※この作品はR-18です。

アオの夜R18SS   作:扇町グロシア

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そして終わらぬアオいハコ  (千夏×大喜&雛)

 私はきっと、酷く貪欲なのだろう。繋いだ手の中にある、確かな熱。それを感じながらも、まだ足りないと思ってしまうのだ。

 世の中的には不道徳だろう、ふしだらだろう。でもそれは外野の都合、私には無関係な話。

 欲しいものは何をおいても手に入れる、進む道はいつだってまっすぐ。筋も道理も蹴り飛ばし、ひたすら突き進む。

 こうやって生きてきたし、これからもそうやって生きていく。それ以外の生き方なんか、知らないし。

 繋いでいた手を放し、すやすやと眠る大喜くんと雛ちゃんを抱き締めながら私はそんな事を考えていた。

 

 

 進路をどうしよう、とは考えてもみなかった。どうせ卒業は出来るだろうしゆっくり考えれば良いや、くらいで。

 そりゃ猪股家にいられなくなるのは惜しいけど、とりあえず進学する気は無いし今まで忙し無かった分暫くは呑気に生きてやろうとは思っていた。

 バスケに捧げた中高六年間は楽しかった、とは言えこの先も続ける程の気力はない。

 法律上は大人になり親から独り暮らしの許可も貰った事だし、一先ずは何処かに部屋を借りて自立した生活をしてみようかな――なんて思ってはいたのだけれども。

 私はたった一ヶ月で、早くも挫けそうになっている。

 だって一人は寂しいんだもの。て言うか大喜くんがいないと私はダメだ、やっていけない。

 それに仕送りがあるからバイトもそこまでの時間しなくて良いし、余りにも暇だ。いやまあ仕事増やしても良いんだろうけど、めんどい。めどい。バスケになら何処まで時間を費やしても平気だったのに、私と来たら最近鈍ってるなぁ。

 大喜くんを呼びつけてイチャイチャしたい、でも高三の大喜くんは忙しい。最後のインターハイに向けて精進している彼を邪魔したくない、でも会いたい。ああ、もう私はどうしてこうも半端者なんだろうか。

 そんな私は今日もまた、人を呼んでは愚痴るしかない。生産性のない行為ではあるけれど、人生は暇潰しなんだから。

「いや、私は暇では無いんですよ千夏先輩」

 ――まあそうは言っても来てくれる辺り、蝶野さん……いや雛ちゃんは良い子なのだ。かつての恋敵である私に対しても、も(・)う(・)敵意を向けてこないし。

 暇じゃない、それは本心ではあるんだろう。なにしろ両親が離婚して新体操を引退、華々しい体操一家に産まれた元エース・オブ・エースズ・オブ・エースズ・オブ・エースズは一転渦中の人となった。つまり話題には事欠かない立場にある。人の醜聞を嗅ぎ回る面々にしたら良い鴨なようで、ちょくちょく根掘り葉掘り聞かれて閉口しているんだとか。

 今まで「蝶野公彦の娘」という肩書きは、雛ちゃんから人生の主導権を奪っていた。それでも真面目な子だから必死で期待に応え続け、結果は出してきた。だけど親の不和というどうしようもない大きな力で、新体操の世界では二度と浮かばれなくなってしまったのだ。今まで通り父娘ではある、でも離婚が成立したらもう支援はしないし責任も取らない。元日本代表の娘、という肩書きを取り外されても尚すがり付けるほど、新体操への未練は残っていなかったそうな。

 ……と言うか、娘をダシにして関係の修復を図ろうとしたんだろう。このまま別れたらこの子の将来に傷がつく、形だけでも夫婦でいるべきだ、とかそんな話をしたとかしないとか。夢佳の家もそうだけど、子供を何だと思ってるんだろうか実際。

 だからこそ、二人でいる時はなるべく楽しい事をして過ごそう。厄介事は玄関の向こうにおいておけばいいんだ、後で燃えないゴミに出してあげるから。

 

 愚痴で始まった女子トークは段々日々の雑談になり、中身のないふわふわ話はいつものように繰り広げられる。

 そしていつものように、気がつけば沈黙が訪れていくのだ。

 もう夜はすでにとっぷりと更けて、それでもお開きにはしない。いや、ならない。

 言葉を発しなくなった雛ちゃんの桜色の唇、そこへ私は――キスを落とした。

 大喜くんの唇よりずっと可憐なそこは、悦びに震えているようにも見える。それもまた、いつも通りだ。

 舐め下ろすように唇をずらしながら、ゆっくりと顎を通り喉の真ん中から鎖骨の間へ。正中線をなぞりつつ服を剥ぎ取り、舌先は胸の膨らみまで達していく。露になったおっぱいは揉みしだく指に合わせて揺れ動き、尖端部は隆起して空を切っていた。

 ――美味しそう。そう感じるよりも早く、私はそこへと唇を押し当てていた。たっぷりと溜めた唾液で胸の尖端を濡らしながら、舌で乳首をノックしていく。その度に雛ちゃんは小さく喘ぎ、身体を震わせる。

 反対側も同じようにくわえては舐め、それが終わったら左右を寄せて一緒に吸い上げる。雛ちゃんの口からは拒絶が漏れる、けど私は知っている。これは本気の「だめ」なんかじゃない、求めてるのはもっと先だ。

 おっぱいを口だけで愛撫し、私は雛ちゃんの下半身に手を伸ばす。

 ショーツを飛び越えて内腿を撫でたり、軽く指を立てて熊手のように肌を優しく引っ掻いたり。そうしながら膝まで行って、今度はかけ上がっていく。でもショーツにはまだ触れない、ギリギリで反対側の内腿へ。

 そうしていくと、少しずつ肌の温度が変わり出す。焼けるように熱くなったのを確認して、私は。

「じゃーぁ、そろそろ……ね」

 雛ちゃんへと囁きかけながら、薄く染みが出来始めたクロッチに手を差しのべた。

 指先で雛ちゃんの一番深い所へと繋がる曲線に触れ、湿った布地を押し込むようにしてなぞっていく。その裂け目がどこから始まってどこで終わるか、私は知っている。指も舌も、何度も触れてきたから。勿論雛ちゃんだって、私を知り尽くしている。

 ほんの数回の往復で指先は粘液にまみれ、それでも止まらないし止めたくない。

 きっとこのショーツはもう使い物にならないな、代えはちゃんと用意してあるから良いけど。…………メルカリとかで売ったら、良いお小遣い稼ぎになるかな。現役女子校生の使用済み下着、ってことで。

「……千夏、せん……ぱっい、なんか、悪いこと、考えてません……かっ」

「え、いやそんなこと全然違うですよ?」

 失敗失敗、どうやら顔に出ていたらしい。どうも最近の私って、表情が読まれやすくていけない。しかしまあ最中(さいちゅう)に言うことないじゃないか、そんな不粋な子はオシオキしないとね。

 ぐにゅり、と中指をショーツの中央へ。布越しに肉の裂け目を指で拡げ、その真ん中だけを抉っていく。直接ならばすぐにでも雛ちゃんは達してしまう、でもショーツに阻まれては快感が突き抜けてはくれないだろう。中途半端な刺激は逆に呼び水になっているらしい、雛ちゃんの生殺しに耐える艶っぽい声は止まらない。

 いつしかその瞳は涙で潤み、顔から身体から真っ赤に染まっていた。そしてその声も、懇願の色を帯びてくる。

 うーん、流石にこのまま続けたら発狂させかねないか。オシオキとは言えちょっとそれは、……可哀想かな。

 じゃあそろそろ、トドメを刺そうか。

 今までよりも強く深く濡れた溝を掘削し、それと共に爪の先で裂け目の上端にある肉芽を引っ掻きあげた次の瞬間。

 最大級の嬌声を弾けさせ、雛ちゃんの身体は大きく仰け反りながら激しく痙攣して崩れ落ちた。

 いつも通り、……ではあるのだけれど。あるのだけれど、この「いつも通り」は少し不味いかな。達し方がかなり深い、これはもしかしたらもしかするかも。

 なんて考える事数瞬、それは予想通りにやって来る。

 小さな水音、そして湯気を伴って。

 グシャグシャになっていたショーツの内側から。 

「ふぁ……っ、出……止まら……なっ」

 譫言を幸せそうに繰り返しながら、雛ちゃんの下半身は見る間に熱いゆばりで濡れていく。いやそんな風流なもんじゃない、大洪水だ。

 ひえぇ、不味い不味い。これは不味い、リビングでおっぱじめた私も悪いんだけどさ。

 雛ちゃんはどうもシモの栓が緩いのか、ある程度の線を越えるとすぐ出ちゃうんだよね。嬉しいと特に出やすい、まるで小型犬だ。

 とりあえず早く片付けないと、敷金帰ってこなくなる。

 やれやれ、忙しいなあ私の人生。 

 

 独り暮らしし出して三ヶ月、やっとなれては来たけれど寂しいのは変わらない。

 そうなるとやっぱり雛ちゃんを呼んではえっちして、の繰り返し。雛ちゃんは一々拒みはしないけど、でも『こういうのは大喜とすれば良いんじゃないですか、付き合ってるんですし』とかは時々言ってくる。

 まあそれは実際正論だし、と言うか人が聞いたら私は単なる変態だろうな。でも、そうは言ってもだ。大喜くんとするのは、正直おっかない。だって女の子同士なら雛ちゃん以外にも夢佳とか渚とか多少の経験はあるけど、男の子は完全に未経験の身。さすがに自信はない。

 そもそも大喜くんの為になるかどうか。

 この夏は大喜くんにとって、最後の夏だ。去年インターハイ出場を賭けて戦った遊佐くんは、三年になる前に海外へとわたってしまった。それでも大喜くんは「油断なんか出来ない、何があっても負けられない」と気を張っている。一瞬の油断が、僅かな慢心が致命傷になる世界だ。

 今の時点で関係を大きく進めてしまうと、そのせいで大喜くんの戦意を削ぎかねない。恋人とイチャイチャしてたから弱くなった、なんて言われでもしたら私は死んでも死にきれない。

 だからすべては、夏が終わってから。それまではキス止まり、後は全部終わったあとで良い。私の欲求不満は雛ちゃんで晴らそう、これは浮気じゃないもん。女の子同士だからノーカンノーカン。

「いや千夏先輩、同性だから浮気じゃないとか他所で言っちゃダメですからね。最近そういうのうるさいんですから」

 ベッドの上で聞くとこれほど説得力のない台詞も無いんじゃないかな、と思いながら私は雛ちゃんにキスをする。

 めんどくさいのは別に良いじゃない、楽しければそれで。

 私はバスケにすべてを、それこそ命を懸けて取り組んできた。それが楽しいから、そうしたいから。私はやりたいことしかしない、出来ない。

 私は大喜くんが好き、だけど他全てを嫌いな訳じゃない。雛ちゃんも好きだし、菖蒲ちゃんも夢佳も好き。その中で一番が大喜くん、それだけの事。

 欲張りで良いんだ、私はこれで良い。

 

 そしてその日は、訪れた。

 インターハイ二位を以て高校バドを引退した大喜くんを連れ込んで、雛ちゃんと二人で押し倒したのが今しがた。

 さぁ、もう引き下がれないぞ。

「大喜くん。私は大喜くんが好きです、だから――セックスをします。異論反論は終わってから受け付けます」

 余計な事を言われると予定が狂うから、一先ずは返事を待たず大喜くんの口に二人分のショーツをねじ込んで塞いであげる。鼻は空いてるから大丈夫でしょ、多分きっと。

 そのままスマホに「御手本」としてえっちな動画を再生し、スタンバイは完了。ちゃんと状況にあわせて、AVのお姉さん二人が男の子を襲うやつにしてある。料理の時だって初心者のうちは、COOKPADとかのレシピ動画見ながらするもんだしこういうのも有りだろう。

 勿論これがすべてにおいて正しいわけではないと私は分かっている、雛ちゃんの事だってそうだ。一回正式にフラれてる雛ちゃんにこういうことさせて良いのか、とは思う。

 でもだって、私一人だと怖いもん。あと大喜くん可愛いし受け顔だけど意外と力あるから、失敗したときが更に怖い。それ考えると、やっぱり誰かがいてくれないとね。うん、私の都合だわこれ。

 とは言え雛ちゃんだって、思った以上に乗り気だったんだけどね。大喜くん押し倒してみたいって相談したら、そんなの私だって匡だってずっとしたかったですよって言ってたし、目立って反論もしなかったし。…………そう言えば、何であそこで笠原君の名前が出たんだろう。…………あれ、いやなんか考えない方が良いんだろうかな。

 いやまあ、それは置いておこう。

 もし雛ちゃんが本気で嫌なら、こ(・)ん(・)な(・)こ(・)と(・)に付き合うわけがない。それは確かなんだ。

「ん、……っ」

 天井を向いて直下たつ、大喜くんのオトコノコへと左右から顔を寄せていく私たち。ムッとくる生臭さ、それでも雛ちゃんはやめようとなんかしない。それどころか、動画の真似をしてゆっくりと舌を這わせている。いや私もしないと、何のんびり見てるんだか。

 舌に伝わるのはしょっぱくて少しピッとする、美味しくはないけど癖になりそうな味。

 先端から根本まで舐め下ろし、そこから折り返して上へ……とやっていると雛ちゃんと目があい、それを合図にしたかのように私たちは竿に唇を押し付けてみる。まるで大喜くんを挟んでキスしているみたいな、不思議な感じ。

 ――と。その感覚に僅かな変化を覚え、私はふと聳えるオトコノコを見上げた。

 視線の先でその威容は細かく震え始め、そして。

「……ぁ」

 まるで間欠泉のように、白い粘液を噴き上げたのだ。跳ね上がったそれは重力にしたがって落下し、私たちの頭へと降り注ぐ。熱くてねばつくこれが多分、精液なんだろう。潮を噴くのと似たような感じ、とは言え粘度がかなり違う。指でつまめるほどに高濃度で、それに青臭い。嫌いな香りではないけど、なかなかに驚くな。

 でもまあ、だけど。ここで留まってもいられないのだけれど。

 

 精液まみれのオトコノコを舌で舐め清めながら、私も自分で股座を弄っていく。雛ちゃんもそれを手伝う形になり、三者三様に身体は発情の色に染まっている。……まあ大喜くんは口塞いだままなんだけど、抵抗しないから興奮しているんだろう。射精したし。

 自分の手だけではなく雛ちゃんの手も、それに舌まで加えて私(・)はどんどんと解されていく。グチュグチュと響く水音も加速し、意識がだんだん白まっていくのが分かった。

 もう良いだろうか、もっとするべきだろうか。――いやこれで十分だ、やり過ぎては良くない。

 私は雛ちゃんに手で合図してスマホを取り、一時停止していた動画をタップ。その映像に合わせるように大喜くんの腰を跨いで、そこから私は――一(・)気(・)に(・)舞(・)い(・)降(・)り(・)る(・)。

 膣内が異物で埋まる、今まで感じたことがない逆流の圧力が身体を貫く。外へと流れ出ていく感覚は毎月嫌々ながら味わっているけれど、こんなにも大きなものが内側へと入ってくるなんて想像したことがない。

 ミシミシと骨盤が音を立て、自分が取り返しのつかない事をしているという実感もやって来た。でもそれ以上に強いのは、満足感だ。

 雛ちゃんとするのとは全く違う、これは大喜くんとだからこそ感じられるものだ。

 圧倒的な快感が脳を焼き、脊髄を稲妻が駆けていく。感覚が歪み、夢の中にいるようなふわふわした感じのまま、私はただそれを味わう。

 それは一瞬のようでもっと長いような、曖昧な悦楽の時間。それを中断したのは、雛ちゃんの心配そうな声。

「あ、……千夏先輩、大丈夫ですか? その、えっと……」

 ふと我に返った瞬間、私はようやく気が付いた。自分が盛大に、失禁している事に。いやこれはまさか、潮なのか。ハッと見たスマホの中では、まだ10分程あった筈の再生時間が完全に終わりきってしまっていた。

 これは、つまり。腰を落として完全に繋がった時点で、私の脳は一旦停止してしまったということか。深く深く達した時にそのまま気絶する事はあるけど、でも挿入だけでこうなってしまうのか私は。

「ぅぁー……これ、スゴい……なぁ……っ。大喜くん、って、気持ち、いぃ……」

 口から出るのは頭の悪い言い回しだけ、情けないけど快感で思考はバグっている。その頭でどうにか考えたのは、一回中断しようかという逃げ腰な態度。

 勿論この壊れた頭で思い付いた事が、上手くなんかいくわけない。いつだってそうだ、無い頭なんか使うから。

 ゆるゆると立ち上がるつもりだった私の脚は力が入らず、中腰まで行った所でバランスが崩れそのまま再落下してしまう。

 ペシャンと大喜くんへと軟着陸した、その瞬間。お腹の奥深くで、何かが一気に爆発した。

「っく、ぁー……なんか、出て……」

 さっきまで入っていた所より更に奥、これ以上無いほどの深さへと一直線に白い光条が叩きつけられるイメージ。薄れ行く意識のなかで認識したのは、先程見た光景。そうか、射精か。大喜くんが私のなかで、射精したのか。

 それがどうやら、トドメになってしまったのだろう。今度こそ私の意識は、完全に途絶えた。

 

 眼を醒まして最初に感じたのは、全身の気だるさ。脚の間はぬるぬると滑り、一回思考がリセットされたせいかあちこちが痛む。でも膣内に残ってるのは幸福の残滓、暖かく心地良い。それのその奥、子宮にも熱が伝播している。その存在を生理以外で意識することはあまりないけど、これはなかなか悪くないな。

 目の前で繰り広げられているのは、雛ちゃんの恥態だ。さすがは元新体操部、器用な動きをしながら大喜くんの上で跳ね回っている。

 これも厳密に言えば浮気なのかな、なんて思いながらぼんにゃりと観察なんかしてみたり。

 二人の結合部はブシュブシュと音を漏らし、粘液にまみれきっている。私が眼を回している間、どれほど交わっていたのやら。

 ま、良いか。大喜くんは体力がある子だ、まだまだ持つだろう。もし無理なら、回復するまで雛ちゃんとえっちしていれば良いか。

 でもまあ、それは後だ。

「雛ちゃーん、そろそろ代わってねー」

 ヒラヒラ手を振りながら、私は大きく伸びをする。夜はまだまだ長いんだ、もっともっとしよう。 

 三人とも動けなくなるまでしたら、そこからゆっくり話し合おうじゃないか。大喜くんの言い分も一応は聞く気でいるよ、一応は。

 

 

 

 季節はあれから廻り、どれくらい夜を重ねた事か。

 大喜くんはあれからもバドへの情熱は失わず、後輩の指導に勤しんでいる。雛ちゃんも雛ちゃんで家の境遇と戦い続けていて、毎日大変だそうな。そんな二人がたまに息抜き出来る場所になろう、なんて思ったりするようになっている。

 まあ、お姉さんですからね私。

 ……いや、実は近々そうも言ってはいられなくなってしまいそうだけれど。

 お休み中の二人からそっと離れ、ポケットに入れっぱなしのプラスチック製機具を取り出して灯りに翳して見る私。

 そこには何日経っても消える気配がない、黒い二本線が引かれていた。

「うーん、いつ言おうかなー……出(・)来(・)た(・)って」

 かけ終わってから少し待つように取説には書かれていたけれど、実際にはかけてる最中にもう妊娠検査薬には「陽性」の証が浮かんでいた。うんまあ、そうだろうな。あの時たっぷりと大喜くんの精液を受け止めたし、そのあとも何回したか覚えてないくらいだ。

 ――それに、だ。多分雛ちゃんも、同じ状態だろう。ストレスで胃が痛いとか体調おかしいとか言ってたけど、それ多分早めの悪阻。まあお腹が目立つ前に卒業式を終えられるだろうし、別に問題はないか。

 それに大喜くんだって一月で18になる、結婚とか認知とかそういうのも大丈夫な筈。……多分。由紀子さんには殴られるかな、それは仕方ないから受け止めよう。なるべくなら。

 しかし人の親になるのか、私たちみたいなのが。これまた忙しそうだな、本当に。

 まぁどうにかなるさ、好きは最強の感情だ。こんなにも好きな人が二人もいる私は――私たちはきっと、地上最強に違いない。見よ超強力のみなぎるパワー、瞬く間に最高潮だ。

 問題はあれこれあれど、この三人を止められる筈がない。

 これからも突き進もう、無理を通して道理を蹴り飛ばそう。この四肢はその為にあるのだから。

 

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