「神?」
その言葉を聞いて、僕は思わず首を傾げてしまう。
「神と、私達はそう呼んでいる。
なぜならば、それが一番分かりやすく、そして、そう言えるだけの力を持っていた」
「そう言えるだけの力って」
僕は、そのまま奴の言葉を否定しようとした。
だが、それを聞かずに奴は、続ける。
「神であるお前達は、私達を見て、楽しむ。
人間と怪物の戦いを。
そして、もしも、それがつまらなければ、お前達は再構築して、やり直す」
「だからって、なんで僕がっ」
「ならば、反対に問おう。
君は、自分自身の名前を言えるのか?」
「えっ」
それに対して、僕はすぐに言おうとした。
そんな当たり前の事を言えるはず。
だけど。
「あれ?」
「君は、君自身の名前を知らない。
それは、君がこの世界に来た際に、不要な物だとされ、消されたからだ」
同時に、思い出すのは、僕がこの世界に最初に来た時の、部屋。
あの時、僕に行われたのは、そういう事だったのか。
「それじゃ、もしかして、人狼も、怪物も、全部」
「あぁ、貴様が造り出し、そして苦しめさせた物だ」
その言葉に、僕は、何も言えなかった。
「お前は、外側から見るだけではつまらなく感じた。
だから、自分自身も、その体験をする為に、入り込んだ。
奴らも、お前がこの世界に入れば、それを利用して、世界を安定させようとした。
とんだ、茶番だったがな」
「・・・」
それに対して、僕は、何も言えなかった。
奴の言葉は、どこまで真実か分からない。
だけど、確かにそれを肯定させるだけの証拠がある。
ならば、僕は。
「そして、今、神は我が手の中にある。
さて、神よ、そのまま世界を貴様の道楽のままにするか?」
「・・・」
僕は。
「貴様が生きている限り、この世界の悲劇は起こり続けるだろう。
ならば、貴様が死ぬ事で、解決するはずだ」
「・・・」
生きる価値は、あるのか。
「だから、貴様は俺に食われて「死なせると思ったか」がぁ!?」
聞こえた声。
それと共に、リュカオンが何かに吹き飛ばされた。
それは、スラリンガルだった。
スラリンガルが、暗闇の中から突然現れると共に、リュカオンを吹き飛ばした事によって、俺は地面に落ちそうになる。
だが、それを受け止める人物がいた。
「グリム」
それは、僕にとっては、この世界に来て、一番に信頼している人物。
だけど、それは。
「グリム、ごめん」
「どうした、いきなり?助けるのはいつもの事だろ」
グリムは特に気にした様子もなく、見つめる。
「だって、僕は、あいつが言うには神と呼ばれる存在で、グリムに呪いや、全てを教え付けた張本人みたいな物だから」
どう、言えば良いのか分からない。
だけど、心の底から、思うのは、死にたい。
それで一杯だった。
そして、グリムは。
「そんな事か」
「そんな事って、だって」
「君が神だろうと、なんだろうと、関係ない。
いや、むしろ、神だとしたら、なぜ君を恨む事に繋がる」
「だって、僕は」
そう、僕が言おうとした時、グリムはこちらを見る。
「ならば、最後まで、見届けてくれ」
その言葉と共にグリムが僕を見つめた。
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