※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~   作:ポチ&タマ

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 終結した【狩人】の面々。ペインたちを視界に納めながら報告を聞きます。

 

「チーム“ビルゲンワース”。言われていた通り、目標はすべて殲滅したわ。こちらの被害は無し。民間人も無事よ」

 

 赤と黒の画面を被ったパクラが口を開くと、順繰りに報告してきます。その手には湯気を立ち昇らせている爆発金槌があり肩に乗せていました。

 無造作に見えますがいつでも振り下ろせる体勢ですね。

 

「チーム“カインハースト”。こちらも任務遂行。少々派手に動いてしまったけど、被害は無し。もう少し手応えがあるかと思ったんだけど」

 

 紫に黒の仮面を付けたアジサイが、淡々とした声で告げます。

『ルドウィークの聖剣』の担い手である彼女は、そこそこ重い大剣を背負いながら素早い動きで相手を翻弄するほどのスピードの持ち主です。小柄な体からは想像もつかないほどの速度で大剣を振るいます。

 

「チーム“メンシス”。こっちも完了よ。飛段っていう不死身がいたけど、肉片単位で細切れにした後、火の山の火山口に蒔いておいたわ。今頃、壮絶な痛みで絶頂しているんじゃない?」

 

「ユギトだからこそ出来る芸当よね。アタシの方も問題なく処理したわ。芸術がどうのこうの言ってたけど、その芸術ごと丸焦げよ」

 

 青と白の仮面で顔を隠したユギトの報告に雨由利が素直な感想を口にします。

 確かに『慈悲の刃』は振るう度に速度が上がる特性がありますから、技量さえあれば細胞単位で細切れにすることが可能でしょうが、卓越した使い手であるユギトだからこそ、出来る芸当なのかもしれません。

 一方の雨由利はどこか呆れた口調で肩を竦めていました。デイダラの感性は余人では理解し難いものですからね。

 その手に握られた『獣肉絶ち』は戦闘の名残りなのか、紫電を帯びています。

 

「チーム“ヤハグル”。わたくしの方は少々手間を取ってしまいましたが恙無く終わりました。確か、鬼鮫さんと再不斬さんでしたか。その方々が持っていた忍び刀も回収済みです」

 

 着物にいくつかの傷を付け、所々に血を滲ませた雪が楚々と微笑みました。

『月光の聖剣』は翡翠色に輝いており、その存在を強く示しています。

 他の狩人の皆さんも、討ち洩らしがないようにしっかり仕留めたようですね。民間人の被害も最小限に留めたみたいですから、上々の仕上がりといって良いでしょう。

 

「――ということです。お仲間は既に対処済みですので、残りはあなた達だけですね」

 

 そう言って仮面越しに微笑む私に、大蛇丸さんは険しい顔で睨み返してきます。

 音隠れと砂隠れの忍びによる奇襲攻撃。

 そして、ビンゴブックに載ったS級犯罪二十名で構成された暁のメンバー。

 今頃、屍山血河を築き、木ノ葉の里は壊滅状態と踏んでいたのでしょうが、結果はむしろ逆。

 暁のメンバーは狩人によって諸々狩られ、神隠れの忍びたちによる援護で被害も最小限に抑えることが出来ました。今頃、反転攻勢に出た木ノ葉の忍びとともに敵対勢力を駆逐していることでしょう。

 そう告げると、露骨に眉を顰めて沈黙する大蛇丸さん。

 ですが、ペインは眉を一瞬跳ね上げただけで、それ以上の反応は示しませんでした。

 

「やはり、あなたは危険だ。だか分からない。何故そこまでして我々の邪魔をする」

 

 純粋な疑問なのでしょう。淡々とした口調ながら、理解できないことに対するニュアンスが含まれています。

 

「あなた達の目的はこちらも知っている。『武力に頼らない平和な世界』……素晴らしい目標だ。だからこそ、我々の理念も共感することができるはず」

 

「確かに、あなたの理念は尊いものです。ですが、そのやり方には賛成できません」

 

 本来は悪人の私が言うべきことではないかも知れませんが、そんな私でもこの行為では平和は訪れないことは分かります。

 

「憎しみは憎しみを生み、憎悪の連鎖が始まってしまいます。戦争はそれを象徴するものでしょう」

 

「痛みを知らぬから争いを起こすのだ。万人が等しく痛みを知れば、争いは消える」

 

「いいえ、消えません。何故なら歴史がそれを証明しています」

 

「では、どうやってこの問題を解決する? 憎しみに塗れ戦争が戦争を引き起こすこの悲劇を、どうやって止める? 我らの憎悪を、どうやって鎮めると言うのだ」

 

 その疑問はもっともなものです。ましてや、自分たちの行いを否定されたのですから。

 感情的になっても可笑しくないというのに、あくまでも淡々と質問してくるペインさん。

 いつの間にかこの問答を黙って聞いていた皆さんが、私に注目するのを肌で感じました。

 良い機会ですので、長年懐に温めていた計画の一部を、ここで開示しましょう。

 完全無比の我らの計画なら、余計な血を流さないで解決することが出来るのです。

 仔細は告げず大雑把な概要だけ説明した私ですが、ペインの目には敵わなかったようです。

 

「話にならないな」

 

一笑に伏すペインに、大蛇丸さんが声を掛けました。

 

「お喋りはもういいかしら?」

 

「あぁ、そうだな。お喋りは終いにしよう」

 

 大蛇丸さんの声にペインが方陣を取り構えます。大蛇丸さんも両手で印を結び、今にも戦いが始まるといった緊張感が漂う中。

 

「あの、いいですか。ここで告げるのも何なのですが」

 

「アイナたち、暁抜けるね。寿退社」

 

 アイノとアイナが私の側に寄ると、暁を象徴する外套を脱ぎ捨てたのでした。

 突然の寝返りに皆さん驚きを隠せない様子。

 ペインでさえ、眉を潜めて不快を露わにしています。

 

「……寿退社、だと。そんな理由が罷り通るとでも思っているのか?」

 

「プライベートを詮索しない。暁のルールの一つですよね。なら私達が誰と結婚しようと自由です」

 

「それにペインは勘違いしてる。アイナたちは元から仲間じゃない。アイナたちは常にテンガ様の味方。隠れ蓑、ご苦労様」

 

 そう言い捨てると、いそいそと白い羽織物を羽織るアイノたち。

 白の生地に青のラインが入ったコート。背中の六芒星のマーク。懐かしい【旅団】のユニフォームです。

 これを着ているのは【旅団】として活動を続けている私だけです。そんな【旅団】の団員を示す外套に袖を通したアイナは「ようやくテンガ様とお揃い」と御満悦の様子で胸を張ったのでした。

 

「この子、すっと神隠れの皆さんを羨ましがってたんです。私もいつか同じ羽織物を羽織りたいって。もちろん、私も同じですけど」

 

 こっそりと耳打ちしてアイナの心境を解説してくれるアイノ。やはり双子なだけあってよく分かっているのですね。

 そして、寂しい思いをさせてしまいました。後できちんとフォローしないといけません。もちろん、アイノも。

 それはそうと、これはマズイです。不測の事態というのが発生してしまいました。

 このままではテンガ=テンジがバレてしまいます!

 

「……二人がテンガくんに懸想を抱いていたのは予想外だったけど、何故あなたたちがその外套を着ているのかしら?」

 

 扱く真っ当な疑問。皆の視線が私とアイノたちに向けられるのを肌で感じます。

 ミナトさんとヒルゼンさんは怪訝な目を、自来也さんは何かを思い出しそうで思い出せないような微妙な視線を。

 綱手は『あのバカ……!』と言いたげな焦燥感に駆られた視線を、小南たちは『あぁ、これはヤバいやつだ』と冷静でいながら内心焦りを隠せない目を。

 そして、アイノとアイナは『――あ、やっちゃった』と心の声が聞こえてきそうな顔で固まってしまいました。

 

「――まぁいいわ。今は悠長に喋っている空気でもないし。そろそろ始めましょう」

 

 大蛇丸さんの声とともにペインさんたちも動き出します。

 今回ばかりは助かりました。ナイスアシストです大蛇丸さん!

 

「――口寄せ・穢土転生の術!」

 

 素早く印を組んだ大蛇丸さんは、地面に掌を叩きつけて口寄せの術を発動させます。

 一早く動き出したヒルゼンさんが手裏剣を投擲し、“手裏剣影分身の術”で阻止しようとしますが、間に割り込んだ絡繰りペインがそれらを弾きました。

 

「口寄せの術!」

 

 口寄せ担当のペインが怪獣サイズの獣たちを口寄せし、絡繰りペインがロケットパンチを放ってきます。

 口寄せ担当は中年の男性ですね。というか、今回のペインは皆男性で構成されている模様です。私としては嬉しいような残念なような。もし可愛い子がいたら“涅槃転生”を惜しみなく使ったでしょうに。

 やはり、「口寄せの術!」はアジサイが一番ですね。

 こうして戦いの火蓋は切って落とされました。

 

 

 

1

 

 

 

 散開して各々忍術を発動し、ペインたちを攻撃しますが、それらはチャクラ吸収担当のペインが無力化。ミナトさんの“飛雷神の術”も弥彦ペインの神羅天征で吹き飛ばされてしまいます。

 狩人の皆さんには口寄せ動物の相手をして頂き、私とアイノたちは状況を見守るのみ。

 一瞬の攻防の隙に大蛇丸さんは穢土転生を完了して、二人の忍びを蘇らせました。

 

「なんということじゃ……っ」

 

 蘇った二人の姿を目にしたヒルゼンさんは大きく眉を顰め、嘆かわしい表情を浮かべます。

 ミナトさんや綱手と自来也さんも動揺を隠せません。

 

「あれは、まさか……!」

 

「コイツは、なんともむごい真似をしてくれるのぉ……」

 

 地中からせり出してきた棺桶から現れた二人は、周囲を一望するとヒルゼンさんたちに視線を止めます。

 

「まさかこんな形で再開するとは思わなかったぞ、猿」

 

「おぉ、そこにいるのはもしや綱か! 大きくなったな!」

 

「兄者、空気を読んでくれ……」

 

 そう、彼らは初代火影と二代目火影、千手柱間さんと扉間さんです。原作通りですね。

 

「穢土転生か。コレを使える忍びがワシ以外にいるとはな。この小僧が術者か」

 

「むぅ、孫との再開を喜ぶ時間もなさそうだ……。口惜しや」

 

「そう気落ちなくても存分に語らせてあげるわ。あの世でね」

 

 そう言い、札がつけられた苦無を柱間さんたちに埋め込もうとする大蛇丸さんですが、ピタッとその動きが止まります。

 怪訝な顔をするミナトさんですが、その隙をつき一瞬で間合いを詰めると大蛇丸さんの腹部を蹴り、強引に距離を開けさせました。

 

「ぐぅっ……今のは、金縛りの術……! こんな初歩の術で私を縛るなんて、一体誰が……!」

 

 驚愕の表情を浮かべる彼に手を上げて応えたのは、もちろん私です。

 そして、私が置かれている状況を目にした大蛇丸さんは汗で頬を濡らしながら「化け物ね……」と呟きました。

 まあ残念ながら、彼の言葉を否定できる人は恐らくこの中にはいないでしょう。

 何せ、何時ぞやのように五人の分体で数の不利を打ち消すならともかく、私一人でペイン六人を相手取っていたのですから。

 ヒルゼンさんやミナトさん、綱手たちが加勢したくても出来ないほど――いえ、加勢する必要を感じないほどの戦いっぷりを披露しております。

 

 転生眼を発動させた私はチャクラを纏わせたナイフを二十本ほどバラ撒き、縦横無尽に空中を走らせてペインたちを狙います。

 チャクラを吸収するペインには“居合火拳”で牽制しつつ、まず手始めに閻魔王を召喚するヒーラーペインから片付けました。

 時折、空間転移でナイフの位置を変えたりしつつ、あっという間にカラクリペインを蜂の巣に。

 弥彦ペインが神羅天征でナイフを吹き飛ばそうとしたら、こちらも同じく神羅天征で相殺です。ちなみに私の神羅天征は弥彦ペインのような全方向ではなく、一方向タイプと言っておきます。

 そうやって確実に一人ずつ処理しながら、大蛇丸さんの動向にも気を配っていたのです。

 さて、大蛇丸さんが柱間さんたちを穢土転生するのは想定通り。 

 そして、私はこれを大いに利用させて頂きました。

 

「ぐっ……」

 

 残りのペイン三人を蹴り飛ばした私は、柱間さんたちの側へ寄ります。

 

「おぉ、見ておったぞ! 強いなお主、儂やマダラより強いかもしれん! ハッハッハッハッハッ!」

 

「呑気に言っている場合か兄者。この小童、他里の忍びのようだ。木の葉の脅威になるやもしらんぞ」

 

「大丈夫ですじゃ。今、木の葉はこの方の里、神隠れの里と同盟を組んでおります。なので、此度もこうして助けて下さっているのです」

 

「同盟などいつ破られても可笑しくない。信用ならん」

 

 何故か機嫌良さげに褒めてくれる柱間さんと、思いっきり不信な目を向けてくる扉間さん。扉間さんに至っては頑固なお爺さんのようにへそを曲げてしまい、ヒルゼンさんの言葉にも耳を傾けません。本当に原作通りの人柄です。

 

「まあまあ。仰りたいことは分かりますが、まずは木の葉を守ることが優先です。その仮初めの体では思うところもあるでしょうから、完全に復活させますね」

 

 ですが、あまり悠長にしている時間はないので、ぱぱっと進めさせていただきます。

 

「なんだと? 小童、一体――」

 

「第一の扉、涅槃転生。……では、行ってらっしゃい」

 

 涅槃へと続く扉を二つ召喚すると、いつもの天使たちが姿を見せました。

 

「ぬぉ! な、なんぞコヤツらは!」

 

「ええぃ面妖な! ワシらに何を――」

 

 喚く二人をガッチリホールドした天使たちは無理矢理扉の中へと消えていきます。

 そして、無常にも扉が閉ざされました。

 一連の流れを唖然と見ていたヒルゼンさんが問いかけて来ます。

 

「テンガ殿、一体何を……? 初代様たちを何処へ……」

 

「まあ、見ていればわかりますよ。ほら、時間です」

 

 閉ざされていた扉がゆっくりと開きました。

 その向こうから柱間さんたちが姿を見せ歩み寄ってくるのですが、その体は穢土転生されたものとは明らかに違います。

 

「……驚いたな。まさかこのような術があるとは」

 

「ふむ、この体に満ちる生気。間違いなく生前の肉体ぞ」

 

 調子を確かめるように体を動かす柱間さんたち。その体には生者の気が宿り、肌にも潤いが見て取れます。

 穢土転生特有の黒い眼も元に戻っており、二人のビフォーアフターにヒルゼンさんたちは絶句していました。

 

「お二人とも、その体は……!」

 

「うむ。どうやら生前と変わらぬ姿で蘇ったようだ」

 

「穢土転生と違い術者による制限もない。まさしく転生の術だな」

 

 その言葉に大きな反応を示したのは大蛇丸さんです。まるで否定するかのような勢いで言葉を投げ掛けてきます。

 

「ば、馬鹿な……! 完全なる死者蘇生ですって! そんな術、私ですら聞いたことないわよ!」

 

「……」

 

 一方のペインは険しい顔をしながらも何かを考えている様子。どちらかというと、これは私を見ているのですかね。

 

「テンガと言ったな。お主、何者ぞ」

 

 流石に本物の死者蘇生をその身で体験しては真剣にならざるを得ないのか、柱間さんはそれまでの好々爺とした態度から一変、鋭い眼差しを向けてきました。

 そんな彼に――いえ、この場にいるすべての人に告げます。

 

「私は転生眼の保有者です」

 

「転生眼とな? 猿、聞いたことは?」

 

「いえ、初耳です」

 

「僕も聞いたことないですね。……それが転生眼かい?」

 

 ミナトさんたちに見えるように顔を向けた私は小さく頷きました。

 自来也さんはどこか喉に小骨が誘ったような顔で首を傾げていますが、とりあえず説明を続けます。

 

「皆さんご存知ないのも無理ありません。なにせ、この目を所有していたのは過去に一人のみですので」

 

「ほう、過去一人のみとな! して、その名は?」

 

「名は分かりませんが素性は明らかですよ。その人物こそ、六道仙人の父なのですから」

 

「なんと、あの伝説の!?」

 

 柱間さんは良い反応を示しますね。皆さんも言葉を失うのではなく、これくらいの反応を見せてほしいものです。

 

「転生眼は輪廻眼の対となる瞳力。その本質は見通すことと蘇生にあるため、このように死者蘇生も可能です。もちろん、紛い物の躰であっても」

 

「ふぅむ、末恐ろしいものよ……」

 

 納得したのか腕を組んでうんうんと頷く柱間さん。そんな兄とは違い弟の扉間さんは警戒した目を向けてきました。

 

「……ワシらが蘇った理由はわかった。あの小僧の呪縛から解放してくれたことにも礼を言おう。だが、ワシら木の葉に牙を向けたが最後、貴様といえど容赦せんぞ」

 

「安心してください。これからも友好関係を築いていきたいと思っていますから」

 

「フン……」

 

 さて、戦局はこちらが圧倒的に有利になりましたが、それでもまだ続けるつもりですかね。

 継戦の意志を問うと大蛇丸さんは苦虫を噛み殺した顔で黙り込みました。

 対して弥彦ペインは「コイツを出す気はなかったが、致し方ない」と呟き、一歩前に出ます。

 輪廻眼特有のグルグルとした眼で私を見据えた彼は静かに口を開きました。

 

「輪廻眼の対となる、転生眼。その存在は俺も知り得ないことだった。なるほど、道理で強いはずだ。貴方も選ばれし存在なのだから」

 

 何か語り始めました。選ばれし存在というのは何でしょうか。

 気になるところではありますが、弥彦ペインは子の印を組むと、凄みを込めて叫んだのです。

 

「だが、この程度で俺の憎悪を止められらと思うなッ!!」

 

 出でよ、外道魔像ッ!

 その言葉に呼応するように、長門の背後から白い巨人が姿を見せます。

 その体は、まるで干からびたミイラのようでした。

 記憶にある外道魔像もシワシワな巨人でしたが、これはそんなものではありません。

 まさに皮と骨しかないミイラです。

 山より高く、巨人と呼ぶに相応しい巨体ですが、ここまでガリガリに痩せ細っているとは。何があったのでしょうか……?

 ですが、ペイン本人はこの状態の外道魔像を目にしても特に反応を示しません。もしや、この世界線の外道魔像は、これがデフォルトなのですか……?

 

「まさか、このカードを切らせるとは思わなかったぞ……。やはり、貴方は最大の障害だ……。ここで、確実に潰さなければ……!」

 

 外道魔像が咆哮を上げました。その大声に思わず耳を塞いてしまいます。至近距離だと爆音ですね。

 動き出した外道魔像に対して柱間さんたちが構えます。

 

「行くぞ皆の衆!」

 

「すみません、少々お待ちを。ここは私に任せてくれませんか?」

 

 やる気満々だった柱間さんは、真剣な目で問いかけてきます。コヤツを任せて本当に大丈夫なのか、と。

 なので私は大きく頷きました。

 私の目をジッと見つめていた柱間さんは、やがて構えを解きます。

 

「兄者!?」

 

「テンガがここまで言うのだ。ここは任せてみようではないか」

 

「ありがとうございます。期待にはキチンと応えますので」

 

 さて、“地爆天星”の改良版である“地爆巨神兵”で対応してもいいですが、それだと木の葉の土地にダメージを与えてしまいます。

 そうなると、残された選択肢は二択。山すら斬り飛ばしたチャクラビームソードの“斬星刀”か、外道魔像のような大型生命体の口寄せか。

 ここは後者でいきますか。怪獣大決戦も嫌いではないので。

 

「さぁ、行きますよ。本邦初公開! 第五の扉――天道大聖像!」

 

 転生眼を転生六芒眼に切り替えた私は、第五の扉を開きました。

 遥か上空に出現する大きな両扉。

 下向きで出現した両扉が重々しい音とともに開くと、その奥から外道魔像に負けない巨大な天使が降臨します。

 

「おぉ! なんと神々しい……!」

 

「これは……。これも転生眼の力なのか……」

 

「まるで規模が違うのぉ」

 

「すごい……! これがテンガの力……!」

 

 降臨した巨大な天使――私命名、大天使は一言で表すなら美しいに尽きるでしょう。

 腰の高さまである金髪はウェーブが掛かっており、頭上にはやたらと格好いい天使の輪。

 瞳は梵字のような文字が描かれた布で隠れているため確認することは出来ませんが、鼻梁は高く輪郭も整っており、間違いなく美形と言えるでしょう。

 他の天使と同じく白い衣を身に纏っており、しなやかな女性らしい手はなんと四本も生えていて、体の前で手を組んでいます。

 そして、その豊満な乳房は比喩ではなく山並の大きさ。それもエベレストサイズのビッグオッパイ。

 背中には純白の翼が三対六枚生えており、抜け落ちた羽根が辺りを舞い、景色を幻想的に彩っているのです。

 

『――?』

 

 神の遣いと言っても過言ではない美しさと神秘さが、これでもかと滲み出ている大天使は、静かに地上に降り立つと、私に顔を向けて首を傾げました。

 外道魔像と違い、大天使はテレパシーで意思の疎通が図れるのです。

『目の前にいるデカブツを倒してほしい』とお願いする私に小さく頷き返した大天使は、再びふわりと宙に浮かびました。

 涅槃転生でやって来る天使もそうですが、翼を羽ばたかせなくても浮遊できるのは、彼女たち共通の能力なのでしょうか。

 

「……巫山戯るな。こんなところで、俺の野望を止められてたまるかぁ!」

 

 気炎を吐く弥彦ペインに呼応するように、外道魔像が咆哮をあげながらパンチを繰り出そうとしますが、それよりも早く大天使は動いていました。

 ピンと伸ばした六枚の翼から光弾が次々と打ち上げられたのです。それらはまるで、戦闘機から射出されたミサイルのように弧を描きながら外道魔像に被弾。

 小さな爆発が次々と起こり、外道魔像は瞬く間に、爆破の嵐に呑まれてしまいました。

 

『――――』

 

 そして、止めとばかりに四本の腕を突き出すと、手と手の間に光の玉が生まれ、やがてスパークを伴った光玉から、極太のレーザーが放たれました。

 レーザーは爆撃の嵐を受けていた外道魔像の上半身を消し飛ばし、地中に大きな穴を開けてしまいます。

 まさに鎧袖一触。少々やり過ぎだかもしれません。

 

「外道魔像が……」

 

 恐らく彼にとって最大戦力であったのでしょう。そして、外道魔像が消し飛んだ以上、長門さんやオビトさんが企んでいる【月読計画】も頓挫したことになります。

 残った下半身が地響きを立てて倒れるのを呆然と見届ける弥彦ペイン。その決定的な隙を見逃さず接近した私は“テンジ流・捻じり貫き手”で彼の心臓を貫きました。

 

「テン、ガ……」

 

「直に、相まみえることになるでしょう。それまでおさらばです、長門さん」

 

 完全に葬るため、心臓を貫いた腕で彼の背中を掴んだ私は、櫛灘流柔術の応用により一切の力を加えないでペインの体を大きく持ち上げると、彼の体を反転させて頭から地面に叩き付けました。

 そして、地中に埋まった頭を震脚で踏み潰します。これで完全に葬ったと言えるでしょう。

 残るは大蛇丸さんのみです。汗で頬を濡らし、引き攣った微笑を浮かべた大蛇丸さんは退却しようと後退りしました。

 

「……ここは、撤退するしかないわね」

 

「逃がすとでも?」

 

「な、いつの間に――ぐぁあああああっ!」

 

 それまで闇夜に潜んで気配を殺していた小南が音もなく忍び寄ると、両肩から先を紙の刀で斬り飛ばしました。

 素晴らしい隠形です。これぞまさに忍びの技と言えるでしょう。

 

「取りあえず、両腕もらったわ」

 

「わ、私の腕がぁぁあ……!」

 

『大蛇丸様っ!』

 

 それまで隠れて様子を窺っていた音の四人衆が大蛇丸さんの元へ終結します。彼らの側には厳重に札が貼られた樽が置かれていました。

 透視しようとしても結界で阻まれて中は覗けない仕様になっている模様。その気になれば破ることは出来ると思いますが、十中八九、中にいるのはサスケくんでしょう。

 

「ぐぅぅ……! ……なんとか、サスケくんの確保は出来たから、これだけでも良しとしましょう……。お前たち、撤退よ……ッ」

 

『はっ!』

 

「逃さない」

 

 大蛇丸さんの言葉に樽を抱えて撤退を始める中、小南が後を追おうとしますが、その肩に手を置いて制します。

 

「追わないで結構ですよ。このまま泳がせましょう」

 

「……兄さんがそう言うなら」

 

「……どうやらもう一人の暁メンバーも撤退したようですね。里の被害も最小限に留めることが出来ましたし、上々といったところでしょうか」

 

 千里眼で里内を見回しましたが、オビトさんも撤退したようです。これで暁はオビトさんと長門さんの二名のみとなりましたか。

 ペインは死体さえあれば復活出来ますが、今回外道魔像を動かしたことでかなりチャクラを消費したでしょう。これで、しばらく時間を稼げます。

 

 なにはともあれ、これで終戦です。

 長かった中忍試験がようやく、終わりを迎えたのでした。

 





【各キャラの年齢、出身国】     

 変動なし

本編と勝手に書かれたシリーズ、どっちを優先してほしい?

  • 本編
  • 勝手に書かれたページ裏
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