時間軸的にはまだ秋合宿さえしてない時季です。
さて、どうしたもんだろう。
一晩かけてドロドロに汚し尽くしたベッドもそうだし、仲の良い姉妹のように顔を寄せあってすやすやと眠っている千夏先輩たちの事もなんとかしないとな。家族が帰ってくるのは夕方以降だけど、それまでに全部どうにか出来るものだろうか。いや、そんな他人事みたいな事言ってられないんだけどさ。
そもそも今日この場を切り抜けても、先が不安すぎる。どう転がるか分からないし、あれこれ色々と起こるだろうし。
まあ、とりあえずシャワーでも浴びてくるか。みんなが起きる前に朝飯も用意して、食べながら今後の話をしていこう。
どうにかなるさ、多分。……なると良いなあ、うん。
そんな事を考えつつ、大きく伸びをしながら俺は立ち上がる。
寝不足どころじゃないくらいにクタクタだけど、やることは多いから頑張らないと。
「――ちーちゃん、好きな人いるんだよ」
放課後の教室で菖蒲がサラッと放った一言は、あまりにも強烈すぎた。
千夏先輩の事が好きだから、雛とは付き合えない。俺と雛をくっ付けたがるこいつにそう伝えた所、見事に致命的なカウンターを撃ち込まれてしまったのだ。
まさか、そんな。……そういえば同居が始まったばかりの頃、雛との仲を誤解した先輩が「好きな人に同居の事隠したいのは分かるから」って言っていたような。それは一般論じゃなくて、つまり。同居前から千夏先輩には、そういう人がいたということ。
菖蒲は花恋さんの妹で、花恋さんは千夏先輩の幼馴染みで親友。その経緯で知った情報は、恐らく誰よりも高精度だろう。
気がつけば俺は膝から崩れ落ちていて、ただ呆然とするばかり。
俺は千夏先輩が、好きだ。俺の事を好きになってくれなくても、気持ちは変わらない。だけどそれがなんになる、ただ千夏先輩を悩ませるだけだ。好きな人がいるのに他所から好意を向けられるのがどれだけ辛いか、俺は知っている。迷惑にしかならないなら、身を引くしかない。
初めて会ってから二年、同居してから半年。少しずつ距離は縮んできていた筈だ、それなのに――何もかも無駄だった。無意味だった。
「だからさぁ、ひなっちにしておこうよ。ひなっち、いのたの事大好きなんだからさ。いのたも付き合いだしたら、ひなっちを好きになるってぇ」
それはある意味では正しいんだろう、そもそも俺は雛が嫌いな訳じゃない。
中一の夏から一緒で、いつもバカやって笑い合う最高の
雛が真っ直ぐに気持ちを向けてくれているからこそ、その道を選ぶわけにはいかない。
じゃあ、どうするんだ。
分からない、何もかも。
狼狽するだけの俺を、菖蒲は唖然とした顔で見詰めている。
「あー……のさ、そんな大袈裟な事かなぁ? 好きに
そう、なんだろうか。でも、そんな。
俺の無い頭じゃ、何処までも話は堂々巡り。
どれくらい固まっていたか、菖蒲のため息で俺は我に返った。
「こーりゃ重症だねぇ……、菖蒲が一肌脱ぐしか無いかなぁ」
ツインテを揺らしながら手をさしのべ、菖蒲は薄く微笑む。
嫌な予感はするけれど、それでもその手を取っていた。この矛盾をどうにか出来るなら、気持ちに整理を付けられるなら俺は藁にだってすがってみせる。
……嫌な予感どころじゃない、と感じたのは学校を出ていくらか時間が経ってからだった。
まあ「制服じゃアレだから」なんて言われて上下一式
とは言えがっしりと手を捕まれている状態では、逃げようもない。
果てしなく不安なまま、俺はただただ付き従うしかなかった。
「あんま近いとこだと、元カレに会ったりして気まずいからねぇ。そこらでバッタリくらいならまだしも、さ」
ヘラヘラ笑うその視線の先にあるのは、所謂――ラブホテル。ああ、そりゃラブホテルで元カレに会ったら気まずいわな、うん。
いや、いやいや。そうじゃないだろ、俺。
「え、ー……と、あの」
「あぁ、大丈夫大丈夫。いのたは童貞拗らせ過ぎててダメダメだから、菖蒲がオトナにしたげるだけ。そんでスッキリしたら、色々考えやすくなるっしょ」
疑問も抗議も寄せ付けず、俺は引きずられていくばかりだ。こんなの、許される事じゃないのに。
慣れた手付きで手続きを終えた菖蒲に促されるまま、俺は部屋へと連れ込まれていく。その中は薄暗く、明らかに
「大丈夫だってばぁ、獲って喰おうってわけじゃないからねぇ。とりあえず一通り経験して、落ち着いて考えられるようになろうねぇ」
言葉とは裏腹にその手は力強く、あっという間に俺は裸に剥かれてしまった。そのまま菖蒲も服を脱ぎ捨て、俺たちは何もかもさらけ出して向かい合う。
同い年の女子の裸なんて、当然見たことなんか無い。いや、うんと小さい頃なら有ったかもしれないけどさ。
「へー……えぇ、結構逞しいねぇ。いのた可愛い顔してんのに、意外と凶悪かも?」
いつの間にか近付いて俺の前にしゃがんでいる菖蒲、そのストレートな物言いに驚きながら身を翻そうとした俺の身体はでも、一歩も動くことなく止まってしまった。
大きく開かれた菖蒲の口が、俺を呑み込んでしまったから。
ぞわり、と背筋を貫く甘いおぞけ。柔らかくて熱い肉の塊に挟み込まれる、生まれて初めての感覚が襲ってくる。手で触るのとは全く違う、口内全てに包まれる快感。
「んむー……、ぅふっ……んー……」
菖蒲の頭が動く度に口腔内で俺は振り回され、あちこち違う箇所が当たって刺激の質が秒単位で変わってしまう。腰が砕けそうになるのをなんとか堪えようと歯を食い縛るけれど、それを見越したように菖蒲は俺をくわえたまま笑って――
「う"、あぁ……っ」
まるで
我慢なんか、出来るはずがない。
込み上げてくる射精感に逆らえないままに、俺は菖蒲の口内へ射精し始めてしまう。一度出始めたものは、もう止まらない。
喉を鳴らして精液を飲み下していく菖蒲に屈するように、俺は尻餅を付いて床に崩れ落ちた。
仁王立ちになって俺の前に立つ菖蒲、さっきまでとは逆の姿勢。俺の目の前には本来纏ってるべき布地一つ無い、菖蒲の――オンナノコがさらけ出されている。
自身の指で弄り続けているせいで、粘っこい液体が溢れる肉の裂け目。繁った陰毛にも泡立った粘液がこびりついて、これ以上無いくらいにいやらしい。凝視しちゃいけない、とも思うけれど目が離せなくなってしまう。
「じゃーぁ、童貞捨てちゃぉーかぁ。怖くないからねぇ~」
床に腰を落としたままの俺に跨がって、重なってくる菖蒲の身体。沈んでくるオンナノコが、ついに俺へと密着した。
熱いぬめりに包まれた、と思った瞬間にギチリと全体が潰れるほどに圧迫されていく。腰から全身が蕩けていくようだ。
菖蒲の中はざらついて、でも滑らかに締め上げてくる。俺を溶かすように、そして癒すように。止まっていてもそうなのに、更に腰を動かして来るんだから堪ったものじゃない。
さっき一度射精したにも関わらず、再び決壊が近付いてくるのが分かってしまう。
菖蒲にもそれが伝わったんだろう、繋がったまま顔を寄せてきた。
「いのた、良いからねぇ? 初えっちなんだから、遠慮しないでいっぱい出しなよぉ?」
潤んだ瞳で出された
脈打つ毎に溢れ出す精液を注ぎ込みながら、俺はただぼんやりと思っていた。何をしているんだろう、と。
「これでいのた、オトナだねぇ。ちゃーんとひなっちに
俺はただ――力なく、頷くしかない。他に何が出来るんだろうか、今ここで。
どうしよう、どうすれば良いんだ。家へ帰って頭のなかはそればかり、混乱だけが大きくなっていく。
千夏先輩が好きなまま、菖蒲とした。菖蒲には雛を好きになれば良い、と言われた。
何もかもメチャクチャで、どうしようもない程破綻していて。どうにもならない、どうにも出来ない。
何より滅入るのは、こっちが落ち込んでいるというのに下半身は余韻に浸っている事。たっぷりと楽しんで、「次」を待ち望んでいる。浅ましくろくでもない、そんなのが俺の本性なんだろうか。
考えるのも、もう疲れてきた。風呂上がりの弛緩した身体も手伝って、意識は微睡みに落ちていく。
――と。
まるでそのタイミングを見計らったかのように、ノックの音がやって来た。
「大喜くん、起きてる? ……なんか今日は調子悪そうだったけど」
ややあって入ってきた千夏先輩は、心配そうな顔をしている。俺の事なんか、気遣う必要ないのに。
そんな事を思ったせいか、さっき見て触れて味わった菖蒲の肢体がフラッシュバックしてしまう。千夏先輩だって、同じ――女子なんだ。菖蒲がしたような事を、俺じゃない
悔しさと興奮で先輩を正視出来ないまま俺は、大丈夫ですよと生返事を返すだけ。それしか出来ない、してはいけない。
そう思う、のに。
千夏先輩は僅かに眉根を寄せ、俺へと歩み寄ってくる。
「大喜くん、辛いなら辛いって言いなさい。そうじゃないと、誰も助けてくれなくなるよ」
先輩の声は薄く怒りが混じり、その本気さが伺える。俺だってこんな、拗ねたような事してちゃいけないって分かってる。先輩が怒るのも当然だ、でも。
その原因は、貴女でもあるんだ。
「……別に、平気です。それにそういうのは、好きな人相手にでも言ってあげてくださいよ」
拗ねているのを怒られて更に拗ねる、って子供か俺は。まあ、子供だよな。
そろそろ千夏先輩も呆れ果てるだろう、是非そうなってくれ。俺なんかを気遣わなくて良いから、その好きな人とやらと末永く爆発して欲しい。
もう、それで良いや。捨て鉢になった俺の言い草に千夏先輩は一瞬たじろいだ顔になり、そしてほんの少し躊躇うように沈黙して。
――そして。真っ直ぐに俺を見詰めて口を開いた。
「私が好きなのは、大喜くん、です。だから何度でも言うよ、辛いときはちゃんと周りを頼りなさい」
その言葉は余りにも強く、俺をくずおれさせて余りある。
どういうことだ、それは。千夏先輩が俺を、なんて。そんなの――そんなの、有り得るのか。
千夏先輩は、いつも俺を支えてくれる。インターハイ前の大事なときに看病してくれたり、いつだって俺に前へ進む力をくれる人だ。だけどそれは特別な感情なんかない、気を遣っているだけ。そして誰にでも優しい好い人だから、だと思っていた。
その認識が、間違ってたなら。千夏先輩は先輩として同居人として俺に優しいんじゃなくて、俺が……好きだから、優しいのか。
考えてみれば菖蒲は「好きな人がいる」としか言っていない、と言うかあんな口が水素原子より軽い女に打ち明け話なんか普通するわけがない。いくら親友の妹でも、だ。「具体的に誰が好きかまでは聞けなかったけど、まさかこんなジャガイモじゃないだろう」程度で考えていて、雛と俺をくっつける口実に使おうとしたわけか。
なんて、馬鹿馬鹿しい。一言確かめれば終わる事に、どこまで悩んだんだろう。ある意味じゃあ菖蒲の言った通りだ、もっと簡単に考えても良かったんだ。礼を言おうとは思わないけど。
千夏先輩はそんな馬鹿な俺を引き起こし、微笑んでくれた。ああ、そうか。やっぱり俺は、この人が好きだ。それだけは、揺るがない。
ただ、だ。物凄く顔が近いのは、その目が妖しい光を湛えているのは、何故だろう。
なんだか妙な予感がしてきた俺の手を、千夏先輩ががっしりと掴んだ。
「何を悩んでるのかは分からないけど、さ。――そんなこと、忘れさせてあげるよ」
その表情はどういうわけか、数時間前に菖蒲が見せたものによく似ている気がした。
目の前で何が繰り広げられているのか、理解が追い付かない。ベッドに横たわる千夏先輩は、惚けたような顔で一心不乱に自身の脚の間を弄くっている。それを見せつけられながら、俺もまた自分が猛っていくのを感じていた。千夏先輩のオンナノコは菖蒲のより色素が薄く、毛もまばら。人によってそんなに違うものなんだろうか、まだこの二人のしか見たことないけど。まあそんな比較できるほどの数を目にする機会なんか、そうそうあるわけがない。
それでも思うのは、キレイだと言うこと。千夏先輩のは、キレイだ。心の底から、そう確信できる。
「大喜くんの触ったりとかは、怖いけど……さ。私の、使って良いから、ね。菖蒲も言ってたよ、オトコはスッキリすれば落ち着くんだって」
……あのバカなんてことを吹き込みやがったんだ、俺の千夏先輩に。いや俺のじゃないけど、でもあのバカ今度会ったらひっぱたいてやる。
いやそれは今考える事じゃない、問題はこの状況だ。
使う、という言葉。それはつまり、千夏先輩は俺に――
千夏先輩を好きになって、そういう事を考えた事はある。壁一枚向こうにいる好きな人をオカズに出来るほどの度胸はないけど、でも妄想は数限りなくした。まさかこんな据え膳、想像も出来なかったけど。
意を決して千夏先輩へと近付き、どう扱って良いか分からないけどその身体を掻き抱くと、俺たちの腰はちょうど重なりあう。
自分から「押し込む」という動作だからか、菖蒲の時より大分入り方はゆっくり。なんというか、硬い肉の間を抉じ開けているような感触を受ける。閉じているところを無理に入っていく感じ。禁忌を犯しているようで、なんだか胸が高鳴っていく。
――と。
「い、だぁ……。こ、れ結構、痛い……かも……?」
小さく漏れた悲鳴にも似た千夏先輩の呟きが、その硬さの意味を教えてくれた。
初めて、なんだ。俺が千夏先輩の、初めてになったんだ。その事実に興奮しながらも、何処かでチクリ胸が痛んだ。千夏先輩に痛い思いをさせているのも、そして俺自身が初めてではない事も申し訳無い。
菖蒲のせいだけど、菖蒲のおかげ。どうすりゃいいんだろうな、あの女には。
まあ――良いか、それは考えなくて良いや。
それより目の前にいる、千夏先輩の事だけを考えよう。
みしりと埋まった千夏先輩の中は、ギュッと力強く締め上げてくる。……気がするけど、菖蒲とどう違うかは今一つ掴めない。違うと言えば違うんだけど、そこまで差があるとは思えない。個人差って事なんだろうけど。
だけどそれでも、気を失いそうなくらいに幸福だ。千夏先輩を愛して、愛されて。これ以上に、何を望むのか。
そう満足したせいか、身体の力がふっと抜けていく。これが射精の前兆だと気付き、残された力を全て注ぎ込んで俺は腰を引き抜いた。
刹那の間を置いて精液は放出され、千夏先輩のお腹を白くデコレーションしていく。
「あー……射精ってそんな風なんだー……。すごいねぇー……」
ぽややんと笑う千夏先輩の上に折り重なって、抱き締められながら俺は余韻に浸りつつこっそりと安堵する。あのまま射精して
まあ菖蒲は本人が「良いから」って言ったんだから平気だろう、多分。俺が悪い訳じゃない、そう思いたい。
「大喜くん、落ち着きましたか? 明日からは、ちゃんと出来るよね?」
……ついさっき似たような事を言われた気もするけど、でも今度はその意味は正反対に感じる。雛に言うべき答え、それはそもそも一つしかないんだ。明日、言おう。俺の気持ちを、正面から。
しかし一体俺に何が起きているんだろう、おかしいだろこれ。
昨日一日で、どうしてしまったんだ俺は。雑なエロコメじゃあるまいし、何もかもが異常すぎる。
そりゃまあ、気持ちはよかった。それに大好きな人とその、……結ばれた訳だし。色々と危険な気もするけど。
でもこうなった以上、雛相手にもちゃんと答えを出さないといけない。それはどうやっても雛を傷つけてしまう、そして俺もまた痛い目に遭うであろう結論。避けては通れないけど、それでもなんとか傷を浅く済ませたい。そんな事考えてるから良くないんだろうな。
そんなこんなで、大切な話をする筈だった俺は――どういうわけか、体育準備室で押し倒されている。
「聞かない。私はあんたの話なんか聞かないし、諦めない。どう思おうと何を言おうと、私は曲がらないから」
雛の瞳は真っ直ぐに俺を貫き、床へと縫い止めていく。そして動きを封じるその腕力に、新体操もまた闘う競技なんだと実感する。細く可憐に見えて、筋肉の塊なのだ。
殴られるくらいならともかく、このマウントポジションは危険すぎる。下手したら骨の一本もやられかねない。今まで散々惑わせてきたツケを払えというのか、でもさすがに酷くないかこれは。
抵抗するべきなのかどうなのか、何を言えば良いのか悪いのか。
パンク状態の頭でどうにか状況を整理しようとした俺を黙らせようとするように、雛はそのまま――俺にキスをした。
「……っ、なに、を……」
混乱が加速する俺の上で更に、雛が服を脱ぎ始める。
「菖蒲が言ってたのよ、オトコなんか一度……しちゃえばどうにでも出来るって。力尽くでモノにしちゃえばいい、ってさ」
自棄を起こしたようなその言い草と共にモゾモゾと手が這い回り、おっかなびっくりな手付きで
またかあのバカ、余計なことばっかり見事にやり遂げやがって。雛も雛だ、なんでそう即物的でアホなんだよ、少しはものを考えろよ。そうは思えど、やっぱり身体は逆らえない。逆らおうにも、文字通り急所を握られた状態からでは無意味なんだけど。
「ぬう……、よくわかんない。ま、良いか。女は度胸って言うし」
度胸だけで他人の身体を弄らないで欲しいけど、そんな雑把なやり方でさえ
血流は加速しムクムクと欲望が鎌首をもたげてくるのが、どうしようもなく止まらない。
「あ、あー……こうなるんだ。へぇー……ふーん……」
興味深げに手を速めつつ、雛はもう片方の手をスカートの中へ滑り込ませていく。昨晩の先輩みたいに、しているんだろう。物理的な刺激にフラッシュバックが加わり、興奮は加速するばかりだ。
こんなことしてる場合じゃないけど、だからこそ止まらない。
「「い、……ったぁっ!?」」
挿入のその瞬間、俺と雛の口からは同時に小さな悲鳴が上がった。
先輩と同じで雛も痛かったんだろうけど、俺も俺でかなり痛い。万力で押し潰している、とさえ思うほどに締め付け方が強すぎる。噂に聞く膣痙攣ってやつじゃないか、これは。これも個人差なのか、そうなのか。それに中が浅いのか、雛が思いっきり腰を落とそうと躍起になっても根本まで入りきらず幹が見えたままだ。
身体の大きさは千夏先輩とそう変わらないのに、構造が大きく違うというのも不思議な話だ。そんなこと言ってる余裕はないし、同じく余裕がない表情の雛が果敢に腰を動かそうとするからこれまた大変だ。
「い、うぁ……。大丈夫、なの、かよ……っ」
「じっとしてる、と、痛いの……よ! 動いてる方が、気が紛れ……んのっ!」
そう言いながら上下に動く身体に併せ、揺れ動く雛の胸。普段は意識しないけど、こうして見ると結構存在感があるモノなんだと実感させられるな。レオタードとか制服で隠れてるからか、それともサイズがあんまり……?
「大喜、今あんた、スゴい失礼な事考えて、ない!?」
「いや滅相もない」
その辺は言わない方が良いな、と思った瞬間。それそのものが悪手だった、と気付かされた。余計なことを考えたせいで、身体が緩み出してしまったのだ。
ぞわぞわ込み上げてくる、射精欲求。それが不味いのは分かっているのに、やっぱり止められない。
許可を得る暇も何も無いまま――。
「お、おぉ……? 中で、震え……? 出てる、んだあ……」
雛の中に包まれたまま、止めどなく精液が迸っていく。
がっしりと握り締めるように固く包まれたままの射精、膣内に精液を注ぎ込むという行為。昨夜千夏先輩の肌を汚した快感とはまた別の、禁忌を犯している背徳的な快感。雛を好きだとは言えない、それなのに。それなのに、俺は。
僅かばかりの後悔はでも、圧倒的な快感に掻き消されていく。
「ねえ大喜、もっとしようよ。もっともっと、さ」
にへらと無邪気げに笑う雛を見ていると、悩むのも馬鹿馬鹿しくなってくるな。どうせ今考えたって、仕方がない。雛が満足して降りてくれたら、その時改めて考えよう。そう思いながら俺は、微睡みの底へと落ちていった。
何度思っただろう、これは一体なんの茶番なんだと。
もう誰が誰を好きだろうがどうでも良いや、なんて思ってしまったりもした。
そして気が付けば三人はそれぞれ「事情」を知って、その上でどういう風に頭の回路を繋げたのか思いっきり仲良くなって結局は俺を「共同所有」するという所で手を打つことにしたらしい。
とは言え抜け駆けなしだとかそんなルールも出来たようで、千夏先輩と二人きりで……なんてのはあの一回だけなんだけど。
そんな中で迎えた、家族がいない土日。俺たちは昨日の昼間から、ずっとこの通りだ。
先輩と雛と菖蒲、それぞれ違う身体に溺れたり溺れなかったり。疲れ果てて動けなくなっては短い休憩を経て立ち上がり、挑んでいく。そこだけ切り取ったら部活と変わらないんだけど、やってる事がやってる事だからちょっと情けない。
「あー……疲れた……なぁ……」
記憶は曖昧だけど、日付が変わる少し前くらいまでの事はなんとか覚えている。意識が途切れる寸前に時計が目に入った、それだけなんだけどさ。
俺が気を失った後もずっと大騒ぎしていたんだろう、三人は心底幸せそうな顔で寝ている。……ベッドは見る影も無いほど汚れきっているけど。これをどうやって片付けるのか、というか部屋中がそんな感じ。あれこれ考える間でも無く大惨事なんだけど、どうする気なんだろうなこの連中。特に千夏先輩、居候としての矜持は何処へ行ってしまったんだろう。この人最近ダラけてるからなあ、うちの母さんを「お母さん」って呼ぶようになったし。
まあ、良いか。もう何度目か分からないその一言と共に、俺は汚れきった部屋を出る。まずは掃除だ、一つずつどうにかやっていこう。
きっとなんとかなるさ、だって俺たちなんだから。