元ネタは電撃ムックシリーズ「思い出たちとの12ヵ月」同梱ドラマCDです。
「ふ〜う、いい潮風ね」
夏に比べるととっても過ごしやすくなったわね。風が気持ちいい。
「ウフフッ、ねぇ、あなたに質問よ? 港に来ると私、いつもなんだか切ない気分になるの。なぜだと思う?」
「う〜ん……なぜだろう? わからないなぁ」
「そ、そう……覚えてないのね、あの日のこと。ふ〜う、いいわよ、覚えてないなら」
ためいきと共につぶやく。
「えっ? 何? 何か言った?」
「なんでもないわよ! こっちのこと!」
知らず知らずのうちに語気が荒くなる。
「ホントに鈍感なんだから……バカ」
「できれば夜の港に来たかったよね」
「もう、なに言ってるのよ」
「晶はイヤ?」
「まぁ、私は別に構わないけどね。夜デートするくらい全然余裕だもの」
「よかったぁ」
そう言って彼は子供みたいな笑顔になった。
この笑顔が好き。私だけに向けられるこの優しい笑顔が好き。
「それじゃ、今度は夜景でも見に来ましょうか? 波の音を聞きながら過ごす夜の港なんてロマンティックでステキだしね」
「うん」
「ウフフッ、きっといい雰囲気になるだろうし……でもあんまりミエミエなのはパスするからね。私、そういうの好きじゃないから」
うそ。
ホントは彼に抱かれたいって思ってる。でも自分からそれを言い出す勇気はない。
「ここで晶の演奏が聞きたいな」
「だ、だめよ! 潮風でバイオリンがやられちゃうでしょう? 絶対ダメ!」
「そっか……残念」
(ふ〜う、驚いた……。もしかして思い出したのかしら? あの日のこと……)
でも彼は静かに海を見ているだけ。
あの日、私がここで船を見送りながらバイオリンを弾いたこと忘れちゃってるのかな?
夕暮れが近づき、港が紅く染まる。
「晶」
名前を呼ばれる。
……彼、興奮してる。その声に潜むただならぬ気配にとっさに身構える。
と、抱きしめられた。
そして手が取られ、ズボンの前の部分にあてがわれる。
「晶ごめん。……だけどお願い、こうしないと晶に何かしそうで怖い」
見ると彼が苦しそうな顔をしている。性の衝動に耐えている?
彼に導かれるままズボンのふくらみに手を添えた。その部分に押し付けられたまま手が上下させられる。
……熱く、固く、私を求めてこわばる男性器。ドキドキする。
どれほど続けただろう? そんなに長い時間じゃない。
「晶、晶……」
切迫した彼の声がする。射精しそうなの? イクの?
「うぅっっ!」
突然きつく抱きしめられた。それと同時に彼がビクッと身を震わせる。
手のひらの下でペニスが脈打ち、ドクドクとした感触が伝わってくる。
……今、射精してるんだ。
「ごめん……」
小さな声で詫びる彼に、
「ううん、平気」
それだけを答え、今度は私から抱きついていった。