ドキュメント12h 作:才十木升太
ハプニングバーと人は言う。
バー クリムゾンアイズ。
会員登録が必要なメンバー式のバーである。
「えーと…会員登録が必要なのか…んで、当日必要な書類が写真入り身分証明書と保険証、と…あ、前日までに掲示板書込みしたら割引あるのか…」
携帯を片手にポソポソとつぶやく彼は
彼女不在≒年齢の、中年に脚を踏み入れつつある男である。見た目的にもそこまでパッとするわけではない、いわゆるモブキャラだ。
そもそも、彼がなぜここに行くことを決めたのかを遡ることにしよう。
【回想】
とあるライブ配信者の配信にて…
『というわけで、わたくし、ハプニングバーに通っておりまして…』
(ハプニングバーか…話には聞いたことはあるけど…どんなところなんだろう?)
チラリと聞いたことはあった。
バーで出会った男女がいかがわしい行為をすることの出来る場所である、と。
ただ、その方式もわからないし、場所もわからない。
(試しに…調べてみるか)
検索を掛けてみる。
リストアップされているサイトが見つかった。
(へぇ…結構あるな。しかし、どこがいいんだろう…?)
所在地をもとに絞り込む。
(ふむ…事前会員登録制、か。これなら悪徳な可能性は低そうだ…)
いくつか候補があったなかで、クリムゾンアイズを選択した。
(まずは登録をしておくか…)
フォームに必要情報を打ち込み、送信。
改めてハウスルールを読み込む。
(なるほど、カップルに関しては話しかけられたくないとか、話しかけてはいけない人たちもいるのか。
であれば基本カップルに関しては下手に触れない方が無難だろうな…。
んで、単独の女性に関しては嫌がるようなことをしないこと、と。
まあ、普通に女性に接すれば問題はなさそうだ。
できるだけ単独の男性ともコミュニケーションを取ることがお誘いをいただく鍵、なのか…ふむふむ。確かに男性を味方に付けておけば、女性との交渉が成立したときにおこぼれに与ることも出来そうだ)
【時間は戻って前日】
(で、来店予告を掲示板に投稿して…と)
来店予告を事前に書き込んでおくことで、割引が得られるのだ。
これで、出来ることはすべてやったはずだ。
最後に営業時間を確認しよう。
…この日は12-24なのか。
であれば…オープン直後なら迷惑掛けることなく説明とかもしてもらえそうだ。
(どんな出会いが待ってるんだろうな…不安だけど、わくわくしている、なんとも不思議な感覚…)
高揚感を覚えたまま、就寝する。彼がどんなハプニングに遇うのか。それは、誰もまだしらない。