上手くいっているのかいないのか、それも最近はよく分からない。まあ比較対象がないからってのもあるけど、何だかんだで破綻せず回ってはいるし問題無いっちゃ無いのかな。
好きな人と両思いになって付き合いだして、愛されまくって。こんな幸せな事も無いんだろう、これを変に思うのは不満がないのが不満という贅沢な現代病かもしれない。
だけど、でもなあ。する事してはいるんだけど、どうにも腑に落ちない気がする。
どうにも俺は――こういうのに慣れていないからだろうか、何と無く何処と無く違う気がする。全力で押してくる千夏先輩に、戸惑ってしまう。
拒絶する事は無いけど、それでも違和感は拭えない。
まったく、無い頭で無駄に考えても仕方無いのにな。無い無いばかりでキリが無い、とりあえずは悩むのを止めよう。
どうせ千夏先輩は、何をいったって聞かないだろうから。
一日の終わりを同じベッドで過ごすようになって、もう半年になる。千夏先輩は相変わらずお尻ならセーフ、とか言って憚らない。親にはバレているのかいないのか、いやバレてるだろうな。終わってからシャワー浴びに降りるんだし、絶対分かってる。なのに何も言ってこないのはちょっと気になるけど、まあ別れさせられたり同居解消とかならないのは助かっている。
どうにかこうにか夏も終わり、部活も一段落して季節は過ぎていく。先輩にとって高校最後の夏は終わったけれど、俺達の関係はきっとこのまま続いていく。先輩が卒業してここを出ても、多分ずっと。
――本当にそれで良いんだろうか。
俺には女子の気持ちなんて分からないけど、でも
だけど、それをどう言ったもんだろう。急に嫌がったりしたらそれこそ千夏先輩を傷つけてしまうし、やんわり言って通じるとも思えない。
あれこれ考えながらも、夜は来る。
隣に腰掛けて俺をしごく千夏先輩の手は柔らかくしなやかで、悩む気持ちさえ融かしてしまいそうになる。
「今日は大喜くんお疲れみたいだし、手でするだけにしようか。疲れが残らないならセーフなんだし」
千夏先輩はいつだって俺を気遣って、蕩けるように愛してくれる。今だってそうだ、それは分かっている。
分かっているからこそ、消えかけた理性をかき集めて俺は意識を先輩へと向ける。ここで言えないなら、なんのための告白だ。
「あ……の、先輩。何に言い訳してるんですか」
千夏先輩の愛情表現はエスカレートし続けて、でも本人はブレーキをかけているつもりでいる。何処かで致命的な何かが起こってしまっている、としか思えない。そしてその原因はきっと、俺のなかにあるのだ。それを見ないようにして、言っても仕方がないからと黙ったままでいた。
もし途中でそれに気が付いていれば、こんな風に自分を粗末に扱わせるような事をさせずに済んだのかもしれない。
「先輩が嫌なら、無理をしないで良いんですよ。付き合ってるからって、しなくちゃいけないって道理も無いです。先輩、本当は……どうしたいんですか」
見つめ合う視線は絡み合い、困惑の色は少しずつ決意に変わっていく。
俺は先輩と、したい。でも先輩が自分を抑え込んでまで俺のために身体を
言葉に出来ないならそれでも良い、真意が知りたい。
何秒か沈黙し、少しだけ首を傾げて千夏先輩は。
「――男の子って、こういう風に女の子からされるのが好きなんだと思ってた。えっちなことはしたいけど責任とりたくないのが男だ、って聞いたし私からグイグイ行く方が大喜くんも嬉しいのかなって」
ポカンとした顔でとんでもない事を言いくさったのだ。いや、いやいや。いやいやいやいや、アホですか貴女は。
そりゃあ俺だって男の子だし、こういうのは正直……好きか嫌いかで言えば大好きだ。でもそれは、千夏先輩の気持ちより優先して良い事じゃない。
何処のどいつだ、俺の先輩に余計な事を吹き込んだのは。
ああ、でも。話は本当に、単純な事だったのか。
俺はただ言えばよかったんだ、素直な気持ちを。それだけで済むのに、何で長々と考えてしまったんだろうか。
「俺は千夏先輩が、好きです。だから千夏先輩が嫌なことは、してほしくないんです」
そう、俺にあるのはその想いだけ。バカが無い頭使ってどうする、ストレートで良いんだ。
こうやって真っ直ぐに伝えれば、きっと通じる。あの時だってそうだった、悩んで悩んで悩み抜いて尚も悩んだ末に俺は千夏先輩に告白したんだ。負担になりたくない、迷惑をかけたくない。それでも俺は、伝えたかった。この胸の中にある想いを。そしてそれと同じくらいに俺は、千夏先輩の想いを受け止めたかった。それが拒絶であろうとも、本心であればそれで良かったんだ。
いつの間に俺は、変な気を遣い始めたんだろう。それが良いことの筈は無いのに。
千夏先輩は少しだけ驚いた顔で、俺を見詰めてそして。
「そっか、そうなのかー。じゃあ、
……またしても信じられない事を言い出した。
いや待って千夏先輩、ベクトルそっちなんですか。無理どころか今までは俺に合わせて抑えてたんですか、て言うか俺をなんだと思ってんですか貴女は。
息が吐けない程動転する俺を、千夏先輩が優しく抱き締める。
「私はこれからもずっと、大喜くんと一緒にいたい。子供欲しいし結婚したい、死に水取ってあげたいし同じお墓に入りたい。でもそんなの、……重いんじゃないかなって。もっと気軽に、遊びでえっちするくらいが――セーフなんじゃないかなって、思ってたんだ」
だからこそ、そう思うからこそ。ただ勢いに任せて、身体を合わせあった。あれこれ俺が考えないように、うんと軽く。
そう、か。そうだったんだ。千夏先輩も、いつかの俺と同じだったんだ。相手の気持ちを推測するだけで知ろうとせず、一人でどうにかしようとしていた。花恋さん曰く壁打ちだけの人だった。起きてもいない事を悩んで縮こまっても、仕方がないのに。
全くお互い、どうしてこうもバカなんだろう。
でも俺は分かってる、ここで言うべき言葉を。
「大丈夫、です。俺は千夏先輩が好きですから、全力で受け止めますよ。ちょっとやそっとじゃ潰れません、ドンと来てください」
重かろうが何だろうが、そんなの大したことじゃない。……よっぽど特殊じゃない限りは。そりゃまあお婿に行けない身体にされたら困るかもだけど、どのみち千夏先輩が貰ってくれるんだから構わないか。
好きは最強の感情なんだから、さ。
息も出来ないほど粘っこく濃厚なキス、当たる鼻息は温かい処か焼けるほど熱い。千夏先輩の目は虚ろな光を宿し、その理性がドロドロに蕩けてる事がハッキリと分かる。全力で俺を愛する為の、遮二無二構わないし後先も考えない本気の発情。
シーツの上には既にベットリと愛液が染み付き、それでも止まらず失禁したように溢れ続けている。千夏先輩は俺を気遣うだけじゃなく、こうなった自分を見せるのが怖かったのかもしれない。俺もそうだったから分かる、好きな人の前で自分の欲望をさらけ出すのは勇気がいる。
でもきっと大丈夫、だって俺たちだから。
今まではあまり触れなかった秘裂へと指を這わすと、まるで食い付くように俺を呑み込もうと躍起になってくるのが感じられた。千夏先輩はこっちの口も貪欲なんだな、と思ってしまうくらい。
今までこっちを使わないようかわしてきたのは、重い関係になると俺の負担になるから。もし
触れている指の感触が気に入ったのか、千夏先輩は唇を放しながらゆっくりと体制を入れ換えていく。俺の足の方へと頭を向け、代わりに下半身を俺の目の前へとさらけ出す。……と言うか、俺の顔に座るような姿勢に近い。シックスナインとか言うんだっけ、これは。
ムッと来る牝臭さ、ダラダラと溢れる粘液が顔を垂れ落ちていく背徳感。それを味わいながら俺は、千夏先輩のもうひとつの唇にキスをする。酸味の強い味を感じつつも舌を目一杯伸ばして触れていくのは、千夏先輩の内側。それに呼応するように、千夏先輩もまた俺へと舌を這わせているのが粘膜の感触で分かった。舐め合うというより貪り合う、そんな獣じみた交わりはどれくらい続いたか。
千夏先輩は俺から口を離して仰向けになり、視線を合わせてそして。
「ん……そろそろ、さ。
大きく開いた足の間、その中心をグチュリと手で割り拡げる。
湯気さえ立って見える裂け目へと導かれるように、俺は自身の先端を向けそのまま――腰を突き立てていた。硬い入り口を抜けると柔らかく締め上げてきたお尻とはまったく違う、全体から万力で潰されるような圧倒的な質量。直腸には感じなかった、
「ぅ、ぁ……。そっか、こ……っちは最初、痛いとか……聞いた、なぁ……」
薄く眉をしかめて痛みを堪える千夏先輩を気遣いたい、でもそこまでの余裕がない。蠢く内壁が俺を責め立て、追い込んでくるから。脊椎を鑢で削られているようなゾワゾワした快感も手伝って、目の前は白く染まっていく。
頭の奥が光に弾けて、ただ身体だけが本能だけで動き続けた。根元まで完全に埋まるお尻と違って、深く入り込んだときに先端が肉質の違う部分に突き当たって、その度に千夏先輩の口からはくぐもった声が漏れて教えてくれる。ここが一番奥、もう進めないと。
でも俺は、もっと先まで進みたい。千夏先輩の中をもっともっと知りたい、愛したい。
その想いで何度めかの突貫を敢行した時、それまでとは違う感触がやって来た。輪のような部分の間に入り込んでいるような、狭い狭い場所を抉じ開けていくような。
「う"ぁ……っ」
千夏先輩が歯を食い縛る、その音と共に。さっきまでの行き止まりを突き抜け、俺は更に深く千夏先輩の中へと入り込んでいた。
何が起きたのか、勿論見えるわけがない。でも熱く先端を包み込む粘膜の形が、ガクガクと震える千夏先輩の身体が、教えてくれる。俺が今貫いたのは、先輩の子宮口。千夏先輩の奥の奥、これ以上無い最深部に、俺は到達したのだ。ガッチリと幹に噛み付く子宮口は俺を離そうとせず、引いても押しても子宮全体を揺さぶる形になって千夏先輩を獣のように喘がせる。それに促され、俺の口もまた愛を叫び続けていた。
下に聞こえようがどうなろうが、知った事じゃない。セーフもアウトもない、それで良い。だって、好きなんだから。
粘つく抽挿音と切れ切れの嬌声をBGMに繰り広げられる狂おしい大騒ぎにも、段々と終わりが近付きつつある。煮えたぎる衝動が背筋を焼き、尿道へと殺到していくのが分かる。今このまま射精したらどうなるか、そんなのは考える間でもない。でも、だからこそ。俺はそうしたい、そうなりたい。愛している、それだけを理由に。
瞬間ドクンと心臓が強く脈打ち、それを合図にしたように。
「あ、ぁー……ぅぁ……っ」
魂まで弾け飛ばす程、激しく熱い射精が始まった。迸る精液の勢いでもまだ子宮口は俺を離そうとせず、一滴も溢すまいとホールドし続ける。
後から後から沸き上がる精液を飲み干し、それでもまだ足りないと吸い付いてくる子宮の感触は更に射精欲求を誘いドクドクと放精が延長されていく。そのせいで子宮自体が膨れ上がっているのだろう、僅かずつではあるけれどお腹の動きでそれを感じ取れる気がした。
これで本当に結ばれた、そう満足しながら俺はゆっくりと瞳を閉じ――ようとしたけれど。
千夏先輩の視線は、告げていた。もっとしようと、と。
そりゃあ、それならば。こっちも更に頑張る、千夏先輩が悦んでくれるなら。
嵐のような一夜が終わり、俺たちはそこから今も尚駆け抜け続けている。棚上げにしていた話を片っ端から引っ張り出しては泣いてすがって歯茎を剥いて、力尽くでどうにか型をつけたりつけなかったり。それでもお互い弱音を吐くこと無く、言いたいことを言いながら二人でどうにかする日々が続いているのだ。
もっと早くこうしていれば、と思いはするけど過ぎたことは過ぎたこと。とりあえず一つずつ片していくしかない。
あれこれ感付いたらしい雛に殴られたり何故か守屋マネにまで殴られたり色々と問題は起きたけど、二人揃っていたら意外となんとかなる。て言うか何で俺のそばにいる女子はノータイムでまず殴ろうとするんだ、筋肉はゴリラ牙もゴリラ燃える瞳は原始のゴリラなのか。それはゴリラだろうか、あとゴリラパワーは禁じられた力だろ。
……まあ、それはそれとしてだ。
嘘も気遣いも無し、と決めてからは何度も喧嘩したし失敗もした。それでも幸せなのは、きっと後悔のしようがないからだろうな。
これからどうなるか、それは分からない。分からないけど、人生どうにかなるもんだ。
歪で不確かな道でも、手を繋いで歩けばそれで良い。真っ直ぐ前だけ見ていれば、迷子になったとは思わないものだ。
傍からどう見えるかは知らないけど、さ。