――これは、配信中だったいろはが『その後なんやかんやあって、私は最後の旅に出かけたのです』とお茶をにごした部分の話にあたるもの。当然、ライブ配信のチャット欄には当たりの強い言葉やクエスチョンマークが並んだのだが、いろはがそれ以上言及することはなかった。
そもそも記憶が朧げな部分が多かったということも大きな理由だが……それ以上に、自分の長い話を聞いてくれているかざま隊士たちには〝誤解を与える可能性があるため、風真いろはの口からは聞かせたくない話〟として、心の中にしまいこんだ出来事だった。
―――――――
イサリビの住民にも危害が及ぶほどに高温な業火と強力な爆炎を放っていた鬼神は、その爆風で毒島三段腹をイサリビの外に押し飛ばしながら――いろはや暁と共に攻撃を繰り出し、激烈な戦闘を継続していた。
その異次元の攻防に圧倒されてしまったアマネは『武具の投擲による支援ではまったく役に立たない』と判断し、いろはの背中を追って、戦地の間近で祈りを捧げることで力を与えていた――が、幾十度の致命傷を受けても再生を繰り返す毒島に敗北を喫したのは諸賢の知るとおりだ。
囚われたいろはたちは、〝竜禪の破滅〟という目標の一つが達成される予感に股間を熱くしていた毒島によって、イサリビへと移送されている最中――刃桜の遠い子孫にあたる〝薬神・ガンダルヴァの最後の信仰者〟が遺した想いを使いきり、〝実感のある幻〟とすり替わることで脱出に成功した。
しかし、いろはは敗者としての嬲りを受けたうえに脳髄を音波で揺さぶられており、既に意識を朦朧とさせていた。それでも、気を失っていた鬼神と鍛冶職人、ぽこべぇを背負い――いや、背に乗せて地べたを這いずり、右も左もわからずに毒島から逃れようと足掻いていた。
敗北から、どれだけの時間が経ったかはわからない。揺らぐ視界を赤く染め、歯を食いしばり……地面に爪を突き立てて、少しずつ、夢見た〝今日〟に繋がっていると信じた活路を進み続けていた。
「ぜ、え……ぜ、え…………。余さん……アマネ、どの……ぽこべぇ……! かざまが……かな、らず……たすけ……う、う…………うぐうううっ……!!」
呼気を拒んだ身体が胃液混じりの吐血を溢れさせ、せっかく膣汁が乾き始めた股間を漏れた尿が再び濡らしていく。体力は既に底を突き、ソウリョクすらも吸い尽くされた武士は――〝老わず、死なない〟だけで、常人ならとうの昔に息絶えているほどの苦痛を味わい続けていた。
神性を帯びた者が狂い始めるのは、必ずと言ってもいいほどに〝死ねないこと〟を察した瞬間なのだ。いろはは幾度も気を失い、苦痛と使命感で同じ数だけ覚醒する――回復もできず、死ぬことを許されない苦行を繰り返し、いつの間にか迎えていた燃えるような夕刻の赤さに目を焼かれたとき……いくつかの足音と合流する。
「お、おい……! 行き倒れかと思ったらよお……こらあ、ヘビちゃんじゃねえか!」
「…………う……ぁ……? この、声……イサリビの……トクロ、どの……?」
「この羽織に、このべっぴん顔……間違いねえや! 鬼子ちゃんとアマネちゃんも一緒だべ!」
「……そちらは、シミ殿…………ぐ、うう……よ、かった……! かざま、たち……たす、かったんだ……!」
極限状態に陥っていたいろはは、涙をこぼして安堵の息を漏らす。背中に乗っていた少女たちの重荷が解かれて、呼吸が楽になった少女は、光を見上げるように穏やかな顔を持ち上げ――。
「おめこ欲しさにイサリビを追放されたばっかなのに、なんたる幸運だなあ! ああ、『生きててえらい』って……こういうことなんだなあ!」
――見知ったはずの中年男の――醜悪に歪んだ顔が見せた〝闇〟に直面してしまった。
「……………………え……? なに……いって……?」
あまりにも突然すぎた窮地の訪れに、いろはが呆気にとられているうちに……幻影の中で信仰を棄てて女体に群がり、その甘美な味わいに取り憑かれた男たちは、〝本物〟のごちそうにありついた。
「げへへ!こいつら、おあつらえ向きにもう脱げとるわ! おら!さっさとケツぅ並べちまえ!」
「……ひ、ぎゃっ……!! 痛い……ま、って……やめて――ひっぱら、ないでっ……きゃああああっ……!?」
決死の警戒を解いて、油断していた身体は完全に脱力してしまい――もう、抵抗する活力を再燃させることはできなかった。ここまで運んできた少女たちは献上されたように地べたにひっくり返され、装束の残りかすを剥ぎ取られてしまう……いろははその光景を見て、情けない吐息を乱すばかりだった。
「なんだこの畜生。子種まみれでばっちいな」
「ひっ……!? あ、あっ……ぽこ、べぇ……!」
外傷はないがぐったりとしていたぽこべぇは背中を掴まれて投げ捨てられ、勃起していた陰茎から精液を漏らしながら地面を弾んだ。
鬼神といろは、アマネの三人は棄教者たちに弄ばれる。尻だけを突き上げる体勢で顔を地面に突っ伏させられ、横一列に並べられ――剥き出しにされた尻を夕陽に照らされ、濡れそぼった花びらに屈辱の輝きを散らされた。
「ほっほー!壮観だなあ! おなごの尻を玩具のように並べる……竜禪なんてしけた信仰じゃあ許してもらえねえ快感だあ!」
「そいに比べてよお!毒島っちゅう男ン下なら、こんなこともさせ放題ってか! 偉そうな神の使いですらもなんのその!こうしてただの肉便器にできちまう!」
男たちはいきり立った股間を晒しながら、並べた女体の桃尻をねちっこく、ほぐすように揉みしだく。柔肌の艶と肉感を堪能しながら尻を割り開き、蜜が滴る女の花丘や窄まった菊座を晒させ……お天道様に見せつけるように、女体の秘すべき恥穴をひくつかせた。
「ふほう!幻で見たとおりだ……ヘビちゃんの尻穴、ええ感じに仕込まれてらあ……!こらあよう、中の具合を確かめるのが楽しみだあ!」
「はあはあ、鬼子ちゃんのおめこ……とろとろに濡れとる……あの時と同じ具合にうねっとる……! うう、もう我慢できねえ!」
「アマネちゃん……アマネちゃん……炉みたいに熱くて狭い穴……ほじくるよお!」
「ぐ、ううっ……やめろっ……!! 余さんっ……アマネ殿ぉ……!! 起きて……今すぐ、逃げてっ――――ひぎゃあっ!?」
勃起から汁を滴らせる大柄の男たちに組み敷かれ、雌犬のように背後を取られて尻たぶを掴まれたいろはが戦慄する。悲鳴を上げて、結った髪の毛を振りしだいても、息巻く男は剥がれない。
「ま、守ろうと、したのに……!イサリビの、人たちのために……竜禪のために……わたし……がんばったのにっ……!! こんなの……こんなのって……ないよぉ……!!」
「ひっひっひ!そらあ、えれえ世話になったもんなあ! だからよお、せめて熱い子種でお返ししてやるよお!きっと元気な子を孕めんべ!」
「……あああっ……うわああああああああああああッ!!」
本能に滾る雄臭い肉棒が女体に触れようとして、慟哭が上がったその時――悲痛な涙で滲んだいろはの視界を、茶色い物体が過った。
「そんなくっさいザーメンに何の価値があんのよ!!バァアアアアアアアアアアアカっ!!!!」
茶色い救世主は束ねた赤髪を揺らがせて宙を駆り、いろはの肉壺に垂涎していた男の顔に、全体重を乗せた飛び蹴りをかました。それに次いで、バンダナを巻いた屈強な男たちが、鬼神とアマネの尻を揉んでいた中年たちの顔を殴り飛ばす。
「…………え……? まる、てーさ……?」
「ハぁンっ!間違えてんじゃないわよ! 今のあたしは、キャワイイ・プリティー・クマルンちゃんよ! 全人類がビックリするぐらいの最カワゆるキャラだから!」
「きゃわいい、ぷりてぃ……くまるんちゃん……?」
「いやぁ……保存食に回さない分の魚を差し入れようと思って、待機場所に行ったら焼野原になってるし……探しに来たら、もっととんでもねえことになってんだもんなぁ……!」
「きったねぇチンカス共よぉ……俺たちの〝命〟の恩人に何してくれてんだぁ……!? ブン殴られる覚悟、ちゃんとできてんだろうなぁ……!?」
一味たちは自分の衣服を脱いでいろはたちの素肌を隠してやり、額に青筋を浮かべて腕の筋肉を膨らませ――バキリ、バキリ、と指を鳴らす。そして、女肉に狂った男たちの腹に付くまで角度を上げていた勃起を見やり……ハン、と嘲笑を浮かべた。
「おいおい……それでフル勃起か? そんなタンポポの茎みたいな粗チンで、こちらにおわす武士さんを満足させられると思うか?」
「た、たんぽぽ――な、なにを言うかああああッ! ほいだら、ここで見せ槍して比べてみっか!!おおッ!?」
「やめときなさい。この子たちの極太チ×ポを立派な槍とするなら、そんなイチモツ……ちっちゃい猫じゃらしみたいなモンだから。臭さとキモさだけは一級品だけど、ただの下ネタよね」
クマルンが鼻を鳴らして合図を出すと、一味たちは拳を握り締めて破戒者たちに飛び掛かり、一切の抵抗を許さずに殴りつけ始めた。
その荒ぶる猛攻は一方的な蹂躙でしかなく、許しを乞われても止まらない。いろはのような甘い慈悲を見せることはなく、顔の穴全部から血を噴き、顔が歪むまで殴り飛ばしてから――睾丸を念入りに蹴り潰して再起不能にさせた。
「ぐ、げげ……げげえっ……!! ち、ちぬ……ちんじゃう……! ゆるひへぇ……!」
「フン……これでもソルドナーレの元幹部だからね、命〝だけ〟は奪わないであげる。センズリこく以上の幸せ、見つけられるといいわね♪ 生きててえらい♡生きててえらァい♡あははははッ!!♡」
クマルンは精一杯の祈りを込めて、血尿を失禁している男たちの頭を撫でていた。そのうちに、男たちはちかちかと輝く夕闇に呆れられ、意識を散らしてしまった。
さまざまなことが起こっていた一日が、終わろうとしている――薄闇のなかで、クマルンは呆然として座り続けていたいろはに近寄り、完全に消沈していた顔と向き合う。
「……いろはさん……つらいだろうけど、今は……」
「……私……いったい、何をしてきたんだろう……? 大切なもの……守ろうとして……いっぱい、頑張って……友達を、最低な目に遭わせて……」
心を砕くような完敗による無力感に襲われていたいろはが、嗚咽を漏らさずに大粒の涙をこぼし続ける。〝神の使い〟や〝立派な武士〟として自己犠牲を続けてきたなかで……心の支えとしていたものが、深く傷ついてしまっていた。
「みんな、本当は……竜禪とか、なくてもよかったんだ……。もっと大きな幸せがあれば、それでよくて……私の頑張りなんて、最初から必要なくて……結局……何も、変わらなかったんだよね……」
「〝みんな〟……?何も変わらなかった……!? お前ッ――ふざけたコトっ……言ってんじゃねえよッ!!」
「あっ、船長……!!」
一味が制止する暇も与えず、クマルンはいろはの濡れた頬を熊手で強く引っぱたいた。肉球が弾んで衝撃を散らしてもなお残る熱情が、いろはのひび割れた心の内側まで響き渡る。
「お前が頑張らなかったら……あたし、もうとっくの昔に死んでただろうがよ!! こうして……借りを返すことすら、できなかったかもしれないのよ……この機会をくれた、あんたが……そんな悲しいこと、言わないでよ……!」
「……っ……マル、テーサ……」
「……たしかに、あいつらみたいなゴミクズ野郎を守ってきた側面も、あるかもしれないけど……!あんなの、イサリビに居たほんの一部でしょ……!? 他の人たちが信じてる気持ちまで……あんなゴミと一緒にしちゃダメよ……!!」
「武士さん……口は悪ィけど、船長の言うとおりです……! 俺たちみたいな前科つきの半端ものを受け入れてくれた、あのあったけぇ人たちのことまで疑っちゃダメっスよ!」
「……あんたは『それが当たり前』みたいに思ってるから、わからないだろうけど……こんなにありがたいこと、他にないのよ……? あたしとかレオたん、ウェニちゃんみたいに……救えたものも、ありがたく思い続けてるものも……ちゃんとあるでしょ……!?」
クマルン――マルテーサはいろはの胸に飛びつき、ぐしゃぐしゃになった目を見せないように顔を埋めた。
「ぐすっ……こっちは、こんなに胸がパンパンになるまで想ってるのに、あんたは〝みんな〟なんて雑な言葉で語ろうとしないでよ……!! じゃないと……こうして信じてる気持ちが……バカみたいに思えちゃうじゃない……!!」
「……ッ…………うっ……ううっ……! わたし……ばかだ……!一人ひとりと、向き合うって……決めたのに……! ごめん……ごめん、なさい……! ごめんなさい……!!」
「…………武士さん……」
「……無理ねえよ……。こんな……普通の、人間の女の子なのにさ……神様みたいなメンタルを求められるなんて……キツすぎるぜ……」
思わず涙ぐんだ一味たちは、円陣を組んで不躾な夕陽を遮り、泣きじゃくる二人をつらく厳しい世界から隔離する。いろはに心と生きがいを救ってもらったことに今一度深い感謝を覚えながら祈りを捧げ、胸から湧き上がる純真な熱意を力に変えさせる。
自分の名前を添えて、簡単に撤回できないように重厚な想いを伝えていく――『風真いろはが起こした行動への感謝と信仰は、何があっても揺らがない』と。
その芯が通った心の力は大きな荒波を生み、いろはの傷ついた心を奥底から奮い立たせた。
――――――
その後、目を真っ赤に腫らしたいろはは……クマルンや一味たちとともに、傷ついた者たちを連れて夕闇のイサリビへと敗走した。
本人は『口先だけの嘘つき』や『異教に屈した負け犬』と、事実に即した誹りを受けることを覚悟していたが……その予想に反して、イサリビの住民たちはいろはや仲間たちを心配して駆け寄り、強い温もりを以て迎えてくれた。
クマルンも一味も……いろはも、何も言わなかった。だが、イサリビの住民たちは全てを理解していた――『そのことをずっと心配していた』と言わんばかりに。
「ヘビっ子よう……おめさんは、なァんも言わずに、なァんでもやってっけど……背負いきれそうもない〝全部〟なんて、持とうとせんでええのよ……」
「そうだよお……! おらたちが今日ここで死んだって、ヘビちゃんに感謝こそすれど、恨むことなんてありゃしねえって……! 十分……十分、やってくれてんだあ……!」
「こんなになるまでよお、頑張ってくれてる子を軽んじるなんてよお……あたしには、理解できねえよお……! ああ、もう、よかった……無事で、よかったよお……!」
いろはのことを幼い頃から見守ってきた巫僧が、ぼろぼろになった少女の身体を強く抱き締める。
――巫僧として、いろはのことを心の底から信じなければいけなかった。だが、あの残酷で現実にしか見えなかった幻が消えたときから、『もしかしたら、いろはの身に何かがあったのかもしれない』と不安に駆られてしまっていた。
敬虔な信徒として、そのような神への不信を、自らの〝不敬〟や〝不義〟だと戒めた――それでも、いつも自分を犠牲にして戦い続ける守護者やいろはのことを……どうしても、心配に思ってしまうのだ。
「……ミヤ様……この不義を、ちょいとばかり、許してくださいな……。大事な家族のことなんだ……たまには、好きに想わせてくれよお……!」
その疑いようもない、温かすぎる真心に全身を包まれて……いろはが、鬱積していた感情の堰を切られたように、わんわんと泣き喚いた。
……どれだけ大きな力を授かり、どれだけ重たい責任を負っていようとも――いろはが捨てきれなかった弱さを、イサリビに残り続ける人々は受け入れることを選んでいた。〝なんでもしてくれる万能の神〟ではなく、〝自分たちのために頑張ってくれる家族〟として。
いろはは、深い愛で抱き締めてくれる人たちの想いを一つずつ確かめて、混ぜないように受け取りながら、ひび割れた心をゆっくりと癒やしていった。
ちょうどその頃、守護者は遅れてイサリビに舞い戻り、汗だくのままでいろはに駆け寄ろうとしたが――人々が望む〝神〟であることを選んだ男がそこに入る余地は残っておらず、遠巻きに眺めることしかできなかった。
「…………神と人を繋ぐ架け橋、か……おまえは、本当に……立派になったな……」
赤々と燃ゆる落日が、地平の果てに沈んでいく。竜禪の根幹を揺らがそうとした〝たまたま思いついた報復〟は、逆にイサリビの竜禪信仰の結束を強めることになり――毒島三段腹の企みは、最終段階に移行することになったのだった。
――――――
いろはがイサリビの住民たちと触れ合っていた、浅い夜のことだった。一味たちにイサリビのことを任せたクマルンは、LEONの人間に船を出してもらい、ぽてぽてと足音を立てながらレオーニオの研究室を訪れていた。
「こん~……あれ?ウェニちゃんは? ここに居るって聞いたんだけど」
「ん~……さあ? ちょっと前に飛び起きて、『ああっ!バイトの時間だっ!』って言いながらどっか行きましたけど」
「なんでエ〇ちゃんスタイル――ああ、いつもの隠し事ね。はぁ……あたし、ウェニちゃんにけっこう距離置かれてる感じが半端ないんだけど……」
「いやァ、あの人はあれですよ。近い人ほど『近寄りすぎてほしくない』だけじゃないっすか?」
「……ふう……そう受け取っておくわ……。それよりレオたん。あの豚男の襲来、今回も警戒できてなかったの?」
「……あ゛~……それは、マジですみません……。あたしもそうだけど、LEONのみんなも同じ様子みたいで……『明らかな異常があることに何故か気づけない』んですよ。たぶん、ソル様の力を使われてるんだと思います」
全裸に白衣を羽織り、膨らみから二つのぽっちを浮かせたレオーニオが伊達眼鏡を持ち上げる。
「ま、そうでしょうね。陽光に乗せた意識の攪乱とか、音波による警戒心の阻害とか……そういう、人の心を弄ぶ術とか大好きだもんね、あの最低なデカマラ屑野郎……」
「困りましたなァ……こうなると、元々ソルドナーレ側に居た人たちは『毒島との闘いでは何の役にも立たない』ってことになりますよね。対策をしようにも、あたしたちの認識に干渉してくるものが〝概念の根幹〟だからなァ……」
「それに、あや……じゃなくて、余っちゃんのゴリ押しフルパワーでも及ばないって話だものね。となると、やっぱりいろはさんとリュウオウ様に賭けるしかないわよね……」
「………………いろはちゃんの様子、どうでした……? あたし、後で謝りに行きたいんですけど……」
「……ん……明日にはきっと、立ち直ってくれると信じてる。レオたんもそうでしょ?」
「……かっかっか……! ま、そこは疑ってないし、信じてますよ、うん。命を救ってもらった、あの時から……あたし、あの子のガチファンなんで。オリジナルもびっくりのスーパーアイドルっすよ」
「………………気持ちは、まあ……ちょっとだけ、わかるかもね……」
レオーニオとクマルンは手指を組み合わせて、かつて信仰していた天ではなく――とても身近な人を想うように、純真な祈りを捧げる。そして、いろはや守護者のためになる策を考えるために、あれこれと議論を交わし始めた。