※この作品はR-18です。

朽ちぬ木の葉は色褪せず   作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)

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第一七話 レオーニオの願い

「ぎゃはッ……ぐふ、ぐふふふふ……♡ レオたん、みぃーつけたァ……!!♡ ずーっと会いたかったのよぉ~♡」

 

 レオーニオの背中を貫き、胸を突き破って私の眼前まで迫っていた腕が……ぐじゅり、ぐじゅりと回転して、硬直した身体を痙攣させました。

 

「う、ぶッ……! ま、まる……ぜん、ぱ……ぃ…………ガ、フッ……!!」

 

「あらァ~♡ あの屈強でたくましいレオたんが、年頃の女の子みたいな情けない声を出すなんて……幻滅して、ドロドロに欲情しちゃいそうだワぁ……♡」

 

 血肉で赤黒く汚れた手が、レオーニオの豊満な乳房を握り……ぶちぶちと、内側の肉を千切るような強い力で女体を蹂躙し始めます。その動きに合わせて、身体に空けた風穴が意地悪に拡張され……レオーニオを苦悶に呻かせました。

 

「う、ぁ……が、ぁあああああッ……!? お、ぉおお……ご、ぼっ……ごほっ……お、ぇ……ッ……ぁ、あ……!!」

 

 唸るような低い呼吸に合わせて、レオーニオの口から大量の血が吐き出され……私の身体や、刃を握らされていた手が生温かく汚れていきます。

 

「…………そんな……レオーニオ……あ、あああっ……!! れ、レオーニオが……死んじゃう……!やめて……止めてよぉ……!!」

 

「ハァ? この子を〝生殺し〟にしてきた奴が何を甘いコト言ってんの? ま、あたしだって同胞殺しなんてシたくなかったけどぉ……レオたんは〝廃棄〟が決まっちゃったからさァ」

 

「……は……廃、棄……?」

 

「うん、廃棄っ♡性処理道具らしく、細かく千切って燃えるごみ♡ ブスジマ様が『用済み』だって言うから、わたくしが責任を持って潰しに来たんですのよ♡ 勝手にくたばるならそれでもイイんですけど……これ以上こちらの脚を引っ張られるのは、さすがに困りますので♪」

 

 手袋を外していたマルテーサの毒々しい色合いの手が、血反吐を溢れさせるレオーニオの髪の毛を掴んで、頭を上向かせ……からくりを解体するように、体内を雑にまさぐって……ぐじゃ、ぐじゃ、ぐじゃ……と、レオーニオに声なき悲鳴を上げさせました。

 

「あたしたちの身体ってさ、どんなにハードなプレイをされても平気なように頑丈な作りになってるんだワぁ。こうして、血管とか神経……臓器を丁寧に潰さないと〝再起動〟する可能性もあるし、徹底的にヤらないとね♡」

 

「うぐ、ぶッ……う、ぁああ……っ!! がぁあああああっ……!!」

 

「は、ぁっ……はぁっ……あぁ~ん、気持ちいい~……♡ レオたんみたいな強い女が無様に悶え苦しむ姿……たまらないわねぇ……♡ ほら、この心臓……すごい必死になってドクドクしてる……ねぇ、わかる……?♡ ちょっと、脈拍のお手伝いするわね……ぎゅっ♡ぎゅ~っ♡」

 

「ッ――ぁ……ぁ……っ……!! や、め……ぁ…………ぁあああああっ……!!」

 

「うひひひっ……!! さすがの悪魔でも、ハートを鷲掴みにされたら骨抜きになっちゃうみたいね~♡ 大丈夫♡そういうレオたんも可愛いわよ♡」

 

「なんて、酷いことを……!人の命を……なんだと思ってるんだ……!! 命は、其方らが……お前たちが尊んできたものじゃないのか……!?」

 

「ンだよ、さっきから羽虫のようにうるさいだけ――アハッ!?♡ なぁにぃ!? 快楽に堕ちたイき狂いのメス豚が、そんな顔で偉そうなことを語ろうとしてんの!? どんだけ恥知らずなんだよ!?」

 

「か、顔は関係ないだろう……! そんなことより――」

 

「――ガハハハハっ!! 顔にセイの字が刻まれるのは、自慰でイッた回数だけなんですゥ~!!♡ 貴女は自分の顔に……ぷくくっ……『オナニーで何十回もイきました』って書いてあるのに……なんか真面目に語ろうとしてるゥ……傑作すぎるんですけどォ……!!」

 

 ゲラゲラと涙をこぼしそうなほどに大笑いをしたマルテーサでしたが……突然、すん、となって、レオーニオの凌辱を再開しながら口を開きます。

 

「……〝命〟とは、こんな〝カラダ〟のことではなく――此処の在り方そのもの、個人の存在意義を示すもの――故に『最も大切にすべきもの』。それは、自らの宿命、そして使命のために使うものとして――生きとし生ける者が授かった〝燃料〟なのですよ」

 

「……ね……燃、料……? 人の命を……そんな、消耗品みたいに言うなんて……」

 

「この世に〝消えないもの〟なんてありません。寿命や死期がない生き物なんておりません。だからこそ、我らは欲望という生き甲斐のために苦難に立ち向かい、危険にさらされながらも与えられた〝命〟を全うしようと燃えているのです――最高に『生きている』でしょう?」

 

 私には理解できなかった価値観を持つマルテーサは、レオーニオの処分を続けながら、淡々と……いえ……軽い口調なのに、どこか重たげに言葉を紡ぎました。

 

「……レオたんは……助けたい同胞、守るべき後輩、一緒に居たい友達……言い方がたくさんあるほど、大切な存在です。でも、さすがに、わたくしの命には替えられませんから……この処分も、あたしなりの〝生き方〟なのよ」

 

「……マルテーサの……命……?」

 

「……あたしも、もう後が無いってコトよ。組織に属する管理職だもの……まあ、それも普段の安定した生活とトレードオフな〝命〟令なので、仕方ないんですけどネ……言い訳をするつもりはないわよ」

 

 一瞬だけ影が差した顔を無理矢理に明るくさせてから――マルテーサは再びレオーニオの胸を深く貫き、呆然とする私に向けて、血まみれの手をおちょくるように開閉しました。そのまま腕を引き抜き、引きずり出した肉泥を舐め始めました。

 

「ん~……♡レオたんのお肉、適度に脂が乗ってておいしいっ……♡ たしかに〝これ〟にも価値はあるんだけど、結局使い倒してナンボのものだからね。そういう意味で、やっぱりレオたんは『わかっている』わよねぇ」

 

「ぐ、ぶ……ぅ……う、ぇっ……!! ぐっ……あ、ぁ……!」

 

 胸に空洞を空けられた激痛と失血で息を詰まらせたレオーニオが、ぼろきれのように倒れて、私の身体に寄りかかりました。

 

「れ、レオーニオ……しっかりして……!」

 

「ぜ、えっ……ぜ、ひゅう……ぐ、ひゅ……ぐぶっ……う、う……!」

 

 私は必死にレオーニオの深い傷を手で塞ごうとしましたが……その面積が大きすぎて、私の両手では覆い尽くせませんでした。それに……おそらく、傷口の内部は……マルテーサの手によって、大部分を〝処分〟されてしまっていたのです。

 

 溢れていく血潮が、レオーニオの体温を奪いながら地べたに流れていき……粘着質な血だまりを、美女の命と引き換えに広げていきました。

 

「はぁ……はぁ……はぁっ……!! ち、血が……止まらない……どうしたら……!!」

 

「ああん!?『どうしたら』も『こうしたら』もねーだろーがよォ!! そんな死に損ないのことより、お前は自分の心配したらァ!? 今度は手加減とかしないわよ!?マ×コと頭がぶっ壊れるまで神酒を搾り取ってやるからな!!」

 

 ぎゃはぎゃはと下品に笑ったマルテーサは、懐から小さな刃物を取り出して……脱力して放り出されていたレオーニオの脚に、その切っ先をずぶりと突き立てます。

 

「ねえレオたん、どうして? どうしてあたしの思いどおりに動いてくれなかったの? あたしが重いから?あたしが気持ちわるいから? おい……何とか言えよ!答えろよ――あッ!肺が潰れて答えられないね!ギャハっ……ギャハハハハハハぁッ!!」

 

 どん、どん、どん。ぶづ、ぶづ、と肉が引き裂けて、色味の悪い澱んだ血が噴き出す凄惨な光景を愉しむように……目から光を失ったマルテーサは、何度も、何度も……レオーニオの脚に裂傷を増やしていきました。

 

 脚の感覚が既に失われていることが幸いだったのか……レオーニオの苦痛が増えることはありませんでした。

 

 しかし、増えていく裂傷が生んだ血の川は流れを速めて……レオーニオの顔色がどんどん青ざめていき、その身体が冷たくなり始めていました。

 

「う……ぶっ……いろ、は……ご、ほっ……!! は、やぐ…………して……ろ、して……! まに、あわなくなる……あたしの……〝命〟が…………がはっ……!」

 

「レオーニオ……!! でも……でも、私は……!」

 

「アハハハハ!なに悲劇のクライマックスみたいなやり取りしてんのォ!? 船長も混ぜて――あ痛ァっ!?」

 

 マルテーサがレオーニオの肉洞に手指を引っ掛け、私たちの間に割り込もうとしたとき――火薬の破裂音が響いて、麗女の側頭部を弾き飛ばしました。

 

 その乾いた音がした場所では……先ほど担架や機械を撤収させたはずの男性団員たちが、武器を構えて、銃口から硝煙を漂わせていました。

 

「マルテーサ様……!! お二人の邪魔はさせません……!!」

 

「……え? なに? お前たち……トチ狂った隊長と運命を共にするつもりだったの……!? うっそだろ……妄信なんてレベルじゃない狂信じゃん……いつの時代のバカらしさなのよ、それ……!?」

 

「れ、レオン様の〝命〟は、武士殿に託された!! たとえレオン様の上司と言えど、それだけは譲れない……!! たとえ、我らの命をなげうってでも……成し遂げさせてみせる……!!」

 

「…………あー……?なに、雑魚がイキってんだ……? はー、これだから軍隊ってのは……戦い続けて、命の価値も硝煙でくすませて……暑苦しくてイヤなんだワ」

 

 マルテーサは嫌がらせのようにレオーニオの傷口をぐじぐじと抉って、苦悶の声を上げさせてから、腰に着けていた一本鞭を手にし――パン、パン、と――刹那の中で、引金を引こうとしていた手たちから武器を払い落としました。

 

「え……なっ――ぎゃああッ!?」

 

「む、鞭の軌道が、見えな――うわあああっ……!?」

 

「遅い。甘い。おまけに弱い――ホントにただの雑魚なんですけどォ!? それでもSSR――いや、LEONの団員なんか!?」

 

 マルテーサは巨乳を揺らしながら鞭を打ち鳴らし、鞭の先端に付いたハート型の刃で、団員たちの武装を無残に切り刻んでいきました。衣服すらもズタズタに切り裂き……股間部分をくり抜いて、地べたに転がした男たちの局部を晒させました。

 

「キャハッ♡このチ×ポたち、レオたんが好きそうな巨根が粒ぞろいってワケね……♡ ウフフフ……あたし、イイこと思いついちゃったァ……♡」

 

 舌なめずりをした美魔女は、右目を黄金色に輝かせて――私を快楽の底に沈めたときのような、淫猥な空気を漂わせました。

 

「うっ……あ、あ……!? なんで……チ×コが、勝手に……!」

 

「でゅふふふふ……♡ 立派に育ったチ×ポちゃん♡レオたんのマ×コ臭が染みついてて美味しそうだわぁ……♡」

 

 瑞々しい肉体を覆う衣服を、邪魔そうにずらして乳房と秘部を晒したマルテーサ。彼女はがに股で団員の屹立した男根に跨り、捕食するように秘部を吸い付かせて、深々と咥え込みました。

 

「うわああああああッ……!? や、やめろ……それは、レオン様にっ……あっ、あっ……あっ……ぁあああっ……!!」

 

「あ、んっ……!!♡ ちょっとォ、たった数回のピストンで勝手に射精すんなよぉ……早漏野郎めっ……♡ こっちのおち×ぽも寂しそうにビンビン跳ねてるから、おクチで……あぁ~んっ……♡」

 

「うびっ……!? あっ、ぉおおっ……!! な、んて……熱くて……とろとろで……うっ……うううっ……!!」

 

 マルテーサは、レオーニオに見せつけるように、大切な部下たちの純情を貪っていました。ばちゅん、ばちゅんと激しく打ち付ける巨尻から覗く接合部では男女の汁を白く泡立たせ、熱くうねる舌は松茸のように上向いた芳醇肉棒をご馳走のようにしゃぶっていました。唇で先端を食み、笠の部分をべろべろと舐めるだけで、団員は鈴割れから大量の白濁液を漏らしてしまいました。

 

「あんっ♡おクチがどっちもあっつい……♡ ほらっ♡ほらっ……♡ もっと、びゅー♡びゅー♡って、無様にたくさん射精してっ♡ 大好きなレオたんに、浮気チ×ポの最高なアクメを見せつけちゃえよッ!!♡」

 

「う、あああああっ……!! と、止まってくれぇっ……!! 俺は……レオン様のことだけを……あっ……イくっ……ぅうっ……!!」

 

「れ、レオン様……あっ、あっ……ま、マルテーサ……さ、ま……あううっ……また、でる……ぅっ……!」

 

 やけに大げさに喘ぎ散らし、腰をヘコヘコと情けなく上下に振って精液を飛ばし……ゲラゲラゲラ!とマルテーサを悦ばせる団員たち。その手は、マルテーサから見えないところで規則的に動き、何かを伝えようとしていました。

 

「……ぜ、ぇ……ぜ、えっ……! あ、あり、がと……な……ゲフッ……げ、ほっ……! う、うぅ……あたしの、わがまま……つきあわせ、て……ごめ、ん……な……!」

 

 ……それは……時間稼ぎをしている団員たちから、レオーニオに向けられた〝手信号〟のようでした。

 

 レオーニオは、苦痛と苦悶で今にも泣きそうな顔をしながら……意識を朦朧とさせた目に、確かな〝力〟を宿し――震えるばかりの私と、まっすぐに向き合いました。

 

「……い、ろは……ちゃん…………りゅう、おうさま……きっと、待ってる……! いまも、がんばって……たたかって、る……う、ぶっ……!」

 

「……え……えっ……? お屋形様は……今、どこで……どうなってるの……!?」

 

「あ……あん、たが……要る……!〝力〟を……握れる、アンタ……が……戻らないと…………ぜんぶ……もえ、る……なく、なる、から…………」

 

「……れ、レオーニオ……どうして……? どうして、大切なことは……何も話してくれないの……!? そんなんじゃ……私……レオーニオを……〝悪〟なんて、思えないよぉ……!!」

 

「あ、あ……あた……あた、し…………も、う……ねむ、い…………げ、ほっ……。あ、ぇ……はや、く…………はや……く………………」

 

 体勢を崩したレオーニオは、突然、目を虚ろにして……私の顔も見えなくなったのか……震える手でこちらの身体をまさぐりました。そして、血みどろになった刃物を握ったままの手に――私への〝願い〟を込めていました。

 

「……あたしの、命……アンタが、救った命……『返す』から……もっと……つよく、なって…………!」

 

「あ……あ、あああっ……!! はぁっ……はぁっ……ああああああああああああっ……!!」

 

 ……千切られた肉の隙間から覗いている……とくん、とくん、と脈打つ命の果実が、その拍動を弱めていき……最後の〝使命〟を、私に訴えかけているようでした。

 

 ……この機を逃せば……私は家族の仇を討てなくなり……レオーニオの、最期の願いすらも退けることになってしまいます。

 

 彼女が本音を隠して、私のために〝命〟を使おうとしてくれていたことには察しがついていました。復讐という〝理由〟を強く意識させて、私に罪悪感を抱かせまいと配慮をしてくれていたのでしょう。

 

 …………その大きな気持ちを、わかっていても……弱い私は、涙をぼろぼろとこぼして、身体を震わせるばかりで…………。

 

「……う、うっ……うううっ……!! レオーニオ……だめだよ……!! 私は……レオーニオを殺して得る〝力〟なんて……握りたくないよぉ……!!」

 

「…………ばか、や……ろ……………んと、に………あま、い……なぁ……」

 

 そこが今際のきわだとわかっているかのように――レオーニオは、私に呆れたような微笑みを見せました。そして、そのまま……安らかに、目を閉じようとしてしまいました。

 

 ――レオーニオが居なくなってしまう。そう感じて真っ白になった頭の中では、レオーニオとの記憶がめちゃくちゃに混ざり合って、何枚もの写し絵が切り替わり――彼女がかつて述べた、戦いの口上を思い出しました。

 

 ――『それでは悔いなく、命をお大事に』。

 

「待って……まって、レオーニオっ……!! レオーニオは〝命〟を大事にしてきたはずなのに……自分が、死んじゃってもいいの……!?」

 

「………………」

 

「これで……こんな終わり方で……いいの……!? 団員さんたちが悲しんじゃうんだよ……!?」

 

「………………………………」

 

「……なんとか、言ってよ……! いい加減……ホントのことを、話してよ……!! 私は……レオーニオに……大切な人に、生きていてほしいのに……!!」

 

 命が消えかけた身体を抱いて、泣きじゃくる私に釣られたのか……レオーニオは最期の力を振り絞って、私に縋るように、震える手を伸ばしました。

 

 

 

 

「………………まだ…………しにたく……ねぇ……なぁ……」

 

 

 

 

 レオーニオは、確かな愛情と優しさ……そして、〝生き物らしさ〟が滲み出た雫を……ほろり、と一粒だけ落としました。それはまるで、誰かが見た夢の終わりを告げる――心の海に落ちていく、感情の一滴のようでした。

 

 ――『死にたくない』。『生きていたい』。当たり前すぎて、口にすることすらも憚られる〝理由〟が――生死の境界線によって、はっきりと縁取られていました。

 

「…………たすけて…………かみ……さま……」

 

 追い詰められ、曖昧なものにすら救いを求めてしまう必死な手が……想いの雫が、地に落ちる――その間際で――レオーニオの腹部で何かが目覚め、強い光を放ち始めました。

 

「……え……? これ、は……ソウリョク……?」

 

 その宙に波打つ光の波動の正体は、ずっとソウリョクに触れてきた私にはすぐにわかりました。

 

 宣教師の胎内で愛され続けていた〝至福の夢〟――幾千もの命が脈動し、強い力を放って――レオーニオとの〝今日〟を強く望んでいたのです。

 

 溢れた無数の光の帯――レオーニオと繋がり合う〝命〟の紡ぎし愛が、がむしゃらに蠢いて、助けを求めるように私へと注がれました。

 

 

 

 ――『どうか、愛する人を助けてほしい』。

 

 

 

 その一途な願いが連なり、重なり、一つになって――私に訴えかけてきたのです。

 

 全てが折れて、体力もソウリョクも枯渇していた身体に、どう使えばいいかもわからない活力が宿り始めたそのとき――カン、と何かが弾けた音がしました。

 

 私の体内から溢れた光の粒が弾けて波を生み、呑み込んでいく周囲の一切の時を制止させて、鮮やかな若葉の色で染め上げて――。

 

 

 

「おかえり、いろは」

 

 

 

 ――ひゅるりと吹いた風のような、懐かしいばかりの声を耳に届けてくれました。

 

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