ドキュメント12h 作:才十木升太
えーと…場所は…
ここ、かな?
目的となる雑居ビルの前に到着した。
さすがに表だって書けるわけもなく、ドアにはなにも書いていない。
呼び鈴を押すとしばししてスタッフのお姉さんが姿を見せた。
「ここが…クリムゾンアイズで間違いないですか?」
『ええ。今回来られるのは初めてですか?』
「むしろハプニングバー自体が初めてで…」
『わかりました。まずは書類を書いていただきますので、こちらを埋めてください』
(…書き込み中…)
「これで…大丈夫ですかね?」
『生年月日が抜けてますので、埋めていただけますか?』
「確かに、これ抜かしたら意味ないですね(苦笑)」
説明完了後、ロッカールームに荷物を置く。
特に携帯電話は絶対的に持ち込み禁止なのだ。(なお、これは客のみ)
しばらくはスタッフさんと色々と話をしながら酒を飲む。
パッと見た感じはちょっと高級感あるバーだ。
酒、酒、ソフトドリンク、といった感じでハイペースになりすぎない程度にアルコールを摂取していく。
雰囲気としても悪くない。これなら、最悪空振ったとしても【いい雰囲気でお酒飲めたから満足】って言える。やはりバーで飲むときは雰囲気も楽しみたいところだ。
しばらくはスタッフさんとのサシノミ状態が続く。
何でも、昨日はかなりハイペースで回転していたらしい。
まあ、そりゃそうだろうな。
土曜の夜ともなればみんな弾けたくなるだろうし、むしろ日曜はゆったり過ごしたくなるのが人情と言うものだ。
そして、聞いていて興味深かったのは【スタッフさんも勤務時間終了後なら個人として参加してもいい】ということだった。普段はカウンターを挟んで話する(もちろん飲み物の提供なども含むのだが)だけの、手が届くことがないはずの相手が自分の下で悶える姿を見ることが出来る…と考えると、なかなかにこころにくいシチュエーションではないだろうか?
1時間くらい経っただろうか。
来客を知らせる呼び鈴が鳴った。
(まあ、さすがに女性一人ってことはないだろうけど…たぶん男性だろうな)
予想通り単独の男性だ。まあ、まだ焦るような時間ではない。急いては事を仕損じる、慌てる乞食は貰いが少ない、とな。
まだまだぎこちないながらも少しずつ男同士での会話を進めながら、酒を飲む。
ただ、普通は男性陣はあまり飲まないものらしい。
理由としては至って単純。いざというときに起たないのは避けたいからだそうだ。
そして、まったりとした空気のなか、時は動き出す。再び、来客を知らせる呼び鈴が鳴った。