アリスの隣にいられるだけでよかった。それで満足していたはずなのに、欲望は際限を知らない。そばにいれば触れたくなる、触れられるのなら侵したくなる、露悪な感情を抑えるには限界があった。
昏い衝動は日に日にアリスを汚したい欲望へと変わる。そうしてその日、賽は投げられたのだ。
強引にベッドへ押し倒し、服の上からでもわかる美しい体の輪郭を、アリスが自覚するよう両手でなぞる。
「なに……? あっ、んっ」
首、肩、背、胸、腰、腿……全身を嬲る手からアリスが逃れようとすれば、唇でねじ伏せた。
「ぁはっ……んんっ」
顎を掴んで口を開かせ、わざと音を立てながら口腔内を蹂躙すると、奥に隠れた舌を厭らしく絡めとる。
「……っは……」
唾液が伝いながら漏れ出たのは、か細いながらも十分に熱をもった吐息だった。
解き放たれた欲望と衝動のままに、アリスを犯そう。滾る欲望を前に、アリスが息を呑むのがわかったが、止められる段階はとっくに過ぎていた。なにより、煽ったのはアリスなのだから。
対面座位で肉棒を挿入した後、あえて腰は動かさずにアリスの首や耳元、乳首を舐め、背中や太腿、尻をなぞっては微々たる刺激を与え続ける。
「んっ……やぁっ」
アリスが感じるたびに、分身を花びらがきゅうきゅうと締め上げる。体が快楽を求めているのは明白だ。
「っうぅ」
単調な刺激を耐え忍ぶ姿に煽られた分身が中で膨れると、アリスが体をびくりと震わせる。
「……うご、いて…」
欲と屈辱と様々な感情がないまぜになった顔で、哀願されては犯さないわけにはいかない。
「あっ、ああっ」
屈伏させられたにも関わらずアリスの顔は歓喜に蕩けていた。
こうしてアリスを朝まで犯し、朝が来てもなお犯し続けた。
既に窓の外は明るく、互いの呼吸からこの凌辱にも終わりが近づいているのがわかる。
「……もっとぉ」
安堵の意識から紡がれた言葉に、アリスは我に返った。凌辱されているのにもっと、とはどういうことだ。こうなることを望んでいた? 戸惑うアリスを容赦なく分身が貫き、思考を停止させる。
「あっ、ゃあっ」
望み通り絶え間なく与えられる快楽に、アリスは何を考えていたのか忘れ、濁流のように押し寄せるそれを受け入れ続けた。
それがこの日々の始まりだった。
宵も深まった頃、控えめにノックが響く。扉を開けると、頬を赤く染めたアリスが立っていた。
「あの、今日も……」
言い終わらない内に抱き寄せ、唇を交わす。道中、行為を思いながら発情していたのだろう、夜着越しに尖った乳首が胸板を擦った。
「あんっ…」
荒々しく乳房を揉みながら、口を開かせる。舌を伝って流れ込む唾液を愛おしそうに飲み干す姿に、確かな調教の手ごたえを感じながら夜着を剥ぎ取った。期待に火照る体へ今晩はどんな快楽を刻んでやろうか。夜は始まったばかりだ。
「っは、あぁ……よすぎ、る、よお……」
うわ言のように漏れた声には悦びが滲み、かつてのような拒絶の色はどこにもない。アリスが快楽に溺れはじめているのは明白だった。
そこから調教の日々は過熱していく。
「っ、ふぅっ……♡」
扉にもたれたアリスを、問答無用で抱き潰す。いつもと違う薄い扉の向こうでは、普通に人が往来する声が聞こえる。
「ぁっ♡……んんんっ」
片足を持ち上げ、見せつけるように。あるいは胸ごと扉に押し付けて主張させる。いつ誰に気付かれてもおかしくない環境だからこそ、あえてここで犯す。
「イ、く、いい……」
羞恥でも恥辱でもなく、アリスの応えは昂りだった。見られる、気付かれるかもしれない。それよりも快楽が勝る。望む姿への手応えが、行為をさらに激しくさせた。
「……っ、そこ、じゅぷじゅぷって、あっ、あっ」
淫らな腰使いも、卑猥な言葉も少し前までは知らなかった。犯されることに悦びを感じ、それによって毎日が充実するとも思わなかった。十分満たされているはずなのに、何かが足りない。
「あぁあ、イくぅ……」
何が足りないのだろう。イけばさらに快楽を刻まれるし、触れられればどこも気持ちが良い。もうこれ以上望むものはないはずなのに。
「はんっ、もっ、とぉ……」
ああ、そうか。与えられるだけで満足してはいけない。自らも足りないものを埋めにいかなければならないのだ。それがわかれば、新たな快楽を求めてのめりこむのはあっという間だった。
「あた、ってるぅ……っ、もっとぉ、おか、してぇ……」
それは紛れもなく、アリスの本心から零れた言葉だった。
アリスが身も心も堕ちたという確信は、快楽に蕩けた声、昂りを締め上げる肢体、その現状に陶酔しきっている瞳、すべてが表していた。
「ひぅっ、りょうほう、っ……きもち、いぃのぉ……」
分身と舌で花びらと乳首を同時に犯されながらアリスが喘ぐ。特別な体位でもなく、数え切れないほど犯したことのある体位なのに、まるで初めての快楽のような悦びようだ。
「また、ィっちゃ……」
分身が震え、吐精が近いことを悟ると、アリスは無意識に腰を揺すって奥で受け入れる体勢を作る。吐精とともに達しながら、次を求めて恍惚の表情を浮かべるアリスの体は、熟成された美しさを描いていた。
「……そこ……好きぃ」
陶酔しきった表情でアリスは思いを吐露する。対面座位で貫かれた花びらは分身を咥えこんで離さないどころか、更に深い結合を求めて蠢き、後孔を犯す玩具で深く抉られては何度も達している。
「もっと、きもち、いぃこと……おし、えて……ぇっ」
犯されるたび、女から牝に作り替えられた。だが、その本能は初めから自分の中にあったのだ。どれだけ淫らな牝に成り果てるのか、それはアリスにもわからない。
「やんっ、そこ、ああ、あぁぁあぁ…」
また今日も、快楽がアリスの新たな扉を開け放つ。
朝。ベッドの上で組み敷かれたアリスが頬を染め、潤んだ瞳で切なそうに呟く。
「もっと、ほしい……」
どれだけ体と心を快楽に堕としても失われぬ初々しさに思わず口付けを落とし、舌を絡める。 自分だけを求め、支配されることを望んだ可愛い宝物。
さあ今日も、アリスと愛しく淫らな時間を過ごそう。