TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~ 作:ポチ&タマ
木ノ葉崩しは、小説形式でお送り致します。
私は分体第一九一九号。通称イクイク。
昨日生まれたので、一番若い分体となります。
今回はいつもと趣向を変えて、私の目で見聞きした出来事を、小説のように執筆したいと思います。
いずれ、妻たちとの出会いや巡るめく甘美な日々を、物語にして出版するのも良いかもしれませんね。
では、イクイクによるリアルタイム記録、開始です。
1
それが起きたのは、第七回戦が開始された直後のことでした。
ナルトくんとサスケくん、木の葉の新人ルーキーたちによる戦いの間際に突如起こったのです。
「これは、幻術か……!」
会場の上空から舞い降りる白い羽根。それを目にした人々は次々と倒れ、眠りにつきました。
ミナトさんの言う通り幻術でしょう。
「では、こちらもそろそろ始めましょうか」
『ハッ!』
何事かと立ち上がるミナトさんを尻目に風影の皮を被った大蛇丸さんが意味深な言葉を呟くと、護衛役の忍びが動き出します。
その怪しい動きに、即座にミナトさんたちを護衛していた木の葉の上忍と、小南が切り捨てますが、その忍びは肩車のようにして背丈を誤魔化していたみたいで。実際は二人で化けてました。
四人に分散した大蛇丸さんの部下――音の四人衆は屋上へ移動。大蛇丸さんもヒルゼンさんの腕を掴むと屋上へ向かい、タイミング良く結界で閉じ込めてしまいます。
「これは、四紫炎陣!」
「えぇ。これなら邪魔をされずに済むわ」
「風影殿……いや、お主は一体何者じゃ!」
閉じられた結界の中でヒルゼンさんと一騎打ちをする大蛇丸さん。ここまでの流れは原作通りですが、問題はこの後ですね。どのタイミングで暁が仕掛けてくるのか分かりませんし、こちらにはミナトさんもいます。
取りあえず本体の私――以降、私で統一します――はいつでも動けるように準備しながら、小南たちに命じて砂隠れの忍びたちの排除および一般人の避難誘導を命じました。
「テンガ殿……! 助太刀感謝する」
「いえいえ、盟友として助け合うのは当然ですから。それよりもここは私に任せて、火影殿は先代殿の元へ向かったほうがよろしいかと」
「……ここは任せます!」
飛雷神の術でヒルゼンさんの元へ跳んだミナトさんを見送った私も準備に取り掛かります。
「さて、高みの見物、とはいきませんよね。こちらも動くとしますか」
神隠れの里に待機している分体の私を通して、狩人のチーム“ヤハグル”、“カインハースト”、“ビルゲンワース”、“メンシス”を召集させると、逆口寄せの術でこちらへ招きます。
愛用の仕掛け武器を携え、神隠れのマークである天使の翼が描かれたコートを羽織った狩人たち。新人も含めて十二人、四チームを集結させた私は改めて最終確認をします。
「見ての通り、想定していた事態になりました。もうすぐ暁の方々も木の葉に集結するでしょう。皆さんは予定通り事に当たってください。以降は現場の判断に任せます」
「ええ、分かったわ」
赤と黒のコントラストが映えた仮面を被ったパクラが淡々と答えます。
彼女の胸中は察するに余りあります。今回はまたとない機会ですので、存分に鬱憤を晴らしてもらいましょう。
「……此度は砂隠れは侵略者。我々の敵です。遠慮は無用ですので、存分に暴れて下さい」
「ふふっ……えぇ、そうさせてもらうつもりよ。存分に恨みを晴らさせてもらうわ」
「張り切り過ぎて木ノ葉に被害は与えないでくださいね。そういう意味では雨由利も範囲攻撃はなるべく控えてください。友軍や民間人もいますので」
こちらは黄色に黒の仮面を被った雨由利。腰には彼女が愛用している忍び刀『雷刀・牙』が差してあります。
ちなみに『雷刀・牙』は予備でメインとなる仕掛け武器は背中に背負っていますね。
「窮屈で仕方ないけどしょうがないわね。善処するわ」
善処すると言う雨由利ですが、何だかんだ指示に従ってくれるので大丈夫でしょう。
各々の目を見て問題ないことを確認した私は最後に告げます。
「私はミナトさんに加勢します。木の葉の皆さんと暁は任せました。それでは、散!」
散開した狩人たちを見届けた私もミナトさんの元へ向かいます。
場面は丁度、正体を明かした大蛇丸さんにヒルゼンさんが引導を与える決意を固めたところでした。
「私を殺すねぇ。今のあなた達にそれが叶うかしら?」
「ほざけ! 貴様こそ状況が分かっておらんようじゃな。儂とミナトを相手に生きて帰れると思うておるか!」
「その言葉、そっくりそのままお返ししましょう。――口寄せの術!」
煙幕とともに登場するのは、六人のペインに、アイノとアイナ。
リーダー格である弥彦のペインが周囲を見回すと、大蛇丸に視線を向けました。
「どうやら首尾は上々のようだな」
「えぇ。まずはコイツらを始末するわ」
蛇のように長い舌を覗かせながら笑みを浮かべる大蛇丸さん。ミナトさんたちは突然現れたペインに警戒している様子です。
同時刻、里の中へ大きなチャクラを持った人が次々と侵入してきました。間違いなく暁のメンバーですね。
その数は、二十名。どうやら増強する形で強化したみたいです。
「報告! 里の外から多数の侵入者が! どれもビンゴブックに乗っている、S級の手練れです!」
「ぬぅ……。そこの者の同輩か?」
「あぁ、自己紹介がまだだったな。我らは暁。察しの通り、俺の同輩だ」
ミナトさんたちの元に到着しました。
私の姿に気がついたアイノたちは一瞬表情が緩み掛けますが、唇を噛んでなんとか堪えたようです。こんなことで正体をバラさないで下さいよ……。
一方のペインは忌々しそうな目を向けてきます。
「……神隠れのテンガか。貴方とはつくづく縁がある」
「それには同意します」
「知り合いかい?」
口振りから既知の間柄と思ったのでしょう。結界越しに話しかけてくるミナトさんに頷き、彼らとの因縁を語ろうと思ったその時でした。
「――久しぶりに里帰りしたと思ったら、まさかこんなことになるとはのぉ」
「里の窮地に何を悠長なことを言ってるんだい!」
自来也さんと綱手が駆けつけたのです。私の姿を認めた綱手も一瞬表情を崩しかけますが、なんとか険しい顔を維持しました。頼みますよ……。
ペインたちが羽織っている外套を目にした自来也さんは「暁だな?」と確信した様子で問いかけます。
「大蛇丸が暁に入っていたのは知っておったが、まさか襲撃してくるとはのぉ。木の葉を潰すつもりなのか?」
「久しぶりね自来也。えぇ、もちろん。そのための準備もして来たし、勝算があるからこうしているのよ」
「その自信、どうやらハッタリじゃあねぇようだのぉ」
険しい顔で大蛇丸を見つめる中、ペインが自来也にお辞儀をしました。
「お久しぶりです、自来也先生」
「先生? 貴様にそう呼ばれる謂れはないが」
目を細めてそう口にする自来也さん。無理もありません、今の彼とかつての姿とでは、到底結びつかないでしょう。イメチェンにも程がある変身っぷりですから。
「彼は弥彦くん。かつて貴方に師事した教え子ですよ」
「なに、弥彦だとっ? い、いや、それよりも何故、お主がそのことを知っておる」
「それは後で説明しましょう。手短に彼らの説明を――と言いたいところですが、邪魔ですねコレ」
結界を挟んでの会話は気持ち悪くて仕方ありません。
なので、まずは結界を解除することから始めました。
「揺れますよ」
一言告げた私は、その場で震脚を一つ。衝撃を通して支柱や大黒柱を破壊すれば、あっという間に建物を崩すことが可能です。
足場を失い結界を解いてしまう音隠れの四人衆。ミナトさんたちやペインは一早く反応し、飛ぶことで被害に遭うのを回避したようです。
「む、無茶苦茶だのぉ。まるで綱手譲りのバカ力だ……噂に相違ないようだのぉ」
巻き添えにあった他の忍びの方々には申し訳ないですが、これが手っ取り早いのですよ。
それより噂というのは気になりますね。どのような内容なのでしょうか。
「ケホケホっ、た、助かったよ。でも、もうちょっと穏便にしてほしかったかな」
「贅沢を言うでない。加勢してくれるだけ有り難いわい。それにしても……神とまで謳われる実力は、あながち間違いではなさそうじゃな」
「あぁ、里の外でも広まってるのですね……」
信者たちの活動でしょうか。あの方々ならやりかねません。
どうやら皆さん無事なようですね。
宙に浮いて埃の一つも被らなかったペインは、感情の読めない目で見下ろし、跳躍して回避した大蛇丸さんは忌々しそうな視線を向けてきます。
アイノたちも事前に跳躍したため、怪我一つ負っていない模様。
「流石は神隠れのテンガ。体術だけなら世界有数の実力者だ」
「本当、邪魔ね。その上、実力もあるのだから厄介極まりないわ」
「そんなに褒められても、貴方たちの詳細を話すことしかできませんよ」
「褒めてなんかいないわよ!」
大蛇丸さんのツッコミを頂いたところで、そろそろ暁について説明しましょう。
特に長門の輪廻眼は厄介ですので、仔細に伝えないといけません。
「では僭越ながら私から暁について、説明させて頂きます。そもそも、暁を設立したのは――」
こうして暁が設立された背景。リーダーが掲げる平和への願い。そのためには尾獣を蒐める必要があり、大半の尾獣を保護している我が里を襲撃してきたこと。
そして、ペインの正体と輪廻眼について。特に輪廻眼の能力は知っている限り喋りました。
共有すべき情報をすべて伝えた私は、最後に「修正すべき点はありますか?」とペインに尋ねたところ、冷静沈着な彼にしては珍しく険しい顔で逆に訪ねてきました。
「……貴様、何者だ?」
これは実に難しい質問です。
私の素性はまだ明かすべきではありませんし、なんと言えばいいのでしょうか。
取りあえず無難な答えを返しておきました。
「神隠れの長をしている、少し変わった人間ですよ」
嘘はついていませんから大丈夫です。
私の説明を聞いた綱手以外の木の葉の皆さんは、末恐ろしいものを見る目でこちらに視線を向けてきます。
「ワシも暁の情報を長年探っていたが、設立当初の話までは分からなかったぞ。末恐ろしいのぉ」
「神隠れの情報収集能力は凄まじいものじゃな」
「噂に聞く狩人の皆さんも来ているようだし、彼らが味方でいてくれて本当に頼もしいね」
「あぁ、流石は私の――んんっ! 神隠れのテンガだな。ペインとやらが居るとはいえ、この状況で勝ち目なんてあるのかい大蛇丸」
綱手の挑発に大蛇丸が嘲笑の笑みを浮かべました。
「言ったでしょう。勝算があるからこそ今ここにいると。輪廻眼についてそこまで細かく知られているのは予想外だけど、だからといってどうにかできるなんて思わないことね。それに、呑気に構えているけど里の方はいいのかしら? 今頃私の部下と砂隠れの忍びたち、そして暁が暴れ回っているわよ」
なにせ、実力はもちろん残忍で冷血な犯罪者ばかりの忍びを集めたもの。すでに里は壊滅しているかもしれないわね。
冷笑を浮かべながらそう言葉を続ける大蛇丸さんに、ミナトさんが焦ったような気配を見せます。
ヒルゼンさんが「ここはワシらに任せて、今すぐ戻るんじゃ!」と声を掛けますが。
「その必要はありませんよ」
私の言葉に呼応するように、狩人の皆さんが集結しました。多少、傷は負っていますが、ざっと見る限り重症者はいないようですね。
「ご苦労様でした。首尾の方は?」
「万事抜かりなく」
私の言葉にチーム“カインハースト”を率いるアジサイが膝をついて応えるのでした。
2
丁度、音隠れや砂隠れの忍びたちが木の葉の市民街へ侵入し、一般人などを無差別で攻撃し始めた頃。
木ノ葉に新たな侵入者の影が存在していました。
黒の布地に赤い雲の模様が描かれた外套を羽織った、二十名の忍び。暁です。
木ノ葉を一望できる外郭に集った暁の面々はツーマンセルで散開すると、一般人や彼らを守る木ノ葉の忍びたちへ襲い掛かります。
それは、ここアカデミーでも同じでした。無力な子供たちが多く通うアカデミーは絶好の的なのでしょう。
「焦らないで! 落ち着いて先生の後についていくのよ」
避難誘導する先生方の指示に従い、子供たちが列を作って大人しく進んでいきます。
その様子を尻目に周囲を警戒する木ノ葉の忍びたちですが、そんな彼らの元に一人の男が現れました。
「ここにもイキのいい奴がいそうだな」
暁の外套を羽織ったその男は獲物である無骨な大剣を背負っており、子供たちに視線を向けています。目の前にいる忍びを障害だと思っていない模様。
最近、暁に入ったS級犯罪者の一人、血濡れのヤグラです。
「来たか! 子供たちには手出しさせん!」
周囲を警戒していた忍び――イルカ先生が苦無を手に飛び出しますが、体を捌くと同時に腹部に蹴りを叩き込まれてしまいました。
呼気を漏らすイルカ先生に大剣を無造作に振るうヤグラ。なんとか苦無を盾にして直撃を回避しますが、軽々と吹き飛ばされてしまいます。
強かに背中を打ち、呻くイルカ先生。大剣を担いだヤグラはニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて挑発してきます。
「ほらどうした。こんなんじゃ、子供の一人も守れねぇぜ? もっと俺を楽しませろよ」
「くそ……っ」
彼我の差は明確。自分では勝てないことは分かっているでしょう。
それでも子供たちのため立ち上がったイルカ先生は、命を捨てる者特有の覚悟を目に宿し、苦無を構えました。
「……子供たちは、死んでも守る!」
「はっ、決死の覚悟ってやつか? いいねぇ、そういう奴は歯ごたえがあって大好きだぜ。一秒でも長く、俺を楽しませろよッ」
喜悦で表情を歪めたヤグラは、目に留まらぬ勢いで近づくと苦無ごと叩き折る勢いで振り下ろしました。
最期のその時まで目を開き、苦無を構えるイルカ先生ですが、そんな彼の顔が影で包まれます。
そして――。
「それは敵わないでしょう。なにせ、貴方の命は残り一秒もありませんから」
金属がぶつかり合う甲高い音とともに、鈴が転がるような美しい声が彼の耳に触れたのです。
いつの間に介入したのか、イルカ先生の目の前には一人の女性が立っていました。
天使の翼を模した絵が描かれた外套を羽織ったその女性は、身の丈はある翡翠色の大剣でヤグラの剣を受け止めていたのです。
「――っ! お前は……!」
「無駄話はしない主義です。神の名の元に、貴方を粛清します」
――目覚めよ、月光剣。
そんな呟きがイルカ先生の鼓膜を優しく揺すると、彼女が手にしていた翡翠色の大剣が淡い光に包まれました。
光り輝く美しい大剣を手にした女性がそのまま剣を振るうと、ヤグラの持つ獲物は翡翠色の斬撃で弾き飛ばされ、その持ち主も一刀の元両断されてしまいます。
翡翠色に輝く光の刃はそのまま通過し、進路上にあった障害物をすべて切り裂きながら彼方へと消えていきました。
その光景を眺めた女性――【狩人】の雪は、それまでの凛とした態度から一変。壊れた壁を前に慌て始めます。
「ど、どうしましょう! 勢い余って壊してしまいました! テンガ様に怒られてしまいますっ!」
圧倒的な実力でヤグラを真っ向から切り捨てた女人とは思えないその姿に、腰を下ろしたイルカ先生は呟きました。
「は、はは……これが、噂に聞く『狩人』か……。すごいな……」
苦笑ともとれる笑みは非常に彼の心境を表しており、なによりも彼女がいる安心感が大きいのでしょう。
そして、アカデミーのように暁が現れた場所には必ず狩人の姿がありました。
木の葉病院。木の葉の里で一番大きな総合病院です。
この病院でも避難が行われており、医療忍者や看護師たちが急いで患者たちの搬送を行っていました。
そんな病院に招かれざる客が大勢訪れてきます。
「病人どもは後回しでいい、医療忍者を最優先で始末しろ!」
「良い女がいたら楽しめるぜ!」
下種な笑みを浮かべた音隠れの忍びたち。
十人ほどの忍びは玄関から堂々と侵入しますが、それは彼らにとって冥府への入口でした。
「楽しむ余裕なんざ与えないわよ」
視界の端から鞭のように撓る、連なった分厚い刃が襲い掛かったのです。
三名は回避できず、獣肉を絶つように荒々しく胴体を両断されてしまいます。
「敵か!」
「連接剣!? それにしては分厚すぎる! 何なんだあの武器は!」
鞭のように振るわれた刃は、重々しい音とともに火花を散らしながら連結。瞬く間に鉈の形状へと戻りました。
その担い手である【狩人】、雨由利は『獣肉絶ち』を肩に担ぎながら、散歩でもする気軽さで歩み寄って来ます。
「さて、この中でアタシをビリビリさせてくれる奴は居るかな。まあ、居たとしてもアタシの身も心もすべて売却済みだけどね」
そう口にした雨由利は「派手な技が使えないからストレス溜まってるのよ。あんたたちで発散させてもらうわよ」と告げると雷遁のチャクラを分厚い鉄の剣に込めました。
紫電を弾かせる『獣肉絶ち』を横凪に振るうと、鉈の形状をした刃が再び分かれ、鞭のように撓りながら侵入者に襲い掛かります。
跳躍して逃げた者は、正しい選択をしたと言えるでしょう。なにせ、苦無や刀などで受け止めた忍びは、等しくその重量と勢いで弾かれ、折れ、軌道を逸らすことも叶わず胴体を分断されたのですから。さらには止めと言わんばかりに雷遁のチャクラによって丸焦げに。
跳躍した忍びたちは、この死の刃から逃れたことに安堵の吐息を漏らしてしまいますが、彼らの受難はまだ終わりません。
再び重い金属音を伴いながら火花を散らして連結すると、その反動を利用して今度は反対側から振るう雨由利。
忍びたちはまだ宙を跳んでいるため避ける術はなく、あえなく胴体が真っ二つとなってしまいました。
「やっぱりこの程度よね。はぁ、もうちょっと歯ごたえのある人いないかしら」
溜息をつきながら手元で連結する分厚い鉈を地面に突き刺す雨由利。
火花とともに仕掛けが起動した獣肉断ちは、鉈モードとなって雨由利の手慰み扱いを受けるのでした。
3
木の葉を襲うのは、なにも忍びだけではありません。大蛇丸さんの部下が口寄せした巨大な大蛇たちも存在します。
町のど真ん中で好き勝手に暴れていた大蛇たちですが、突如その一匹の頭が爆発して弾け飛んだのです。
啞然とその様子を眺めていた木の葉の忍びたちの近くに一人の女性が降り立ちました。
「……この程度の蛇なら、あまりチャクラを込めなくてもよさそうね」
「あ、貴女は……?」
「安心して。私は神隠れの里の忍び。味方よ」
そう言って薄く微笑むのは【狩人】の一人であるスイレンです。彼女の右手には異形の仕掛け武器が装着されていました。大掛かりな筒状の射出機に取り付けられているのは、一本の分厚い杭。
先端は鏃のような三角状で、火遁のチャクラが込められているのか炎に包まれています。
その特徴的な武器を目にした木の葉の忍びは呆然と呟きました。
「も、もしかして貴女は、狩人……?」
「あら、私のことを知っているの? 随分と有名になったものね」
そう言って微笑む彼女ですがすぐに表情を引き締めると、右手の仕掛け武器『パイルハンマー』を弄りました。仕掛けが作動し、火花とともに突出していた杭が根元まで引き上がります。
「これはこれは、かの有名な狩人と戦えるとは。どうやら私は運が良いみたいですなぁ」
拍手とともに現れたのは、暁。丁寧な言葉遣いとは裏腹に冷酷かつ残忍な忍びとして知られるS級犯罪者の一人、赤羽さん。刀術の達人です。
二振りの刀をそれぞれ携えており、一見無造作な構えに見えますがその実、変幻自在の構えです。
「それでは噂に聞く狩人の腕前、しかと拝見させて頂きますぞ!」
「拝見だけで済むといいわね!」
両刀を手足のように自由自在に操る赤羽さん。体捌きも武術家に近く、まさに武器術のそれです。
しかし、スイレンは【狩人】の中でも上位に位置する体術使い。『テンジ流戦闘術』は七段であり、達人寄りの妙手レベルです。
そして、刀術の達人である赤羽さんですが、『テンジ流戦闘術』で当てはめると、彼のレベルは五段程度。まだ弟子レベルの実力です。
弟子と妙手では文字通り次元が違います。赤羽さんも達人としてのプライドが少なからずあるのでしょうが、彼の振るう刀はスイレンの体に触れることはありませんでした。
足捌きと体捌き、そして『パイルハンマー』の先端部で逸らし、悉く攻撃を避けるのです。
「足元がお留守よ」
腹部に当て身を入れて意識を上半身に向けたスイレンは、流れるような動作で赤羽さんの足首辺りをつま先で蹴りました。
「――」
そこは、三陰交と呼ばれるツボがある部位です。非常に刺激が強く、軽く小突くだけで屈強な男でも悶えるほどの痛みを与えます。
その痛みに耐えられなかったのか、思わず動きを止めてしまう赤羽さん。その決定的な隙を逃がさず『パイルハンマー』が装着された右腕でストレートを放ちました。
ハッと刀で防御する赤羽さんですが、もう遅いですね。
交差した刀に触れた瞬間、仕掛けを作動。パイルハンマーの内部に装填された起爆札が起動し爆発を伴いながら杭が飛び出しました。
音速並みの速度で射出された杭は容易に刀を折り、持ち主の胸部に風穴を開けます。
煙が立ち昇るパイルハンマーですが、本体に破損した形跡は微塵もありません。鍛冶師の腕前が垣間見えます。
念のため赤羽さんの首を切り離したスイレンは、再びパイルハンマーの仕掛けを起動し、杭を根元まで引き上げた状態にして静かに呟きました。
「ターゲット、一名始末完了。残りは後何人かしら?」
そんなスイレンから少し離れた場所でも、暁と戦っている【狩人】が一人。
二尾の股旅の元人柱力であったユギトです。
彼女の手には歪んだ刃が特徴の『慈悲の刃』が。既に仕掛けで二刀に分離させており、淀みない動きで二本の刃を猛然と振るっていました。
「はっ、なかなか早いじゃねぇか! 姉ちゃんやるなぁ! 俺もっ、興が乗って来たってもんだぜ!」
「私は全然乗っていないけどねっ」
ユギトの相手は暁の飛段さん。不死身の肉体を持つジャシン教の狂信者です。
事前に見知っている暁メンバーの能力は仔細に教えていますので、ユギトは飛段さんの変則的な大鎌術を躱しながら、儀式を行わせる暇を与えないように手数で攻めていました。
手数の多さで言えばユギトは【狩人】で一番です。使用している仕掛け武器『慈悲の刃』は風遁のチャクラが込められており、刃を振るえば振るうほど加速度が増していく仕掛けが施してあるのです。
使い熟すには高い熟練度が必要ですが、『精神と時の空間』での修行で手足のように扱えるようになったユギトは、猫のような俊敏性を発揮して飛段さんを相手に常に先手を取り続けています。
「ちぃっ、早えぇなオイ! ていうか更に早くなっていくじゃねぇか!」
「それが私の強みだもの。不死身らしいけど、細切れにされた経験はあるかしら?」
「そいつは流石にねぇな! 是非とも味わってみてぇ痛みだぜ!」
軽口を叩く飛段さんですが、加速を続ける二本の刃とユギトの俊敏な体捌きに焦っている模様。
これまでは一撃さえ入れれば確実な勝利が約束されていましたが、その一撃を食らわせることが出来ず、自身は全身に切り傷を刻まれていくのですから。
不死の肉体を――というより、儀式による戦闘スタイルを過信しすぎた弊害ですね。
そのままユギトは一切手を緩めることなく、宣言通り飛段さんを細切れにすると、彼の体をすべて回収し、どこかへ持ち去ってしまいました。ユギトなりに何か考えがあるのでしょう。
こうして【狩人】の皆さんは着実に暁メンバーを仕留めつつ、音と砂隠れの忍びたちを撃退するのでした。
暁の新キャラは全員オリジナルのモブです。
【各キャラの年齢、出身国】
変動なし
本編と勝手に書かれたシリーズ、どっちを優先してほしい?
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本編
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勝手に書かれたページ裏