森を抜ける事ができた。
長い森の中で、体力が切れそうになりながらも、辿り着いた先。
「ここは」
「どうやら、都会のようだな」
グリムの言葉と共に僕は周りを見る。
その場所は、一言で言えば、霧の街。
推理小説で有名なシャーロック・ホームズが舞台となる街、ロンドンを思わせる光景。
ただ、その街並みは煉瓦造りの家々が並ぶ西洋風なものではなく、石畳の道に石造の建物が立ち並ぶ古都の雰囲気があった。
そして何より目立つのは、大きな城だった。
ヨーロッパ風の中世ヨーロッパの建物ではなく、まるで漫画に出てくるような洋館のような巨大なお屋敷があるのだ。
僕達はそんな街の中へと入っていく。
街は静かで人気がなかった。
誰もいない。いや……誰かがいたような気配はあるけど、その痕跡だけが残っていた。
まるで幽霊のように。
そして、この街にはボク達以外の人間は一人たりともいなかった。
僕達はこの広い街の中でたった2人だけで行動していたんだ。
「……さすがに奇妙だな」
それと共にグリムは鞄から猟銃を取り出す。
普通ならば、こんな街の中で猟銃を取り出すのは可笑しい。
だけど、ここは普通の街じゃないんだ。
この街では常識なんて通用しない。
僕にとって、この世界そのものが非日常なんだから。
そして、それが、迫ってきた。
「なっ」
それは、僕の眼前まで迫っていた。
黒いコートの少女。
それは、おそらくは背丈はグリムと同じぐらいだろう。
そんな少女が、僕の顔に向けて、ナイフを振り下ろそうとする。
「ふんっ」
そんな少女に対して、グリムは猟銃を、躊躇無く、振った。
バットのように振られた猟銃の威力は凄まじいのか、少女は大きく吹き飛ばされた。
「手応えがない。あいつ直前で後ろに飛んだな」
グリムは、そう言いながら、猟銃を先程襲ってきた少女に向ける。
「うわぁ、すごいすごい! さっきのを止めるなんて、凄いねぇ、お姉さん!!」
少女は、そのままグリムに向けて、笑みを浮かべる。
「……悪霊か、面倒だな」
「悪霊、あの子が?」
グリムの言葉に疑問に思い、目を向ける。
悪霊という言葉通り、確かに先程、襲われた時の殺気は凄まじいものだった。
「仕方ない、一旦逃げるか」
「逃げるって、どうやってっ」
そうしている間にも、女の子は、真っ直ぐとこちらに襲い掛かる。
それに対して、グリムは鞄から取り出した物を投げる。
「目を瞑れ」
その言葉と共に、僕はすぐに目を瞑る。
それと同時に襲い掛かってきたのは光の衝撃。
同時に、何かに捕まった。
「グリムっ」
それは大人になったグリムだった。
「ふむ、やはり制限時間があまり感じないな。
とにかく、今は情報を集めるぞ」
「情報って」
そのままグリムは僕を抱えたまま言う。
「悪霊を退治するにも、準備は必要だ。
何よりも、対処を間違えれば、危険だ」
それと共に、グリムは、そのまま走って行く。
ただ、その間、どういう訳か僕の頭を胸に押しつけていた理由を聞きたい。
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