好きな事はずっと好きでいたい、嫌いになるほど頑張らない。これが私、兵藤あかりのスタイルだ。
まあ世の中には極め尽くして嫌になるまでやって漸く好きと言える、なんてのもいるけどね。
どうして肩の力を抜いて片手間で楽しむって事が出来ないんだろう、一回嫌いになったらもう気持ちは戻ってこないのに。
苦しんだ分リターンがあるのは、フィクションの中だけだ。努力が必ず良い方向で報われるのもそう、実際は努力した分酷い目に遭う事だって多いんだから。世の中は公平だけど平等じゃない、出来ないことは出来ないものだ。
――そりゃ聞く人が聞いたら現実逃避だとか負け犬の屁理屈だとか、そんな風に怒るだろう。それ自体はまあ否定しないし、逃げてると言われればそりゃそうだ。だけど将棋じゃあるまいし、前に進むばかりが能じゃないでしょ。
別に良いんだけど、さ。私は人生エンジョイ派だもん、楽しければそれで構わない。人生楽に楽に適当に、渡る世間はチョロかった、そうやってフワフワ生きてきたんだから。
下手でもバドは楽しめるし、友達もいっぱいいる。男の子とだって、いっぱい遊ぶ。
私の行く道は、いつだってそう。正解も誤解もない、胸を張って進めばそれが道なんだから。
そうか、あれが猪股先輩か。お兄ちゃんが言っていた通りだな、強そうには見えないけど侮れないって。晴人のお兄さんにも勝った事あるらしいし、もしかしたらインターハイでは上位に食い込むかも知れない。晴人は多分無理だろうな、アイツ口ばっかりだから。
一人黙々と練習するその姿は、なかなか良い感じ。実績を詰んで競争相手が増える前に、先手打ってツバ付けとくべきかな。
……なんて思いはしたんだけど、なぁ。
どうもこの人彼女いるっぽい、多分だけど。周囲には隠してるみたいで相手の正体は掴めないから、まだ未確認。それで探っている真っ最中。
とりあえず練習の合間に適当な男バド部員に声をかけ、気があるふりだけしてあげた。こっちとしては猪股先輩の話さえ聞ければ良いんだけど、まあその辺はね。あんま決め打ちすると怪しまれるし、男バドの皆さんって彼女とかいるんですかーくらいのノリで進めていく。
そのままそこらのファミレスで駄弁るだけで話が済めばそれで重畳、でも男の子がその程度満足して色々聞かせてくれる訳がない。
そりゃまあ、多少はあれこれさせてあげないとね。
「ん、んー……ぅ」
冷たいコンクリートに挟まれた路地裏の暗がりで、身体を密着させながら彼の顔にキスの雨を降らせていく。唇を落としながら舌先で肌を突き、快感の楔を撃ち込みながら。
その蕩けていく顔を確認してあかりはしゃがみこみ、腰へと手を這わせる。ベルトを緩めて対面するのは勿論、その中身――オトコノコ。こういう事はあんまりされたこと無いんだろうか、不安げに皮に隠れて震えている。
それへとそっとキスして、舌を皮の隙間へと捩じ込んでいく。そのまま手を添えてずり下ろそうとするけれど、やっぱり中で滓が固まっているんだろう僅かずつしか動いてはくれない。
まったく、手がかかるなぁ。唾液でふやかしながら舌で解していくしかないな、これは。
――と。
「ぁごめっ、も、出…っ」
皮を纏ったままの肉竿が震え、触れている指がそれを認識したときにはもう遅かった。厚い皮が一瞬ブクンと膨らむように蠢いたかと思うと、爆発するように精液をブチまけてくれたのだ。
出口が半分塞がれているようなものだからその噴出は不規則で予想できず、私の顔を制服をビチャビチャと汚していく。うう、もっと早く教えてくれれば暴発しないよう口の中で射精させてあげたのに。
でもまぁ、そういうのを強く咎めるのは良くないよね。出物腫れ物ところ嫌わず、って言うし。
「んー……気持ちよかったかな?」
上目使いで見上げた顔は真っ赤に染まっている、こういう時の男の子はホント
どうせなら口だけじゃなくて本番も、とは思うけど今は情報収集の方が大事だ。バド部近辺の「人に言えない話」を聞かせてもらわないといけないんだから、疲れさせても困る。
……困るんだけど、うん。でもほら、ここまでしたんだし最後までしないと不完全燃焼だよね。
まあ……良いか。とりあえず良いか。
ショーツの中を掻き回してグチュグチュと音を立てて解し、私は壁に手を突いて彼に向けお尻を突きだした。
「んと、何処入れるか分かるかな? この真ん中、ね」
言った声は聞こえているのかいないのか、返事は返ってこない。でも腰を掴む手と、私自身に押し当てられる熱い塊が理解したと告げている。
ぐにり、と肉が軋む感触。そして硬く荒々しいものが、中を掻き分けて入ってくるのが分かった。なるほどこれはやっぱり――初めて、だな。結構な数を経験しているからだろう、入れ方だけで相手の経験値がおおよそ分かるのは私の特技のひとつ。
おっかなびっくり、慎重に。遠慮がちにゆっくりゆっくり進んでくるのは、どう考えても童貞だろう。まあだからって小バカにしたりはしない、むしろ優しくしてあげてるくらいだ。締め上げるのは適度にするし、こっちから腰を揺すりもしない。あくまでオナニーの延長くらいの気持ちでいられるように、向こう主導っぽくしていく。男の子はデリケートだから、気を遣ってやらないと。
本当はただ突かれるよりガンガン攻める方が好きだし、突くなら突くでもっと激しくしてほしい。けどそれを言わないのが、良い女ってものだ。
それに今のままでも、気持ち良いは気持ち良いしね。
ああでも、そろそろだな。腰のヘコり具合や竿の蠢動が伝えてくれている、もうじき終わりだと。
ならどうするか、答えは一つだ。言うべき事を、言うだけ。
「んー……良いよ、そのまま出して……ね」
男の子はこう言われるのが大好き、これを言われたら間違いなく――
次の瞬間ドクンと胎内で拍動が弾け、奥の奥へと目掛けて力強い奔流が撃ち込まれていくのが感じられた。雌を孕ませたいという雄の本能、それがダイレクトに叩きつけられている。この時だけは、テクもなにも関係ない。ただただ、気持ち良いだけだ。……まあ本当に妊娠なんかしないけどね、そんな面倒な事はまだしたくないから避妊薬は常用してる。でもこういうのも黙ってるのが良いんだよね、口にしたら絶対ガッカリさせるもん。
さてと、息が整ったら話の続きだな。うまく行くと良いけど。
あの後も何人か引っ掛けて聞いた限りの話では、男バドで彼女がいると公言しているのは針生先輩くらいらしい。後は笠原先輩が守屋マネージャーと付き合ってるんだか腐れ縁なんだかわかんない状況、そして西田部長は誰でも良いから彼女欲しいと常に言い続けているとか。……さすがにそういうガツガツした人は好きじゃないな、私だって相手は選ぶ。
でもそうか、親しい間柄でないとそういう話はしないタイプか。うーん、面倒だなぁ。別に猪股先輩がフリーだろうと売約済みだろうと大した事でもないけど、でもハッキリしてないのはモヤモヤして嫌な気持ち。
何日もかけてこの体たらく、向いてないのかな。
週が開けてもまだそれを引きずって、部活にも身が入らないままもう夕方だ。どうしようかな――、いやまあ良いか。あんまり考えると頭痛くなるし、適当で良いや。どうせなら一先ず勢いで押し倒しちゃおうかな、なんて思いながら差し掛かったのは明らかに人気のない区画。
「あ。……むぅ」
どうも他のことに頭を使っていたせいか、道に迷ってしまったようだ。て言うかこの学校、人目につかない暗がりが多すぎる気がする。体育館の通路脇とか、荷物に隠れて寝られるよ多分。武道場の使われてない二階部分も、どういう訳か卓球台とか設えてあるしサボりに活用されてそう。
さてどうやって表まで出たものかな、と見回したその時。
「――っ」
圧し殺された小さな呻き声に、私は思わず足を止めてしまう。
それは誰のものかは分からない、でも――
考えてみれば、暗がりが多いというのは便利だということでもある。見付かるか見つからないかのスリルを味わいながらえっち出来る訳で、なかなか風情があるじゃないか。
念のため上履きを脱いで靴下になって足音を殺し、僅かな声を辿って歩く事数分。あっさりと、そこは見付けられた。
荷物置き場みたいになってる袋小路に見えるのは、白い背中。上はブラ一枚だけど下はスカートを翻らせ、スクワットするように上下に揺れる肢体。その下に見えるのは、組倒された男の子であろう姿。ずいぶんお盛んだなぁ、学校の中で。しかも通路に背中を向けたままなんて、誰か来たらどうする気なんだろう。て言うか今こうやって覗いてる訳ですが。
激しく交わる騎乗位の結合部からは濡れた音が立ち上ぼり、他人事ながら心配になりそう。でも今ここで声かけて止めさせるのもなぁ、驚いて膣痙攣とか起こさせても気の毒だし。……いやあれって都市伝説なんだっけ、忘れた。
くぐもった嬌声が一際高く放たれ、ぐったりと上半身が倒れ込む。その勢いで今まで入っていたものが抜け落ちると、肉の裂け目からトロトロと白濁液が
溢れ出る。一回分とはとても思えない量だ、何度も出させたんだろうな。そりゃ周囲に気なんか配れない、夢中になって当然だ。
荒い息遣いのユニゾンが収まるまで、何分くらいかかっただろう。
やがて上になっている女子が静かに身を起こし、服を着直して立ち上がるのが見えた。
……おっと、不味い不味い。私はそっと距離を取り隠れ直すと、再び息を潜めた。結局最後まで見ちゃったなぁ、どうせなら撮っておいても良かったか。まあ揉め事の火種なんかしょい込むのは御免だ、向こうがいなくなったら私も帰ろう。
そんな感じで見詰める先、僅かに見えるその顔は見知ったものだった。――鹿野先輩、間違いなく女バスの部長さんがそこにいたのだ。
普段クールそうで凛としてるのに、彼氏なんかいたのか。て言うか男子に跨がるタイプなんだな、気が合うかも。今度話し掛けてみようかな、なんてね。
鹿野先輩の視界に入らないよう気を付けつつ気配を消し、その背中を見送ってふと、私は気が付いた。
今の今まで交わってた相方さんは、まだ仰向けに倒れたまま動く気配がない事に。天井を向いて聳えるオトコノコの様子を見る限り、死んではいないんだろうけど。……まさか寝てるのか、或いは気絶中か。いや同じようなもんだな、どっちも。
「ふー……むぅ」
どっちであろうと、今のうちならば近付いても問題はなさそう。鹿野先輩の彼氏さんがどんな人なのか、見ておいても良いだろう。
周囲を伺いながら接近し、そーっと覗き込んだその先にあったのは…………これまた見知った顔。そしてそのお陰で私は、ここ数日のモヤモヤに決着を付ける事と相成った。
「ぅわ。……猪股先輩、なのかぁー……」
つまり、つまり。猪股先輩の彼女さんは、鹿野先輩。そして二人は交際を隠しながらも、こうやって校内でもしてしまうくらいにはラブラブな訳だ。
なるほどなあ、そういう事だったのか。売約済みどころの騒ぎじゃなかった、そういう事。
しかし彼氏ほっぽって帰って良いのか鹿野先輩、それともすぐ戻ってくるつもりなのか。
まあ――良いかな。ほんのちょっとだけ時間があれば、
主が意識を失ったままでも威容を崩さない、猪股先輩のオトコノコ。湯気をたてるそこを、伸ばした舌で根本から先端まで一気に舐め上げてみる。
広がるのは精液の味、そしてそこに混ざるもうひとつの味。鹿野先輩って、こんな味がするのか。あんまり女の子との経験はないけど、記憶の中にある味よりは酸味が弱くて甘味を感じた。体質なんだろうか、直に味わってみたい美味しさがある。……顔も身体も完璧でしかも美味しいって、なにその完璧超人ぶり。そりゃ人気もあるわなぁ……。
しかしその味は、刺激に反応したのかテラテラと溢れて来た透明な汁に塗り潰されていく。男子は簡単で良いなぁ、ホントにさ。こっちもこっちで美味しいから、別に良いけど。
でもさすがに舐めるだけじゃ追い付かないから、顔を上から覆い被せて全体を加えこんでしまう。たちまち口全体にオトコノコの味が広がって、呼吸する度鼻へと精臭が抜けていくのが堪らない。向こうも向こうで包まれてるのが気持ち良いんだろう、更に硬度と大きさを増していく。
猪股先輩は、どんな夢を見てるんだろうか。鹿野先輩の膣中で愛されてる、そんな風に感じているんだろうな。まあホントは彼女でも何でもない、後輩の口の中なんですけどね。
舌を絡めながら頭を上下させ、肉の袋を手で弄び追い立てる事数分。呆気ないくらいあっさりと、それは訪れる。
「ぅ、……っ」
喉の奥を突き込むような激しい射精に、ほんの少しだけど驚きつつ私は押し寄せる精液を嚥下する。……いや、するつもりだったのだけれど。
まるで何日も溜めた後みたいな顔自体が膨れ上がるほどの量と勢いに、口中はたちまち一杯になり飲み干すのも間に合わない。逃げ場を求める粘液は口の隙間や鼻の穴を通って噴出し、ボタボタと溢れていく。
いや、これもう何発も出した筈だよね? この人どんだけ絶倫なんだろう、て言うかこれが気を失うまで攻め続ける鹿野先輩も鹿野先輩か。つまりはお似合い、ってことなんだろうな。
そこから暫く待って放精が止まったのを舌で確認し、尿道に残っている分を吸い上げてから私は漸く口を離した。さすがに暴れ疲れたのか、持ち主と同じくオトコノコもまた大人しくなってくれている。
……少し残念なような、そうでもないような。ここでまだギンギンだったりしたら、絶対我慢できなくなっちゃうからなぁ。そりゃこんなスゴいのは口で楽しんだだけじゃ物足りないし、跨がりたいのは山々なんだけどさぁ。もしそこへ鹿野先輩が戻ってきたり猪股先輩が目を覚ましたりしたら、それこそ一大事だ。そもそもの目的は一応果たしたんだし、この辺で切り上げないと。
込み上げてくる精液臭いげっぷを堪えながら、這うようにして外へと一目散。
名残惜しいけど、でも我慢だ。猪股先輩も鹿野先輩も好い人だし、邪魔になっちゃぁ悪いからね。
「お前さ、少しは身を慎むとか出来ないのかよ」
幼馴染みの晴人が呆れ顔で言うのを半分の耳で聞きながら、私は気にしないでラケットを振り回す。
まあ言いたいことは分かるんだ、うん。やり過ぎてるのも自覚はある。
あの日猪股先輩が鹿野先輩のお手付きだと知って、味見だけで止めておいたのは我ながら英断だったとは思う。これであの二人が別れたり私が修羅場に巻き込まれたりするのは、正直後味悪いもん。
ただ部内の男子に手を付けまくったせいで、なんか私気軽な童貞捨て場みたいに言われてるんだよね。女バドの先輩方も私と関わりたくないみたいだもん、嫌だなぁこういうの。せっかく高校生になったんだから、楽しくやりたいのに。
……まず晴人なんかに私の行状をあれこれ言われたくないんだけどな、いくら付き合い長いったって中学で一回離れたんだしさ。
「私は我慢も遠慮もしたい分しかしないんだよ、めんどくさい。したい事だけで生きていくんだよ、それが一番楽じゃんよ」
いつだってフワフワゆらゆら、適当で良い加減。そうやって回っているのが私の人生。
誰にも指図はさせないし、誰の言うことも話半分くらいにしか聞かない。
これが兵藤あかりだ、文句があるなら世界を率いて挑んできなさい。
私は負けない、いや必ず勝つから。