※この作品はR-18です。

アオの夜R18SS   作:扇町グロシア

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リクエストされた脇系のお話です。


アオく行く隘路の先に (大喜×千夏)

 千夏先輩の無防備さは、今に始まったことではない。同居してた時だって寝惚けてむにゃむにゃ言いながら朝御飯食べてたし、「もう食べられないよ……」とテンプレートな寝言を言っていたりもした。それに週に一回くらいのペースで夜中にトイレ行った後自分の部屋じゃなく俺の部屋で寝ようとしてたり、なんなら俺の部屋をトイレと間違えかけた事もある。どうにかこうにか回避はしたけど、付き合ってもいない状態でマニアックなプレイを強要される所だったな……危ない危ない。

 しかしそれは、千夏先輩にとって猪股家が「家」になっていた証拠だ。気を張らず自然体で過ごしてくれるに越した事はないし、本人は自分がしっかり者だと思っているのだから水を差すこともないだろう。それに今は誰に気兼ねするでもない独り暮らし中だ、パーソナルな空間で油断するのは当然の事。

 ……ではあるのだが、現状俺は少しだけ千夏先輩のガサツ力に呆れそうになっている。

 冷房をかける程ではないが少し蒸す、そんな中で少しでも熱を逃がそうとしているのは理解する。理解はするが、うん。

 もうちょっと視覚的に気を遣ってくれないだろうか、一応俺も男なんですけど。

 さっきからチラチラと覗くノースリーブの脇が気になって気になって、仕方がない。

 

 今まで生きてきて、他人の脇を気にした事はない。そういうフェチズムの存在は知っているけど、自分がそうだとは思ったことがない。多少Mな自覚はあるけど、到ってノーマルな人間としてやって来た。

 なのに今の俺と来たら、先輩の脇に興味津々。我ながらキモいし、絶対言えないけどでも抑えが効かなくなりそう。熱が脳に回っているのか、しっかりしないと。

「やっぱエアコン点けようかな、節約にも限度があるし。それとも大喜くん、今からどっか涼みに行こうか?」

 その提案は、とても魅力的だ。おうちデートも良いけど行きたい所はいっぱいある、夏しかいけない場所も多いんだから。でもなあ、こうして先輩の脇を眺めていたい気持ちもある。「それも良いですけど、俺はここで先輩の脇を嗅ぎたいです」とか言ったら、どうなるんだろうかな。

 そんな事を熟(つらつら)と考えつつ、返事をしようとしたその時だった。 

「へ……えっ!?」

 一瞬先輩の顔は呆けた表情になり、そこから驚愕の声をもたらした。

 これは、まさか。まさか俺は、遮りもせず考えた事を口にしてしまったのか。

 先輩の反応はまさしく当然だろう、言った俺だって自分に呆れるというか退く。

 今までの付き合いでそんな趣味があるような人間だと思わせるような気配はさせてこなかった、してなかった筈だ。それなのに、それなのに。

 付き合っていると言っても礼節は必要で、殴られても文句は言えない。どころか捨てられる事だってありえる訳で――。

「いやまあ、ねぇ……そんな大層なものでもありませんけどねぇ……」

 モジモジと、でもどこかまんざらでも無さそうに。千夏先輩は、照れ臭そうにしながらもドン引きしたりはしていないようだ。

 これは、……もしかしたら。ひょっとすると、なんて思いながら俺は息をのむ。

「大喜くんがさ、そんなにしたいなら……うん。別に構わないけど、さ」

 すっと持ち上げられ晒された脇は、まるで俺を誘うように見えた――。

 

 僅かに薫るのは汗の残滓か、それとも別の何かか。それを気にする余裕は、もう無い。

 ただ先輩の脇に顔を埋め、俺はただ無心で舌を這わせていく。手を伸ばせばすぐにでも触れられる胸よりも、きっと複雑な表情であろう顔も、気にはならない。

 身体がもう、止まらない。腰の後ろを甘い電流が走り、ぞわぞわと快感が膨れ上がっていくのがわかる。

 気が付けば空腰を振って、歪な快楽はどんどん高まっていく。

 そしてそれは、一気に臨界を迎えた。

「うぁ、あ、あー……」

 先輩の脇の下、荒い息を吐きながら。着衣のまま、放精が始まる。頭の芯が蕩けていくようで、止めようとさえ思えないままに。

 どくどくと溢れる精液は下着の中で渦を巻くも、不快感よりも興奮は遥かに上回っている。

 それでも、そうなっても。まだまだ心臓の早鐘は治まらない、胸が張り裂けてしまいそうだ。

 興奮が冷めてくれない。足りない、まだ足りない。そう本能が告げていた。

 この先へ、もっと先へ。

 

 先輩の腕を持上げ汗と俺の唾液にまみれたままの脇を露にし、そこへと俺は腰を近付けていく。その湿った所に擦り付けたなら、どうなるのか。そんな好奇心と欲望に導かれて。期待に溢れる俺自身は、一度射精したにも関わらず硬度を失うどころか更に隆起が治まらない。

 きっと千夏先輩は、呆れるなんてもんじゃないだろうな。俺だってここまでフェチな部分が自分の中にあるとは思わなかった、まさかこんなマニアックな行為を望むなんて。

 でもそれさえ、興奮を沸き立たせるだけ。

 先輩の身体を汚している、軽蔑させるような事をしている。それさえも、刺激を高めるスパイスでしかない。

「えー……っと、さ。大喜くん、そろそろ腕下ろしたいかな……って。正直地味に疲れるから……」

 突如やってきた解放要求、言われて気が付いたけど確かにずっと先輩の腕を掴んだままになっている。

 なんとか理性の欠片を総動員し、手を放す。先輩の左腕は脱力によりゆっくりと落下しそして、そして故意か偶然か。

 射精寸前まで高まった俺を、挟み込んだのだ。

 暖かく湿った肉に包まれた、次の瞬間。

「おお……えっ?」

 まるで堰が切れたように、凄まじい勢いで精液は迸る。脇内射精では止まらず噴出し、白い粘液とその飛沫が先輩の肌にそして周囲を汚していく。

「出るもんだねえ……凄い凄い」

 無邪気ささえ感じる反応に、二度の射精を経た筈が再び俺はフルスロットルに至ろうとしてしまう。

 この次は、どうするべきか。そんなのは、決まっている。

 

 果てしない興奮に身を任せ、俺は千夏先輩へとにじりよる。快感を求めたい、愛したい。それだけで。

 千夏先輩の服に手をかけ、そのまま――一気に事に及ぼうとしたのだけれど。俺の手は、ぴたりと止まってしまった。

 ……えーと。どうすりゃ良いんだ、ここから。脱がせるのはともかく、そこからどうするんだ。中途半端に戻ってきた理性のおかげか、猪突猛進ができるテンションが去ってしまっている。そもそも俺が自分から千夏先輩に何か出来ると言うのか、本当に。具体的なイメージがないから、どうして良いか分からない。

 俺の狼狽ぶりが伝わったのだろう、目の前の千夏先輩は一瞬だけ躊躇ってそして。

「あー……の、さ。大喜くんがしたいことは分かるけど、ちょっとだけ……落ち着こうか?」

 やんわりと制止の声を発した。いや発しはしたのだけれども、けれども。 

 その動きは止まらなかった――いや俺でなく千夏先輩が。

 人に落ち着けと言っておきながら、その手は俺を制するというよりは征する感じで俺を抑え込んだ。

 先ほどの余韻でまだ屹立し、興奮の残滓にまみれた俺自身。そこを千夏先輩のしなやかな指がはい回り、追い詰めていく。

「わ。わー……そっか、こんな風なんだ。さっきより大きくなってる、かな?」

 好奇心に染まる悪戯な声も、何処か現実味が薄れていった。

 そして、そして。その指先は一旦俺から離れて、そのまま自身のショーツの中へと潜り込んでいく。程無く奏でられ出す湿った水音に、理性がどんどん削られていくのが分かる。

 これから何をするのか、どうなるのか。考える必要さえ、無い。

 濡れた薄布を剥ぎ取る仕草を伴って、千夏先輩は俺を跨いで。そのまま――腰を降り下ろしたのだった。

 ずにゅり、と肉を掻き分ける感触。そして心地よい重量、蕩けそうな熱。その全てがあまりにも激しく、頭が快感の火花に焼かれていく。

 薄れそうな意識はしかし、目の当たりにした千夏先輩の表情によって繋ぎ止められた。

「んー……痛ぁ……なんか裂けた気がするんだけど、なぁ……」

 明らかに痛みをこらえているというか、実際痛がっているその顔に。

 こういう事を率先してかましてくる以上、先輩には知識も経験も有るのではないかと思ったのだけれど。まさかこの人、完全ノープランなのか。ただ流れに任せてこうなったのか、なんだこの人。

 まあそりゃ俺がはじめての彼氏だとは言ってたけど、でもなんの考えも無しにか。もしかして普段からなにも考えてないのか、千夏先輩。思えばこの人、基本考えない人だ。日本に残ると決めた時も、特にプランもなくひたすら泣いてすがって歯茎を剥いて説得したそうだし。こうと決めたら引かないけど道がないところでも突き進む、割と大変な人だ。 

「あれー……夢佳言ってたんだけどなぁ、押し倒して跨がっちゃえば後は勢いでどうにかなるって……」

 いや、いやいや。いやいやいやいや、何なんですかあんたらは。俺の千夏先輩に何教えてるんですか夢佳さんは、と言うかあの彼氏さんもこんな目にあったのかもしかして。類友なんてレベルじゃないぞ先輩と夢佳さん、もう付き合ってんじゃないかってくらい。なんなんだよ本当に。

 しかしこれは、不味い。不味すぎる、絶対不味い。

 千夏先輩の内側へと呑み込まれ締め上げられている俺は、もう一刻の猶予もない。脇よりも強く熱いこの状況は強烈過ぎる、すぐにでも決壊しかねない。とりあえず一回離れないと、とは思えど全体重がかかった形になっているから動きようがない。というか動いたらダメだ、――暴発する。

 そう認識した、その時だった。

「うー……ちょっとお薬取ってこようか、な……っと」

 千夏先輩がゆっくり身体を持ち上げて『わっ危なっ』そしてバランスを崩し、再度俺の上へと降下した。その上下動は余りにも、余りにも……刺激的過ぎる。

 どくん、と胸の奥で鳴った鼓動が脊椎を通って腰を抜け。繋がったままの千夏先輩の奥へと、放たれていく。

「お。おー……なんか出てる気がするー……。さっきみたく出てるんだねぇ……」

 ふにゃりと笑う千夏先輩は可愛くて、だからこそ俺もそれに釣られてしまう。

 こんな勢いだけで何段もすっ飛ばして関係を進めて、それでもこれが正解な気さえしてくる。

 俺たちは、これで良いんだろう。だって俺たちだし。

「さってと、なんか痛みも引いてきたし……続きだね続き」

 ぐちゅり、ぐちゅぐちゅ。音を奏で腰を動かす、千夏先輩の笑顔。この笑顔の為なら、俺は何でもできるだろう。

 蒸し暑さが込み上げる部屋の中、俺たちは愛し合う。何度も、何度も。

 

 

 

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 意識が浮上し、あまり見慣れていない天井を仰ぐ俺。

「う、あー……俺、寝ちゃってた……か」

 どれだけ時間が経ったのだろう、既に窓の外には夕焼けが射している。微睡みから覚めた身体は、酷使の残滓で悲鳴を上げていた。一応運動部の俺がこうも筋肉痛になるなんて、尋常じゃないな。……あれは肉食獣の捕食行為ではあるまいか、死ぬかと思ったと言うか死んでもおかしくなかったな。

 千夏先輩はあの後本格的にエンジンがかかって、俺の上を跳ね回っては責め立ててくれた。腹上死ってああやって起こるんだ、と思ってしまったのは秘密だ。その当人はすやすやと無防備に寝くたれていて、隣の俺は小さく息を吐く。

 どうも俺は、考えすぎていたのかもしれない。無い頭で考えても無駄だ、悩むのも馬鹿馬鹿しい。どうせだし寝直してしまえ、と目を瞑ろうとした時。ふと俺は気がついた、さっき抱いた違和感に。

 千夏先輩は、何を指折り数えていたのだろう。それもカレンダーを見ながら、なんて。

 ……まあ、俺の頭で考えたって仕方ないから良いか。

 インターハイももうすぐ本番、勝ってくるぞと勇ましく行ってこよう。千夏先輩がいてくれるなら、俺は無敵でいられるんだ。

 だから――大丈夫さ。多分、きっと。

 

 

 

 

 

 

 

「そういや大喜くん、蝶野さんとなんかあったそうですね」

「何処でそういう話聞いてくるんですか千夏先輩、まさか守屋マネからじゃないでしょうね」

「なんなら私が出ようか? こう見えて修羅場で遅れを取ったこと無いんだよ、腕力には自身有るし」

「荒事はやめてください、千夏先輩。しかし雛に関してはその……正直どうして良いのやら……」

「まったく優しすぎるっていうか、しょうがないパパで困りまちゅねー」

「……何故自分のお腹に話しかけてるんですか千夏先輩、そして何故ニヤニヤしてるんですか千夏先輩、あぁえっとなんか不安なんですけど千夏先輩!」

 

 

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