真有は祐二達のエッチシーンを目撃していなかったことが判明した。
いや、実際は見ていたのだが、暗くて祐二と彩音だとわからなかったようだ。夜の公園で知り合いがエッチしているなんて思いもしなかったというのも大きいだろう。
エッチしているのをしっかり見ていても誰かまではわからない。それなら大丈夫かと祐二は楽観視した。
「祐二聞いてくれよー。まゆたんが可愛くてさー」
必要な情報を得てしまうと井出がひたすらうざかった。祐二は自分で焚きつけておきながら、井出のにやけ面を睨みつける。しかし憧れだった可愛い恋人をゲットした彼には通用しなかったようだ。むしろ笑顔が深まる。
井出は祐二が学園のマドンナである藤咲彩音をメイドとして扱っていることを知らない。だからこそ恋人が出来た自分と比較して優越感に浸っていた。
それがわかるからこそ祐二は不愉快だった。自分の方が立場が上のはずだ、そう言い聞かせるので精一杯なのである。これほど彩音をメイドとして雇っていると言いたくなった日があっただろうか。いやない。男とはプライドの高い生き物なのである。
「祐二も早く童貞卒業できるといいな」
「……」
慈愛に満ちた瞳がひたすらうざい。祐二は拳を握るだけで精一杯だった。
※ ※ ※
そんなわけで戸倉坂真有の問題は解決した。これで安心して彩音のメイドライフが守られた。そんな安堵感だけが残った祐二。心が軽くなったのか彼は絶好調だ。うざい井出は別にしてだが。
真有を脅す道具としてカメラなどを購入。実はその資金集めの一環として祐二は宝くじに手を出していたのである。
親の遺産などで潤沢な金を持っているはずなのだが、なぜそんなものを買ったのか。
言い出しっぺは井出である。彼はバイトまでして金をかき集めていたのである。宝くじなんて楽する夢を見たって良いではないか。
そんなわけで付き合い感覚で購入した宝くじ。彼らが選んだのは数字を六つ選ぶものと七つ選ぶものだった。井出はかすりもせずにはずれ。
だが、会田祐二には強い運が味方してくれたようだ。なんとどちらも一等を当ててしまったのである。しかもどちらもキャリーオーバー中。すべて彼一人がかっさらったのだ。神様は不公平すぎる。
潤沢過ぎる資金を得た彼に一本の電話がかかる。その相手は一生忘れられないであろう男の声だった。
『会田様お元気ですか? お久しぶりです。堂本です』
ある意味祐二の恩人とも言える存在からだった。男相手では珍しく祐二は喜色満面となる。
そして男からの提案を耳にし、祐二の口の端が上がるのであった。
※ ※ ※
「今日は誰か来るんですか?」
休日、リビングの掃除をしながら彩音は祐二に尋ねる。いつもは口うるさく掃除をしろ、なんて言わない彼がわざわざ命令してきたので来客があるのだろうと予想したのである。
すっかりメイド服姿が板についた彼女。部屋を掃除するところを見れば若い家政婦にしか見えないのかもしれない。家政婦にしては美人過ぎるのではあるが。
「まあな。大事な用事があるんだよ」
ソファーでゴロゴロしながら雑誌を読む祐二。正直掃除の邪魔であるのだがそう邪険にできない。これでも自分の主なのだ。彩音は眉をしかめるだけで文句を飲み込む。
彩音が観察したところ、祐二の友人と呼べる存在は井出だけだ。その井出も最近は真有ばかりにかまけて祐二と休日遊ぶというのはめっきり減ってしまっている。そうなると他に誰が来るのか予想もつかないのである。交友関係が狭過ぎて逆にわからない不思議。
思考しながら手を動かしていると、チャイムの音が家中に響いた。彩音は出ようとして祐二に押し止められる。メイド服姿を他人に見られるのは嫌がっているので当然の反応といえた。
ご主人様の来客。自分は二階にでも引っ込んでいた方がいいだろうか。それを窺おうとする前に「彩音はここにいろ」と命令される。
玄関に向かう祐二を眺めながら、彼は彼でご主人様という立場に慣れてしまったのだなと彩音は思った。最初は声が上ずったりどもったりしていたというのに。今では命令することに躊躇いがない。それを当然と受け入れている自分の変化も含めてため息として形となる。
掃除道具を片づけると直立不動で祐二が戻るのを待つ。こんな姿他の人に見られていいのかな、と彩音が不安に思っていると足音が近づいてきた。
それは二人分の足音。やっぱり家に上げてしまったようだ。彼女は覚悟を決める。
「やあやあお久しぶりですー。しっかりと会田様に奉仕しているようで私としても嬉しい限りですよー」
やけにご機嫌な中年男が入ってきた。彩音の顔を見るなり満面の笑みを向けてくる。顔をしかめないようにするだけで精一杯だった。
彩音はこの男を知っていた。忘れるはずがなかった。こいつが彼女を同級生の冴えない男子に自分を売り着けた張本人なのだから。
「……お久しぶりです堂本さん」
腹の出た中年男は堂本だった。前に会った時よりも発汗量がすごいことになっている。まだ夏には早いというのにワイシャツを汗でシミにしていた。
そんな相手にもぺこりと頭を下げてあいさつをする。堂本の後ろから出てきた祐二が満足そうに頷いている。自分の教育の賜物とでも思っているのだろうか。ちょっとだけイラッとした。
二人の男はテーブルを挟んでソファーに座ると話し合いを始めてしまった。どうせロクでもないことだろう。そう考えながらもメイドの仕事として彼女はお茶の用意をする。
自然と耳に入る会話。その内容は彼女の手を止めるのに充分なものであった。
「というわけで、会田様にはそろそろ新たにメイドのご購入はいかがかと思いまして」
「ふむ、そうだなぁ。つーか俺が宝くじに当たったって耳にするの早くね?」
「いえいえ。あくまで私は会田様には次のステップへと進んでもらいたいと思っただけなのですよ。それがちょうど会田様の資産が増えた時期に一致したというだけなのです」
どうやら自分の主は知らないうちに宝くじを当ててしまったようだった。堂本のあの口ぶりではかなりの額なのだろう。彩音は世の中の理不尽さを感じた。
たくさんのお金があればこんな生活から抜け出して琴音だって助けられるのに……。彩音は離れ離れになった妹に思いを巡らせる。
今はどうしているだろうか? 変なことをされていなければいいのだが。後で堂本に尋ねなければならない。彩音はそう思いながらもお茶をテーブルの上に静かに置いた。
チラリと男二人に目を向ける。彼等はニヤニヤとしていた。けっこう似た者同士なのかもしれない。
それでも新しいメイドが増えるのなら彩音にとってありがたいことである。自分の負担が少しでも減ると思えば、新しいメイドの娘には申し訳ないが早々に受け入れたいことであった。
彩音は祐二の傍で直立不動になる。無表情にこの場を静観するのが彼女にできる唯一のことである。
堂本はお茶に口をつけてから一冊のカタログをテーブルに置く。それは祐二が彩音を購入した時に見たカタログとよく似ていた。
祐二は冷静に、と心掛けながらカタログを手に取る。その指は震えており、興奮を隠し切れてはいなかった。
彩音にしてみれば初めて見る物だ。ぶ厚く表紙は至ってシンプル。何だろうと横目で確認する。
(なっ!?)
口に出さなかったのは正解だったろう。だが驚愕せずにはいられない。
なぜならそのカタログにはありとあらゆる女の子の写真やプロフィールが掲載されていたからだった。胸のドアップの写真なんてひどいにもほどがある。
(まさか私の時も……?)
自分もこのカタログに載っていたのだと思うと全身身震えが走った。まるで物を扱うような感覚。いや、事実物扱いされて売られてしまったのだ。人間の尊厳を踏みにじられていたのだと改めて感じてしまう。
彩音の瞳からハイライトが消えている中、祐二はパラパラとカタログをめくって好みの女を物色していた。堂本のゆったりとした雰囲気もあってしっかり吟味しても良いのだが、このぶ厚い冊子に目を通すにはけっこうな時間がかかってしまう。まずは写真を見てピンとくる女を探した方がいいと考えたのだ。
そしてそのピンとくるものがあり、彼は手を止めた。
「これはもしや」
祐二は呟くとあるページを堂本に向ける。堂本は汗をかきながらも笑みを深める。
「さすがは会田様。お目が高い」
そのページの女性。亜麻色の長い髪をツインテールにしている。胸はCカップと記入されており、全身が映る写真ではスレンダーな体型に見える。猫眼っぽくはあるが顔のパーツは整っていて、誰かに似ていると思わせた。
祐二は写真を目にして何かを察すると、名前を確認して自分の考えの正しさに確信を得ていた。
「じゃ、これで頼むよ」
「かしこまりました」
契約成立。男二人は硬い握手を交わす。堂本の汗ばんだ手に眉を捻るが、些細なことだと気にしないことにした。祐二の関心はすでに別のところにあったのだから。
ショックに打ちひしがれていた彩音は彼等のやり取りを見逃してしまっていた。彼女はそれを後悔することとなる。
※ ※ ※
堂本が来てから一週間後の休日。彩音は家の掃除に追われていた。
もともと二人だけでは広いというのもあり、一通り掃除するだけでも大変なのだ。しかしご主人様に命じられては仕方がない。彩音は汗ばんで貼りついてくるメイド服を不快に思いながらも仕事をこなしていく。
視界の端で祐二がそわそわしている。仕事が忙しいのでじっくり観察するわけにはいかないが、はたから見ても落ち着かない様子だった。
また堂本が来るのだろうか。先週は結局妹のことを聞きそびれてしまった。今日来るのであれば今度こそ尋ねなければ。彩音はぐっと拳を握る。
昼前に差しかかる時間。チャイムが響いた。祐二は早足で玄関へと向かう。
彩音は掃除道具を片づけると前回と同じようにリビングで待機する。祐二が入ってきた後ろにはやはりと言うべきか堂本の姿があった。
「え」
思わず声が漏れる。口がはしたなく開いてしまう。
堂本の後ろにさらに人影があった。その人物がリビングに入るとメイド服を着ているのがわかる。そんなことよりもその人物自体が彼女にとって驚きに値した。
「琴……音……?」
呟かれたのは心配してやまない自分の妹の名前。数か月ぶりに目にする妹の姿がそこにはあった。
「お姉ちゃんっ!」
琴音も気づいて駆け寄ってくる。感激のあまり涙ぐんでいる。それは彩音も同じだった。
二人の少女は互いの存在を確かめるように抱き合った。強く離さないという意志が見て取れる。
そんな光景を男二人はニヤニヤしながら眺めていた。少女達はそんなことを気にしている余裕はなかったのだった。
※ ※ ※
「藤咲琴音です! これからお世話になりますなのです」
「こっちこそよろしく」
かしこまり過ぎて琴音の敬語が不自然なものになっていた。そんなことはどうでもいいと言わんばかりの対応で祐二は彼女を受け入れる。
彩音は琴音の手を握っており離れる様子はない。久しぶりに再会した姉妹である。祐二もそんな二人を裂こうという気分にはなれなかった。
むしろそんな姉妹愛が良いスパイスだ。心の中で黒い笑みを深める。
「それでは後はお若い者だけで。私はこれで失礼しますよ」
「ああ、ありがとう」
立ち去る堂本に礼を述べる祐二。自分も随分素直に礼が言えるようになったものだと苦笑する。人間都合の良い事態になれば現金なものである。
残されたのは三人の少年少女。少女二人はとびきりの美少女なのだが、少年の方は何とも冴えない。なのに立場では冴えない少年の方が明らかに上なのだ。そんなアンバランスさが異様な雰囲気を作り出していた。
祐二は並んだ二人のメイドを観察する。
藤咲彩音。学園のマドンナとして美の化身として崇めてもおかしくない存在だ。数ヶ月前の祐二なら少なからずそんな気持ちがあったことを否定しきれない。だが今では流れる黒髪も、男を魅了してやまない目も、視線を釘づけにしかねない薄い唇も、そしてその心でさえも自分のものだ。その事実がいつ彼女を眺めても優越感を与えてくれる。
その隣にいる少女、藤咲琴音。彩音の妹で二つ下。学園の中等部に在籍している。彩音とは違い部活動に精を出しており新体操部らしい。
カタログの写真を見た通り、亜麻色の髪をツインテールにしている。髪を下ろせば彩音と同じくらいの長さであろうことがうかがえる。基本的に彩音と顔のパーツがよく似ている。整った小顔に姉とは印象の変わる猫眼が好奇心のありそうな印象を抱かせる。
メイド服でわかりにくいが、スレンダーで手足が長い。新体操では体型を活かした美しい演技をしていたのだろう。新体操について何も知らない祐二は勝手にそんなことを想う。
外見はよく似ている姉妹である。しかし印象はまったくの別物であった。
近寄りがたく高嶺の花。静かに落ち着いている印象の彩音。
人見知りを知らず、好奇心旺盛で活発。事実部活で中心選手となっていることもあり友達が多くたくさんの人から慕われている。それが堂本から聞いた琴音の情報だ。
性格は内向きの彩音と外向きの琴音。そんな感じでざっくりと簡単に分けることができた。
彩音が一歩前に出る。祐二から琴音を隠そうとしている。姉として妹を守らなければという考えからの行動だろう。
「琴音ちゃん、でよかったよね? まず家の中を案内するよ」
彩音が口を開く前に先手を打つ。祐二は人の良さそうな笑みを浮かべて新人メイドを先導する。
そう言われては彩音も口を挟むなんてできない。部屋を出る二人について行くしかできることはなかった。
一階を回り二階へ。隅々まで回ると改めて広さを感じる。実際使用している場所の方が少ないくらいである。
「ここが琴音ちゃんの部屋だからね。荷物の整理をしておいで。ゆっくりでいいから終わったらさっきのリビングに来るんだよ」
二階の空き部屋の一つを案内すると、琴音が持っていた鞄を下ろしてやる。引越しと考えれば少なすぎる荷物ではあるが、彩音も似たようなものだった。学校に必要な物は後で届くようにしてあるし、まずは生活に支障がなければいいだろうと祐二は思う。
「はいっ。わっかりました!」
元気良く頷く琴音。自分のご主人様を良い人とでも思ったのだろうかと思わせてくれる良い笑顔だ。そんな妹に彩音は心配そうな表情を浮かべる。
「じゃあ彩音、俺達は先に下に降りるぞ」
彩音は暗い表情のまま頷いた。祐二はそれに気づいていたがあえて無視をする。
※ ※ ※
「お願いします! 琴音には……妹には手を出さないでください……」
リビングに着くなり彩音は頭を下げた。いや、頭を下げただけでは生ぬるい。彼女は何のためらいもなく土下座をしたのだ。額を床につけるほどの見事な土下座であった。
この行動にはさすがに祐二も面喰った。初めて見る生土下座にしげしげと視線を集中させてしまう。
「お願い……します……」
彼女はそんな視線に気づくことなくお願いを続ける。その声には涙が混じっており、普通ならば同情心を誘われるだろう。
しかし祐二の感性は『普通』とは微妙にずれていた。いや、『最低の男』と認識している彩音にとっては予想の中から大きくはずれるものではなかった。
「何でだよ。琴音ちゃんは俺のものになったんだ。どうしようと俺の勝手だろ」
悔しいがその通りである。だとしても彼女にとってここは譲れないラインであるのだ。
「それを承知でお願いしています」
「うん?」
祐二は眉をひそめる。彩音の言葉の意図が測れなかったからだ。
彩音はゆっくりと顔を上げる。その目には妹を守るのだという断固たる決意が宿っていた。
「私はご主人様の言うことを何でも聞きます。もう口ごたえなんてしません。……わたしを、孕ませてもらっても構いません。だから……琴音に手を出さないでください!」
「……」
祐二は彩音の強い意志に圧倒されていた。声すら出ないほどに気圧されていた。
これまで散々彼女の身体を弄んできた。支配者は自分のはずだ。なのにそうは思えない。それほどに彼女の意思の力に気圧されてしまったのだ。
「……わかった。その代わりちゃんと俺の言うこと何でも聞くんだぞ」
「はい。ありがとうございますご主人様」
彩音がメイドになってから初めて祐二が負けた瞬間だったかもしれない。それほどの迫力が彼女にはあったのだ。ご主人様の自分の意志が通せないほどの威圧感が確かにある。祐二は退くしかない。
だが、自分が言ったことの責任は取ってもらおう。祐二は余裕を取り戻すように口の端を持ち上げる。
「じゃあさっそくだけど、彩音にはこれを収めてもらおうかな」
そう言うと祐二はズボンとパンツを一気に下ろした。半勃起のペニスが空気に晒される。膝をついている彩音の顔に近づけると、存在を主張するように左右に揺らす。
「そんなっ、いきなり……」
「文句言わないって言ったのは彩音だろ? だから満足させてもらおうとしてるんじゃないか。ご主人様の命令は絶対だ」
「でも、琴音が下りてきたら」
「その前に終わらせば問題ない。さあ、早く。じゃないと琴音ちゃんが来ちゃうよ」
確かに自分で言ったことなのだ。彩音は唾を飲み込むと覚悟を決める。
サオを握るとペニスがピクンと反応した。いつもながら性器を震わせながらニヤニヤするのはやめてほしい。そう思いながらも彩音はゆっくりとしごき始める。
(気持ち悪い人)
心の中で呟いてみる。こうでもしなければ精神を安定させることなんてできそうにないから。皮をめくって先端の赤黒い亀頭眺めながら彼女は目を細める。
(皮が被ってるくせに)
男の性器は皮が被っていない方が良いのだそうだ。経験のある女友達からそんな情報を耳にしたと記憶している。それにこの間、後輩の戸倉坂真有と同級生の井出の行為を目撃してしまった。その時彼のモノはきっちり皮被りじゃないのを確認していた。
じゅん、と胸の奥が変な感覚がくる。彩音はせつなそうに眉をひそめると肉棒に舌を這わせた。
「おふー」
変な声を漏らす祐二。これだっていつものこと。彩音は心の中だけで笑ってやる。
先端や裏筋、カリの部分は入念に。舌を動かす度に変な喘ぎ声を洩らす祐二に彩音の支配欲はひそかに満たされる。それは彼女にも自覚のないことではあった。
「うっ、そろそろ下のお口で奉仕してほしいなぁ」
赤い顔で祐二は彩音から離れる。彼は近くのソファーに仰向けになる。こっちを向いている視線だけで彩音は彼の希望が理解できてしまう。
「今日はまあ……コンドーム使ってもいいよ」
彼なりの優しさのつもりだろうか。全然そんなことないから、と心の中だけで反論しておく。
彩音はメイド服の中からコンドームの箱を取り出す。なんだかんだでコンドームの使用を許可してくれていたご主人様。ただし用意するのは彩音自身であった。
買うのも、持っておくのも、ペニスに装着するのでさえ彩音の仕事だ。それができないのならコンドームなんて使わないと言われれば仕方がなかった。
そんなわけで手慣れたものである。彼女は簡単にコンドームの装着を終えてしまった。
天を向く肉棒の上へとまたがる。右手で位置を調節しながら腰を下ろす。性器と性器が触れ合う感覚。もうこれくらいで表情をしかめる彼女ではない。時間もないので一気に腰を落とした。
先ほど口で奉仕していただけでアソコは濡れていた。慣れとは恐ろしいもので、身体を傷つけないためにも挿入を予感するだけで愛液を出すようになっていた。そんなじぶんの身体を恨めしく思う反面、必要なことなので仕方がないという諦めの心があった。
女の子の準備は時間がかかる。そうは言うけれどただの荷物整理。しかも鞄一つという少なさだ。いつ妹が下りてきても不思議ではない。彩音は腰を動かし始めた。
「おっ、おっ、んんー。あー、気持ち良いー」
ご主人様から快感を感じさせるため息が漏れる。膣の中からでもそれは感じ取れている。
「んっ、んっ、んあっ、くぅっ……」
彩音からも喘ぎ声が漏れる。声を大きくしないように歯を喰いしばる。だがわずかな隙間からどうしても声が出てしまう。
膣の中でペニスがビクンビクンと喜んでいる。興奮が高まるにつれて大きさを増していく。最近サイズがちょっとだけ大きくなった気がするのは気のせいだろうか。ほぼ毎日挿入されているからこそちょっとした変化に気づいてしまう。
それどころか快感の与え方、弱点など身体に染みついてくる。彼は彩音の身体を知りつくした気になっているのかもしれないが、逆に彼女も祐二の身体を憶えているのであった。
だからこうやって動かれるのが好きなんでしょ。彩音は淫猥に腰をくねらせる。祐二の嬌声が上がった。彩音は自身の口角が上がったことに気づかない。
「ぐ、……も、もうっ」
切羽詰まったようなご主人様の声。メイドは主の意志に沿うようにするだけだ。
彩音の身体に軽い電流が走る。それは絶頂が近い証拠でもあった。自分よりも彼を満足させなければ。使命感に突き動かされる彩音は腰の動きを速めていった。
パンッ、パンッ、パチュンッ、パチュンッ。肌と肌がぶつかる音。水気を帯びた性器と性器が行きかう音。淫らな光景はそれからすぐ終わりを迎えた。
「ぬおおっ! 出る!」
「んっくぅっ!」
ドプッ、ドプッ、ドプッ、ドププププーー!
(あ……出てる……)
同時に絶頂に至った彩音は白で染まりそうな頭で思った。
膣の中でペニスの脈動を何度も感じる。どれだけ出すつもりなのか。すべてはコンドームの中へと収まっていく。
しばらく射精の余韻で震えていた祐二が息を吐く。何とも満足そうな息であった。
彩音もまた大きく息を吐いていた。行為が終わったことへの安堵感からか。それとも快感の吐息なのか。彼女自身ですら判然としない。
のったりとした動きで彩音はペニスを体内から引き抜いた。少し萎えたモノに触れると慣れた手つきでコンドームを取りはらってしまう。それから剥き出しになった肉棒へと顔を近づけた。
「ああ……」
美少女メイドにお掃除フェラをしてもらう祐二。いつもは眉をしかめながらする行為なのだが、今回の彼女は一味違う。上目遣いでご主人様を窺いながらの奉仕。祐二の胸がキュンとなる。
(生臭い……変な味……。でも我慢しなきゃ。これで琴音がこの人に手を出されることがなくなるんだから)
彩音の奉仕には決意があった。彼女は身も、心でさえも祐二に捧げる決意をしたのだ。
それは妹のためだ。祐二だって承知している。けれど実際してもらうと関係なかった。
本当の意味で藤咲彩音が自分のメイドになった。祐二はそんな気持ちになって今まで以上の優越感を感じていたのである。
祐二の鼻が膨らんでむふー、と鼻息が出る。あまりに勢いがあったのでフェラを続ける彩音の前髪を揺らした。それなのに彼女は嫌な顔一つしない。彼の男性器が硬さを取り戻す。
「あ、彩音……もう一回」
「これ以上は琴音が来るかもしれないのでダメです」
「……」
そうはっきり言われてしまっては何も言い返せなかった。
まだ完璧に彼女のご主人様に成りきれていないのかもしれない。祐二は冷えた頭で言い訳を繰り返していた。