雪崩に巻き込まれ、意識がなくなっていた。
それを自覚出来ると共に、ゆっくりと起き上がろうとする。
「うっ」
雪崩によって消費した体力はあまりにも多すぎたのか、ゆっくりと起き上がる。
周りを見る。
見ると、かなり狭い部屋だった。
部屋の隅にはベッドがあり、その横には机がある。机の上には何も乗っていない。
そして窓はなく、扉だけが一つあるだけだった。
この部屋には家具以外に何もなかった。
「ここは……どこ?」
見渡す限り、ボロい木造の小屋だと分かる。天井には蜘蛛の巣があり、床板には穴がある。
「起きましたか?」
聞こえた声、それと共に見つめる。
そこにいたのは雪を思わせる白い髪をした女性だった。
「あなたは?」
「私は、この周辺で住んでいるユキノです」
そう言いながら、彼女は深々と頭を下げる。
「本当にありがとうございます。
おかげで、助かりました」
「いえ、ただ、その、帰り道の途中でしたので」
そう、ユキノさんは言った。
「そうでしたか、だけど、本当に助かりました」
「いえ、その、まだ吹雪が続いていますので、しばらくはここで休んでいてください、それでは」
それだけ言うと、ユキノさんはそのまま部屋から出て行った。
どうやら、この小屋の持ち主であるらしい。
それから、ユキノさんには、色々とお世話になった。
食事などを用意して貰い、世話になっている。
「なんというか、何から何まですいません」
「いえ、ここでずっと1人でしたので」
そう言ったユキノさんは、どこか懐かしい表情をしていた気がした。
「1人ですか」
「えぇ、以前は旦那と一緒に。ただ、今は」
「あっ」
その言葉と共にユキノさんの旦那さんが既に亡くなっていることを知った。
ユキノさんもショックだったようで顔色が悪かった。
僕はどうすればいいのか分からずただ黙って座っていることしかできなかった。
「その、吹雪が止むまでの間まで、ここに居ても構いませんか?」
「はい……どうぞ、ごゆっくりしていってくださいね」
「あ、ありがとうございます」
そう言って微笑んだユキノさんの笑顔はとても美しかった。
そして……。
「ふんっ」
「えぇ!?」「っ!」
ボロ小屋の壁をぶち破る音。
それと共に見えたのは、グリムだった。
大人の姿となっているグリムは、その手に猟銃を持っていた。
「グリム、無事だった」
「あぁ、さすがに雪崩に巻き込まれた時は危なかった。まぁ、それよりも」
そのままグリムは、その猟銃の銃口をユキノさんに向けていた。
「えっグリム」
「離れてろ、そいつは、雪女だ」
「雪女って」
確かにユキノさんの特徴は雪女と言えば、納得できる。
でも、それでいきなり銃口を向けるのは。
「野蛮ですね」
「まぁな、お前のように、雪崩を起こして、襲う奴には十分だろ」
「えっ」
それには、僕も驚きを隠せなかった。
「本当ですか」
「・・・この周辺の雪を降らしているのは、確かに私にも要因があります。ですが、あなたに害を与えるつもりはありませんでした」
「というと」
「あなた方の噂は聞いています。ブラックドッグの主とされるバーゲスト。そして、数多くの存在を容赦なく退治した狩人グリム」
「私の事を知っていたか」
それには、グリムは驚きを見せずに言う。
「人間であるはずなのに、化け物以上に容赦のないあなたと一緒にいて、この子が待つのは不幸だけです。
だから」
「だから、自分が守るとでも言うのか、雪女」
それと共に、グリムは容赦なく言う。
「悪いが、彼は私のだ。お前の人形じゃない」
「もしも、連れて行くのならば」
それと共に、まさに戦いが始まろうとした。
「ユキノさん。ごめん、僕は、僕自身の意思でグリムと一緒に行くよ」
「何を言っているんですか、彼女は」
「だとしても、僕はグリムと一緒に行かなきゃいけないだ。
それにグリムは、何度も僕の命を救ってくれた恩人だから」
「・・・意思は硬いようですね」
そう聞くと、ユキノさんは納得するように、頷く。
「グリムも、お願いだ。彼女は僕を助けてくれた恩人だから」
「そもそも、こいつのせいで命の危機だったが」
「それでも」
そう、僕はグリムに頼む。
それを見て、グリムはしばらく考えた後に。
「・・・はぁ、君は甘い」
それだけ言うと猟銃を鞄の中に仕舞う。
「バーゲストも、すぐに来る。
この吹雪、止むのにどれぐらいかかる」
「・・・明日には」
「ならば、しばらく泊まらせて貰う。
もしも、何かすれば、容赦なく退治する」
それだけ言い、グリムもまた座る。
どうにか、荒事にはならずに済んだと喜びべきだろうか。
次回作のジャンルは
-
時代劇
-
世紀末
-
ロボット
-
カードゲーム
-
ファンタジー