粋風に暮れるアオの夜 (菖蒲×大喜)
誰かが好きになってくれる、それは幸せな事だ。自分にはそれだけの
そして愛されたからには、愛し返さなければならない。それがフェアな関係というもの。菖蒲にも勿論理想はあるけど、だからって好きになってくれた子たちを蔑ろには出来ない。余程じゃない限りは付き合うし、付き合えば寝ることだってある。そういうものだ。まず付き合わなければ、真贋なんか分かるもんじゃない。馬には乗ってみよ人には添ってみよ、ってやつかな。違うかも。
まあ良いんだけどさ、別にさ。
今になって菖蒲は、思うのだ。もしかしたらもしかすると、自分の歩んできた道は間違っていたのではないかと。
どうにも上手くいかないなぁ、最近。菖蒲の人生はもっとフワフワした楽しいものだった筈なのに、面倒な事が増えちゃってまあ。
まったく、どうしたものだろうか。まさかこのまま放置するのも寝覚めが悪いし、なんとかしてあげないと。
ロング缶の亡骸をゴミ箱に放り込みながら、溜め息一つ。ああ、世話が焼けるんだから。
雛っちの涙は、あの慟哭は嘘じゃない。好きになって敗れた、菖蒲にはそれだけの事としか思えないだろう。さっさと忘れて次に行けば良い、他にも男子はいっぱいいる。そのなかには自分には気がある子が何人もいるだろうし、いなければ他所へ手を伸ばせば良い。恋愛なんてそんなライトなもので良いのに、どうしてあんなに自分を傷付けるのか。菖蒲は理解出来ないまま、その背中を見守るしか無かったんだ。
でも雛っちは、菖蒲が考えるよりずっと強い子だったようだ。いつの間にか嘆くのを止めて涙を拭い、立ち直った――
だからそう、いのたをどうにかしないといけない。
あんなに仲が良かったんだから、ちょっとした切っ掛けがあればすぐに付き合い出せるだろう。他に好きな人がいるったって、人生で一人としか付き合えない訳じゃない。本命ではなくても良いじゃないか、それで雛っちの心が癒えてくれれば。
そんな訳でとりあえず、形だけでもどうにかしてあげようかなと思っては見たのだけれど。……うん、思ってはいたのだけれども。
いのたはどうも、お堅すぎる。男子たるもの堅いのは一ヶ所で十分なのに、何でこんな据え膳に飛び付かないんだろう。二人きりにしたくらいじゃ足りないから密室に放り込んだりしたのに、結局指一つ触れやしない。
そんな訳で非常手段、お酒の力でも借りようかなと策を巡らせる事にしたのだ。お姉が健吾の所へお泊まりするタイミングを利用して雛っちといのたを誘い込み、ジュースのふりして薄いチューハイから少しずつ少しずつ酔わせていった。
雛っちには折り込み済み、いのたが動けなくなってから
ガブガブ呑ませて目の焦点が合わなくなってきたいのたの隙を突き、雛っちとアイコンタクト。さぁて、やろうか。
「いのたぁ、ちょーっと良いかなぁ?」
返事を待たないままその手を取り、ゆっくりとベッドの方へと押し込んでいく。どうせ酔ってるから大丈夫だろうけど、それでも暴れられると酷しい。ここは穏便に、静かに進めていこう。
顔赤いし暑いんじゃないかなーと上着を剥いで、胸ポケットにあったスマホをクッションの下へ。こういう時は電源落としちゃうと逆に危ないんだよね、なんで繋がらないの変な事になってるんじゃないのかって勘繰られる。いのた友達多いから、何かの連絡が来るかもしれないもん。着信はしたけど出なかった、ならまあ心配する事でもないからね。実は菖蒲も何度か痛い目見てるんだよね、「お客様の都合でお繋ぎできません」「電源が入っていません」には皆敏感だし。とりあえずスマホ、ないないしようねー。
「雛っち雛っち、……そろそろだから
そう準備、女の子には色々と事前にする事があるのだ。……まあ男の子同士の時よりは楽なんだけどね、うん。男の子はお腹の中キレイにしないといけないもんねぇ、実際。菖蒲はそっちあんまりよく知らないけど、お姉が詳しいから分かる。
頬を赤くしてバスルームへと向かう雛っちを見送って、菖蒲はいのたを更に脱がせていく。
線が細くて可愛い顔してる割に、服の下は意外と筋肉質。さすがバド部の頑張り屋さんだな、菖蒲こういうの嫌いじゃない。
「うぇ……ぁ? 守谷マネ、あー……ぇ? なにや……っ?」
流石に違和感を抱いたのか、訝しげな声が漏れる。とは言えもう、遅いのだけれど。
もう上はほぼ裸、下も緩めてあるからすぐ脱がせられる。まな板の上の鯉、というやつだ。
「んー、いのたはなーんにも考えなくて良いんだよー
これからいっぱい気持ちよくなって、その後でゆっくりと気持ちを変えてくれれば良い。雛っちは
雛っちを好きになれるように、菖蒲がお膳立てしてあげる。
善意100%で手をいのたの腰にかけ、ずるりと一気に引きずり下ろす。当然足首の所で縛り付け、身動きを封じるのも忘れない。
「ん。……おっ、これはこれは」
ムッと来る牡臭さと共に顕になる、いのたのオトコノコ。可愛い顔に似合わない結構な大柄さんだけど、人前に晒した事はないんだろう。恥ずかしそうに顔を隠し皮の中で震えてる、これは経験豊富な菖蒲が面倒見てあげないとね。
と、その前に。穿いていたショーツを脱いで丸め、呆然として半開きになったいのたの口へと突っ込んでいく菖蒲。大声出されても面倒だ、この上からガムテープ貼れば文字通りに口封じになる。せっかくだから手もグルグル巻きにして、これでもう抵抗の仕様もない。
ここからはもう、菖蒲の思いのままだ。
「あー……んっ」
いのたの先端だけをくわえ、包皮を抉じ開けるように舌先を捩じ込んでいく。ちゃんときれいにはしてるみたいで、滓の生臭い味はそこまでしない。「好きな人」の為なのかな、男の子って純情だねぇ。そのまま幹にも手を添え引き下ろしてあげると、口の中の感触が変わり出した。皮の感じが下へと下りていき、亀頭の持つ独特の質感が大きく自己主張し始める。
どうやら思ったよりも簡単に剥けたようで、なによりだ。
ちゅぽっと口を離して視線を向けると、そこには充血して真っ赤になったオトコノコがそびえている。ああ、可愛いじゃないか。雛っちへの義理が無かったら、このまま頂いちゃうんだけどな。だけどここで私が初物いただいちゃうのもなぁ……。
でも、だけど。
袋から先まで舌を大きく使ってべろりと舐め上げ、そして舌先でツーッとなぞりながら下りていく。何度も何度も往復する中で、舌の粘膜が何かを捉えた。幹の内側で起こりつつある、その
それが、音を立てて放たれた。
「ん、ーっ、ぅん……っ」
凄まじい勢いで喉を焼き、食道を汚し胃の腑まで到達しようとする精液。一部は逆流して口内へと殺到し、たちまち青臭く生臭い粘液で満たされてしまう。喉を鳴らして飲み下しても、勢いは収まらない。
ようやく射精の終わりを感じて口を離してみたけれど、それでもまだ足りないのかいのたのオトコノコは硬く隆起したままヒクヒクと震えている。
にしても随分な量だこと、お陰で息をするだけで精液の臭いが鼻に上がってきてしまう。きっと今菖蒲の口から胃まで、びっしり精子が張り付いているんだろう。一回カレたちにお願いしてザーメンジョッキやってみたけど、あれに近い量かも。これで萎えてない辺り、なかなかの
まだ遊ぼうかなーと撫でてあげていると、お風呂場の方から物音が一つ。そろそろ雛っちが戻ってくるかな、じゃあこの辺にしておこう。
一旦精液の残滓を吸い上げ、幹も舐めてキレイキレイにしてあげる。雛っちだって、キレイなのとしたいよね。
「ほらいのた、見て見て。雛っちの、ここ。ここに――入るんだよぉ?」
雛っちのオンナノコを割拡げ、ピンク色の粘膜を見せ付ける。トロトロと垂れる愛液もなにもかも、遮られることなく全て見えている筈だ。その証拠にいのたのオトコノコは、一度出させたとは思えないほど猛っているから。……ホントはゴム着けてあげないといけないだろうけど、まあ「責任」を強調するなら生で
雛っちをいのたの上へと抱き抱え、照準を合わせていく。その間も指先で膣口を解していくのは、少しでも雛っちに気持ちよくなってもらいたいから。最初が痛かったからえっち嫌い、って子も多いんだよね、勿体ない。えっちは楽しくて気持ちよくて、とっても愛しいんだよ。それを知ってほしい、菖蒲はそう思っている。
――と。不意に雛っちの身体が、ビクンと震えたのが分かった。
「……ごめん、菖蒲……。私、やっぱり……やっぱり…………!」
震える声に驚いて覗いた顔には、強い怯えが浮かんでいる。これは、……これは。ひょっとしたら、そういう事だろうか。
直前で怖じ気づくのは、珍しい事じゃない。菖蒲だって小五の時に初カレとした時は、怖くて仕方なかった。何回もやり直して、一ヶ月くらいかかったっけ。菖蒲が背中押してあげた子の中でも、四割くらいは怖がって止めちゃってたし。
ここで「せっかく準備してあげたのに」「なにトロい事言ってるの」とかなんとか言って強引にやらせちゃうのは、どう考えても悪手だ。
「私大喜がまだ好きだけど、でもこういうんじゃなくて……何て言うか……。とにかくこれは違うんじゃないかなって……」
んー……言ってることは分かんないけど、でも雛っちは続けるのが辛い。
じゃあどうするか、いや悩むことじゃないな。
友達がやりたくないことを強いるほど、菖蒲は性格終わってない。雛っちをベッドにそっと座らせ、優しく肩を抱いてあげる。
「うん。雛っちがしたくないなら、これで止めようね」
でもまあ、このままにしておくのも良くないか。いのただって生殺しは嫌だろう、せっかくだし――頂いちゃうかな。
ここまでしたんだし、一応許可だけ貰っておけば良いでしょ。
雛っちに顔を寄せ、菖蒲は囁く。
「あの、さ。……じゃあ菖蒲がいのた
返事が言葉ではなく、小さな頷きで返ってきたのはその数秒後だった。
お預けし過ぎたのか透明な汁を絶え間無く湧き上げ続ける肉の柱へと腰を寄せ、雛っちの視線を浴びながら体重をかけていく。にゅるりと入ってくるこの感触は、上になった時特有のものだ。受け入れるのではなく食らい付く、捕食者の快感。雛っちにもいずれ味わってほしいけど、無理させちゃダメだな。その内その内、慣れてからだ。
とすんとお尻を落としきって脚を拡げ、根本まで入りきった結合部を晒していく。
「ぁ。あー……こんな感じになるんだ……」
真っ赤になりながらも目線を動かそうとしない雛っち、見る方にはすごく興味あるんだろうな。ここは楽しませてあげないと、ね。
普段なら奥まで入ったままグラインドさせるけど、わざと激しく上下に動いて大きく音を立てながら腰を打ち付けあう。疲れるけど見映えが良いプレイ、そういうのも菖蒲の得意技だ。それにこうやって動くと、お腹の中がゴリゴリと抉られてなかなか気持ちいいし。ただこれ、あんまり長くたのしめないんだよね。
「っ、うぁ……っ来た来たぁ……っ」
想定より少し早く、菖蒲の奥で濁流が噴き上がる。ああ、やっぱり。オトコノコって上下動に弱いみたいで、すぐ出ちゃうんだよね。さっき抜いてあげたのにこれだもん、雛っちにいきなり入れてたら入り口で出してたんじゃないかな。まあそれでも、膣内のオトコノコは萎みもせずガチガチのまま。ならばまだまだ、止まる必要なんか無い。
何度も精液でお腹を温められながら、菖蒲はどんどん腰を加速させていく。
ぱちゅんぱちゅんと上がる水音と共に精液と愛液のカクテルが飛沫になって舞い散り、それを避けもしないまま雛っちは顔を汚していく。茹で上がったかのように全身紅潮し、もう目も虚ろになってきてる。まさか眠いわけでなし、刺激が強すぎたかな。あんまり長く続けすぎると持たないかも、ここはラストスパートにかかろうか。
頭の奥にあるギアを一気に七速に、限界まで腰を振りたくってあげる。その上で思いっきり中を締め上げ、オトコノコの拍動が膣口から子宮まで伝わった――その時。
あまりにも激しく強くし過ぎたか、にゅぷっとオトコノコが引き抜けてしまった。それでも始まっていた射精は、もう止まらない。
「やば、あ、あー……」
リンゴのように紅く染まった雛っちの顔めがけ、黄色味を帯びた粘液が降り注ぐのがハッキリと見えたけど、菖蒲からじゃどうにもなるもんじゃない。何が起きたか分からない表情でそれを受け止めた雛っちが、状況を理解し今度こそ限界を迎えて失神するのを、菖蒲はスローモーションのように見送るしかなかった。
……雛っちが気を失ったのはまあ、良いんだけど。いのたまで動かなくなってしまうとは誤算だったな。これ菖蒲一人で片付けるのか、めんどい。めどい。まあどうせお姉は今健吾とえっちしてる、って言うか明日の昼辺りまでは退廃的な時間を楽しむことだろう。帰ってくるまでたっぷり暇はある、のんびり片せばいいか。
しかし雛っち、えっちしたくはなかったのか。フラれても好きなら、したいんだと思ってたのに。もしかしたら人間って、菖蒲が思うより複雑なのかな。好きですえっちしよー、じゃダメだったりするの?じゃあ雛っちは、どうなりたいんだろう。その辺考えてみないといけないのかな、友達として。まあ今は夢のなかだ、起きたらお話ししよう。お話するのが一番大事、ってタコピーも言ってたしそれでどうにかなるさ。
あとの問題はいのた……なんだけど、そっちは別に心配しなくて良いか。男の子なんて単純なんだし、目を醒ましたら追加で二発三発抜いてから更に酒呑ませて完全に潰しちゃおう。そうすれば夢だと思って勝手に納得するさ、男なんざ。
なんて気を緩めようとした、まさにその瞬間。
けたたましい音と共に、部屋のドアが弾けるように叩き開けられた。
何事かと振り向くとそこには、……そこには。
「何よ健吾のヤツ~、彼女より男友達かよっての、よっ!」
ベロンベロンに酔った上不機嫌な、実の姉が立っていたのだ。
不味い、これは不味い。菖蒲が男連れ込む事自体はよくあるけど、いのたってお姉と友達なんだよね。健吾の後輩だからなんだろうけど、いのたの「好きな人」も知ってるっぽい。そうなるとこの状況は、本当に不味い。この不機嫌が菖蒲に向いたら、何されるか分かったもんじゃないよ。
いやでも、ならば。固まっている場合ではない、と菖蒲はお姉の視線が向くより早くいのたの顔へとタオルを放り投げる。顔さえ分からなければそれで良い。寝ている雛っちもとりあえず転がしておこう、お姉は雛っちを知らないと思うし。
「あによ、まーた男……いやまあ女もか、呼んでたのぉ? 取っ替え引っ替えで良いご身分だことぉ」
うわぁ、絡んでくる絡んでくる。どうせ健吾の事だから、余計な事言ったんだろう。どうもあの人、一言多いんだよね。根が性悪なんだろうか。
しかし考えてる場合じゃないな、お姉を宥めてこの場をどうにかしないと寝れもしない。
のろけ話だか愚痴だか分かんない管の巻き方をするお姉の相手をしながら、菖蒲は心の中で溜め息を吐く。どうしてこうも、忙しいんだろう。
さて、あの嵐のような夜から何ヵ月かが過ぎて。時間がたてば少しは落ち着くかと思ったのに、菖蒲の周りは今だ荒れ模様だ。
まずいのたは思ったほどお馬鹿さんではなかったようで、夢だとは思ってくれなかった。いやまあ、当然っちゃ当然なんだけど。それはそれで仕方ないにしても、「あんな目にあって、どの面下げて千夏先輩に告白すれば良いんだ」と恨み言ばかり言ってくるのはどうにかしてほしい。まさか「好きな人」がちーちゃんだったとは思わなかった。
思わなかったと言えばもう一つ、どうもちーちゃんもちーちゃんでいのたが好きっぽいという事。てっきり男バスの帰国子女先輩の事が好きかと思ってたのに、よもやよもやだ。しかしそうなると雛っちの気持ちを知っている菖蒲としては、どうしていいか分からない。雛っちもちーちゃんも大好きな友達だ、どうしよう。
行くも戻るも大変だけど、立ち止まってもいられない。
フワフワして楽しいだけだった筈の菖蒲の人生は、どうしてこうなったんだろう。そうやって悩みまくってるせいか、最近身体の調子がおかしいし。生理止まるとか相当だよね、一度病院行かないといけないかな。
――……いや、待て。そういやあの日、いのたって何回くらい菖蒲の中に出しただろう。面倒だし生でやってたけど、考えてみたらそれって結構危ないよね。まさか、……まさか。
「でー……。まーた面倒が増えたぁ……」
それこそどうしたもんか、手は幾つか有るけどどれを選んでも
退屈だけはしなさそうだから、構わないけどさ。
やれやれ、頑張っていかないとなぁ。
お酒は二十歳になってから、おばちゃんと約束ですよ。