ちひろと自分が互いに向けている感情には決定的な違いがある。そう気付いてしまった瞬間、湧き出ずる感情は泥のように重く全身を包み、破滅的な激情に駆られた。
昏い衝動は日に日にちひろを汚したい欲望へと変わる。そうしてその日、賽は投げられたのだ。
ちひろを背後から抱きしめる。
「っ!?」
驚きで体が震えこそしたが、拒絶はされなかった。それをきっかけとして耳元に熱っぽく息を吹きかけ、緩急を交えながら胸を揉むと、呼吸が熱を帯びる。
「ぁっ……やっ……ん」
刺激を絶やさず、舌をうなじから肩口へ這わすと、明らかに呼吸が乱れ抵抗も弱まっていく。
「は……っ、あっ──」
衣服の中へ手を潜らせれば先端は既に尖っており、軽く摘むだけで、甘い悲鳴が漏れた。
「そこ、ゃ……っああぁん」
強く摘んでやると、嬌声は声量を増す。ちひろをベッドで組み敷くのにそう時間はかからなかった。
解き放たれた欲望と衝動のままに、ちひろを犯そう。隆起する欲望を前に、ちひろが息を呑むのがわかったが、止められる段階はとっくに過ぎていた。
ちひろ自身の指で秘所を広げさせ、ゆっくりと腰を落とさせる。分身を包みこむ内壁の感覚を味わいながら、涙を浮かべ耐えているちひろの顔を見ると改めて犯している実感がこみ上げた。
「ぜんぶ、これで──ゃっ……あ、あぁ、ぁっああ」
奥まで呑み込んだと同時に腰を掴み、激しい律動を与える。下から貫かれる衝撃にちひろはされるがままだ。
「っは、あ、ああっ、んんっ」
悦いところを探りながら抉ってやると、その内にちひろも律動に合わせて腰を動かし始めた。
「……あ、ん、んんっ」
心は快楽に抗っていても、体は分身を求め欲している。相反する痴態に気付いているのかいないのか、ちひろは腰を振り続けた。
こうしてちひろを朝まで犯し、朝が来てもなお犯し続けた。
窓から差し込む日は高い。随分時間が経ったのだ、そう認識したちひろの体は背面座位で固定され、その最奥には分身が刺さったままだ。休憩と称して先ほどからずっとこの姿勢でいるが、適度に乳房を嬲られ、首筋には愛撫が、滾る分身は緩やかな刺激をちひろへ送る。
待っているのだ、自分が屈するのを。意図はわかっているのに、濁流のように浴びせられた快楽を体は覚えてしまっている。絞るような声でちひろが懇願するのと、行為の再開は同時だった。
それがこの日々の始まりだった。
ちひろの下腹部を、貫いている分身の形になぞっては指でとんとんと叩く。別になんのことはない愛撫と呼ぶにも拙い刺激だが、何回も何日も繰り返せばそれは立派な性刺激になる。
「やっ……んん……っ」
事実、ちひろの呼吸は荒れ、体は火照りだしているのだから。
「あっ……、ふあぁあ」
今では下腹部に手を添えただけで発情する有り様だ。
「おくっ、くだ、さっ……」
とろとろと液を零す花びらを示し、甘く媚びるちひろの下腹部を舌で味わい尽くす。
「あっあぁあっ」
全身を走る快感に耐え切れず達したちひろをめちゃくちゃに犯した。
「っは、あぁ……そこ、よすぎる……」
うわ言のように漏れた声には悦びが滲み、かつてのような拒絶の色はどこにもない。ちひろが快楽に溺れはじめているのは明白だった。
そこから調教の日々は過熱していく。
下着を剥ぎ、露わになった胸の輪郭を撫でる。
「……っふ」
形良く天を向いた頂を親指で潰しながらこねくり回し、尖り始めたタイミングで摘まんで引っ張ると、必死に嬌声を堪える姿がいじましい。乳首を口に含んで厭らしく嬲ると、ちひろは太腿を擦り合わせ始めた。そこが十分に濡れているのはわかっているが、あえて放置して執拗に乳首を攻め続ける。
「あぁあ、噛んでぇ……!」
とうとう堪え切れずちひろが叫ぶのと、その通りにしたのは同時だ。
「あっ、あぁぁ」
浅く達して震える体をゆっくり撫で上げる。
「はっ……ぁあ」
孔以外の開発も、着々と進んでいる。にやりと俺は笑って激しく口づけを交わす。
「あっ、あんっ」
窓に手をついて体を支えると、快楽に蕩け切った自身の顔が映った。犯され尽くした体は、淫らに動いて雄を誘い、受け入れ、悦んでいる。
「~~~っ」
この現実を見ても、もう動揺や恥辱を感じることはなかった。なんならこの窓を開け放って見せつけてやってもいいのだ。でもそれはしない。
「イく、ぅ……!」
この淫靡で淫らな関係は自分だけが独占するのだ。窓は閉じたまま、情交の跡がガラスをなぞった。
「めちゃくちゃにして……っ。もっとぉ、抱いてぇ」
それは紛れもなく、ちひろの本心から零れた言葉だった。
ちひろが身も心も自分自身に堕ちた確信は、蕩けきった声も心も肢体もすべて受け入れている事で判る。
背面座位で貫かれたまま、ちひろが下腹部に手を添える。
「ここずっと、きもちい、んっ」
続く言葉は激しい口づけによって封じた。
「んっ、ふぁっ、あっ」
荒々しい動きに合わせてちひろの腰も搾り取ろうと淫らに動く。
「好きっ、おく、出してっ」
言葉通りに奥で吐精すると、よりかかった、ちひろが再び腹をなぞった。
「こんないっぱい……できちゃ…んっ、ん──」
唇も淫らな孔も塞ぎ、注がれた腹が膨らむのはすぐだ。
下腹を押されると、花びらと後孔を問わずに、愛液がごぽっと溢れ出す。
「あっ、でちゃっ。あっ、ぃやぁ」
それすらも感じながら、ちひろは二つの孔を手で押さえるが、尚も下腹を押されたため排出は止まらない。
「はっ、あぁ、あぁぁ」
ごぷごぷと零す感覚だけで達した体を抱くと、ちひろは見せつけるように股を開いた。
「……また、ちょう、だ、あっ、あぁあ」
自分は常に犯されていなければならない性の獣だ。愛の蜜で満たされてこそ犯された証となる。快楽のるつぼに呑み込まれながらちひろは再び満たしてもらうため、淫らに腰を振り続けた。
──朝。ベッドの上で組み敷かれたちひろが頬を染め、潤んだ瞳で切なそうに呟く。
「なか、いっぱい……」
満足感に体と心を堕としても失われぬ初々しさに思わず口付けを落とし、舌を絡める。自分だけを求め、支配されることを望んだ可愛い宝物。
さあ今日も、ちひろと愛しく淫らな時間を過ごそう。そして──明日も、明後日も、できれば永遠に──。