※この作品はR-18です。

アオの夜R18SS   作:扇町グロシア

73 / 109
水温むアオの宵  (千夏×大喜)

 少しずつ日は温み、薄く積もっていた雪も解けて消えた。春遠からじ、とはこの事だろう。人も受かれる季節、しかしそれは旅立ちの季節でもある。

 もうじき私は猪股家を出る、由紀子さんたちとは一旦お別れだ。

 大学進学も決まって新居も借りた、ガサツな私でも住みやすい広めのマンション。荷物の搬送もちょこちょことやっていて、二年近く過ごした部屋もすっかり寂しくなってしまった。

 自由登校になってすっかり暇だし、今日もせっせと荷運び荷運び。新生活の準備は万端だ。

 後は大喜くんさえ、隣にいてくれたら。

「……っく」

 そんな事を考えたせいか僅かに指先が鈍り、思わず溜め息なんか吐いてしまう。らしくないなあ、本当に。

 ちゃんと一人に馴れないといけないのに、私と来たらこればっかりじゃないか。

 何だか気持ちが盛り下がってしゃがみこみそうになってしまう私はでも、なんとか自分を律して背筋を伸ばす。

 こんなんじゃあダメだ、気合い入れないと。

 一人暮らしが始まる前からへこんでてどうする私、頑張れ私。落ち込んでたら大喜くんを心配させてしまう、見下げ果てた先輩になんかなりたくない。

 て言うかこうして百面相してる時点で結構挙動不審だ、平生を装わないと。

 さ(・)っ(・)き(・)か(・)ら(・)大(・)喜(・)く(・)ん(・)も(・)、(・)な(・)ん(・)か(・)困(・)り(・)顔(・)だ(・)し(・)。引っ越しを手伝わせる名目で連れてこられたのに私がボケッとしてたら、それこそ困るだろう。

「あー……千夏先輩、この段ボールあっち置いて良いですか? 割れ物みたいですけど」

「まあ適当で良いよ、割れたら割れたで掃除するから」

 ちょっと適当過ぎませんかね、と苦笑する大喜くんは今日も可愛い。ああ、こうして一緒にいられるのが休日だけなんて寂しいなあ。

 とは言えまだ大喜くんには一年ほど学校生活が残っている、猪股家から持ってくる訳にはいかない。さすがの由紀子さんも助走つけて殴ってくるかもしれないな、こないだも『大喜が卒業した後で何しようが構わないけど、今はまだ我慢しなさいね』なんて釘刺されたんだよね、人を何だと思ってるんだろう。 そりゃあまあ、するべき事は済ませてる。キスもその先も、ちゃんと経験した。そういう意味では満ち足りてはいるのだろう。

 でも自宅でまったり何日も、ただただイチャイチャして過ごすのが夢なのに。

 我慢は苦手な性分だ。折れず曲がらず、何があろうと直進だけ。文句があるならかかってこい、が信条で生きてきた。

 そんな私に我慢などと不粋な事をいう方が間違っている、そうだそうだ。

 自身の正しさを再確認し、心機一転の思いを込めて。私は購入したばかりのベッドに敷かれた真新しいシーツへと、勢いよく大喜くんを組み倒す。

 呆れ半分困惑半分の顔へキスの雨を降らせ、しゅるしゅると服を剥ぎ取りながら私は幸福を噛み締めるのだ。

 

 露になった可愛いお臍へ舌を這わせ、チロチロとなめ下ろしていく。大喜くんは恥ずかしそうに顔を背けているけれど、抵抗はしてこない。どうも大喜くんって、強引にされる方がお好みらしい。つまりあの夏の日に弱っているところをうっかり押し倒してしまったのは、今になって考えれば大チャンスだったわけだ。もしあそこで跨がってたら、色々拗れなかったのかもしれない。……いや…………でもダメかなぁ、当時の距離感だと。蝶野さんもまだ大喜くんを好きだった頃な訳だし、余計にこんがらがってた可能性もある。

 まあ過ぎたことだ、忘れよう。今はこうなってるんだ、それで良い。

 顔の高度を落として行くと感じるのは、むっと来る生臭さ。牡の匂い、とでも言うんだろうか。陰毛を掻き分けるながら顔を埋め、舌先でその根源をつついていく。寸足らずの蛇を思わせるオトコノコは既に硬く張り詰め、でも私の舌に刺激され更に屹立していく。大喜くんはこっちも頑張りやさんだ、いつだって力に充ちている。

 大喜くんが上げる喘ぎ声をBGMにして何度も何度もなめ上げては下り、根本まで行ってはまた元へ。苦くて頭がクラクラする、この味がどういうわけかいとおしくなりだして久しい。愛かな、これは。

 口に意識を集中しているからか他の部分はオートパイロット、頭の指示を無視してモゾモゾと脚の間をまさぐってしまっている。滑つく音と太股を伝う粘液を感じ、私は一旦顔を上げてベッドサイドに置きっぱなしな紙箱から買い置きのゴムを引きずり出した。そろそろ買い足さないと残りは心もとない、明日にでもどうにかするか。正直今後を考えたら使わないという選択もあるんだけど、こっちはともかく大喜くんが色々と押し潰されかねないのがなぁ……。変に悩むというか余計な事を考える癖がある子だから、あまり責任とか意識してほしくはない。子供は将来のお楽しみだ、うん。

 ガチガチに勃起し私の唾液まみれとなったオトコノコへと薄いゴムの皮膜を被せ、改めてその先端へとキスを一つ。今日もお願いね、なんてね。

 大喜くんを跨いで腰をゆっくりと……なんてもどかしく、一気にその上へと身体を叩き落とす。大きく軋むベッドに合わせて大喜くんが激しく息を吐き、私の内側は瞬時に大喜くんの肉で埋まってしまう。僅かな壁に阻まれても焼けるような熱気が伝わり、それだけでもう脳が沸騰しそうだ。

 もう言葉さえ話すのが面倒になり、獣のように大喜くんを蹂躙する。ひたすら腰を振り、ただただ大喜くんを貪っていく。お腹の深い部分が何度も押し拡げられ、膣内で風船が膨れ上がっていく感覚。大喜くんが繰り返し何回も射精し、ゴムの中を満たしても尚止まらないんだ。もしここで破れでもしたら、と思うだけで瞼の裏には稲妻が走る。いっそそうなれ、なってくれ。不躾な話だが、私は何処かでそう望んでしまう。……まあ安心のメイドインジャパンだ、まさか破れはしないだろうが。そこが分かっているからこそ、ギアを上げたくなってしまうのかな。

 ぱちゅんぱちゅんと粘りけの強い衝突音を奏で、それでも私は加速する。この瞬間を楽しもう、この快感をもっともっと味わおう。

 吠えろ、荒れろ、輝け。この身体は踊るために、躍り狂うためにあるのだ。

 

 いつの間にやら日も落ちて、窓の外はすっかり夜の空気になっていた。

 すっかり搾り倒された大喜くんはヨタヨタと帰ってしまったし、一人になってみるとこの部屋はやはり寂しいかもしれない。家具も結局足りてない、荷物も半端だ。こうして寝ていると寒々しいな。まあ私もまだ一応猪股家の住人なんだし帰っても良いんだけど、最近は由紀子さんに言われて夜の時間なるべくここで過ごすようにしている。それこそ馴れなければならないのだ。一人の生活に。

 今のうちに生活のペースを掴んで家事をこなせるようにならないと、大学が始まってから生活がガタガタになりかねない。私その辺はお母さんに似て下手だから、早めにどうにかしないとね。あの親を反面教師にして、キラキラした生活を手にしようそうしよう。

 形だけはそう思ってベッドは下りたけど、数歩も歩かないうちに床へと軟着陸してる辺り先が思いやられる。冷たいフローリングが火照りきった肌に心地良い、全裸で寝転がるの好きだな。人がいたら絶対出来ないから、尚更。

 さて、明日はどうするかな。

 一応登校するつもりだけど、多分クラスメイトと昼までダベって皆でご飯食べに行って終わりだろうな。自由登校というのは本当にする事がない、部活も出来ない。さすがに引退したババァが毎日ずっと参加してたら後輩たちが萎縮するから止めな、とかなんとか渚も言い腐るからね。ババァじゃないやいピチピチだい、いやビッチビチでなくて。……そりゃまあ皆が成長する機会を奪うのは確かに忍びない、小姑付じゃ練習もしづらかろう。適当なところで切り上げないと、世代交代できないか。諸先輩方だって、こんな風に思ったりしたんだろうな。

 しかし学校行くの止めてここにいるのは暇すぎる、でも猪股家で由紀子さんたちと過ごすのもちょっと気まずい。花恋も花恋で妹ちゃんが笠原くんの家に押し掛け女房するようになってから針生くんと同棲始めて、遊びにいくとなんか微妙な空気になるんだよね。歓迎はしてくれるけど。

 ああ、お腹が空いたな。そう思いながらも身体は横たわったまま、指先は胸をまさぐり始める。さっきまでの余韻が頭の奥で色付いて、どんどん四肢が火照っていく。

 気兼ねがない一人暮らしはつまり、性欲をもて余したら即発散出来てしまう訳だ。目を閉じて大喜くんの姿を思い浮かべながら肌の上をなぞり、爪の先で乳雲を掠める。オナニー覚えたての頃から、こうしてじらすように胸を弄るのが好き。大喜くんに吸って貰うのも勿論好きだけど、勘所が分かっている自分の指はやはり格別。……教えたらやってくれるかな、大喜くん。今度試そう、色々仕込んでみたい。でも私エキサイトすると人語を介さない感じになるから、やっぱり難しいかな……。

 それはそれとして、今はこっちに集中だ。

 親指と人差し指の爪を使い、痛みと痒みの中間くらいの強さで乳首を挟み上げると思わず声が漏れそうになる。そう、これだ。こうやって爪を食い込ませてクリクリといたぶると、その質感が変わり出す。張り詰める肉は隆起し、自己主張を始めるのだ。

 両乳首はピンと勃って、爪を弾かんばかりにその偉容を示している。そのままコロンと寝転んで乳首の先を床へと押し当てて、私は思いきり――それを捏ね潰した。

「っ、ぁ……ぁぅ…………」

 潰れ挟まれ痛みが走る、それに両胸を掴んで俯せになった今の私はさぞかし間抜けだろう。でも、だからこそ頭が痺れるほど気持ちいい。いつかこれを、大喜くんにしてもらおう。その時は体制的に、これとは逆だろうな。仰向けになった私に大喜くんが覆い被さり、全力で胸を攻めてくれる。ああ、良いなあ。すぐにでもしたい、してほしい。

 妄想は脊椎を通って身体を駆け降り、お腹の奥から溢れ出す。腰をくねらせると聞こえるのは淫らな水音、床材に染みられると困るけどこればかりは止まらない。名残惜しさを感じながら手を乳首から外し、腰を浮かせて私は、……両(・)方(・)の(・)人(・)差(・)し(・)指(・)と(・)中(・)指(・)を(・)肉(・)の(・)裂(・)け(・)目(・)へ(・)と(・)思(・)い(・)き(・)り(・)捩(・)じ(・)込(・)ん(・)だ(・)。

 決して外気を感じてはいけない部分を全力で割拡げ、力尽くで内臓をさらけ出す。もし今後ろから見たなら、子宮口まで丸見えになっているだろう。

 少しでも深く指を入れたい、奥まで拡げたい。大喜くんに見てほしい、私のすべてを。そして叶うなら、この先へと大喜くんを受け入れたい。子宮の奥まで愛されたい、卵管まで大喜くんの精液に充たされたい。次々と沸き上がるイメージはどれも抽象的で、だけども凄まじい勢いで性感を掻き立ててくる。

 ひたすら攻め続けたさっきとはベクトルが違う快感が吹き上がり、目の前は真っ白になっていく。弛緩していく身体はもう制御できず、そのまま崩れ落ちるばかり。

 快楽に沈む中で囈(うわごと)のように垂れ流すのは、大喜くんへの愛だけだった――。

 

 一人暮らしは独り暮らし、それは当然のこと。家事は自分でするしかない、誰もやってはくれないのだ。

 オナニー後そのまま失神するかのように寝てしまった場合、目を覚ましてから自力でなんとかしないといけない。

 ……うんまあ、私が悪いんだけどさ。

 風邪を引かない事が取り柄の私だから健康上は問題ない、でも精神的にはかなり凹んでいる。明らかに潮だけではない量の液体にまみれて迎えた朝は不愉快だし、床も心配だ。せめてバスタオルでも敷けば良かった、あーでもそれだと乳首がなぁ……。先端を堅いものに擦り付ける方が気持ちいいから、タオルでは少し刺激が弱い。

 あとご飯も食べずに寝たからかちょっと体力が落ちてる気がする、なんか食べたい。しかしこんなガビガビなままご飯食べるの嫌だな、シャワーくらい浴びないと。

 とりあえず身体を洗って適当に食べて、そしたら片付けるか。……落ちるかなぁこれ……。敷金帰ってこないかも……。

 ま、どうにかするさ。やることが多い方が人生に張りが出来る、今日も忙しくなってなによりだ。急いで一通り終わらせて、学校行って大喜くんを愛でよう。付き合ってると公言して久しいんだし、それくらいは許されるさ。

 さぁ頑張れ私、頑張れ今日も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……千夏さんさあ、なんか生臭いんだけど。また彼氏君搾り取ってた訳?」

「菜種と大喜くんは搾れば搾るほど出るからねっ」

「その内腎虚で死ぬよ彼氏くん」

「それは困るなあ、まあでも死に水は取るつもりだし同じお墓には入る予定だよ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。