※この作品はR-18です。

アオの夜R18SS   作:扇町グロシア

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Re:アオい日々は絶えなく続く  (大喜×千夏)

 世の中には、こんな格言があるという。「しばらく二人で黙っているといい。その沈黙に耐えられる関係かどうか」、キルケゴールだっただろうか。要するに黙ってても気まずく感じない、そんな信頼しあえる関係が理想だって話。……だと思う。違うかもしれないけど。

 俺と千夏先輩は、そういう関係はなれそうにない。黙っていたくないというか、二人きりになったなら本心を打ち明けたい。そう思うようになったのは、一ヶ月の同居中断が開けた頃だった。

 一ヶ月、たかがそれだけ。平日は学校に行けば逢える、なんなら休日だって遊びに行けば良い。それなのに。

 それなのに――寂しくて仕方がなくなった。

 千夏先輩が家にいない、それだけで俺はすっかり弱りきってしまったのだ。

 指折り数えて一ヶ月、俺はひたすら待ち望んだ。大好きな人が戻ってくる日を。

 

 そして。……そして。

「――ただいま、大喜くん」

 先輩が猪股家へ帰ってきた夜、俺は自分を抑えきれなくなった。

 私がいなくて寂しかったかな? とからかってきた先輩を、ただ抱き締めて。

「寂しかった、です。もう、何処にもいかないでください」

 困惑する先輩を見詰めながら、ずっと胸に引っ掛かっていた願いを感情のままにブチまけた。

 離れたくない、離したくない。

 辛かった、苦しかった。死にたくなるほど、寂しかった。

 千夏先輩の気持ちなんて、考えられない。こんなこと、許されない。そんなの分かっているけれど、俺はもう止まらない。

「先輩、好きです」

 きっと良い返事は返ってこない。殴られても文句は言えない、二度と逢えなくなるかもしれない。

 それでも、それでも。

 この気持ちは、どうにも出来ないから。

「……大喜くん、ちょっと痛いよ」

 小さく漏れた声に身体が一瞬強張り、その隙を突くように千夏先輩の姿が腕の中から離れていく。

 ああ、終わりだ。これで、何もかも。

 そう思って腹を括った俺の視界が、僅かに翳った。そして唇に触れる、暖かく柔らかな感触。

「――…っ」

 視界に光が戻って目に入ったのは、恥ずかしそうな千夏先輩の顔。何が起きたか、それで察する。

 キス、された。千夏先輩に。

「ありがとう、大喜くん。嬉しいよ。でもさ」

 そう言ってクルリと後ろを向いた千夏先輩の声は、少しだけトーンが落ちていく。

 でもさ。でも。それは、多分俺がさっき想像した通りのことなんだろう。じゃあ今のキスは、餞みたいなものだったのか。いやそれで良い、構わない。今ここで死にたいくらいに、幸せになれたんだから。

 俺は最期の時を覚悟し、千夏先輩の背中を見つめながら息を吐く。

 でも、しかし。飛んできたのは、そ(・)う(・)い(・)う(・)事(・)ではなかったのだ。

「本当に、良いのかな。大喜くんは、蝶野さんに告白されたんだよね?」

 その言葉は俺を否定するのではなく、むしろ気遣う声。何故千夏先輩がそれを知ってるのかは分からないけど、言いたい事は分かる。雛の気持ちを考えなくて良いのか、という事。

 雛は俺に言ってくれた、返事は良いと。ただ、好きだと知っていて欲しいと。いくら俺だって、それが方便だと気付いているさ。だからこそ、千夏先輩を好きなままでも構わないと笑ってくれたんだ。あんなにも、真剣に。あんなにも、真っ直ぐに。雛はこんな俺を、好きになってくれた。

 だけど俺は――。

「俺は、千夏先輩が好きです。雛がどう思っていたとしても、それは変わりません」

 自分を曲げて雛を好きになる事は出来ない、それは逆に雛の心を踏みにじる行為だ。

 俺は変わらない、変われない。

 誰がなんと言おうとも。

 その思いを込めて、先輩を後ろから抱き締める。俺の気持ちが、伝わるように。

「そっか。……そっか、そうなのか。大喜くんは、そうだったのか」

 フワリと香る良い匂いは、髪からなんだろうか。何処か悪戯っぽい先輩の声と相まって、なんだか現実感を失いそうだ。でもこれは、俺のリアル。俺たちの、リアル。

 甘い熱に浮かされたまま、先輩を掻き抱く腕には力が籠ってしまう。また痛いと言って逃げてしまうかもしれないけど、先輩を捕まえていたいから。

「あの、大喜くん。……こんな時にあれですが、ちょっと良いでしょうか」

 え、と思う暇もなく千夏先輩が小さく呟く。

「あのね、大喜くん。お尻に何か当たっていますが、これはその……。その、あー……何て言えば良いかな……?」

 ……………………。

 好きな人を抱き締めて、その髪に顔が埋まる程密着して。こんな状況で、つまり俺は。俺の意思とは関係なく。

 ――そうなっていた。そう、なってしまっていた。

 

 甘い空気も良い雰囲気もたった一言で雲散霧消して俺たちは、背中を向けあったまま床に座っている。俺は腕まで真っ赤っか、先輩もさっき見た限りではそうだろう。

「あ、いや。うんまあ、男の子だもんね大喜くん。えーっとよく知らないけど皆そうなっちゃうんだよね、私別に怒ったりしないからさ、うん……うん」

 どうにか俺を気遣おうとする先輩の優しさが、辛い。男ってなんでこうなんだ、あんなに幻想的な雰囲気になってこれかよ。

 俺は千夏先輩が好きだ、でもそ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)を求めてる訳じゃない。でもそんなの、理解してもらえるもんか。告白に失敗どころか、下手したら俺がこの家を追い出されるぞ。

 どうしよう、どうしよう。……いやどうにもならないぞこんなの。

「すいません、千夏先輩……」

 ただ絞り出すように謝るのが精一杯、とても振り向く勇気なんか無い。

 軽蔑される、嫌われる。最悪の大失敗。そう嘆きながら、自分の馬鹿さに嫌気が指すばかり。 

「ねえ、大喜くん。それは謝らないといけないものなの? ……私のせいでそうなっちゃったから、大喜くんはそれが嫌なのかな」

 先輩の困惑した声に、心がざわめく。

 嫌なんじゃない、でも俺は千夏先輩に嫌われるのが怖い。だから謝って、許されたいと願っている。

 それに先輩のせいじゃない、俺がバカだからだ。空気も読めないサルだからだ。

 伝えたいことはあっても、口が動かない。どう言って良いかも分からない。

 ――と。

「大丈夫だよ、大喜くん」

 ふわり、と空気が流れるイメージ。

 そしてかけられた優しい声。

 後ろから抱き締められた、と気付いたのはその少し後。

「私は、大喜くんが好き。好き同士なら、そうなるのもきっと普通だよ」

 背中に感じる、柔らかな熱。密着する肌が、鼓動を伝えあう。

 言葉だけじゃない、千夏先輩のすべてが告げている。偽り無い、その気持ちを。

「大喜くんはね、悪い子でも恥ずかしい子でもない。私を好きになってくれた、私が好きな人。大切な、人」

 甘く蕩けるような、囁き。耳から身体を塗り潰していく、圧倒的な意思の奔流。

 さっきよりも強く熱く下半身が猛っていく事さえ、意識の中から消えていく。

 俺は、俺は。千夏先輩が好きだ。

 許されるなら、受け入れてもらえるなら。

 俺は自分のすべてを、捧げたい。そう、思う。

 だから、――。

 

 家族が寝静まるまでの、ほんの数時間。それが永遠に近い程、長く思えた。

「やー……お待たせさんです」

 何処か緊張した様子で入ってきた先輩、そして心臓が張り裂けそうな俺が向かい合う。 

 これから何をするか、その事で頭は一杯。深く考える余裕はない、あるわけがない。

「ええと大喜くん、……ホントに私で良いのでしょうか」

 珍しくモジモジとする千夏先輩は、それでも尚美しく見える。

 神々しささえ覚える程のその姿は、触れる処か見る事さえバチが当たりそうで躊躇われる。

 でも。俺はこれから、この人に触れるんだ。――愛する、んだ。

 千夏先輩は、それを許すと言ってくれた。

「はい。俺は千夏先輩が好きです、だから――」

 したい。抱きたい。それはよくない感情かもしれないけど、それでも俺の本当の気持ちだから。

 そっと触れた千夏先輩の肌は、焼けるように熱い。きっと俺も、同じくらいに熱くなっている。

「と言うか、その。千夏先輩こそ、ホントに……良いんですか」

 もう結論を出してもらえたのに、俺は再びそれを口にしてしまう。

 だって先輩は、女の人で。そういう事をするという重さが、俺よりずっと強い筈だ。俺は先輩が好きだから、だからこそ傷付けたくない。

 さっきはまだ、お互い熱に浮かされていた。少しだけとはいえ時間が置かれた今、先輩の気持ちは変わっているんじゃないだろうか。そう考えてしまって仕方がない。

 いや、そうじゃないな。俺はやっぱり、怖いんだ。先輩に嫌われるのが、それだけが怖い。

 だ(・)か(・)ら(・)、確(・)か(・)め(・)て(・)お(・)き(・)た(・)い(・)。

「さっきも言ったけど、うん。まあ私こういうのサッパリだから、上手くいかないだろうけど。でも大喜くんとなら、私は平気だよ」 

 先輩はなんともまあ、アッサリしているけど。俺がこんなに重々しく考えているなんて、想像もしてないんじゃないだろうか。

 この人はいつもこうだよな、悩んでるのが馬鹿馬鹿しく思えてくるくらいに真っ直ぐでポンコツで。

 ああ、やっぱり俺はこの人が好きすぎる。

 

「んむ……っ」

 合わせた唇同士が擦れあい、柔らかな隙間から息が漏れて音になる。

 ベッドの上で、折り重なるようにキスし続ける俺たち。モゾモゾと身体がよじれる度に服は少しずつずり落ち、気が付けばお互い下着姿。

 まるで貪り合うようなキスの果てに、名残惜しげに離れた先輩は。

「さぁ、――どうしましょうか」

 余韻を掻き消すくらいに明るく、俺に微笑んだ。

 ここから、どうやったものか。そんなの俺が聞きたい、でもそうもいかないか。ここで艶やかな空気が続かないのが、俺たちなんだな。

 どういうのが「正しい」かは分からない、けど「したいこと」はある。その為に先輩の胸元へと手を伸ばしてみるけれど、けれども。

「あ、……れ? ん?」

 もっと触れたい、直に触れたい。なのにこれ――ブラジャーというモノは、どう外せば良いのか。

 えー……分からん。これどういう構造なんだ。

「あのー……先輩、どうやったら脱げますかコレ」

「え、あぁごめん。今外すね」

 一旦身体を起こした先輩が背中に手を回すと、ブラジャーは支えを失ったように剥がれて落ちた。後ろにボタンだかなんだかがあるのか、不便そうな構造だな随分。

 しかしそんな事を気にしている余裕は、すぐに無くなってしまう。

 遮るものの無い白い肌、思った以上に大きな胸――おっぱい。それを目の当たりにしてしまっては、モノを考えてなんかいられないから。

 許可を得るのももどかしく、その谷間に向けて顔を埋めていく。千夏先輩に包まれている、安心感。肌に伝わるのは体温とそして、鼓動。千夏先輩の、命のすぐそばに顔を寄せている。

 すりすりと滑らかな肌を楽しみながら手をなんとなく動かしていると、柔らかな感触の合間に固い何かが触れた。見なくても分かる、これが先輩の乳首なんだ。顔を少しだけ上げてそこへキスして、そして「ん、……っ」口の中に、含んでみる。自分が赤ちゃんになったように。

「ふふ、大喜くん可愛いねー」

 頭を撫でてくれる先輩の声は、とても優しい。このままこうしていれたら、どんなに幸せだろう。でも俺は、もっともっとこの人を知りたい、深く繋がりたい。

 口づけたままゆっくりと肌を滑り、おっぱいを通り越して臍へと降りていく。その先を目指して。さすがにこうなると、許可を得ないといけないけど。

「千夏先輩、その……良いですか」

 顔を上げて問いかける、でも直接は言えない。生々しいし、恥ずかしいから。

 だけど言いたいことは伝わってくれた、先輩の照れ臭そうな声がその証拠。

「う……ん。でも良いのかな、あんまり綺麗な場所でもないんだけど」

 あ、だからって汚くなんかしてないからね!? と慌てて付け加える先輩に苦笑しつつ、俺は千夏先輩の腰にキスを落とす。そのまま、そのまま。俺の唇は肌を舐め下ろしながら、その場所――先輩のオンナノコへと接触を果たした。

 ピクンと僅かな震えを感じながらも、俺はキスを止めない。舌に広がる、塩気と酸味。汗ではない味と、噎せかえる程の「メス臭さ」。これが先輩なんだ、そう思うと心の底からいとおしい。

 頭を揺らしながら、奥へ奥へと舌を伸ばしていく。もっと進みたい、もっと知りたい。千夏先輩の身体を、奥深くまで知り尽くしたい。

 溢れてくる蜜を吸いながら、それでも口が止まらない。美味しい、気持ちいい、快感だけがどんどん高まっていくのが分かる。

「ぁー……、大喜くん、ちょっ……一回、離れ……よ?」

 突然グイッと額を押され、気が付くと俺は千夏先輩の股から離されてしまっていた。……良いとこだったのに。

 ゼーゼーと荒い息を吐く千夏先輩は、首まで真っ赤だ。それに離れたお陰で見えるようになったオンナノコも、同じくらいに色付いている。改めて見ると、唇というか磯の生物というか不思議な形なんだな。穴じゃなく肉の谷間、って感じだ。

「あんまりジロジロ見るんじゃありませんっ、恥ずかしいんだからね」

 サッと手で隠されてしまったけれど、その記憶は身体から消えたりしない。あの味も匂いも含めて。

 でもそりゃ恥ずかしいだろう、いくらマイペースな人でも。だからこそ俺は舐めたいけど。

「それに、さ。私、お返しできないもん。……大喜くんの触ったり舐めたり、とか……ちょっと無理だし…………」

 申し訳なさそうに俯く先輩に、俺はただキスを返す。

 先輩は嫌なことなんか、しなくて良い。俺は先輩が好きなだけで、奉仕してほしいわけじゃない。そんなのは、いらない。

「大丈夫ですよ。千夏先輩がもし嫌だとか怖いとか思ったら、いつでも言ってください。そこで止めますから」 

 御預けは正直堪えそうだけど、それ以上に千夏先輩が辛い想いをする方が耐えられない。

 俺は先輩が好きだから。

 愛しているから。

 

 ベッドに腰かけて背中を壁に預け、脚を大きく広げた先輩。その中心、先輩のオンナノコは物欲しげにヒクヒクと震えている。そこへと向けられているのは、俺自身。

 このまま進めば、そこで――繋がれる。先輩と、一つになれる。

 もちろんこれは、軽々しくして良い行為じゃない。そう思うからこそ、俺は先輩としたい。この世に一人だけの大切な人と、この先もずっと生きていきたい。その願望と覚悟を込めて、ゆっくりと進んでいく。

 粘膜が当たった瞬間、先輩の口からは小さく息が漏れた。ここから先へ進めばもう、取り返しはつかない。きっと先輩は、それを感じている。

「千夏……先輩。……もし、嫌だったら……」

 言いかけた俺の額に、コツンと先輩の拳が小さく当たった。

「そうじゃないよ。大喜くんこそ、良いのかな?」

 悪戯っぽく笑うその顔は、優しくて。可愛くて。ああ、もう。俺はやっぱりこの人が、大好きだ。

 全ての思いを込めて、先輩の中へと俺は入っていく。もっともっと、この人を好きになりたいから。

「ぃ……っ」

「う、ぁ……!?」

 声が漏れたのは、ほぼ同時。千夏先輩が何を思ったのかは分からない、でも俺が声を出してしまった理由は一つ。

 余りにも、気持ちよすぎるから。

 千夏先輩の中は温かく柔らかで、なのに握り潰すような圧力で締め上げてくる。そうかと思えばうねるように蠢き、一瞬たりとも同じ形に留まらない。舌を入れた時は味に気をとられていたのか、これに気付かなかったみたいだ。そして俺を引きずり込もうと、どんどん奥へと導いてくれる。

 女の人って、スゴい。オンナノコって、スゴい。

 気が付けばお互いの腰は密着しあい、陰毛が絡まりあっていく。

 先端に何かが突き当たる感触を覚えたその時、俺は自分が全て先輩の内側に包まれている事を、そして先輩の一番奥に触れている事を知った。

「あ……入りまし、たぁ……っ、全、部……」

 ゾクゾクと背筋が粟立ち、心臓は張り裂けそうなほどに早鐘を打っている。完全に、繋がった。一部の隙もなく、一つになった。

 それは先輩にとっても、同じことなんだろう。

 俺の背中に手を回し、抱き締めてそして。

「うん……。私のなか、大喜くんでいっぱいだよ……」

 幸せそうな顔で、キスしてくれたのだ。

 上も下も、繋がって。これで理性を保てるほど、俺は賢人じゃない。

 沸騰し続けた快感は、もう自分でもコントロールなんかできない。

 脊柱を貫く稲妻が、一気に身体の芯を焼き尽くす。

「出、ま……っ」

 口を開く余裕すらないまま、身体がガクガクと痙攣して。尿道を精液が駆け抜け、一瞬毎に意識が飛ぶほどの爆発的な快感が襲ってきた。

 目の前は真っ白になり、意識まで精液に変わっていくんじゃないかと思うくらいの勢いで射精が止まらない。

 触れている千夏先輩の身体も大きく震え、それでもしがみつくように俺から離れない。

 今、この瞬間に死にたい。それくらいに圧倒的な快楽の暴力に晒されながら。

 俺は力の限り、千夏先輩を抱き締めていた。

 

「ふぃー……出したねぇ大喜くん……」

 空が白み出し、お互い精も根も尽き果てて漸く俺たちは身体を離していた。

 先輩のオンナノコはまだ口が閉じきらないまま、逆流してきた俺の精液をトロトロと垂れ流している。それさえ気にならないくらい、ベッドはもうグチャグチャだ。一晩かけてこうも汚しきってしまったけど、悔いはない。母さんには殴られるだろうけど。

「先輩だって、スゴかったですよ。……色々と」

 どーせあたしゃガサツですよ、とペチペチ叩いてくる先輩は可愛いけど、ついさっきまでは獣のような状態だった。むしろ後半は俺に跨がって暴れてたくらいだ、やっぱり俺はこの人の事をなにも知らなかったんだと想い知らされた。

 俺たちはお互い、深く知り合えた。でもまだ、終わりでもなんでもないんだ。

 きっと俺たちは、これからも――。

 そうやって余韻に浸っていたけれど、千夏先輩の呟きが俺を現実に引き戻した。

「大喜くん、さ。危険日という言葉をご存じでしょうか」

 ……。…………。え。

 それはまあ、言葉としては知っている。それくらいなら。

 でもなぜ今、と思った矢先。俺は自分のバカさ加減に、今更ながら気が付いた。

 考えてみたら俺は、何も考えずに射精し続けてなかったか。いや、し続けていたさ。

 もしかして先輩が「良いのかな?」と言ったのは、そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)だったのか。

「ちなみにあたくし、今日明日辺りが排卵予定日でございます。超危険日、ですねぇ」

 俺の動揺を察するように先輩は、ニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。

 なんだろう、このハメられた感。まさか最初から手のひらで転がされていたんだろうか。

「大喜くーん、何か言うことがあるよねぇ……?」

 千夏先輩はやっぱり、読めない人だ。俺なんかじゃ御せるわけがない。

 でも、それでも。分かっていることはある。千夏先輩は、俺が好き。俺が千夏先輩を好きなのと同じくらいに、俺が好き。

 だったら、何も問題はない。

「千夏先輩、好きです。結婚しましょう」

 お互いがお互いを好きなら、それが一番幸せだから。もちろん色々と厄介な事はあるけど、そんなもんで俺たちは止められない。

 昇りつつある朝陽を浴びながら俺たちは、キスをする。この先も離れることなく一緒にいる事を誓いあい、愛しあうために。

 ああ、幸せだ。なによりも、誰よりも。俺たちは、幸福なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ後は、パパが18になるのを待つだけだね」

「後二年ありますけど」

「二人目も間に合うかな」

「勘弁してください……」

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