるまで会場はシンと静まり返ったのです。

 

 ちなみに、娘たちからは「すごい!」という言葉とともに尊敬の眼差しを、妻たちからは「やり過ぎ!」というお叱りの言葉とともに呆れた目を向けられ、ミナトさんとヒルゼンさんからは「凄まじい逸材だと」評価を頂きました。恐縮です。

 

 

 第五試合のシノくんとカンクロウくんの戦いは原作通りに事が運んだため、ここでは割愛します。

 シノくんの勝利とだけ記載しておきます。

 

 

 さて、第六試合はヨタと我愛羅くんの対決です。

 ヨタは予選である程度発散できた模様。いつもの緩い顔で望みました。

 事前にやり過ぎないように言い含めたのもあり、ちゃんと加減も出来ていましたね。

 我愛羅くんは元々並ならぬチャクラを有していたのでしょう。原作に比べて操れる砂の量は少ないですが、その分、技のキレはこちらの方が上でした。

 砂を使った波状攻撃。我愛羅さんの守護霊である御母上による自動防御。攻防一体のスタイルは並の忍びでは相手にならないでしょう。

 ですが残念なことに、ヨタは並以上の実力者です。

 

 ある程度様子見して大体の力量を把握したヨタはついに攻戦に出ました。

 影分身でもう一人分身を生み出したヨタは、徐ろに腰のポーチから本を取り出し、それを読み始めたのです。

 それはヨタの愛読書で、『雀の涙』という有名な絵本。私も読んだことかありますが、とても切ない物語で読後感が半端なかったのを覚えています。

 絵本を読み始めた影分身のヨタは、みるみると目に涙を浮かべると、決壊したダムのように大泣きをしてしまいました。

 そして、本体のヨタはその場で踊り始めて楽しみを露わにします。ちなみに踊りは我が里の名物、盆踊りです。

 ヨタは同じ絵本を繰り返し読んでも、その豊かな感受性のおかげで毎回新鮮な気持ちで本を読むことができる特技があります。その特技を活かしたのがこの戦法です。

 大泣きヨタの力で滝のような大雨がピンポイントで我愛羅くんを襲いました。

 我愛羅くんが一度に操作できる砂では庇いきれない上、砂は水に弱く、水圧で障壁が瞬く間に砕けてしまいます。

 そのまま滝に押し潰されるかのように膝をつく我愛羅くんに、楽しヨタが操る風が鋭い刃となって襲い掛かりました。

 防ぐにしろ逃げるにしろ、水圧で指一本動かせない我愛羅くん。やがて力尽きたのか、素直にサレンダーをしました。

 負けを認めるのも心の強さ。彼は今後も成長することでしょう。

 

 予選では大混乱を招いたヨタの力を改めて思い知った木の葉の皆さんは、戦々恐々とした様子で、無邪気に喜ぶヨタを見つめていたのでした。





 感想や評価、投げてくれると非常に嬉しいです!

【各キャラの年齢、出身国】     

 変動なし

本編と勝手に書かれたシリーズ、どっちを優先してほしい?

  • 本編
  • 勝手に書かれたページ裏
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。