「本当に、こっちに行ったのかい?」
「あぁ、間違いない。何よりもこの匂い。間違いなく上物だよ」
そう言いながら、三匹の人狼は、匂いに釣られ手向かっていく。
既に人狼狩りの狩人が来ている事は知っている。
彼ら自身を退治する専門家が来ているという事は既に分かっている。
だが、彼らはそれが分かっていながら、向かってしまう。
人狼狩りと一緒にいた少年。
そこから放つ匂いに、既に我慢ができなくなった。
「兄ちゃん、あの人間、なんだかとっても美味しそうだったよぉ」
「あぁ、ナラオイア、あそこかからだ、間違いない」
そう、笑みを浮かべながら、辿り着く。
「ここは?」
「村外れの洞窟だよ。いざという時の避難場所だけど、まさかこんな所に隠れるなんてねぇ」
それを聞きながら、洞窟の中に入る。
「奴らの匂いは?」
「しないよ、この先からのあの人間の匂いだけだよぉ」
そう言いながら、笑みを浮かべる。
ずっと満たしたかった空腹。舌の上で転がるだろう肉の味。
それを想像しただけで、既に3匹の人狼は笑みを浮かべていた。
やがて、訪れた場所。
そこには少年はいた。
「いたよぉ、兄ちゃん」
「あぁ、いたよ、あいつがいた。
しかも、血を流れているよ」
そう、彼の手から僅かに血が流れている。
それに対して、3匹の内、二匹は笑みを浮かべていた。
だが、細身の人狼だけは違った。
「おい、どういう事だよ、なんでお前がそこにいるっ!?」
だが、それよりも見つめた先には、グリムがいた。
この場所で、いないはずの狩人に人狼は驚きを隠せなかった。
「彼の血の匂いは強力らしい。そのあまりにも甘美な匂いで、身体に一滴でもあれば、それで匂いが分からなくなる」
その言葉と共にグリムの表情は怒りに染まっていた。
「だからこそ、彼を傷をつけるような事をしたお前達を許すつもりはない」
「何を言ってやがる!こんな逃げ場のない場所で」
「逃げ場がっ」
その言葉と共に、細身の人狼は気づく。
見れば、自分の足下には、何時の間にか鎖があった。
それが、瞬時に自分達の脚を絡ませた。
「シナリオ通りだな」
その言葉と共に、グリムは少年を抱え、その手にフックショットを持ち、洞窟に向けて放つ。
そのまま人狼達の上を飛ぶ。
「待って、俺の獲物ぉ!」
叫び、求めるように手を伸ばす。
だが、それよりも、彼らの前に貝が落ちる。
貝から放たれる煙が、彼らを包み込む。
それだけではない。
カチカチ。
聞こえてくる小さな音。
それと共に見れば、先程までグリム達がいた場所には爆弾があった。
「ばっ爆弾っ、すぐに」
それを言う前に、既に洞窟の入り口の前にいたグリムの手には身の丈はあるだろうハンマー。
それを、洞窟の入り口を叩く。
洞窟は、入り口が瓦礫で崩れ墜ち、人狼達を閉じ込める。
そして
「ふぅ」
グリムのため息と共に、爆発する。
充満したガスもあるが、洞窟の入り口にある瓦礫が、人狼達を逃さなかった。
それによって、確かな勝利を得た。
「まったく、君が囮になるとはな」
「でも、これが一番、犠牲が少ないやり方だから」
苦笑いする彼に対して、グリムはそのまま抱き締める。
「悪いが、そんな無茶をした君には、私からお仕置きが待っている。覚悟、して貰うぞ♡」
次回作のジャンルは
-
時代劇
-
世紀末
-
ロボット
-
カードゲーム
-
ファンタジー