村から離れた。
ペロー君が、見張りに近い山小屋へと案内してくれる為だった。
だが、その道中において、グリムは未だに僕に抱きついたままだった。
「ここが山小屋だ」
「その必要はない。
既にある程度、目星はついている」
「はぁ、どういう事だよ」
グリムの言葉に対してペロー君は疑問に思って、首を傾げる。
「人狼はあの中にいる。それは彼が証明している」
そうグリムは僕の頭を撫でるように言った。
「人狼があそこにいるって、どういう事なんだよ。
第一、なんでその人が証拠になるんだ?」
「そうだな、一言で言えば、彼は人外にとっては極上の餌だからだ」
「極上の、何を言っているんだ?」
グリムの言葉に対して、首を傾げながら言う。
「彼は私と出会ってから1週間。
その間に、数多くの化け物に襲われた。
悪霊、ブラックドック、雪女。
そんな存在に、まるで引き寄せられ、そして喰らうように現れた」
「えっ」
これまでの道中で出会った存在に対して、グリムは言った。
それにはさすがにペロー君も驚きを隠せなかった。
「君はさっきから私がこうして抱き締めている理由が分からないと言ったな。簡単な理由だ。あの場で、既に人狼が彼に狙いを定めた。その瞬間から、彼は恐怖で身体が震えていた」
「……」
幾度となく、死線を潜り抜けた。
だからこその、経験によって、僕は自分を狙う存在に身体が震わせてしまう。
「それは、本当なのか」
「あははぁ、まぁ、僕も、普通だったら信じられないからね」
ペロー君の疑問は最もだと思う。
「いや、別に信じない訳じゃないよ。
けど、皆、いい人で、優しいから」
「……そうだね、確かにいい人かもしれない。けど、いい人が犯罪を犯さないとは限らないんだ」
「えっ」
ペロー君は、僕の言葉に対して、思わず眼を向ける。
「人狼はある日、突然なる。それが、その人にどんな影響をもたらすか分からないから」
「……え?」
「もし、君がその人狼だったらどうする? 君がなりたいと思う?」
「……いや、そんなこと、考えたこともないけど」
「あぁ、そうだ、普通の人間だったら、分からない。だからこそ、人狼になった時の空腹感。それらが、何より怖いんだ……。だから」
僕は、それ以上、ペロー君に話す事はできなかった。
それが、どれ程、恐ろしい事実なのか、分かっていた。
それでも、僕は立ち向かわなくちゃいけないんだ。
絶望に立ち向かう為に。
僕には、それくらいしか出来ることがないから。
そんな時に聞こえた悲鳴。
それが、何を意味をするのか、察する事ができた。
「人狼か」
グリムの一言と共に、既にその危機的状況に理解した。
「仕方ありません、3人共、私に乗って下さい」
「えっバーゲストさん!?」
その言葉と共に、バーゲストが僕達を抱えた。
普通の人間ならば、不可能に近いだろう。
そのまま、僕達は、真っ直ぐと悲鳴をあげた場所へと向かって走り出した。
「バーゲストさん、一体何者なの?」
「それは、今は、話せません、すみませんが」
そう、バーゲストが言いながら、真っ直ぐと目的地に向かって、走る。
次回作のジャンルは
-
時代劇
-
世紀末
-
ロボット
-
カードゲーム
-
ファンタジー