※この作品はR-18です。

TENZIマジカル珍宝帖 ~私の嫁はラスボスでした~   作:ポチ&タマ

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 祖母が老衰で亡くなったため、しばらく執筆が遅れます。
 出来るだけ早い再開を心掛けますが、恐らく一カ月近く掛かると思います。
 すみませんが、ご容赦ください。



3ページ裏 その1(綱手)

 ん? 何だい望。

 えっ? ママとパパの話が聞きたい?

 なんでまた。……性格的に合わなそうなのに、何でお嫁さんになれたのか不思議ぃ?

 アンタねぇ、実の母親を前にいい度胸してんじゃないの……っ!

 ……ふん、まあいいわ。要するに、ママとパパの馴れ初めが知りたいってことね。

 まあ、望もそろそろ年頃になってきたし、恋話の一つや二つ気になりはするか……。

 いいわよ。そこまで言うなら聞かせてあげる。でも、まだお子様な望にはちょっと刺激が強い大人の話になるから、途中で顔真っ赤にして倒れても知らないわよ。

 ――そうねぇ、あれはママが『木ノ葉の医神』って呼ばれる前の頃の話よ……。

 

 

 

1

 

 

 

 大蛇丸が里抜けをする前の頃。綱手たち第十三班は任務により雨隠れの里へ訪れていた。

 任務内容は秘伝忍術が記された巻物の奪取。第三次忍界大戦の真っ只中であったこともあり、木の葉の里は軍事強化に力を入れていた。

 順調にことが進み、上手く巻物を入手。後は木の葉まで撤退するだけ、という時。

 雨隠れの長、半蔵に見つかり追われていたのだった。

『山椒魚の半蔵』の名は木の葉にも轟いており、世界有数の毒使いとして知られている。

 もしも半蔵と出会ったら交戦は避け撤退するように、四代目火影のミナトから言い遣っていたが、追い詰められた綱手たちは戦う選択を余儀なくされたのだった。

 

「くっ……コイツは、ちとヤバいのぉ」

 

「山椒魚の半蔵、噂通りの――いえ、それ以上の実力者ね」

 

「来るわよ! 二人とも警戒なさい!」

 

 その異名の通り、彼が口寄せした山椒魚は非常に厄介な能力をもっており、周囲に毒の微粒子を吐き出すというもの。時間が経てば経つほど、綱手たちが不利になる。

 加えて半蔵自身、優れた火遁使いであり、逃走すればその一瞬の隙きで焼殺出来るほどの腕前を有していた。

 まだ戦闘が始まって一分も経過していないが、既に双方の実力を粗方察しており戦場特有の緊張感が走る。

 そんな中現れたのが、旅団のテンジだった。

 

 いつからそこに居たのか定かではない。気がつけば双方の視界に収まる位置に立っていたテンジは、綱手たちを見ると少しだけ表情を和らげる。

 白い羽織物を着ているテンジの姿に綱手たちは警戒を強める中、半蔵は山椒魚の上から横目で見下ろし一言訪ねた。

 

「旅団のテンジか。何用だ?」

 

 どうやら見知った相手らしい。しかし綱手たちには聞き覚えのない名前。

 当然、あれは誰だと言う話題になる。

 

「旅団のテンジ? 聞いたことがねえのぉ」

 

「私も初耳ね。【旅団】は、どこかの組織の名前だと思うのだけれど。それにしては額当てがないのが気になるわね……。綱手はどう見るかしら?」

 

「私も始めて聞く名前よ。額当てもそうだけど、チャクラも全然感じられないし忍具も見当たらない。でも、あの半蔵が警戒しているんだから、相当な使い手でしょうね」

 

 綱手の言う通り半蔵は微妙に立ち位置を変えて、テンジの動きにも対応できるようにさり気なく身構えていた。

 あの半蔵を警戒させるほどの相手とあって、綱手たちの警戒心も高まる。

 そんな中、テンジは戦意の欠片も見えない気の抜けた顔で「そちらの木の葉のくノ一、綱手さんを頂きに参りました」と口にした。

 予想外の回答だったのだろう。何を言われたのか分からないような顔をする半蔵。

 そして告げられた本人は更に困惑していた。

 

「……は? 私?」

 

 目をパチクリとさせる綱手。その美貌と初代火影の孫という立場から何度も里の男から言い寄られたことがある綱手だが、流石に素性の知らない初対面の男から告白された経験はない。

 自来也も目を点にする中、大蛇丸はある程度相手の狙いを察していた。

 

「木の葉に対する交渉の材料、といったところかしら。あるいは人質と言っても良いわね」

 

「違います。単に綱手さんに惚れたので拐いに来ました」

 

「……」

 

 まさかの返答に涼し気な微笑みを浮かべていた大蛇丸も、思わず固まってしまった。

 どうやらこの男、本当に言葉通り拐いに来ただけらしい。それも挨拶などの手順を飛び越え、ファーストコンタクトが誘拐宣言である。

 当然、綱手のコメカミに青筋が浮かぶ。

 

「ふざけるなっ! 見ず知らずの輩に拐われるほど柔な女じゃないわよ!」

 

「えぇ、それも知っています。なので申し訳ないですが、私のエゴを貫き通すために実力行使に参ったのです。

 そして、惚れた女性に怪我を負わせるわけには行きませんので、申し訳ありませんが半蔵さんには」

 

 両手を羽織の袖の中へと入れると何かを取り出す。

 月明かりに照らされる中、鈍い光を放つのは八本の短刀。

 

「ここで死んで頂きます」

 

 短刀にチャクラを注ぎ込んだテンジがそれらを無操作に投げると、まるで意志が宿ったかのように宙に浮かび、鋭利な起動を描きながら一斉に半蔵へと迫った。

 

「速いっ!」

 

 縦横無尽に宙を翔ける短刀は半蔵の動体視力を以てしても見切るのがやっと。しかもジグザグかつ不規則な軌道で飛び回るのだ。

 それが八本もあるとなると、反撃はおろか避けるので精一杯である。

 

「なんだ、あれは……短刀が独りでに飛び回っておるぞ」

 

「チャクラを込めた物を操る血継限界かしら。それにしてもあのテンジという男、印も結ばないであれ程の数の短刀を操るなんてね……」

 

「あの山椒魚の半蔵が、押されている……」

 

 自分たちを追い詰めた忍びが、たった一人の男に翻弄されている。

 男の視線は半蔵に向いているが、意識は綱手たちの動向にも意識を向けているのがわかった。

 そしてーー。

 

「はい、隙ありです」

 

 テンジが右手を翳すと、チャクラで構成された白い立方体が出現する。

 その大きさは、半蔵の居城すら上回る大きさであり。忍術と呼ぶにはあまりにも、規模が大きすぎた。

 立方体から長方形へ急激に形を変えると、それが一直線に伸び回避行動を取っていた半蔵を丸々飲み込む。

 後には何も残っていない。半蔵も、彼の口寄せ動物である山椒魚も。そして、大地も底が見えないほど、大きな溝を作っていた。

 

「ふむ? 少し大きすぎましたか」

 

 災害級の忍術を披露したテンジは軽く首を傾げるだけ。

 この光景を目の当たりにした綱手は言葉を失っていた。

 

「なんだってんだ、あの術は……。ヤバすぎだろぉ……」

 

「あれは、まさか……いえ、そんなはずは……」

 

 様々な術に精通する大蛇丸には、今の忍術が何だったのか分かる。

 分かるが、果たして自分が知るそれとはあまりに規模が違っており、何よりもそれを行使できるのは世界に一人だけ。

 否、一人だけと言われていた術だ。

 自来也たちの視線に気づいた大蛇丸は静かに口を開く。

 

「あれは恐らく、塵遁・限界剥離の術よ。両天秤のオオノキが得意とする血継限界……」

 

「なに!? あの土影の!?」

 

「それだけじゃないわ。見ての通り術の規模がオオノキのそれとは比較にならないほど大き過ぎる。それに、あのテンジという男……印を結ばないで術を発動させるなんて一体どうやって……」

 

「確かに印を結んだようには見えなかったのぉ。印を結ばないで術を発動させることなんて出来るのか?」

 

「うちは一族の写輪眼や、日向一足の白眼など身体に因んだ能力なら可能だけど、忍術に関して言うなら不可能よ。そんな話、聞いたこともないわ」

 

「どうやら血継限界だけじゃねぇようだのぉ……」

 

 冷静にテンジの実力を分析する自来也と大蛇丸だが、絶望的な力の差が分かっただけで状況の打開策には繋がらない。

 自分たちを追い詰めた半蔵でさえなす術なくあっという間に倒されたのだ。

 その矛先が綱手たちに向けられたら、まず生きて帰れないだろう。

 

『……っ』

 

 テンジが綱手たちに向き直る。遠目からでも分かる蒼穹の瞳が綱手たちを射抜いた。

 自然と湧き上がる震えを律しながら、凛とした声で呼びかける綱手。

 

「お前は何者だ! 本当の狙いは何だ!」

 

 その言葉にテンジは恭しく頭を下げた。

 

「私の名前はテンジ。旅団を率いる者。理由は先程も申し上げた通り、綱手さん。貴女を頂きに参りました」

 

「戯言を……! 第一、私には既に恋人がいる!」

 

「ええ、それも存じております。ですが、私にとってそれは諦める理由にはなりません。素直に頷いてくれないのであれば、力尽くで奪うのみです」

 

 そう言って歩みを進める彼に脅威を感じた綱手たちは、各々動き出そうとするが。

 

「……っ! 体が、動かん……これは、金縛りか!」

 

「――ッ」

 

 自来也と大蛇丸は瞬く間に動きを封じられてしまう。木の葉の狂気と謳われた自来也が、初歩の初歩である金縛りの術に掛かるなど考えられなかった。

 また大蛇丸に至っては口すら動かせないのか、驚愕の表情を浮かべたまま棒立ちになるだけ。

 またもや印を結ばずに二人を容易く無力感して見せたテンジに、綱手が動く。

 

「はあぁぁぁっ!」

 

「威力は中々ですが、肝心の体術自体がまだまだですね」

 

 駆け出した綱手は自慢の拳を振り下ろすが紙一重で躱されてしまった。

 流麗な足捌きでそのまま背後に回り込んだテンジは首筋にある秘孔を無造作に軽く叩き、綱手の意識を刈り取ってしまう。

 崩れ落ちそうになる綱手を抱えたテンジは、そのまま彼女を横抱きにすると、身動きの取れない自来也たちに視線を向けた。

 

「宣言通り、彼女は連れていきます。それでは、さようなら」

 

 テンジの背後の空間が、まるで扉のように蝶番状に開いた。その先の空間は全く異なる場所で、蒼穹の空と美しい緑の大地が見える。

 綱手を抱えたテンジは空間の扉を潜ると、何事もなかったかのように扉は閉じてしまう。

 ようやく身体の自由を取り戻した自来也たちは、今し方いたテンジの場所は駆けつけるが、空間の扉があった場所は彼らをすり抜けさせるだけに終わった。

 

「〜〜っ! くそぉおおおおおおおおっ!!」

 

「この私が何もできないだなんて……っ」

 

 感情が赴くままに叫ぶ自来也に、血が滲むほど静かに親指を噛み締める大蛇丸。

 木の葉の鬼才たちと呼ばれる天才組はこの日、完全な敗北を知ったのだった。

 

 

 

2

 

 

 

「――ハッ!」

 

 空中都市、大神殿。

 二階の居住スペースの一角に設けられた寝室で眠らされていた綱手が目を覚ました。

 視界に映ったのは天井の綺麗な木目。茶色い樹木の板をボーッと眺めている綱手の視界に、ひょこっと男の顔がスライドイン。

 柔和な微笑みを浮かべながら声を掛けてきた。

 

「目が覚めましたか」

 

「あなたは……そうだ、あの時……!」

 

 直前の出来事を思い出した綱手は素早く飛び退くと、右もものホルスターから苦無を取り出して身構えた。

 鋭い視線と殺気を向けてくる綱手に男――テンジは苦笑を浮かべる。

 

「そう身構えないで下さい。貴女と戦う意志はありません」

 

 苦無を構えたまま素早く自分の身なりを確認する綱手。忍び装束に乱れはないことから、どうやら寝ている間に、というとは無かったようだ。

 

「……何処よここ」

 

「ここは私たち旅団の本拠地。そこに構えた私の家です」

 

 渋々と苦無を下げた綱手は軽く部屋の中を見回した。

 広い寝室だ。寝室だけで綱手の部屋ほどの大きさがあり、優に布団二十枚は敷けるだろう。そんな部屋の中央にポツンと一枚だけ布団が敷かれており、どこか寂しさというか、落ち着かないものを感じる。

 襖は開かれており、その向こうは居間に繋がっていた。

 テーブルや椅子などの必要最低限の家具のみ置かれており、壁には名前が書かれた木札がズラリと並べられている。そこだけどこか場違い感があり、妙に浮いている印象がある。

 

「少し外を見てみますか?」

 

「……」

 

 ――特に敵意は感じられない。本当に何が狙いなの?

 

 朗らかな顔で散歩にでも誘うような気軽さで話し掛けてくるテンジが不気味に映った。

 他里の忍びであればすぐに尋問や拷問にでも掛けて木の葉の情報を探ろうとしてくるだろうが、そのような素振りは全く見られない。

 綱手を油断させる演技だろうか。

 取りあえず今の自分ではテンジから逃れることは敵わないだろう。あの圧倒的な力を見せつけられてしまっては、逃げたところですぐに捕まるのがオチだ。

 ならここは従順なフリをして油断させ、逆に情報を抜き取ることが吉。

 一秒にも満たない時間で行動方針を決めた綱手はテンジの声に小さく頷いたのだった。

 

 

 一階に降りると何故か神殿のような厳かな造りになっており、テンジを模したであろう巨大な石像が祀られている。

 

(もしかして、ここってかなり怪しい宗教組織?)

 

 自分たちのリーダーを崇め奉る組織など、きっとろくなものではないだろう。

 綱手の脳裏には邪教の二文字が浮かんでいたが、神殿の外に出るとそんな考えも一瞬で吹き飛んでしまう。

 

「雲があんなに近くに……?」

 

 まるで手を伸ばせば届きそうな距離に真っ白い雲が浮かんでいた。明らかに地上から見上げる大きさではない。

 

「ここは地上から高度二千メートル上空にありますから」

 

「二千メートル?」

 

「実際に見ていただく方が早いですね」

 

 そう言うと徐ろに指を鳴らすテンジ。

 小気味よい音が鼓膜を揺すった途端、綱手の見ていた景色が一瞬で変わった。

 

「……!?」

 

「空間転移です。ここは丁度、空中都市の最南端に位置する展望台です。ほら、下をご覧ください」

 

 時空間忍術の一瞬だろうと推測するが、またもや印を結ばないで術を発動させるとは。

 もしかしたらそう言う能力の持ち主なのかもしれない。頭の片隅にメモを残しながら言われたとおりに下を見下ろすと。

 

「――これは……」

 

 眼下に森と山が広がり、小さなミニチュアサイズの民家が密集しているのが見えた。

 所々に川が敷かれているのも確認できて、とこからどこへ水が流れているのかも見て取れる。 

 山の上から眺めた景色に近いが、これはそんな規模ではない。

 山すら超える場所。

 思い当たる所は一つしかなかった。

 

「まさかここは、あの空中に浮かぶ……?」

 

「そうです。ここが、私たちの本拠地。空中都市です」

 

「空中、都市……」

 

 ここ最近になって突如現れた、空飛ぶ大地。

 どういう原理か全く分からないが大地そのものが浮いており、地上の遥か上空を我が物顔で遊覧する謎の島。

 その島の存在はもちろん木の葉でも把握しており、口寄せ動物を使って調査に乗り出したが、ただの一度も侵入に成功したことはない。

 分かったことといえば二つのみ。

 一つは強力な結界が島そのものを何重にも覆っており、火影クラスの忍びでも突破するのは不可能ということ。

 もう一つは、島の中に民家と思われる建築物が複数建っており、ここに人が住んている可能性が高いということ。

 ただこれだけである。

 しかも建物の存在は確認できたが肝心の人の姿は一度も見られなかった。一ヶ月に渡り常に口寄せ動物を介して監視していたにも関わらずである。

 この謎の島の調査は他国の忍び里でも行なわれており、最近開催された五影会談でも議題に上がったほどだ。

 他国の忍びたちも木の葉同様に目ぼしい成果を得られておらず、この里の詳細に関しては例外的に情報を共有することで一致した。

 そんな今話題の島の正体が、旅団の本拠地であったとは。

 

(これは何が何でも火影様に報告しないと……!)

 

「さて、里の案内は後ほど行うとして。先に謝っておきます綱手さん」

 

 再び指を鳴らして寝室に戻ったテンジは、驚いた顔で周囲を見回す綱手に頭を下げた。

 突然の謝罪に何事かと眉を顰める綱手。

 頭を上げたテンジの顔には、どこか申し訳なさそうな表情が浮かんでおり、視線を自身の股間へと向ける。

 

「実は私、既にこんなになっていまして」

 

「なっ――」

 

「申し訳ありませんが。レイプ、させて頂きますね」

 

 既に立派なテントを張っているズボンを脱ぎ始めるテンジ。

 顔色を変えた綱手は即座に拳を握り、自慢の怪力で逸物ごとテンジの下腹部を吹き飛ばそうとするが、そこで初めて自身の不調に気づいた。

 

「……っ!」

 

「無駄ですよ。チャクラの流れを阻害する点穴を打ちました。無理にチャクラを練ろうとすると体調を崩します」

 

 そう、チャクラが上手く練ることが出来ないのである。

 彼女の怪力はチャクラの恩恵によるもので純粋な膂力によるものではない。チャクラを乱されてしまえば無効化されるのは綱手自身も知るところであるが、それよりもテンジが口にした言葉な気になった。

 

「点穴を……? 白眼もないのにどうやって……」

 

「私の目は特別性でしてね。色んなものが見えるのですよ」

 

 よくよく見れば、テンジのの眼は普通のそれではない。蒼穹の眼は淡く輝いており、瞳の中に何か電気のようなものが走っている。

 何らかの血継限界であることは確かだ。このことも火影様に報告するべきだと、脳裏の片隅に書き留めた綱手であるが、徐ろにズボンを刷り下げたテンジに顔色を変える。

 そう、チャクラが練れない今の自分は恐らく下忍並みの実力。テンジに迫られれば振り払うことは出来ないだろう。

 反射的に逃げ出そうとする綱手だが、偶然視界に収めてしまったテンジのチ○ポに、思わず体が固まる。

 男性器を目にするのは初めてではない。恋人のダンとは何度か体を重ねたことがあるし、子供の頃は祖父と湯浴みを共にしたこともある。

 しかし、テンジのチ○ポは自分が知るそれとはどこか違っていた。

 勃起している状態の逸物はダンのものしか知らないが、彼のそれとはどこかが違う。

 具体的にどこが違うのかは、経験人数や経験回数が浅い綱手には言語化が難しいが、それでも決定的に何かが違う。

 その証拠にダンの時は直視するのも恥ずかしかったのが、今は目を逸らさずもろにチ○ポをガン見していた。

 

(な、なんなの、これ……なによ、この感じ……)

 

 まるで引力に引かれるかのように、テンジのチ○ポから目が離せない。

 恋人以外の男で、しかも敵対している相手のチ○ポであるのに。汚らわしいと思うのが普通の筈なのに、嫌悪感の一つも湧かず、それどころか何処か惹かれている自分がいた。

 頭がボーッとする。顔が熱い。心臓が破裂しそう。

 

(逃げなきゃいけないのに、なんで動けないの? なんでこんなにも、この男の、お、おチ○ポから目が離せないの?)

 

 視線がチ○ポに釘付けとなっている綱手は、無意識のうちに荒い息を吐きながら何かを我慢するようにギュッと手を握り締めた。

 

「では、そろそろ始めましょうか。貴女のような美女を前にお預けを食うのは、存外辛いものがありますから」

 

「……っ! く、来るな、来るなぁ!」

 

「怖がらずとも大丈夫ですよ。すぐ、気持ちよくして差し上げますので」

 

 恐怖や混乱で身動きが取れない綱手に手を伸ばすテンジ。その手が一瞬ブレたかと思うと、次の瞬間、綱手は素っ裸にされていた。

 ベッドの脇には丁寧に畳まれた忍び装束が置かれている。

 

「ひっ……!」

 

「やはり私が見込んだ通り、実に美しい……。そして美味しそうな果実です。まさに食べ頃ですね」

 

「や、やめて……」

 

「申し訳ありません。ここまで来ると、もう止まれないのです」

 

 まあ、始めから止まる気など毛頭ございませんが。

 そう言葉を続けたテンジは震える綱手の両股に手を忍ばせると、徐ろに開いた。

 恋人以外の男に、女として最も大事なところを見られ、羞恥心と恐怖心が一気に湧き起こる。

 

「いや、いやぁあああ! 助けて! 助けてダンっ!」

 

 男勝りとして知られる彼女からは想像もつかないほど取り乱す綱手。

 泣き叫ぶ彼女を前にしても眉一つ動かさないテンジは、変わらず柔和な微笑みを浮かべながら、いきり立つチ○ポを入り口にそっと充てがった。

 

「それでは、いただきます」

 

 

 

3

 

 

 

 それから三時間後。

 荒い息を吐いて横たわる綱手の上に伸し掛かっていたテンジは、些か驚いていた。

 

「まさか、このようなことになるとは……これは想定外ですね」

 

 テンジのマジカルチ○ポは女性殺しである。貞操観念が強い淑女であろうと、無知な少女であろうと挿入すれば最後。

 マジカルチ○ポから分泌される発情フェロモンや、最適なサイズへと変わる自動調整機など様々な要素が絡み合い、どんな女も攻略してきた。

 肉体はもちろん、その心も。数発射精する頃には完全にテンジの女であると自覚させ、文字通り身も心も染め上げてきた彼であるが、今回初めて過去一番の難敵に遭遇したと言える。

 

「さあ、答えなさい。貴女の恋人は、どなたですか?」

 

「わ、わらひは、だんにょ、おんにゃぁ……こんにゃ、ち○ぽ、にゃんかにぃ……まけにゃい、んだからぁ……」

 

「うーん、肉体はすでに堕ち切っているというのに。凄まじい精神力です……」

 

 体の相性は良いらしく、一度目の射精で半ば肉体は陥落した綱手であるが、驚くべきは心の強さである。

 既に十発は綱手の中へ放っているというのに、まだ心は恋人であるダンの元にあるのだ。

 発情フェロモン満載の精液をこれでもかと流し込んだため、綱手の腹は妊婦のように膨らんでおり、度重なる絶頂の嵐で涙と涎に塗れた顔もアヘっているというのに。

 堕ちそうで堕ちない、そんな綱手を相手にあらゆるプレイを試したが、ギリギリの綱渡りはまだ続いていた。

 

「これは、手を変える必要がありますね……」

 

 彼女の強靭な精神力に感服したテンジは一旦腰を引く。

 綱手の意志と反して肉体は『ダメダメ、行っちゃやだぁ♡』と言わんばかりに中を締め付け、チ○ポを取り返そうとするが、無常にも引き抜かれてしまった。

 

「んぉっ♡ ほぉおおおお……♡」

 

 綱手の心の強さに驚愕を覚えるテンジであるが、当の本人も実はいっぱいいっぱいである。

 実はダンとは付き合い始めて一ヶ月であり、セックスをした回数も片手で数えられる程度。

 互いに上忍であり班も異なることから中々、時間が取れないという仕方ない理由があるのだが、重要なのは綱手の肉体が未開発であり、深い絶頂を味わったことがないという点だ。

 恋人と体を重ねることで得られる、心の充足感の経験はあるものの、セックスの楽しみや喜びというのはまだ知らなかった。

 テンジと、出逢うまでは――。

 

「んっ♡ はぁ、はぁ……んんっ、ふぅぅ……♡」

 

 今まで感じたことのない快感。腰を動かす度に目の奥がチカチカとして、背筋がゾクゾクとして。

 自分の意志に反して肉体はテンジの子種を強請るかのように動き、ダンを相手にしても緩んだことのない子宮は勝手に種を受け入れる準備を進めてしまう。

 そして、迸る精液を子宮で受け止めた時の感覚。

 これまで自分がセックスと思っていた行為とは何だったのか、思わずそんな考えが過ぎってしまうほどの深い絶頂を覚え。

 あまつさえ、多幸感すら感じてしまった。

 

(違う……! これは生理現象に基づく一時的な錯覚……! 私がこんな男に惹かれるわけがないっ! ダン……ダンダンダン……! 助けてダン!)

 

 自分が好きなのはダン。自分の恋人はダン。

 何度も心の中で呟かないと快感の嵐に攫われそうで、綱手は初めて恐怖を覚えた。

 満足にチャクラが練れず、木の葉からの増援も望めない。

 このままだと、この男に流されてしまうーー。

 

「いやはや、感服しました。まさか私とのセックスに耐えることが出きるとは。貴女ほど心が強い女性は中々いないでしょう」

 

 そんな綱手の心中とは裏腹に、テンジは心から賛辞の拍手を送ると、彼女を縛っていたロープを解いた。

 

「……?」

 

 絶頂の余韻が未だ抜けずボーッとしていた綱手の顔に疑問の色が浮かぶ。

 空間転移の応用でその体にこびり着いていた精液や精臭を除去し、衣服を着させたテンジは、呆然と自分の顔を見上げる綱手に微笑みを向ける。

 

「此度は私の負けです。なので大人しく貴方を木の葉に返しましょう」

 

「……! ほん、とう……?」

 

「ええ。それと、老婆心ながら一つだけ」

 

 綱手の瞳に光が戻る、そんな彼女に微笑みかけたテンジは、ずいっと顔を近づけた。

 転生眼のキレイな瞳に射抜かれ、思わず体を硬直させる綱手の耳に吐息が触れる。

 

「――そう遠くない未来、貴女は二度目の絶望を前にするでしょう。どうしようもなくなったその時は、私の名を叫びなさい」

 

 どこにいようと、貴女の元へ駆けつけます。耳元で囁かれゾクゾクとした甘い痺れが背筋を這い上がる。

 何のことだか分からず混乱する綱手に、いずれ分かりますとだけ告げたテンジは綱手を優しく抱き上げた。

 

「ぁ……」

 

 思わず綱手の口から甘い吐息が溢れ、バッと自分の口を押さえる。

 体が勝手に反応したとはいえ、こんな男に優しく横抱きにされ、一瞬胸がキュンとしたなんて認めたくなかった。

 

「では、またどこかでお逢いしましょう」

 

 木の葉の病院前に転移してきたテンジ。夜の帳が降り、辺りには人の気配は感じられない。

 月明かりが照らす中、門の横に綱手を下ろしたテンジが去ろうとする中、必死に手を伸ばす。

 

「待て……貴様の、名前は……」

 

「おや、名乗りませんでしたか? では改めて、私の名はテンジ。旅団のテンジです」

 

 今から再開するその時が待ち遠しいですね。

 そう呟いたテンジは次の瞬間、視界から消え失せていた。

 極度の疲労と緊張から開放された安堵感により、ついに意識を落とす綱手であった。






【各キャラの年齢、出身国】     

 変動なし

本編と勝手に書かれたシリーズ、どっちを優先してほしい?

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