※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~   作:ポチ&タマ

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 お待たせしました。
 長くなってしまったので、こちらも2つに分けました。
 続きは昼の12時に投稿します。



2ページ裏 その1(アイノ&アイナ)

 私、アイノが妹のアイナとともにテンジ様のご尊顔を拝謁させて頂いたのは三歳の時でした。

 私たち一族は代々王家に仕える従者の家系で、私たちの母もテンジ様のお父様――皇に仕えています。

 私たちも物心がつく前からテンジ様が主であると教わり、従者としての心構えや技術を学んで来ました。

 初めて拝謁した時のことは今でもよく覚えています。

 数日前、テンジ様は原因不明の高熱に見回れ意識を失っておりました。 

 これまでもテンジ様のお兄様やお姉様も原因不明の病に掛かり命を落としたことが何度もあると聞いており、この時も大人たちは「またか……」と諦めたよう顔で呟いていたのを覚えています。

【呪われた王族】なんて陰口が囁かれる中、テンジ様は奇跡的に目覚め、回復されました。

 それでも病み上がりでしたので、当初は私たちとの顔合わせは見送るべきどの話が上がりましたが、テンジ様は。

 

「いえ、予定はこのままで。今後何かとお世話になるのですから、これしきのことで見送るのべきではないでしょう。それに、私も早く逢いたいですから」

 

 テンジ様の一言で予定通り拝謁を賜る機会を得たのです。

 テンジ様の噂は色々と聞いておりました。

 のんびり屋。兄君たちと違い聡明そうに見えない。軟弱そう、などなど。どれもテンジ様を愚弄するような内容で、そんな人が私達の主になるのかと一抹の不安を抱えたものです。

 ですが、実際にお会いしてこの目で見た時、噂は所詮噂に過ぎないのだと分かりました。

 同い年の子供とは思えないほど理知的な目をしていて、父様のような優しい微笑みを浮かべたいたのです。

 

 

 テンジ様は変わった趣味をお持ちでした。子供らしくない子供と言えばいいのでしょうか。

 日がな一日中体を鍛えたり、妙な動きを延々と繰り返したりと、その様なことばかり行っていたのです。

 何をしているのかと尋ねた時「基礎鍛錬です」と答えたテンジ様。ついには剣の上を素足で歩かれたり、岩に向けて拳を痛め付け始めた時には、頭が可笑しくなったと思いました。

 止めるように再三申し上げても「必要なことですから」と言って聞く耳を持たず。遂には十年以上もこのような鍛錬に身を費やしたのです。

 ですが、その頃になるとテンジ様の鍛錬の成果は目に見える形となっていました。

 ある日のことです、テンジ様のお姿が見当たらなかったので探し回っていた時のことでした。

 裏庭の方からテンジ様の声が聞こえたのです。

 また鍛錬かと思いながら裏庭の方に向かうと、そこには武装した大人たちが大勢倒れていました。

 そして、その中心にいるのは私たちの主であるテンジ様であり、なんと武装した大の大人をその小さな腕で投げ飛ばして見せたのです!

 

「次!」

 

「はい! うぉおおおおおお!」

 

「力が入り過ぎです、もっと抜力を意識しなさい! 次!」

 

「参ります! はぁっ!」

 

「抜力はまあまあですが、抜骨がまだまだです! 次!」

 

 筋骨隆々の男たちがテンジ様を押し倒そうとしたり、殴り掛かろうとするにも、その細腕で受け止められ豪快に投げ飛ばされる。

 仕舞いには指先一つで拳の軌道を逸し、指で突くだけで相手を倒してしまう。

 あまりにも現実味のない光景にしばし呆けていた記憶があります。

 

「ん、アイノですか。……丁度いい時間ですね。本日の訓練はここまでとします」

 

『ありがとうございましたッ!!』

 

 テンジ様の言葉にフラフラになりながらも立ち上がった皆さんが一斉に頭を下げました。が、すぐに糸が切れた人形のように崩れ落ちてしまいました。

 いかにも疲労困憊といった様子です。

 お部屋に戻ったテンジ様に先程のことを聞きました。

 汗一つ掻いていないテンジ様は、朗らかな微笑みを浮かべながら「あぁ」と呟くと。

 

「あれは兵の皆さんの訓練ですね」

 

 何でも我が国の兵士たちはテンジ様の目から見ると非常に弱いとのこと。そのため、テンジ様が直々に鍛えているという話でした。

 当然、初めの頃はテンジ様といえど子供に教わることに反発していた皆さんですが、先のようにその身で持って実力の差を思い知らせたようです。

 なぜ弱いのか、どうすれば強くなるのか。これらを分かりやすく説明するテンジ様。

 半信半疑だった皆さんも言われた通りに訓練してみると、着実に成長していくのを実感し、今では暇さえあればテンジ様の訓練を受けているとのことでした。

 それを聞いて思わず、テンジ様にお願いしました。

 

「テンジ様。その訓練、私とアイナも受けることが出来るでしょうか」

 

「アイノたちがですか?」

 

「はい。是非ともお願いします!」

 

 私とアイナはテンジ様の側近という立場ですが、武力はからっきしです。もし有事の際にテンジ様をお守り出来なかったとあっては悔やんでも悔やみきれません。

 日頃の鍛錬と本日の訓練を見て確信しました。この国にテンジ様より強い人はいないと。

 守るべき主人に教えを請うなど根本からして可笑しなですが、すへては強くなるためです!

 私の話を聞いたテンジ様は「そういうことなら」と快く引き受けて下さるのでした。

 

 それにしてもテンジ様はどこでこんな力を身に付けたのでしょうか。

 日頃から鍛錬に精を出しているのは承知していますが、常人では思いつかないような技を次々と披露してくれます。

 これがすべてテンジ様による思い付きだったとしたら、凄いことです! テンジ様はまさしく天才です!

 

 

 

1

 

 

 

 なんか、テンジ様の稽古を受ける約束を交わしたみたい。アイノが勝手に。

 別に嫌ではないけど、一言アイナに言ってもいいと思うの。なのにあのバカ姉はまったく忘れてたみたいで、当日になってテンジ様から言い聞かされたアイナの心境を三行でまとめてみろ、です。

 アイナたちはか弱い女の子だから、野蛮な男たちのように殴る蹴るじゃなくて女性向けの技を教えてくれるみたい。さすがテンジ様、アイナのことよく分かってる。

 教えてくれるのは【ジュージュツ】というもの。その中でも飛び切りのもので、力を一切使わずに相手を投げ飛ばしたりすることが出来るみたい。

 というより、やって見せてくれた。兵士さんがぽーんって飛んでった。テンジ様も鍛えてるからそこそこ力があるだろうけど、さすがに大人の男を腕一本で投げ飛ばすとは思わなかった。さすがテンジ様。さすテン様。

 テンジ様曰く、これは抜力と抜骨が重要とのこと。

 倒れない程度の最小限の力で体を支え、骨にも余分な力を掛けない。抜力と抜骨。難しい、どうしても力が入っちゃう。でも頑張る。バカ姉には負けたくない。アイナはやれば出来る子だもん、むんっ。

 

 十二歳になった。テンジ様がとうとう精通を迎えたみたい。テンジ様の下着を洗っていた姉さんが騒いでた。

 テンジ様が精通したということは、アイナたちもアレを披露する時がやった来たということ。そう、夜伽。またの名を床技ともいう。

 テンジ様たちは精通を迎えると、その側近が夜伽の役目を担う。アイナたちで女の体を知って、奥方を迎えた際に失敗しないように慣れる必要があるのだとか。

 夜伽については母様から根掘り葉掘り教わった。今こそ、アイナの絶技でテンジ様をアヒンアヒン言わせる時……!

 

 ――逆にアイナがアンアン言わされた。無念。

 

 

 

2

 

 

 

 テンジ様が十五歳の頃です。皇がお隠れになり、新たな国主としてテンジ様が選ばれました。

 テンジ様のお兄様とお姉様は、皆不幸に見舞われたためテンジ様がそのお役目を賜りました。

 普通ですとまだ齢十五のテンジ様に王として立派にお勤めを果たされるのか、皆不安になると思いましたが、テンジ様に至ってはむしろ逆です!

 テンジ様はお強いだけでなく頭もすごく良くて! これまで家臣の皆さんに色んな政策を提案したり、助言を与えて問題を次々と解決していったのです!

 そのおかげでソの国は徐々に治安が良くなり、人々の暮らしも豊かになったと聞きます。この国を影で支えているのは、まだ幼いテンジ様だったのです!

 神の子とまで謳われているテンジ様が皇になったのですから、皆さん期待で一杯でした。

 そんな期待に応えるように皇となったテンジ様は早速命じたのです。

 

「まずは謁見の間を作りましょうか」

 

 初めはワタシも含め、誰もがその言葉の真意を読み取れませんでした。私より断然頭が良いアイナも首を傾げていたほどです。

 なにせ、謁見の間は既にあるのですから。何故もう一つ作る必要があるのでしょうか。

 同じ疑問を投げ掛けた家臣の人にテンジ様は諭すように、優しい声音で応えました。

 

「謁見の間というのは、本来は身分の差を象徴する場所です。考えてみてください、こちらは国王という最上位の身分なのに対して、相手は家臣の皆さんと同等の存在です。それなのに、身分の高い私が相手に合わせて同じ目線で語り合うなど、身分の差なんてあってないようなものではないですか。

 そうなると、相手は自然と自分と同じもしくは格下の相手と無意識に判断します。遮るものが無ければ余計にそう感じるでしょう。

 故に、こちらが相手より格上の存在であることを示す必要があり、そのための舞台装置が謁見の間なのです」

 

 テンジ様のご説明はあまり賢くない私でも理解できるほど分かりやすいものでした。

 なるほど、確かに王が他所の国の家臣と同じ目線で語り合うのはおかしな話ですね。身内ならまだしも。

 全員が納得を示し、早速謁見の間を作りました。

 テンジ様の要望に答え、段差をつけることで自然と王が相手を見下ろすようにし、さらに神秘性を醸し出すために簾で顔を隠すという徹底っぷり。このような案がスラスラと出てくるなんて流石ですテンジ様!

 

 事実、新たな謁見の間でカの国との使者とやり取りがあった際、使者の方は非常にやり辛そうにしていました。

 これは、この謁見の間による効果もそうですが、それ以上にテンジ様を相手にするのを苦手としている様子。

 先代の皇はカの国に対して及び腰でしたので、向こうも強気の姿勢でいましたが、テンジ様はむしろ逆です。

 媚びへつらうことなく毅然とした態度で臨み、使者の脅しとも言える要求に対してものらりくらりと躱す。むしろ煽るような発言まで見られ、常に余裕を感じました!

 そうです、先代様には余裕というものがなかったのです!

 大臣の皆様は先方を挑発するような真似は止めるように言っていましたが、私的にはあれくらいで丁度いいと思います!

 

 

 

3

 

 

 

 テンジ様が皇になって、ソの国はすごく変わった。

 市井の人たちのことを考えた画期的な政策の数々もそうだけど、アイノは軍事力の強化がすごいと思う。

 テンジ様は軍隊という組織について細かく定義をつけて編成した。人数ごとに大小様々な規模で枠組みを作った兵団。箱の中に一回り小さな箱を作るみたいな感じ。これまでのソの国にはなかった新しい考え。

 それにテンジ様が言ってた「情報はあらゆる価値を凌駕する」という言葉は金に等しい。情報収集能力の欠如、これがソの国の一番の弱点との話。そのために情報収集を専門に扱う部隊まで設立した。

 当初は何人かの大臣が難色を示していたけど、実際に敵の情報を一早く集めて対策を練り、被害を被ることなく返り討ちにしてみせると、黙らざるを得ない。

 

 大臣って言っても所詮は男でバカばっか。もちろんテンジ様は別だけど。

 これだけでも大きく変わったと言えるのに、さらにすごいのが兵士たち個人の強さ。テンジ様の訓練による賜物で、皆見間違えるほど強くなった。さながら、ひょろひょろだったモヤシが逞しい白菜に早変わりしたくらいの変化。

 テンジ様は不思議な技を扱う。殴る蹴るはもちろん、投げや関節を攻撃したりなど、その技の豊富さはすさまじい。テンジ様曰く、体を武器として扱うことから体術と呼ぶとのことだけど、実際の武器――剣や槍、弓などの扱いにも長けている。

 テンジ様はこれらを『テンジ流戦闘術』と名づけ、兵士の一人一人に指導した。もちろんアイナたちも指導を受けている。

 独学でこれらを生み出してしまうなんて、テンジ様はやっぱり天才。

 神の子というのも頷ける。

 

 

 

4

 

 

 

 最近、テンジ様との、その……よ、夜伽ですが、些か困っています。

 というのも、テンジ様の体力についていけず、決まって気絶してしまうからです。

 テンジ様の夜伽――テンジ様のお言葉を借りるなら『せっくす』はすごいです。

 お母様から聞いた夜伽ですと、殿方におっぱいを揉んでもらったり、しゃぶってもらったら、お水でお股を濡らして挿入。あとは殿方に身をゆだねるだけ、との話でした。

 しかし、テンジ様が行う夜伽はそんなものではありません。お母様が仰った夜伽がまるで子供のお遊戯のように思えるほど奥深いのです。

 なにせ接吻一つとっても種類があるのですよ? ただ唇を重ねるだけでなく、舌を入れたり絡めたりと。接吻だけで気をやってしまうほどの快感なのです。

 そして、お母様は知らない様子でしたが、夜伽には殿方へ行う絶技も存在していました。てっきり殿方に任せっきりかと思っていましたが、テンジ様はこう仰います。

 

「それだと自慰と変わりありません。セックスは最高のコミュニケーションとも言われており、お互いが気持ちよくなることが重要なのです。なので、女性を喜ばせるのはもちろん、男性を喜ばせる技も存在します」

 

 まさに目から鱗が出る思いです!

 私たちの知る夜伽と、テンジ様が考える夜伽は根本からして考え方が違うとすら思いました。

 私の手や口、胸などを使ってご奉仕すると、テンジ様は可愛らしく顔を歪め小さく声を漏らすのです。その姿がなんて愛らしいことか! その反応が可愛らしくて、ついついイジメてしまいたくなってしまうくらいです!

 テンジ様がよく私たちを執拗に責めて、泣いて許しを乞うても意地悪する理由がよく分かりました。これがテンジ様の言う『こみにけーしょん』なのですね!

 

 ですが一つだけ弊害があります。冒頭にも記載しましたが、テンジ様の体力についていけないのです。

 なにせ前座の一つだけで気をやってしまうほどですから、本番では気をやるどころの話ではありません。

 テンジ様の逸物――オチ〇ポ様は凄まじい破壊力を秘めています。匂いを嗅ぐだけで頭がクラクラして、すごく淫らな気分になってしまうのです。

 そして、ホト――オマ〇コに挿れる瞬間。これがダメです、いけません。

 まるで頭の天辺から体の爪先まで稲妻が落ちたかのように、ビビビッってなって。挿れただけで気をやってしまいます。

 解りますか? 挿れただけで絶頂するのですよ? ではテンジ様がお射精するまでの間どうなるかと言うと、考えるだけで恐ろしい。

 腰を動かすたびに目がチカチカして、頭の中がフワフワで。気持ちいいという感覚しかありません。

 あまりの快感に正気を保っていられるほどの余裕がなく、行為の最中何を言っているのか自分でもわかりませんが、何度経験しても慣れるものではないです、あれは。

 かといって嫌かと言われればそんなわけがなく、抱かれる度にテンジ様の愛情が伝わってきますし、私の『好き好き♡』な想いも高まる一方で。何度でも抱かれたいという思いがあります。

 ですが、私たちは所詮か弱い女。テンジ様のような益荒男についていくほどの体力がなく、決まって私たちが気絶することで行為が終わります。

 しかも、テンジ様の体力は底知れずなので、一度お射精してもそのまませっくすの続きをすることができるのです。それも、時間が許す限り延々と。

 そのため、テンジ様は一度も満足していないのではないかと、危惧しています。

 私たち二人がかりでもこの様なのです。

 アイナとも相談してなんとか対策を立てないといけません。

 

 

 

5

 

 

 

 十五歳になり、とうとうテンジ様の稚児を授かりました!

 毎日、遠慮なく中に出されていましたので、こうなるのは目に見えていました。

 本来、側近との間に子を設けた場合、流す決まりとなっているのですが、テンジ様が頑なにこれを拒み、「ならアイノたちを妻に迎え入れましょう」の一言で収束してしまいました。

 私としてもテンジ様との間に授かった大事な稚児。生かせるものなら生かしてあげたいと思うのが普通です。流すことは掟で決まっていたので避けられない運命だと思っていましたが、だからといってテンジ様の、お、お嫁さんになるなんて考えてもみなかった……わけではありませんが、叶わない夢ですよ普通!

 アイナも私と同じく子を授かり、ともにテンジ様の妻になったのですが、妹はむしろ図々しいといいますか。開き直って「これでアイナはテンジ様のお嫁さん」なんて得意げな顔をしちゃって! 遠慮というものを知りなさいまったく!

 

 まあ、こうしてテンジ様の恩情によって彼のお方の妾にさせて戴き、無事に長女のアヤメを出産。アイナも女の子を出産し、クオンと名づけました。

 稚児を産む時は相当の痛みを伴い、産後は危険な状態に陥りやすいと聞きますが、そんなことなかったですね。

 確かに痛いことは痛かったですが、何と言いますか、幸せな痛みです。それはやはり愛する人との子供だからでしょう。なので痛みには耐えることができました。

 産後も安定していて、すぐに体の調子は元に戻りました。それはアイナも同様で、ここまで産後の肥立ちが良いのは珍しいと、産婆さんが驚いていましたね。

 こうしてテンジ様の稚児を授かり、しかも妾にさせて頂いたのですが、だからといってテンジ様、次の稚児を仕込むのは少々早すぎでは!?

 せめてこの子が一歳になるまで待ってくださいな、もうっ!

 

 

 

6

 

 

 

 二十歳になった。アイナも姉さんも元気一杯。テンジ様も色んな意味で超元気。

 子供も五人に増えた。姉さんは三人。アイナの勝ち。

 全員女の子で、長女は五歳のクオン。次女は四歳のキョウカ。三女は三歳のミゾレ。四女が二歳のユカ。末っ子が一歳のヒジリ。みんな可愛いテンジ様との子。

 そんなテンジ様だけど、昨夜は珍しくはしゃいでいた。まるで子供のように空を指差しては「ゆーふぉーですよ! ゆーふぉー!」って。ゆーふぉーって何?

 昨夜、なんか空から光る何かが落ちてきて彼方へと消えていったけど、あれが「ゆーふぉー」なんだと思う。

 とりあえず、捜索隊を派遣してその正体を見極めることになった。

 

 翌日、捜索隊が連れてきたのは見たことのない女の人。私たちと違って肌は雪のように白いし、目は白目でちょっと怖い。

 けど、それ以上に美しい人だった。

 見たことのない衣装に身を包んだ女の人と目が合うと、途端に体から力が抜けて、頭がボーっとなってしまう。

 思わず崩れ落ちてしまったけど、見れば皆同じような様子だった。

 もしかしたら、この女は危険な人――カの国の刺客なのかもしれない。

 テンジ様逃げて、と言いたかったけど口は開かず、アイナはそこで気絶してしまった。

 

 翌日、何事もなく起床したアイナはテンジ様に直談判した。あの女は怪しい。きっとテンジ様の命を狙っているに違いないと。

 けどテンジ様は小さく笑って「その心配はありません。彼女は大丈夫ですよ」との一点張り。根拠を示してほしかったけど、テンジ様は彼女を宮殿に住まわせるつもりらしい。

 これは危険。一緒の家にいるということは、いつテンジ様が襲われるかわからない。これは警戒を密にしなければ。

 そう自分に誓ったアイナは、その日からテンジ様の身の安全の確保に余念なく取り込んだ。

 どこに行くにも一緒だし、鍛錬する時も隣で同じ汗を流す。お風呂だって……これは前から一緒だった。厠には一人で行かせてほしいと言っていたから、入り口の前で門番。寝る時もずっと一緒。片時も側を離れなかった。

 バカ姉は既にあの女に篭絡されてしまったみたいで、緊張感のない顔で「何を必死になってるの?」って宣う始末。

 あの女の危険性を指摘しても「考えすぎよ」の一言で済ましてしまう残念頭だ。

 こうなったらアイナだけでもテンジ様を守って見せる。

 カグヤと名乗ったあの女はテンジ様のお気に入りみたいだから、きっと側近をつけるはず。テンジ様とお話しする機会が減るのは残念だし少し寂しいけど、これもテンジ様のため。

 アイナがカグヤの付き人になって、四六時中見張ってみせる!

 

 

 

7

 

 

 

 カグヤ様がソの国にやって来て三日。テンジ様の命により、カグヤ様のお世話を務めさせて頂くことになりました。

 テンジ様の側近から外されてしまうのは悲しいですけど、「アイノを信頼しているからこそ、ですよ。カグヤさんのことは任せましたよ」と言われてしまったらどうしようもありません。きちんと期待にお応えしてみせますとも!

 しかし、アイナの様子が何が変です。カグヤ様を警戒している様子で、私がお世話係を命じられたことを話したら。

 

「あの女から絶対に目を話さないで。きっとカの国の回し者」

 

 という始末。ここまで警戒心が強い子だったかしら。

 カグヤ様がカの国の刺客だなんてあり得ません。だって、テンジ様があれほど気をお許しになっているのだから。刺客だったらテンジ様ならすぐに見抜くはずです。

 カグヤ様は物静かな方です。必要以上に口を開かず、いつも静かな面持ちでいらっしゃいます。

 その特徴的な白い目では、どこに視線を向けているのかも分からず、初めの頃はカグヤ様のお心が分からず苦労しましたが、それも本当に初めの頃だけでした。

 一週間ほど経った頃、テンジ様の告白によってカグヤ様が正妻の座に着くことが極まったのです。

 以前、私とアイナのどちらかが正妻にならないかとお話を受けたことがありましたが、とんでもない! 妾にさせて頂いただけでも幸甚の至りなのに、正妻になってしまえば罰が当たってしまいます。

 そういうことで、長らくテンジ様の正妻は不在でしたが、ようやく相応しいお方が座って下さいました。天から降臨されたカグヤ様なら、テンジ様の正妻に相応しいと言えます。

 話が少し逸れましたが、テンジ様のお嫁さんになってからのカグヤ様は、実はすごく可愛らしいお方だということが分かりました!

 

 ある日のことです。カグヤ様は夜になると良く空を見上げます。

 どこか寂しげな後ろ姿なのですが、その日は隣にテンジ様がいらっしゃいました。

 一緒に夜空を見上げては何か言葉を交わしているお二人。私は離れた場所から見守っているだけなので詳しい内容は存じませんが、テンジ様が帰られてからのことです。

 カグヤ様も寝室にお戻りになられると「しばしワラワ一人にしてください」と言い部屋の中へ。仕方なく私は部屋の外で待機していたのですが、突然部屋の中から大きな音がしたのです。

 何事かと思い慌てて部屋の戸を明けるとそこには――。

 

「あのバカ者めぇぇ〜、ワラワをなんだと心得る〜! ワラワは大筒木カグヤぞ! それを、あんな……あんなぁぁぁ〜〜!」

 

 なにやら掛け布団を抱き締めて布団の上を転がるカグヤ様がいらっしゃるではありませんか。

 普段の凛としたお顔はいずこへ。夜でも分かるほどお顔を真っ赤にしたカグヤ様は、お目々をグルグルさせてあわあわ言いながら、今度は枕をポスポスと叩きます。

 

「むぅぅぅううううううううう~~~~っ!!」

 

「あの、カグヤ様……?」

 

 あまりの変貌っぷりに思わず本人か確かめてしまうと、私の姿に気がついたカグヤ様は慌てて取り繕い始めまして。

 

「あ、アイノ!? いや、違うのです! これは別に、その、あれです、あれ! だ、ダイエットですッ!」

 

「ぷっ、あはははははは……!」

 

「なっ、なにも笑うことはないでしょう!」

 

 その必須さに思わず笑ってしまいました。顔を真っ赤にしながら私の襟を掴んで、涙目で。

 その姿が面白くて、なによりも安心しました。空からやって来た天女も、私たち人間と変わらないのだなと。

 そして、どうやらカグヤ様もテンジ様に女としての幸せを味わせて貰っているようですね。

 その日の晩は、まるで獣のようなに喘ぐカグヤ様の嬌声に、私もアイナも落ち着いて眠れませんでした。

 

 

 

8

 

 

 

 ……どうやら本当に、カグヤ様はカの国と関わりがないみたい。

 あれから一ヶ月。常に目を光らせてカグヤ様の動向を見守っていたけど、一向にテンジ様を害そうとする素振りは見せない。

 むしろその逆で、テンジ様に熱い視線を向けてる。肝心のテンジ様は気がついていないみたいだけど、アイナには分かる。だってアイナと同じだから。

 少し前にカの国からクソ朱雀大臣がやって来た。いつものように難癖つけて挑発してたクソだけど、テンジ様は先皇とは違い、

 

「よろしい、ならば戦争です」

 

 と、むしろ戦争を買って出たの。

 テンジ様による大改造のおかげで、ソの軍はこれまでの軟弱なモヤシ集団ではなく、精強な白菜軍団に成長していた。

 個人の戦闘力はもちろん、常に三人一組になって戦う癖をつけているため、絶妙な阿吽の呼吸で相手を蹂躙してしまう。

 兵数では負けてるけど、個人の力と軍隊としての力はこちらの方が遥かに上。

 その証拠として戦争はたったの三日で終わってしまった。もちろん勝鬨の声を上げるのはテンジ様たち。

 さらにテンジ様は進軍し、そのままカの国を倒してしまった。これで大陸はソの国のもの。すなわちテンジ様のものとなる。さすがテンジ様、相変わらず凄すぎ。さすテン様。

 アイナは心配してなかった。テンジ様のことを誰よりも近くで見てきたから、戦争になっても傷一つ付けずに帰ってくると信じてた。それは姉さんも同じだったみたい。

 だけど、戦争で離れていた三日間、カグヤ様の様子は正直見るに堪えないものだった。

 いつも以上に気が散っているのが丸分かりで、食事の時もろくに手がつかずボーッとしてて。テンジ様の帰りはまだかと、ずっと落ち着きなく部屋の中をウロウロ。

 こんな姿を見せられては認めざるを得ない。カグヤ様がテンジ様に害を成すことはないと。

 

 それはそうと、アイナ的にカグヤ様は淫乱だと思う。

 いつも澄ました顔をしてるけど、テンジ様の前ではメスの顔になってお尻フリフリしたり、腕を組んでおっぱいを持ち上げたりと何かと見せつけている。

 そして、テンジ様のオチ○ポを前にしたら発情期の獣もビックリな乱れっぷり。

 間違いなくカグヤ様は淫乱だとアイナは思うね。

 

 

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