※この作品はR-18です。

朽ちぬ木の葉は色褪せず   作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)

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第四九話 真偽の刃が交わる時

 風真いろはの偽物――コロリウムと名乗った、胸が大きくて色彩の薄い少女と邂逅した私たちは、逃げ帰るようにイサリビへと戻りました。

 

 私とぽこべぇは発するべき言葉を見つけられないまま、お屋形様が帰投していることを期待して、宮の社の戸を開けようとします……すると、私を待っていたと思われる、レオーニオの部下の方々が駆け寄ってきました。

 

 なんでも、「レオーニオから大事な話がある」とのことで……やや落ち着かない様子の彼らに連れられ、私とぽこべぇはレオーニオが待つ研究所の集中治療室という場所を訪れました。

 

「あッ……いろはちゃん……! とりあえず、アンタは無事…………でも、なさそうだな……」

 

「う、ううん……かざまたちは、べつに大丈夫だよ。こういうの、慣れてるし……ね、ぽこべぇ……」

 

「……ハァ……お前ら、いろはちゃんの傷の手当してやりな。いろはちゃんがオナっ……じ、自分で搾ってくれた〝神酒〟から作った軟膏、まだ在庫あったろ?」

 

「原料の在庫がいつの間にか少なくなっていましたが、薬はまだありますよ! ささ、武士殿、腕を出してください!」

 

「あ、やっ……い、いいですよ……! かざまは丈夫ですし、簡単には死ねませんし……このぐらいの傷ならすぐに治るでござる……!あはは……!」

 

「……治すのは身体の傷だけじゃねえよ、ばかたれが。なあ、ぽこべぇ……気苦労が絶えねえなァ、アンタもさ……」

 

 ぽこべぇはとても難しい顔で、頭をくしくしと掻いて……うん、うん、と腕を組みながら、重々しい態度で頷きました。彼には、出会った当初から本当に苦労をかけ続けていると思います……。

 

 ……私は、半ば無理矢理、黒い軍服の殿方たちに土だらけの羽織を脱がされて、心配そうなレオーニオに見守られながら治療を受けることになりました。腕や背中、脚に出来ていたいくつもの大きな痣に薬を塗られ、優しく包帯を巻かれます。

 

「ぎゃっ……いたぁい……!! せ、背中の……そこっ……あがががっ……! し、しみるっ……くぅううっ……!!」

 

「へへ、多少の痛みは我慢しなよ。心と身体が、まだ生きてるあかしなんだからさ」

 

「うう……レオーニオの言葉だと余計に重たく感じるよ……」

 

「そりゃあそうだろ。あたしら、これでも戦闘に特化した兵装部隊だからな……命の価値も、生き続けることの苦しさも……全部、知ってるさ」

 

「前にも言ったかもしれねェけどさ♪」と、お布団の上で座っていたレオーニオは苦笑します。そして、幾本もの管が身体に繋がり、外部から薬や栄養を打ち込まれている身体を重たそうにすべらせ……私の沈んでいた顔を、病衣から覗いていた胸元に埋めさせて、作り物ではない聖母の温もりで包み込んでくれました。

 

「何があったのかは知らないし……深くは聞かない。でも、とにかくアンタはよく頑張ってる。アンタは精一杯に生きて、ここまで帰ってきてくれた。このあたしが保証する――『生きててえらい』よ……いろはちゃん」

 

「…………………………………………ありがと……レオーニオ……」

 

 油断すると、すぐに涙をこぼしてしまいそうなほどに熱くなった目元を、レオーニオの柔らかな乳房に押し付けて隠します。そんな私の子供っぽい強がりすらも、レオーニオは全部受け止めて、たん、たん、と肩を叩きながらあやしてくれました。

 

 ……しばらくのあいだ、母上との思い出のように温かった抱擁に包まれ……すっかり気力を取り戻した私が顔を上げます。すると、慈愛に満ちた微笑みを浮かべていたレオーニオが……かつて、異教の聖母として働いていたのがよくわかる優しさを目元に含ませて、私と同じ高さで目を合わせます。

 

「……もう、大丈夫か? また前みたいにおっぱいも吸っとくかい?」

 

「えっ、いいの…………い、いや、大丈夫……! 気持ちだけ受け取っておくでござるよ……!」

 

「ふふっ……はいよ、またいつでも帰っておいで♪ 乳首、あっためておくからさ♡」

 

「どんな気遣いなの、それ……!?」

 

 照れが止まらない私の額に、レオーニオが……ぷっちゅり、と軽めなのにやや濃厚な接吻を交わして、ういんくをしながらお布団上の定位置に戻ると、癒やしの時が終わりを迎えました。

 

 私たちの様子を見守っていた殿方やぽこべぇが、『てぇてぇ』と拝むように合わせていた手をスッと戻しました。

 

 きりり、と顔を引き締めたレオーニオに合わせて、私も力が宿った拳を握り直します。抉られた心の傷は治りませんが、かけがえのない優しさで埋めてもらいました……泣いてばかりではいられなかったのです。

 

「さて……アンタを呼んだのは、今にも泣きそうだった顔を慰めてやるためじゃない。『リュウオウ様についての話を聞かせてもらいたかったから』なんだ」

 

「え……? お、お屋形様の……?」

 

「ああ……リュウオウ様が着けていた通信機自体のデータはまだ解析中なんだが、故障した中継車が拾っていた音声信号の記録だけは抽出できたんだよ」

 

「…………??? えっと……つまり……?」

 

「……わかりやすく言えば、リュウオウ様が行方をくらます直前に会話をしていた者の声が拾えた。そんで……あれは明らかに、アンタのものだった」

 

「…………え……? わ、たし……の……? 嘘、だよね……?」

 

「…………こんなくだらねえこと、嘘では言わないさ」

 

 レオーニオは腕を組み、だっぷり、と豊満な胸を扇情的に持ち上げながら唸ります。なんでも、ああすると肩が少し楽なのだとか。ウェニキスもよくやっていた気がします。

 

「あたしはアンタのことを信じてる……『意味のない嘘をついてる』なんて、欠片も疑ってないよ。だからこそ、この不気味な音声についての可能性をさっさと狭めておきたいんだ」

 

「……レオーニオ……うん、わかった。かざまが知っていること、全部話せばいいんだね?」

 

「……物分かりが良くて助かるよ。こんな失礼なこと言って……何発か、ブン殴られる覚悟でいたんだけど……杞憂だったな、ふふっ……♪」

 

 病衣に包まれた銀髪の美女は嬉しそうに笑いながら眼鏡をかけ、手元にあった資料をぺらぺらとめくりました。

 

「音声の記録は約二週間前のもの。通信機が落ちていたのはイワトの付近……いろはちゃん、この付近でリュウオウ様に会った?」

 

「ううん、会っていないよ……二週間前だったら、もっと西の方に居たし……。たぶん、最後にお話をしたのは……もう少し前の、イサリビですれ違ったときぐらい、かな……?」

 

「んー、レオン様。やっぱり、武士殿の言葉に嘘はないと思われます。竜皇殿も『もう少し風真とゆっくり話したかった』とのろけ……えふんえふん、ぼやいていましたし」

 

「俺もそう思いますね。それに、ラクジェント様のおっぱいブートキャンプの反応が潰れたのも、ちょうどその頃ですよね」

 

「……らくじぇんと……? あの、おっぱいがすっごく大きくて、ほとんど見えてて……甘い香りのおちちが出る、大槌と大剣を持っていたえっちすぎる聖母さんですか? あの人なら、どうにか倒しましたけど……」

 

「お、おうおう……!そんなドスケベの塊、ラクト先輩しか居ねえよなァ……! ラクト先輩の着任は秘匿事項だったんだ、身内ですら知らねえ奴の方が多い……部外者であるこの子が又聞きできる情報じゃねえ! よっしゃ!これでいろはちゃんの無実が証明できるぞ……!」

 

「よかったですね、レオン様……! 声紋分析班をはじめとした派閥の『竜禪側が裏切り、我々に隠し事をしている』という結論、やっと崩せますよ……!!」

 

「はぁ~……!! レオン様も、仲間の意見を大事にするLEONのトップとして、あいつらの声を無視するわけにはいかなかったからなぁ……よかった……!」

 

 レオーニオとその部下たちは、ぐっ!と手を握って喜んでいました。話から察するに、機械が残した情報を信じて、私のことを疑っていた人たちが少なからずいて……その人たちに根拠ある説明をするために、レオーニオたちが努力してくれていたようでした。

 

 ……そんな彼女たちのあつい信頼を肌身で感じて……再び目頭が熱くなった私も、『心が痛むから話したくない』などと我儘を言っていられませんでした。

 

「さーて……! あとは、どうやってこの音声の完璧すぎる改竄が行われたかを証明するかだが――」

 

「――あ、あの……レオーニオ……! その〝声〟のこと……もしかしたら……説明、できるかも……」

 

「…………いろは、ちゃん……? 何か、知ってるのか……?」

 

「う、うん……あの……えっと……実は、ついさっき――――」

 

 ……………………。

 

「――――っていう、ことがあって……」

 

 ……私は、心をずきずきと痛ませ、吐き気が収まらないぐらいに頭を悩ませていた問題――コロリウムの存在とその企みについて、全てを打ち明けました。

 

 すると、レオーニオや構成員の方々は、最初こそ驚いた様子で聞いていましたが……話を終える頃には、ぎりり、と爪が食い込むほどに憤怒を握り潰していました。

 

「……いろはちゃんの、偽物だァ……!? あのゴミカスブタ野郎……とんでもねえことをしやがって……!!」

 

「しかも、あられもない痴態をわざと晒させて、信仰の力を削ぎ落とすって……! やってること、えげつなさすぎるでしょう……!?」

 

「……ああああああッ……!!やっべえ……ひっさびさに、血液が沸騰しそうだ……! こんなにイラついたの……ウェニキス様やマルテーサ様がクソ豚野郎に辱められたとき以来だ……!!」

 

「み、皆殿、落ち着いて……! かざまのことは、もう、いいから……! あんなの、ぜんぜん……っ……き、気にしてないし……ヘンなこと言われるの、慣れてるし……」

 

「「「気にしてるのはこっちなんだよ!!」ですよ!!」」

 

 レオーニオと部下の方々……そして、私の話を聞いて鉄を融かすほどに怒りを再燃させていたぽこべぇが、私にものすごい剣幕で言い寄りました。

 

「つーか、いいわけないだろ……!?アンタはもっと自分を大事にしてくれ……!! そんな胸糞悪ィ話を聞いて、あたしらが怒らないとでも思ってンのか!?」

 

「そうですよ、まったく……! あー、あかんわ……武士殿を疑ってた連中に、あとで武士殿の前で全裸土下座させたる……!もうほんまにありえへん……!!」

 

「……う、うううっ……!! その村人も……武士殿が……キョウのために、たくさん頑張ってることも知らずによお……! そんなカスみたいな〝嘘〟……信じるなよ……! ちょっと考えりゃ、わかるだろ……!くそぉおおっ……!!」

 

「…………皆殿……」

 

 ……あんまり言いふらすべきではないこと……そう考えていた、私の個人的な悩み。それを聞いて、私以上に憤ってくれる人たちが居ることに、私は確かな幸せを感じていました。

 

 彼女たちとぽこべぇは、ずいぶんと長いあいだ、ぷりぷりぷんぷんと頭から湯気を発し続けていたのですが……「さすがに長くない?」という私の困惑を察したレオーニオの咳払いによって、脱線した話を強引に戻します。

 

「ごほんっ……! それで、コロリウム――いろはちゃんの偽物と呼ぶのも憚られるクソ淫売オナホだが……そいつが、リュウオウ様と会話していた声の主である可能性は非常に高いな……!」

 

「…………と、いうことは……お屋形様の行方も、知っているかも……!?」

 

「ああ……そうじゃなくても、早々にとっちめる必要があるんだ……! おいお前ら!いろはちゃんの尊厳と名誉を傷つけないためにも、全力でコロリウムを探し出せ!」

 

「アイマム! もう軍事工場も潰したんだ……非番の奴らも総動員で当たらせてもらいます!」

 

「武士殿を疑ってた奴らには、特にキツいシフト入れさせてやる……!! 絶対に見つけんぞ……!!」

 

 鼻息をフンフンと荒げて、LEONの構成員たちは部屋の外へと飛び出していきました。そして、レオーニオも布団に寝転がって、大きなため息をつきます。

 

「ふー……やっべぇ、心拍数が崩れてるわ……。アンタの偽物が見つかるまで、あたしもちょっと休んでおくよ……直接、言いたいことがあるからな……」

 

「……ん……言いたいことって……?」

 

「アンタを冒涜したことへの文句はもちろんだけど……同じ〝誰かの偽物〟として……『ちゃんとオリジナルに敬意を払え』って叱りたいんだよ。あの人たちが居るから、あたしらは存在できているんだから」

 

 レオーニオはそう言って、とても大きな感情を滲ませるように……どこか、悲しげに笑っていました。

 

 

 

『――わかる人だけわかってくれればそれでいい。そして偽物ってのは、どうしようもなく〝本物〟に強い感情を抱くもんでさ。あたしの場合は……そうだな、〝憧れ〟が近いかもな』

 

『……カザマちゃん……この子たちも……〝本物〟も、関係ないんだ。報いは、あたしだけが受けるよ……』

 

 

 

『………………ごめんね……キミたち……。あたし……本物みたいに……強く、なれなかった…………!』

 

 

 

 ……今の私がよく知る〝誰か〟の〝偽物〟。そんな存在だった彼女たちは、自分のカラダの元となった人に、大きな想いを抱いていたのでしょう。だからこそ、彼女たちは……〝本物〟としての命を得られたのだと思いました。

 

「……偽物っていう存在が、悪いわけじゃないんだよね……」

 

 同じことを考えていたらしいぽこべぇと、ちょっぴりしんみりした顔を見合わせてから……私たちは、ぐうぐうと寝息を立て始めたレオーニオの頭をそっと撫でて、その場をあとにしたのでした。

 

 ……………………。

 

 コロリウムの捜索開始から、はや数日が経ちました。イサリビへの襲撃宣言日が目の前に迫ってもなお、コロリウムはLEONや私による捜索の網目を掻い潜り、各地で〝破戒工作〟を続けていました。

 

 どうやら彼女は、私たちが見たあの〝転移〟の他にも多くの力を持っている……あるいは助力を得ているらしく、動向を捕捉することが困難だったのです。

 

〝竜禪への助力〟という見返りでしか繋がっておらず、まだ付き合いも薄い各地の村落では……私や竜禪のことなど信用してもらえず、コロリウムの見せる爛れた現実が〝真実〟だと信じられてしまいました。私が辿り着く場所は、次々に性欲で荒らされてしまっており……サツの村のように、私の心を痛めるほどの惨劇が広がっていました。

 

 ……お屋形様が決死の覚悟で作ってくれた時間の中で、新しく得たはずの力は……ほとんど、水泡に帰しました。イワトで強固に再興させた真なる天崇の他では、とうとう、一つの村落を残すのみになってしまいました。

 

「クソっ……!ここまで、いいように弄ばれるなんて……! ごめん、いろはちゃん……あたしたちの力が足りないせいで……!」

 

「ううん。かざまも後手に回っちゃうことばっかりだったし、レオーニオたちは悪くない……それに、次は絶対にぶつかるはず……! 元の信仰を守るためにも、ここで食い止めよう!」

 

「……ああ……!」

 

 休息と治療に集中したおかげで体調を整えられたレオーニオと一緒に、私は最後の土着信仰が残る場所――だいたいイサリビとネムフリャの街の間に位置する、山間の温泉街である〝コッパの町〟へと向かいました。

 

 最後に訪れた場所での破戒工作からは、そんなに時間が経っていなかったため……私たちは、先回りをすることでコロリウムを待ち伏せる作戦を立てました。異教の広まりによって祠の転移が使えませんでしたが、LEONの機械の鳥で付近まで急行し……長銃を携えたレオーニオと私、ぽこべぇの三人で神馬を駆らせて到着します。

 

「……うるさっ……! なんの騒ぎだ、こりゃあ……!」

 

「……ッ……!急ごう、レオーニオ……!! ミヤ様の偶像を置いたのは、温泉が湧き出る噴水の広場だったはず……!!」

 

 硫黄がほんのりと香る町の中には大きな混乱が巻き起こっており、人々が生む喧噪で空気が轟いていました。閑静だったはずの居住区のあちこちから、物が壊れたり、人が殴られたりする音が聞こえてきます。

 

「えへへへへ!もう終わりだぁ……!もう、この町もおしまいだぁ……!最後に……最後に、お前ら犯してやるぅ!!」

 

「ぎゃああああああっ!! やめてよ……こっちに、来ないで……いやぁああああっ……!!」

 

 股間を丸出しにして若い女性を追い詰める男は私が〝祓斬〟で鎮めて、錯乱して包丁を持って襲い掛かってきた女性はレオーニオが手刀で気絶させ、転んで泣いていた小さな子供はぽこべぇが宥めます。

 

 入り乱れる人々の隙間を抜けて広場へ向かい、周囲で悲鳴を上げている人たちに退いてもらいながら、偶像を置いた中心地に辿り着くと――。

 

「ぐぽっ♡ぐぽっ……んふっ……ぅっ……♡ ふんっ……ふんーっ……!!♡ る、ろろっ……じゅぽぉっ……!♡」

 

「ああ、そうだ……いいぞぉ、竜禪の武士よ……! もっと僕の陰茎を、その淫らな口で悦ばせてみせよ……!!」

 

 ――そこには……聖衣をはだけて下半身を丸出しにした毒島三段腹と、その股間でいきり立った勃起を必死に咥え込んでいるコロリウムの姿がありました。

 

 私そっくりな少女は以前よりも髪が短くなっており、肩口辺りにある毛先が口淫に合わせて揺れています。

 

「ぐっぽ……ぐ、ぼっ……♡ はぷっ……ん、んぅうっ……んぼぉっ……!!♡ お、おふぅっ……♡おま×こ、ごりごりぃっ……♡あっ♡あっ……♡ミヤ様ぁっ……♡き、もち、いい~んっ……!!♡」

 

 崩した四つん這いになって男の股間にがっつき、剥き出しの大きな乳房をだゆんだゆんと弾ませているコロリウム。彼女は、わざとらしい嬌声を上げて腰をくねらせ……白濁液で濡れた陰部を、倒したミヤ様の偶像の顔に擦り付けていました。

 

 くぱくぱと淫らに開閉する花びらからは、ここに至るまでに穢されたあかしがたっぷりと溢れていました。膨らんだ肉蕾が白濁まみれの竜人の鱗に擦れるたびに、ぶしゅう、ぷしゅう、と透明な飛沫が上がって、観衆の男たちの肉欲を掻き立てようとしています。

 

「へぷっ……はふぅ~んっ……!!♡ カザマぁ、チ×ポ大しゅきぃっ……!!♡ あっ♡あぁあんっ……♡もうリュウゼンとか、クッソどうでもいい~……!!♡ ぶたっ――あっ♡あぁっ……♡ブスジマ、様ぁんっ……!!♡」

 

 淫らに濡れた淡色の少女は、周囲に見せつけるように下品な痴態を晒していました。唾液で糸を引いた舌をれろれろと亀頭に這わせ、片手で淫らな陰裂を割り開いて……くちゃ、くちゃ、と……物欲しそうに空気を咀嚼する膣口を外気に触れさせます。

 

「ッ……あンの野郎ッ……!! おい!ブスジマのチ×ポ野郎と、いろはちゃんの〝偽物〟!! それ以上の恥さらしは止めやがれ!!ここに〝本物〟が居るんだよ!!」

 

 額に青筋を浮かべたレオーニオが、ずかずかと足音を荒げて怒鳴り、私の名誉を傷つける甘い声音を掻き消しました。

 

 とても頼もしくて、嬉しく思った半面……異教や淫欲に屈している少女が〝私〟と瓜二つなのだと、周囲に知られたことが恥ずかしくて……思わず、泣きそうになるぐらい頬が熱くなりました。

 

「……な、なぁっ……!? 竜禪の武士様が……ふ、二人居るぞ……!?」

 

「か、顔も、声も同じだぞ……!? い、淫夢でも見てるのか……!?」

 

「で、でもよ……髪の長さと……おほっ!乳の大きさがぜんぜん違うじゃねえか!? 『あとでヤらせてくれる』ってことを考えると……お、大きい方がお得なんじゃないか……!?」

 

 私たちの登場で、現場に広がっていた混乱がさらに大きなものに変わっていき、動揺が混沌に渦巻きました。

 

 その渦中に居た毒島は、こちらを見ながら不気味に笑い――コロリウムの頭を両手で掴んで、陰茎を喉奥まで突き込ませてから、陰嚢をぶるりと昂らせました。

 

「んごッ――ぶほぉおぉおおっ!?♡ じゃべっ♡おっ♡も゛っ♡ごぼっ……おぼっ♡ぼっ……!!♡ おぼ、えぅっ――んほぉおおおおっ……!!♡」

 

 震える陰茎が絶頂に至ったのか――逆流した子種汁が口から逆流し、コロリウムの喉や胸を穢しながら、ぼとりぼとりと石畳を穢しました。その刺激で絶頂に達したのか、性具扱いされて喉奥に射精される少女は腰をガクガクと上下に振り乱し、大量の恥汁を広場の噴水のように噴き散らしていました。

 

 断続的に贅肉を揺らした毒島が余韻に浸ってから、ぬろり、と口肉壺から肉槍を引き抜きます。「おほー……♡おほー……♡おえっ……ち、チ×ポ、最高~っ……!!♡あ、あっ♡まだ、いっ……イ、くぅう~っ……♡」とお尻を突き出すように倒れ込んで、秘部からぶしゃぶしゃと恥水を噴き散らすコロリウムのお尻を叩き……聖衣を着直して、私たちと向き合います。

 

「ククク……遅かったな、竜禪の者たちよ。もはや事態を収束できないレベルで混乱と不信が広まってしまった。これで、厄介な竜禪と面倒な土着信仰が共倒れだ。楽をさせてくれてありがとう」

 

「くっ……!! そのような嫌味など……風真たちには効かないでござるよ……!!」

 

 私たちは得物を構えて、この場に混乱を産み落とした神の代行者と偽りの聖母を相手取りました。未だにお尻を広げたままのコロリウムは、自らの両手で尻の谷間を開閉させて……私と同じ形の股間を公衆の面前に晒していましたが……毒島はそんなことも気にせず、興味深げに私たちを見やります。

 

「いろはちゃん……竜禪の裏切者であるレオーニオも連れてきたのか。処刑どころか、拘束すらしていないとは意外だな。『甘ちゃんだ』という噂は本当だったのか。それはまあ、滅びるわけだな」

 

「ッ……ブスジマぁ……!! アンタ、いったいどういうつもりだ……!? オリジナルの心を傷つけるやり方なんて……アンタらしくないことを……!!」

 

「……毒島、らしくない……? それって、逆じゃないの……?」

 

 レオーニオの口から出た意外な言葉に、私が思わず反応すると……毒島は、困ったように側頭部を掻きました。

 

「……そう痛いところを突くなよ、レオーニオ。何事にも敬意は大切だ。僕も最初は踏みとどまろうとしたよ。でも、後段作戦のキモだった内地の兵器を全部潰されてしまってね。信仰を潰すのに、背に腹は代えられなかった。だからこの趣味で作った出来損ないを〝風真いろは〟として〝使う〟ことにしたんだよ」

 

「後段作戦……? 竜禪を潰した後に、まだ何かを企んでいるのですか……!?」

 

「そりゃあ、まあ、ねえ。君らに語って聞かせるようなものではないけどね。ああ、レオーニオもその協力者の一人だよ。今のうちに殺しておいた方がいい。僕に痛手を与えられるよ?」

 

「……ぐ、ぐっ……!! ご、ごめん、いろはちゃん……それは、事実なんだ……。でも、あたしは……あたしは……ッ……!!」

 

「わかっているでござるよ。あの男が、レオーニオに……とんでもない悪事に協力するように命令したんだよね? そんなの、かざまは気にしないから……!」

 

 私はレオーニオよりも一歩前に出て、彼女に自分の背中を預けるように、毒島との間に立ち塞がりました。〝好きなひとたち〟を守り切る――お屋形様に教わったように、自分の中にある信念を、この手に力強く握り締めて。

 

 すると、毒島は肉厚なまぶたをぴくりと動かして、口元を楽しげに歪めます。

 

「…………ふふ……とんでもない悪事、か。いいね。甘ちゃんの君にそう認めてもらえてありがたい。悪を貫いている僕も安心だ」

 

「……え……? それって、どういう意味ですか……?」

 

「いいや。君が気にすることじゃないさ。悪人が『実は良い人だった』なんてオチは何も面白くない。〝僕たちは、君たちにとっての敵であること〟――その事実は、絶対に覆らない。それだけでいいんだよ」

 

 ぱちん、と毒島が肉肉しい音で指を鳴らすと……彼の背後で停止していた、黒鉄の機械人形が目に光を灯します。背後に広げていた翼から禍々しい色味の赤黒い閃光を放ち、ひゅうん、と風を巻き起こしながら浮き上がりました。

 

「まだ、機械が残って………………ん……あ、れ……? あの、黒と赤の光……どこかで、見たような……?」

 

 私の頭に、生温かい悪寒を走らせた鋼鉄の武人――四本腕を持ち、翼を携えた神々しい姿の偶像は――まるで、ぽこべぇが変身した〝天星・暁〟のようでした。

 

〝神の怒り〟を彷彿とさせるどす黒い暗雲と赤き雷鳴を生む鋼鉄の従者は、私に恥辱を与えようと無様な姿を晒していたコロリウムの腕を掴んで引き起こし、臨戦態勢を整えさせます。

 

「はぁ……はぁ、ん、ぁ……~……?♡ チッ……なによう、結局あいつとヤり合うハメになるわけ……? はぁ……ふぅ……この豚チ×ポのイラマで顎疲れただけじゃん……サイアクなんですけど……!」

 

「まあ、そう言ってくれるなよ。ここで勝てば、すべて終わりになるだろう。お前の望みも、いつかは叶うさ」

 

「いひひ……♡ んじゃ、ま……サクッと〝勝ち確〟の前戯でもしよっかな。終わった後に、あのクソマ×コをドリルでかっぽじらせてやんよ――起きなよ!〝フランブラ〟っ!!」

 

 衣服を着直し、妖艶に笑んだコロリウムが空に手を翳します――歪な形の刃を持った四振りの赤雷光の大剣を人形に握らせ、自らは陽光の剣を握って構えました。

 

 私も負けじとぽこべぇに変身をしてもらい、〝天星・暁〟を現世に召喚します。東雲色と陽光色の焔を燃やして宙に舞い、天環を輝かせて闇を祓い――光翼の刃を開花するように広げ、合わせて一二の刃を構えました。

 

「名はコロリウム、命は〝壊信〟……いいや、私は〝カザマいろは〟ッ……!ひひ……いひひっ……!!♡ それでは意味なく、『命をお大事に』ッ!!」

 

「……イサリビが武士……風真、いろはっ!! いざ、参るッ!!」

 

 ――〝本物〟と〝偽物〟。お互いが否定し合うように、まったく同じ瞬間に、まったく同じ動きで地を蹴り飛ばし――弾丸のように跳んだ武士と剣士が衝突します。私たちは、限りなく地に近い空中で、決して相容れぬ剣を交えました。

 

 重なる刃から炎光の華が咲き乱れ、光と闇が舞い散った空にて――主の後を追うように飛び上がった、白き暁と黒き黄昏の武人が刃を振り抜き――逆巻く力を反発させ合うように、大いなる爆発を引き起こします。

 

 その、星同士がぶつかったかのような衝撃が乱気流を渦巻かせ、天に轟き世界を震撼させる爆音と閃光がコネの町を眩い無音で包み――大銅鑼を鳴らしたかのように、決戦の火蓋が切られたのでした。

 

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