己以外に残された、最後の〝八武〟の同胞――ヤシャが途絶えたことを知ったあの日。おれは、永らく続いた竜禪の終わりを予見した。
信仰の最大勢力だった天崇が滅びて数百年。土着の氏神や自然信仰すらも一つに習合した此の地に、とうとう〝神〟がおれの他にいなくなってしまったのだ。
……もう、よいのではないかと思った。いや、元々『もう潮時なのではないか』と感じてはいたのだ。
〝ながきもの〟を恐れながら世代を跨ぎ、『外敵の存在すらも知らぬ民』は竜禪の信仰に必要性も感じなくなり、おれの力も民の暮らしも衰退する一方だった――『正しさと理念を備えた宣教師が付け入る隙しかなかった』と言えよう。
一〇年近く前に初めて同衾したウェニキスは、おれを『〝節制〟の概念で民草を痩せ細らせ、信者の〝停滞〟の言い訳にしかならず、人の進歩すらも妨げる邪悪』と嗤いながら憐れみ……あの豊満で柔らかな胸でおれの顔を包み、その〝悪〟を赦そうとしてきた。茶を点てて迎え、互いを知るための話し合いをした際に――おれが〝神性を得てしまっただけの人間〟だと感づいたのだろう。
ウェニキスに連れられて見た〝海の外〟では、多くの人間が奪い、奪われながら――確かに、〝個の命〟を謳歌していた。強き者が弱き者を搾取する構図が一つの社会として成り立っており、経済が成長しながら循環している〝力の均衡〟を維持しつつ、人々は確かに前進していたのだ。
『ソルドナーレの教義は独善的で強い〝毒〟があるからな、そのままだと多くの弱者を根絶やしにしちまうんだ。奪われないようにするには、自分が強くなるしかない――追い込まれた弱者に我ら〝マテル〟が希望と癒やしを与えることで、〝命〟は強者を脅かすほどに力を増して――その尊い輝きを強く放つのですよ』
強者が異文化や弱者を蹂躙しながらその思想を拡げていくなかで、制圧された場所では、此の地で宣教師を名乗っているマテルが弱者を救済する。逆転の希望や自信がつくような〝成功体験〟を与えて、体力や知力などの強みを適所で活かさせ、抜きつ抜かれつの連鎖を作って爆発的に成長させていく――それが異教『ソルドナーレ』のやり方だと聞き、その発展の具合と実績を肌身で感じた。
『イサリビや国の暮らしが劣っている』とは決して思わなかった――だが、停滞を生んでしまった竜禪ではなく、変革と進化を求めた天崇が存続していればどうなったのか……そんな、ありもしない日々を夢に見た。
その頃に、風真の忘れ形見である、羽織と宝刀を抱いた少女――風真いろはがやってきたのだ。持っていた手紙には、国の近くの山間に異教の都市が出来てから布教が急速的に進んだことへの苦慮や、民の中で肥大化していた欲望への強い危機感、忠義を維持できなかったことへの詫び……そして、『最後の風真』を託す言葉が遺されていた。
あの生真面目な風真のことだ、国を治められなかったことを恥じ、〝己の無力に対する報い〟を受けたつもりなのだろう。武士らしい潔さを感じる一方で、残される者たちのことを考えぬ身勝手さを感じたものだった。
長旅で心を疲弊させていた風真の娘が落ち着くのを待ち、おれは現状を確かめるためにカフの国へと急ぎ飛んだ。ヤシャの本殿や竜禪の祠を破壊されて〝転移〟が使えなくなっていたその地には――焦げた炭と大粒の灰だけが残され、踏み砕かれた人骨だけが虚しく打ち棄てられていた。〝戦果〟として晒されたのだろう……いくつもの頭蓋骨が、人の悪意の残り香を示すように並んでいた。
生き残っていたのは、異教の説く〝正義〟を笠に着て倉の蓄えを無計画に貪り、欲望のままに生きていた国の民と――あばら家で四肢を拘束され、〝公衆の性処理道具〟として股を開くように吊るされていた、失神しながら痙攣している子種まみれの宣教師だけだった。
その『人間ではない存在』の拘束を解いてやり、身体を清めてから詳しい話を聞いたところ、おおよそ想像できたとおりの惨劇が起こったことを確認した。そして、『竜禪信仰に基づいて厳重に敷かれた法』が、人の欲望を抑圧できないほどに膨らませてしまっていたことを悟ったのだ。
神として崇められているおれは人の営みに口を出せず、イサリビの治安維持と、天崇の天子から受け継いだ〝攘夷〟以外にできることはない。そして、もはや神の存在すらも不要なのではないか。竜禪はこのまま時の流れに削がれるように忘れ去られ、遅まきながらに神を失えた民に『人として自然な生き方』を謳歌させてやるべきではないか――そう考えるようになった。
とはいえ、守護者の役目はおれの意思で棄てられるものではなかった。故に、竜禪が滅びるまでの時の中で――欲深い浮浪者に襲われただけでなく、故郷や家族も失った風真の娘に〝なりたがっていた武士の本質〟と〝生きる力〟を与えることにした。信心を最期まで持ち続けた風真の遺言――〝神への願い〟を叶えてやるために。
人の子の面倒を見たことなどなかったおれは、国の柱として据えた女子たちからソウリョクを受け取りつつ、育児や家族の在り方について逐一尋ねていた。「子供は何をどうすれば良く育つのか」、「女の子は家族に何を求めるのか」――何もかもを聞いて回った。
それがあまりにも不格好に見えていたらしく、「これだけ女子を抱いておきながらなんですかその様は」だの「それでも神様ですか」だのと皆に小言を言われたものだが、〝母〟や〝女〟として培っていた知識と経験はとても参考になったものだ。
柱たちから得た知識をどうにか駆使して交流を図り、内向的になってしまった風真を少しずつイサリビの暮らしに慣らさせた。おれが居なくなった此の世でも生きていけるだろう〝強さ〟を備えさせるために、急ぎ足で、さまざまな教えを詰め込ませた。
しかし、竜禪信仰は確実に弱りながらも、決して途絶えることはなかった。竜禪の節制から解脱した者も、命を全うした者もいたが、滅びた国からわざわざイサリビに逃げ込んできた流入者も少なからずいたのだ。
敵国の襲撃は力を増していく一方だというのに、民は『ミヤ様は絶対に負けない』と願い、信じ続けた――おれへ注がれる強いソウリョクが尽きる気配はなかった。
――幾許かの時が流れた。イサリビを守り続け、此の地に組み込まれた機能のように役目を果たしてきた。そんなおれの役目は変わらなかったが、目の前で、風真はすくすくと成長していった。
イサリビの真面目で敬虔な信者たちに見守られた風真は、剣術や弓術の類稀な才能を見せながら、おれに臆せず物言いができる元気な子に育ってくれた。炊事洗濯や針仕事も上手くなり、それなりの武術の心得も培った。
その健やかな姿を見続けていると――いつしか風真が『おれの役目が守り、育んだもの』として感じられるようになったのだ。それは、神として過ごした長き時の中で、おれが見失っていた〝人〟の在り方そのものだった。
――ああ、そうだ。天崇が潰えたあの日――〝最後の天子〟と別れてから、命の張り合いを失くしていたのは、他でもないおれ自身だった。そして、人ならざる身の孤独な虚無に、再び意味を与えてくれたのは――。
「待たせたな、風真」
――縁側で足をぶらつかせ、物憂げな表情で月を見つめていた……風真いろはに他ならなかった。
おれに『〝娘〟ではなく〝ひとりの女〟として見ること』を願った少女は、びくりと肩を竦めてから……少し腫れていた目元をごしごしと擦って、ゆっくりと立ち上がる。
秋に色めくイチョウのように明るい髪と、幼気な肉付きと大人の端正が共存する顔立ち。そして、風に揺れる木の葉と空の境目のように深みのある浅葱色の瞳。
その風に揺れる花のように美しく可憐な姿は、〝子の成長を見届けた親〟としては素直に喜ばしく――ひとりの男としては、贔屓目に見ずとも強い魅力を感じたものだった。
……風真の願いを聞き届けてから、おれの心の有り様は大きく変わってしまった。つい数刻前まで娘としか見れなかった相手を、異性として意識するようになっていた。
神の在り方は、人の在り方や感じ方によって姿形をころころと変えてしまう。風に吹かれる雲のような存在を自覚し、言いようもない儚さを覚えた。
「もう、よろしいのですか?」
「ああ。これ以上時間をかけたところで、何も変わらぬよ」
「……ふふ。『踏ん切りがついた』とは言ってくれぬでござるか?」
「己を信ずる者に願われたなら、如何に苦しくとも応えねばならぬ。それは決して揺るがぬ神のさだめよ」
「……そうですか。でも、なんというか……今は、その方がありがたいかもしれません」
「何が言いたいのだ」
「……いえ。今は、何も聞かずに……私を、抱いてください……〝ミヤ様〟」
「ッ…………いつの間にやら、大人のような狡い言葉を使うようになったな」
「……くすっ。貴方様と共に暮らし、その背中を見ながら育ちましたから」
「……おれに落ち度があったか。ならば、その報いは受けねばな」
夏の夜に風がそよぎ、薄着を揺らす。固まった男と目をそむけた女の間に、面映ゆい歯痒さが生まれ始めたことで、強く自覚する――今、おれがこの娘に望まれているのは、〝親代わり〟ではなく〝神〟としての責務を果たすことなのだと。
おれは風真に手を差し出し、その小さな手を重ねさせて、月明かりだけが差し込む寝室へと向かう。既に敷いていた布団に風真を寝転がせ、覆い被さりながらその瞳を覗き込んだ。
「……本当に、これでいいのだな?」
「…………は、はひ……! ど、どうぞ……召し上がってくださいませ……!」
緊張に目をつぶり、文字どおりの〝据え膳〟のようなことを口走った少女に、触れるだけの接吻をしてから首筋に手を這わす。小刻みに揺れる肩を撫で下ろし、腹の帯を緩めて……はらりと衣服をはだけさせた。
此の地にしてはよく育っている乳房は雅に曲線を描き、月光を艶やかに滑らせる。その先端には桃の花弁が薄く色づき、春を待つ桜の蕾のように粒だった乳首が覗いていた。
おれの無知が、幼少期の風真に胸を守るさらしを巻かせてやれなかったためか、その先端に結ばれた小さな蕾は、乳輪に比較して大きめに見える。明るさが足りない場所でも立派に咲き誇り、つんと尖って天を目指す突起を……少女の羞恥心がそっと隠した。
「…………やっぱり、他の人より大きいですか……?」
「……他の女のことなど、今は考えるつもりはない。なかなか可憐なものではないか」
「そんなこと……あっ……」
恥じらう風真の手をどかせば、ふるりと揺れた肉粒が月夜に墨染桜の花弁を落とす。その双丘に手を触れ、猛禽のように開いた手指でやや早摘みの果実を掴んだ。
風呂で身体に押し付けられたことは何度もあったが、こうして、女子の乳房として触れたのは初めてだった。しかとつまめる大きさはあれど、やや芯が残る感触には、おぼこの未熟さと緊張が表れていた。
その膨らみ越しに心身をほぐすように、首筋に舌を這わせながら乳房を揉みしだく。内側の硬い感触を優しく伸ばし、くびらせた先端の肉芽を指で擦るように刺激した。
「ひっ……い、ぁ……うう……! あっ……い、や……ぁああっ……!」
おれの愛撫を受けた風真の身体が、緊張以外の強い感情で縮こまる。お互いに、口に出そうなどとは思わなかったが……いざ男に抱かれて、浮浪者に襲われた記憶が蘇ってしまったのだろう。
「……風真。無理はせんでも……」
「っ……い、いいえっ……! お、お屋形様の触り方がいやらしくて……つい、身を逃がしてしまっただけですよ……!」
「……しかし……」
「お屋形様……私はもう、決めたのです……! お屋形様やイサリビの皆と共に生きるために……まずは自分にできることをするのだと……! もう、何もできないままでは……嫌なのです……!」
「…………風真……」
――おれは、己に『竜禪とは何か』を今一度問うた。こんなにもあどけない少女に、使命感を帯びた性交を強いて、未来を狭めてしまうようなものに――本当に〝正しさ〟があるのかと。
「お屋形様……お願いします……! 私に、力を……この信心に、お応えを……!」
その迷いを掻き消すように――手を組み合わせた風真の身体から微量の光の粒子が漂い、おれの中へと入り込んだ。そこには、一人前になったばかりの女子の、混ざり合った感情が色濃く表れており……その小さな胸に抱く、大きすぎる覚悟も感じられた。
下唇を噛んでいる風真が、力強い眼差しでおれの目を射貫く。そこには強い不安が揺れていたが、それ以上に芯の通った輝きが見えていた。
風真の凛とした態度を見て、改めて思う――竜禪自体には、おれが思うような正しさなどないのかもしれない。だが、何時如何なる時でも……おれを祀る者たちは、『それが正しいものだ』と信じてきたのだ。
その信心が揺るがぬ限り――武士が信念を抱いて生き続ける限り、竜禪の道が途絶えることはない。それが善であったなら賞賛されて存続し、悪であったなら報いを受けて滅びるのみだ。
――正しき明日を創るのではなく、民が暮らすキョウを守ること。それがおれの役目であり――この、立派な武士が望むことなのだ。
おれの顔色を窺っていた風真は、胸元に手を置いてから息を整え、心を決めて口を開く。
「……お屋形様。これから先、私がどれだけ嫌がろうとも……この儀式を、最後までやり遂げてください」
「よいのか。女子の初夜は激しく痛み、苦しむものだと聞いているが……それこそ、どのような豪傑でも涙を流すほどだと言われているぞ」
「えっ、あ、いや……えっと……だ、大丈夫っ……あっ、でござる……! 私は、ほら……そのお……風真家の武士ですから……!」
「…………要望があるなら、今のうちに言っておけ。先ほど注がれた想いにそのまま応えるなら、おれは止まれなくなってしまうやもしれぬぞ」
「えっ、ええーっ!? い、今さらそんなことを……いや、あの……じゃあ、で、できるだけ……優しく、お願いします……はい……」
「ふふ、承知した。なに、過剰に心配するでない。これでも場数を踏んでこざるを得なかった身だ、必要以上に虐めることはせぬよ――無論、ソウリョクに操られることもないだろう」
「ぬなっ……!? お、お屋形様は…………意地悪、です……」
赤らめた顔を気まずそうに背けた風真。その幼気に尖った唇へ口づけをしてから、少女の華奢な肩を抱いて、軽い体重を此方に預けさせた。
目を閉じている風真は、おれの体温と匂いを間近で感じているからか、その緊張を少しだけ緩ませていた。舐めた唇の花弁を開かせ、濡れた舌先をついついとなぞると、小ぶりな鼻から子犬のような音吐が漏れる。
食み合わせる唇に意識を取らせているうちに股布を脱がさせ、下腹の骨やその合間の肉をなぞるように指を這わせていく。
「んみゃ……ひゃうっ……!? お、お屋形様……くすぐったいです……! お戯れなら後に……きゃあんっ……!」
「馬鹿者、これが夜伽で行う前戯の一部なのだ。ほれ、もっと力を抜かんか」
「ひゃっ、あうんっ……く、うんっ……! そ、そんなところ、触っては……ば、ばっちいですよぉ……!」
「先ほど風呂に入って洗ったばかりだろうに。舌を噛むぞ、余計なことを考えるな」
「で、でもぉっ……んむうっ……!? んっ……ん、んっ……むゅぅ……!」
薄皮の下に詰まった肉は危険を覚えるほどに柔らかく、雑に扱えばすぐに破れてしまいそうな繊細さに満ちていた。これまで怒られながら培った〝女体の触れ方〟を全て駆使して、風真の身体に触れていく。
乙女の恥じらいが脚を閉じようとして腕を挟むが、それを振り解いて愛撫を重ね続ける。薄い恥毛が生えそろう肉丘の筋を執拗に撫で回し、その合間に萌ゆる花びらをこそぐように刺激した。
舌がまぐわう接吻を重ねながら秘部をこそぐと、力では敵わぬことを悟った女体が無駄な抵抗を止め、徐々に脱力しながら脚を開いていく。やがておれに身を任せるようになり、震わせた腰から艶めくつゆが溢れ、口から漏れる吐息に色を湿らせ始めた。
「ぷ、ぁっ……はふぅ……は、ぁ……はあっ……お、お屋形様……もう、致すのですか……?」
「……いや、まだ早計だな。しばし、おれに任せよ」
「は、はひ……お屋形様……!」
風真の性器はきちんと育っているらしく、十分な粘度の愛液で濡れているように見えた。
普段の柱と行う儀式であれば、既に陰茎を挿入していたところだったが……硬さと幼さが残る風真の秘裂は、侵入者を拒むように閉じており、乙女の貞操を守っている。
城塞の如き守りを風真の心側から崩すように、壺口を慎重にほぐして指を挿入する。その狭い肉壁は、無数に張った薄い膜のような圧力で異物を押し出そうともがいていた。
「ふぎゅっ……ん、ぁあっ……! なんか、なかに入って……うぎゅう……!」
「指を一本入れておるのだ。風真、無理に力を抜こうとせず――――ときのように……してみよ」
風真の耳元で、あまり女子の耳に入れたくないことを教えてやる。すると風真は、非常に複雑な表情を浮かべて「やっぱりそっちの趣味が……へんたいだ……」と謎の言葉をぼやきながら歯噛みし……おれの言うとおりにしてみせた。
少女がいきむ声を漏らすようになると、先ほどのような強い抵抗感が弱まり、おれの指を内側まで受け入れ始めた。今度は〝逆〟を伝えると、壺肉が指を奥まで引き込もうとするようになる。やはり、経験者の知識は為になったようだ。
乳房を揉みながら先端をつまみつつ、風真の深部まで潜り込ませた指で壁を掻き分けるように膣を拡張し、蜜肉全体を潤わせるために縦横無尽に刺激する。山に通路を掘削するように肉を伸ばしてから指の本数を増やし、強い弾力のある膜を揉むように性感の種を仕込んでいった。
「はあっ……は、ぐゅう……! お、お屋形様……はぁっ……あっ、んんっ……! なんか、これっ……はぁんっ……」
少女の身体から滝のような汗と湧き水じみた汁が出るほどに時間をかけて、弱火で蒸らすように肢体を昂らせていく。朧雲がいくつも流れた頃には、風真はその上体をくねらせて、先ほど教えた裏技を自然に使えるようになるまで仕上がった。
この娘は以前から、染み付いた癖を直すことこそ苦手だが、新しいことを覚えたり挑戦したりすることは得意だった。家事や剣道だけでなく、幅を広げるために教えた弓などの武道も、形だけは早々に修めているぐらいなのだ。
そのような〝未来〟の塊を入念に愛撫し、とうとう〝女〟を芽吹かせた。ずるりと引き抜いた指には糸を引くほどに濃い花蜜が伝っており、酸味のある花香を漂わせる。
「はあっ……は、ぁっ……! お、お屋形様……私、なんだか……う、う……」
風真は身体を蛇のようにくねらせ、紅潮した頬をゆるりと垂れさせた。汗ばんだ乳房の先端は硬くしこり立ち、腰は物欲しそうに蜜を滴らせながら揺らめいている。
「……恥じることはない。おれがそうなるように仕向けたのだからな」
「…………で、では……その責任、取っていただけますか……?」
「…………無論だ」
上気した顔に力を込め、恥ずかしそうに唇で一文字を結び……風真は、自らの手でその秘部を割り開いてみせた。満開に咲いた花弁の間には銀色の橋が架かっており、淫らな露で月光をむわりと曇らせた。
此処には、善も悪もなかった。月夜に男と女が在り、互いにその責務を果たそうとし、欲を募らせて滾らせるのみだった。
風真の魅力に――確かな女体の瑞々しさを孕む女子の痴態に中てられていた、おれのいきり立った男根を外気に晒した。
「ひえっ……!? み、みみずのばけもの……!? え、いや……お、大きすぎませんか……? あ、あんなの……は、入るの……!?」
汁気に糸を引かせている〝自信を植え付けられた剛槍〟を見て、風真は戦慄しながら、本能と緊張で喉を鳴らした。
おれは風真が怖気づく前に、十分に潤わせた女体の貝門に陰茎を這わせ、粘液を混ぜ合わせるように擦り……開閉していた膣口に沈めていく。狭い肉壺の入り口をこじ開けるように押し拡げ、剥き身の頭をずるりと潜らせた。
「うぎっ……あ、あ、あっ……!? う、あ、ま、って……これ、だめ……! さ、さけ、ちゃう……あぐ……うう……!」
「ぐっ……! 風真……余計な力を……ぬう……!」
震える手でおれの腹を押し退けようとする風真。その暴れる防衛本能をどうにか宥めながら、ぬかるんだ肉壁の合間に肉棒を押し込んでいく。その途中で、えらのように張った亀頭が弾力のある門に当たり……ぶつり、と乙女の純潔を散らした。
「いっ……た、ぁああっ……!! お、お屋形様……へひ……ぐすっ……! い、痛い……苦しいよぉ……ふええっ……!」
「……っ……大丈夫だ……! おれが此処に居る……如何に苦しいときでも、おれは、おまえを……!」
「っ……う、ううっ……! お屋形様っ……お屋形様……信じてます……お屋形様ぁっ……!」
一刻にも及ぶ前戯で緩ませたと言えども、〝神槍〟と揶揄された大きさの逸物は、少女の身体には負担が大きすぎた。悲痛に喚く〝娘だった者〟の声を聞きながら……捧げられる信心に、神として応える。
荒々しく膨らんだ先端で肉を軋ませながら割り開き、ようやく辿り着いた女体の最奥を小突き上げる。そこで風真の頭を撫でながら口づけを交わし、男根に慣らすようにしながら、胎袋の口をなぞるように腰を回した。
「くす、んっ……すんっ……うぐ、ぎゅ……う……。くるしい……でも、お屋形様……ちゃんと、最後まで……う、ぐぅ……!」
「わかっている……まだ頑張れるか?」
「んっ……きゅう……は、いっ……! 私は……武士……ひぎぅ……! うぐ……しんね、ん……んーっ……!」
おれの背に手を回し、爪を立てるように抱きついた風真には、確かな信念が宿っていた。目の前で輝く涙にほだされ、使命を失ってやれるような親は――もう、居てはならなかった。
おれは〝弱さ〟を見せたがる心を引き千切るように破り捨て、風真の膣に突き刺した肉槍を引き抜いた。鮮血と蜜液が混ざった汁を掻き出し、布団に垂らしてから再び裂け目に向かって突き込む。
「あ、がっ……かっ!? ん、ぐっ……あああっ……! ふ、かい……おっきい……おなか、破れちゃうよぉ……!」
「……っ……風真っ……! 風真……『気持ちいいぞ』……!」
「んぁっ……!? あ、ううっ……は、あっ……はぁっ……ん、ぐううっ……! お屋形様……もっと、私で……他の人より…………あ、ぁあっ……!」
風真は自分のことよりも、他人のためにこそ頑張れる性分だった。おれの〝意地悪い言葉〟が意図したことを察したのか、風真はおれの身体を掴む手の力を強めて、ねだるように口づけを吸い寄せた。
胸板で潰した乳房をこね回し、重なる腹で汗を混ぜ合う。沸々と湧き上がる衝動を叩きつけるように、それでも風真の身体を気遣うように、絶妙な力加減で抽挿を繰り返した。
その濃密な抱擁を数えきれないほどに重ねるうちに、おぼこの痛みは流れる血と共に薄れていったようだ。膣を拡げられる苦しさにも慣れ始めた膣が、蛇腹のようなひだを肉槍の穂先に絡めておれの腰を震わせた。
「はぎゅっ……あっ、あっ……ぇ、へぁっ……? なに、これ……あたま、ふわふわ……ん、んっ……!」
「くっ……風真……! おまえを……キョウの〝主柱〟に据える……! おれと共に……此の地を……!」
「ふ、ぎっ……は、ひっ……! あ、あっ……お屋形様っ……必ずや、貴方様にっ……あ、ぁあっ……だめ、あっ、あっ……はぅううんっ……!!」
身体を弓なりにしならせた風真の膣に、昂り続けていた劣情と背徳の快感に使命を預けて『人へと還す』ように吐き出す。痙攣する男女の性器の狭い隙間に、断続的に吐き出される白濁が龍のように流れていき――風真の下腹部に、両翼を広げた〝八武の紋〟を焼き付かせた。
「は、あっ……ぜえっ……ぜへえ……! なんか、おなか……あつい……うふゅ……」
「っ……ふう……それが、主柱のあかしだ……。おまえには、背負わせたくなかったものだが……」
「はあ……え、へへ……。これで、やっと……はぁ……父上と母上の言いつけ、守れました……。ありがとうございます……お屋形様……」
「…………ああ……他でもないおまえが、望んだものだからな……」
風真の手が無意識に撫でたそこには、〝八つの空白〟が刻まれていた。『竜皇への願い』で成立しているイサリビには『代わりに信心を集める〝柱〟』を据えられず……既に国を失っている風真の願いを聞き入れるには、これしか手立てがなかったのだ。
基本的には他の柱の紋様と変わらぬもので、奇跡でも起こらぬ限りは何も特別なことなど起こらないだろうが、『おれが人間から預かっていたもの』を合わせて還すことになってしまった。
それがどう転ぶかはわからなかったが……脂汗で濡れた頬の紅葉の艶めきと、どこか大人びた風真の満足げな顔を見ていると、そのようなことが些事に思えた。
それと同時に――おれは、風真に抱いていた親心よりも大きな〝何か〟を胸に抱くようになっていた。
――――――
人生で最も大きな仕事を終えた私は、お屋形様が夜伽の始末をつけている姿を見ながら、半裸のままで股に布を当てていました。
その時、空が少しずつ白んでいっていることに気づき……下腹部に刻まれた紋様を撫でました。それだけでは〝柱〟となった実感が湧きませんでしたが、血混じりの粘液がどろどろと溢れる流れと、わずかな股座の痛み……そして、未だに杭が刺さっているかのような違和感が、昨日とは異なる〝今日の自分〟を感じさせてくれました。
「どうだ。少しは楽になったか」
「あ、はい……おかげさまで……というか、お屋形様が傷めたようなものですが……」
「おまえがそれを望んだのだろうが……まったく、相も変わらず…………口が減らない〝女〟だ」
お屋形様は嬉しそうに――同時に、どこか寂しそうにそう呟きました。
私は少しだけ気まずく、同じぐらい気恥ずかしい気持ちをごまかすように空を見上げ……ようやく残滓が止まった秘部から布を剥がし、着物を整えます。
「ねえ、お屋形様? ちょっと、貴方様の背に乗って空を飛んでみたいのですが」
「うむ……この頃合いなら問題ないが……どうしたのだ、突然」
「いえ、なんとなくです。今なら……少し、広い視野で物事を見られそうな気がして」
「…………それがおまえの望みなら」
夜通しで何かをしていると、『眠る』という日常を後先考えずに踏み潰すせいか、普段の暮らしとは異なる感覚に陥ります。ぶっちゃけ、今風に言う『深夜テンション』でした。
お屋形様は少し呆れた様子でしたが、着物を直してから刀を持ち、境内に出て、ソウリョクの輝きに包まれながら竜人へと変身しました。
その黒くて荒々しい姿を直接見たのは数年ぶりで――初めて海を臨んだあの日以来でしたが、その体躯は少し小さくなったように思えます。
私が大きくなったのか。お屋形様の力が弱まったのか。それとも、どちらもなのか。私にはわかりませんでしたが……久方ぶりに、硬い黒鱗で覆われた背に跨り、左右に伸びた大翼がひいんと風を切る音を聞きました。
「っつ……いたた……」
『股を開くとまだ傷が痛むか。ソウリョクを使って簡単な治癒を施しておいたのだが』
「まあ、ちょっとだけ……っていうか、ちょっとは配慮した言い方をしてくださいよ。これでも女の子なんですけど!」
『ふふ。そのような口が利けるなら問題ないだろうが、酷く痛むならすぐに言え』
「……はい!」
私の元気な声を聞いてから、力強い羽ばたきが大いなる風を逆巻かせ、巨体を空へと誘いました。煌めく風と共に舞い上がった浅い瑠璃色の空の向こうには、広々とした海と、水平線に輝く東雲色の光が見えました。
神風に揉まれながら、遠くなった地面を見やると……作り物のようにしか見えないほどに小さな木々と、民たちが眠る玩具のようなイサリビの家屋たちが見えました。他にも、イサリビと似た雰囲気の国々や、煌々と光を放つ人工的な都市があちこちに点在している様子も見えていました。
そこには多くの命が生きて、それぞれの想いを抱きながら暮らしていました。その中には、もちろん私も含まれており――胸に抱いた〝この想い〟を信じるからこそ、〝自分の存在〟と〝命の価値〟を感じられるのでしょう。
やがて間もなく、きらきらと光る海の縁から太陽が昇り始めて、此の地をゆっくりと照らして温もりを与えていきます。その壮大な恩恵を世界に広げていく様は、正しく『神々しい』と表せる光景でした。
「お屋形様。私は、このあまねく輝きを――此の地を守りたいです」
「…………ああ……承知した。神として、人の子の望みに応えよう」
二人で初夜を越えて見た、天を照らす大いなる光は――風と遊ぶ鳥たちや山々の木々、そして人の営みを眩く照らして影を生み――全ての命が孕む明暗を、つぶさに教えてくれていたような気がしました。