※この作品はR-18です。

俺は姫属性で、ヒロインはヒーローです   作:ボルメテウスさん

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誘拐

「それで、身体の調子はどうだ?」

 

「あぁ、なんとか」

 

 そう言いながら、僕はゆっくりと準備運動を行いながら、グリムからの問いかけに対して答える。

 

 既に身体にあった送り狼の呪いは消え失せており、今では普通に動くことが出来る。

 

 日ノ本からずっと続いていた痛みもすっかり治まっており、今は体調も万全である。

 

「……無理は禁物だからな」

 

 そんな僕の様子を見たグリムは、ほっとしたように息をつくと僕の前へとやってきた。

 

 その様子には普段のような覇気はなく、本当に心配していたのだろうという事が分かる。

 

「もう大丈夫だよ」

 

 彼女のそんな姿を見ていたら、自然と笑みがこぼれた。いつも通り、クールな彼女に戻ってしまったけれど。それでも、幸せだった。

 

「それにしても」

 

「どうしたの?」

 

 それと共にグリムは、既に冷静さを取り戻すと共に疑問に思ったように腕を組む。

 

「日ノ本で戦った送り狼、この地で戦った二つの頭を持つ人狼。

 

 長年、人狼を狩り続けたが、ここまで特殊な個体と遭遇するのは、初めてだ」

 

 そう、これまで戦った人狼達の事を、思い出す。

 

「それって、やっぱり人狼も進化しているという事かな?」

 

「かもしれないな。これから先の戦いでも、おそらくは出現する可能性はある」

 

 ここまでの戦いでも、十分死にかけたが、何とか生き残ったのだ。あの時よりももっと死にかけながら。あの時以上に死にかけていながら。

 

 だけど、本当によかったと思ったんだ。彼女が無事でいて。それだけが嬉しかった。

 

「それで、これからどうする?」

 

「人狼に関して、少し整理したいからな。とにかく本部にっ」

 

 そうグリムが呟いた瞬間、何か掴まれる感触が、僕を覆った。

 

 何が起きたのか、分からず、困惑する僕らを他所にすごい勢いで引き込まれる。

 

「待っ」

 

 グリムが、こちらに手を伸ばすが、すぐにその姿が見えなくなってしまう。

 

「まさかとは思ったが、本当にお前がこの世界に介入していたとはな」

 

 聞こえた声、同時に見上げれば、そこには、人狼がいた。

 

 それも、その大きさはかなり高く、まるで山を思わせる大きさの人狼がそこにいた。

 

「お前は一体」

 

「リュカオン、人狼の首領だ」

 

 そして、それが現在僕を掴んでいるモノの正体だった。

 

「僕を食べるのか」

 

「本当ならば、そうしたい所だが、お前を食らえば、この世界は終わるからな」

 

「世界が、何を言っているんだ」

 

 まるで言っている事が分からず、僕は首を傾げる。

 

「疑問に思うのも無理はない。この世界に来る際に、お前はその記憶を消された。それ故にお前には持っているのだよ、世界を再構築する力を」

 

「そんなの、持っている訳ないだろ」

 

「持っているのだよ、神である君には」

次回作のジャンルは

  • 時代劇
  • 世紀末
  • ロボット
  • カードゲーム
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