ふとした拍子に手が触れ合う。それはすぐに離れたが、後でクリスが触れた部分を愛おしそうに抱いているのを見逃さなかった。
昏い衝動は日に日にクリスを汚したい欲望へと変わる。そうしてその日、賽は投げられたのだ。
ソファで隣同士に座っていた際に指が触れた。いつもならすぐ離れるのに、今日は長く──どころか、軽く絡まった。
互いに互いを見ないまま指だけが絡まり続け「──」均衡を破ったのはどちらだったか。
衝動的に情熱的に互いを貪るように唇を重ね、肌を合わせる。
「はっ、あっ」
荒々しく熱い呼吸音だけが響き渡る中、クリスの服の内側に手を伸ばす。
「ひゃっ、んんっ」
キスから先は想定外と言わんばかりの動揺だったが、甘い悲鳴は唇を塞いで黙らせた。
解き放たれた欲望と衝動のままに、クリスを犯そう。隆起する分身を前に、クリスが息を呑むのがわかったが、止められる段階はとっくに過ぎていた。
クリス自身の指で秘所を広げさせ、ゆっくりと腰を落とさせる。肉棒を包みこむ内壁の感覚を味わいながら、涙を浮かべ耐えているクリスの顔を見ると改めて犯している実感がこみ上げた。
「ぜんぶ、これで──ゃっ……あ、あぁ、ぁっああ」
奥まで呑み込んだと同時に腰を掴み、激しい律動を与える。下から貫かれる衝撃にクリスはされるがままだ。
「っは、あ、ああっ、んんっ」
悦いところを探りながら抉ってやると、その内にクリスも律動に合わせて腰を動かし始めた。
「……あ、ん、んんっ」
心は快楽に抗っていても、体は分身を求め欲している。相反する痴態に気付いているのかいないのか、クリスは腰を振り続けた。
こうしてクリスを朝まで犯し、朝が来てもなお犯し続けた。
クリスが目を覚ます頃には、陽は高く昇りきっていた。軋む体を無理やり起こすと、太腿をどちらの孔から零れたのかもわからぬ白濁液が伝う。
「あ、ふ……っ」
その感覚すら感じている自分に動揺し、犯された証が色濃く残る全身を抱きしめる。嬲られすぎたことにより大事な何かが壊れてしまったのだろうか、今のクリスを満たしていたのは、陵辱の屈辱ではなく、果てなき快楽で得た多幸感だった。
それがこの日々の始まりだった。
手を重ねるとどちらともなく唇が重なり合うが、深い繋がりを求めて先に舌を絡ませたのはクリスだった。
これまでの行為で覚えた作法を披露するとばかりに、柔らかな舌を巧みに動かし、わざと卑猥な音を出す。そうして長く交わった唇が糸を引いて離れると、クリスはいじらしく瞳を伏せた。それが新たな劣情を誘っていることに気付きもしていないので、押し倒して乱暴に犯す
「ぁっ、んん」
少女のように恥じらい、娼婦のように悦ぶ。稀有な二面性をどう開発していこうか考えながら、何度も腰を打ち付けた。
「っは、あぁ……あっ、イく……」
うわ言のように漏れた声には悦びが滲み、かつてのような拒絶の色はどこにもない。クリスが快楽に溺れはじめているのは明白だった。
そこから調教の日々は過熱していく。
「ぁっこれ、やっ……! きもちいいっの、と、まらなっ……ぁっ、あふっ」
嬲られ尽くし散々達した反動でぐたりと横たわるクリスの舌、腋、乳首、臍、蜜壺、後孔といった性感帯を愛撫し、媚薬を塗布して更に快楽を刻み込む。
「ぃや、おかしっなっ、あぁ、ぁあぁ、んぅ──」
その状態で犯してやると、快楽が限界を超えたのか声にならない声をあげながらイき続け、最後には意識を飛ばす。それでも花びらは分身を離さないのは調教の成果と言っていいだろう。途切れることのない快感にクリスが屈するのが先か、夜が明けるのが先か、今日はどちらだろうと思いながら腰を打ち付けた。
「好き」
そう呟いた瞬間、心なしか中を抉る硬さが増した気がした。
「好きっ、好きぃ」
連呼すると、その日はかつてなく抱き潰された。それ以来ずっと連呼している。自分を満たすこの行為を、満たしてくれるこの人を、まるで暗示のように。でも、呟くたびに自身の胸が満たされているのもまた事実なのだ。
「好きなのっ」
それは溺れている自身をごまかすための方便だったのかもしれない。だが、嘘で言っている訳でもない言葉だった。
「もぉ、むりぃ……っ、もっとぉ、おか、してぇ……」
それは紛れもなく、クリスの本心から零れた言葉だった。
クリスが身も心も堕ちたという確信は、快楽に蕩けた声、昂りを締め上げる肢体、その現状に陶酔しきっている瞳、すべてが表していた。
音を立てながら口づけを繰り返し、唾液の糸を引かせたクリスは妖艶に笑う。
「……挿れて」
悦をねだる姿に恥じらいの色はない。いるのはただ欲望に忠実な牝だ。頭を撫でながら上に乗るように言うと、一息に腰を落とし
「あっあっ。ぃいのぉっ」
自ら悦い場所へ宛がい、淫らに腰を振って快楽を貪っている。
「……すき、イっちゃうぅ……」
片方は花芯へ、片方は後孔へ。求められるまま指を突き立て、口づけを再開すると、すっかり肉の虜となったクリスはさらに快楽を貪るため、腰を深く落とした。
「……っ、はっ……」
何度目かわからぬ精を受け止めながら、クリスは自身を貫いているものを下腹部越しに愛おしく抱き、中の怒張を確かめる。
「ぁは、んぅ」
乳首を指で嬲られ、舌が唇を割って入れば積極的に絡めて迎え、一つの快楽も逃さないと体を密着させる。交歓する唾液は甘く、乳首を胸板で擦ると快感が背筋を走る。収縮する子宮に呼応したように分身が一回り膨らんだことを感じとると、自然と腰が揺れた。
「あぁぁ、いぃ──」
この体は牝として悦ぶためにある。開発されきった体を突かれながらクリスは幸せそうに喘いだ。
朝。ベッドの上で組み敷かれたクリスが頬を染め、潤んだ瞳で切なそうに呟く。
「なか、いっぱい……」
どれだけ体と心を快楽に堕としても失われぬ初々しさに思わず口づけをして舌を絡める。
自分自身に奪われ、そして快楽に堕ちるのを望んだ愛しい宝物──。
さあ今日も、クリスと愛しく淫らな時間を過ごそう。