※この作品はR-18です。

遠藤晶~四季   作:senti69

1 / 4
ゲーム「センチメンタルグラフティ」の二次創作です。pixivにも同じものを掲載しています。
元ネタは電撃ムックシリーズ「思い出たちとの12ヵ月」同梱ドラマCDです。


春

「やだ、もう戻ってきちゃったの? ちょっと向こうを向いててよ。今お化粧直してるんだから」

 彼とのデートで入ったカフェ。軽く食事をした後の輪郭だけ残ったリップを整えていたときだ。

 なんだかバツが悪い。

「僕は全然気にならないよ?」

「バカ! あなたが気にしなくても私が気にするの! もぅっ、女心がわからないんだから……」

 

「デリカシーに欠ける男は女の子にモテないわよ?」

「そう? 僕は晶のこと、何でも知りたいけどな?」

「ふ〜うっ、わかってないわね……せっかくのデートだから、あなたには最高の私を見せたいのに」

 ホントは彼にありのままの私を知ってもらいたい。

 だけど、女の子には誰にも知られたくない秘密がある。彼にも見せたくない部分がある。

「晶はそのままでも充分魅力的だよ」

「ウフフッ、ありがと……でもね、私は完璧主義なの」

 褒められてうれしくないはずがないもんね。自然と頬がゆるむわ。

「そうだ! このリップ、春らしくっていい色でしょう? 私のお気に入りなの。どう?」

「うん。……それもいいけど、そのポーズが色っぽいよ」

「ウフフッ。もうっ、しょうがないわね、あなたってホント正直なんだから」

「気を悪くした?」

「まさか。もちろんそう言われて悪い気はしないけどね。……ありがと」

 

「ウフッ……知ってる? 女の子って褒められるとどんどんきれいになるのよ?」

「そうなんだ」

「一説には恋をするときれいになるとも言われてるけどね」

「晶は……いま誰かに恋をしてるの?」

 不安そうな顔。ボーイフレンドがたくさんいるって言ったのが効いてるのかしら?

 安心して。私が好きなのは、あなただけだから……。

「さあ……どうかしら?」

 はぐらかすように微笑む。私って悪い女。

「う〜ん、気になるなぁ。あ、混んできたみたい。そろそろ出ようか」

「そうね」

 

 公園を散策する。春の日差しがあったかい。

「あっ!」

 彼のほうを見ていて足元を見ていなかったらつまづいた。

 よろけた私を彼が抱きとめてくれる。

「晶、大丈夫?」

「うん、ありがと」

 見つめあう。

 ……そしてそのまま、どちらからともなく唇が重なった。

 

 触れあっただけの唇が離れる。

 ……キス、しちゃった。

 あっ、彼の唇がほんのりと赤い。私のリップ……よね。

 それを見た途端、急に恥ずかしさが増した。私たち、キスしちゃったんだ……。

「ご、ごめん」

「バカ、なんで謝るのよ。悪いことなんかしてないでしょ?」

「晶、怒ってないの?」

「どうして怒るの? 私はちっともイヤじゃないわ。……まさか今のキス、いい加減な気持ちなの?」

 聞きながら、表情がこわばるのがわかった。

「ち、違うよ、僕は真剣に晶が好き」

 初めて彼が気持ちを告げてくれた。……バカ、誤解するようなこと言わないでよね。

「ありがと……私もね、あなたが好き」

「晶……」

 もう一度、今度は思いを込めて唇が合わさった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。