さやかと一緒にいると、自分の知らなかった感情が次々と溢れてくる。その激情に身を委ねたのは、なんてことはない、ほんの些細なことがきっかけだった。
昏い衝動は日に日にさやかを汚したい欲望へと変わる。そうしてその日、賽は投げられたのだ。
何てことのない部屋飲みの最中、うっかり寝顔を見せてくれるほどに、自分はさやかに信頼されているのだろう。だが、その信頼は時に残酷だ。無防備に晒された肢体を目覚めないようにゆっくりと暴き、体重をかける。
「……ん」
目覚めた時にはもう遅い。四肢の拘束は完了して身動きはとれず、唇を塞いでしまえば誰にも気付かれない。あとはこのままさやかを埋め尽くしてしまえば、この秘密は永遠になる。その想いに応えるようにさやかの瞳も熱を帯びていた。
解き放たれた欲望と衝動のままに、さやかを犯そう。隆起する欲望を前に、彼女が息を呑むのがわかったが、止められる段階はとっくに過ぎていた。
対面座位で肉棒を挿入した後、あえて腰は動かさずにさやかの首や耳元、乳首を舐め、背中や太腿、尻をなぞっては微々たる刺激を与え続ける。
「んっ……やぁっ」
さやかが感じるたびに、分身を花びらがきゅうきゅうと締め上げる。体が快楽を求めているのは明白だ。
「っうぅ」
単調な刺激を耐え忍ぶ姿に煽られた肉棒が中で膨れると、さやかが体をびくりと震わせる。
「……うごいて…」
欲と屈辱と様々な感情が入り乱れになった顔で、哀願されては犯さないわけにはいかない。
「あっ、ああっ」
屈伏させられたにも関わらずさやかの顔は歓喜に蕩けていた。
こうしてさやかを朝まで犯し、朝が来てもなお犯し続けた。この日から毎日のように。
もう陽はある程度高く、温かい気温を感じる。
さやかが目覚めると、さも当たり前のように口移しで水を飲まされた。口移しをするくらいなのだから媚薬などではなくただの水なのだろうが、途中から舌を絡ませてくるので、その殆どは胸元へ零れ落ちた。
「……もっと」
わずかに残った雫を飲み込み、さやかは呟く。どうしてそう言ったのかはわからない。欲しかったのは水か、それとも。再び水と共に侵入してきた舌を受け入れながら、さやかは首に腕を回す。裸身を密着させるように押し付け、そうして何度も水をねだった。
それがこの日々の始まりだった。
「もっ、ゃだ……っ」
ベッドの上で散々嬲られたさやかが大粒の汗を浮かべながらぐったりとしていた。暑い熱帯夜で行なわれる男女の絡み合いは過熱するばかりに。
「はっ、あ、ああ」
視界を目隠しによって遮られ、次に何をされるかわからない緊張はさやかの感度を大幅に高めているらしい。軽く触れるどころか、衣擦れだけで達するような有り様だ。そんな状態で犯したらどうなるのだろう。
「ぁっ、ぃやあ」
花びらに指を挿れると、昂りきった体がガクガクと震えだす。犯される前から何度も達するさやかの嬌声は、今まで聞いたことのないほど熱く乱れていた。
「っは、あぁ……おかしくなっちゃう……」
うわ言のように漏れた声には悦びが滲み、かつてのような拒絶の色はどこにもない。さやかが快楽に溺れはじめているのは明白だった。
そこから調教の日々は過熱していく。
さやかを抱き潰して何日が経過したのか。
これだけ長いこと犯していればふとした瞬間に糸が切れることがある。静寂に満ちる呼吸音は事態の輪郭を一層浮き彫りにさせるのだ。
「ゃらあ」
繋がったままさやかが締め上げた。
この男性にすべてを溶かされてしまいたい──。
「もっと、あぅ、はぁああ、んん」
現実への回帰を断ったのはさやかだった。開発されきった肢体が声が、意識も塗り潰されることを望んでいる。そんな声をあげさせてしまった、自責の念でさやかを犯し抜く。嬌声は形を失い雌の声に変わり果てた。
「やっ、はっ、あっ、あ、ああ」
何か考えていた気がしたが、奥を抉る一突きですべてが霧散した。別に今に限ったことじゃない。いつだって、その熱く滾った愛欲に貫かれ、犯されるたびに頭の中が真っ白になってしまうのだから。
「あ、あっ、ああ、ん」
きもちいい、すき、やめないでほしい。
「もっ……とぉ……」
最後の一線で抗っても、結局快楽で塗り潰されてしまう。なら、最初から素直でいたならそこにはどんな世界が待っているのだろう。湧き上がる好奇心を止めることはできなかった。
この濁流の如き快楽こそが自分を満たしてくれる──。
「おく、あつい……っ、もっと、抱いて」
それは紛れもなく、さやかの本心から零れた言葉だった。
彼女が彼の快楽に堕ちた。それは蕩けきった心と慣らしきった体で判る。
「ぁっ、ひあっ……あっ、い……」
対面座位で犯されているさやかが両手を伸ばし、さらなる刺激をねだるので、腰を荒々しく掴んで獣のように抽送を繰り返す。時に浅く、時に深く、不規則なリズムで繰り返す。
「あっ、っめ、あぁぁああ」
開発されきったさやかの体を落とすのは容易い。くたりと身を預け呼吸を整えているが、しばらくすれば再び浅ましく腰を動かし始める。
「……っは、あ、っ……はぁっ、きも、ち、いい、の」
花びらが咥えた分身を一向に離さないので、何度も奥を突いてやれば、その度に喜びの声をあげて達した。
「……っ、はっ、あぁ……」
何度目かわからぬ愛を受け止めながら、さやかは自身を貫いているものを下腹部越しに愛おしく抱き、中の怒張を確かめる。
「ぁは、んぅ」
乳首を指で嬲られ、舌が唇を割って入れば積極的に絡めて迎え、一つの快楽も逃さないと体を密着させる。交歓する唾液は甘く、乳首を胸板で擦ると快感が背筋を走る。収縮する子宮に呼応したように分身が一回り膨らんだことを感じとると、自然と腰が揺れた。
「あぁぁ、いぃ」
この体は牝として悦ぶためにある。開発されきった体を突かれながらさやかは幸せそうに喘いだ。
──朝。ベッドの上で組み敷かれたさやかが頬を染め、潤んだ瞳で切なそうに呟く。
「なか、で、びゅくびゅくって……」
どれだけ体と心を快楽に堕としても失われぬ初々しさに思わず口付けを落とし、舌を絡める。
自分だけを求め、支配されることを望んだ可愛い宝物。
さあ今日も、さやかと愛しく淫らな時間を過ごそう。