眠たい中、順調に授業は進んでいく。
昨晩がんばったおかげで彩音は態度を軟化させていた。今朝もあいさつしてくれたし、一応の解決ってことでいいだろう。
長時間琴音といっしょに彩音を気持ち良くするようにがんばった。行為の後も彩音の身体を拭いたりしてから布団に寝かせておいた。おかげで疲労が溜まっており、授業中眠気と戦うばかりになっているのだ。
ご主人様としてメイドに尽くすのはどうよ? というのはあったけれど、それで気を直してくれるのなら良しということにしておく。
本日、藤咲彩音は登校していた。友達には「調子が悪くて」と適当な理由を話しているのが聞こえた。その理由なら昨晩の行為の疲れが出たとしても言い訳できるだろう。
というわけで藤咲彩音ひきこもり事件は見事解決。クラスも元通りで一件落着である。
そう思っていたのはつかの間だったと、すぐに知ることになるのだが。
※ ※ ※
昼休みになった。飯の時間だ。
今日は彩音が弁当を作ってくれた。琴音も上手いのだが、やはり彩音には及ばない。本人に言ったら泣くかもしれないから言わないけどさ。
琴音といっしょにと思ったが、昼休みは新体操部のミーティングがあるのだそうだ。大会が近いらしいので仕方がない。ちなみに昨日は色々と無理して昼をいっしょにしてくれたらしい。優しい奴め。
そんなわけでいっしょに昼を共にする相手がいなくなった。どうせ井出は真有ちゃんとだろうしな。俺の交友関係はこんなものである。
と思ったのだが、
「祐二、いっしょに飯食べよう」
さっき候補から除外したばかりの井出に誘われてしまった。最近、というか真有ちゃんが彼女になってから珍しいことであった。
「どうしたんだよ井出。真有ちゃんといっしょに食べないのか?」
「え? 真有ちゃんって?」
「え?」
「え?」
え、何この反応。まさか自分の彼女を忘れたわけじゃないだろうに。喧嘩でもしたか?
バリバリの違和感がありながらもまあいいかということにしておく。さすがに一人きりというのは寂しいからな。
弁当箱を取り出すと井出と向きあう。その時であった。ざわざわと教室中がざわめいたのは。
何事かと教室を見渡して気づいた。いや、見渡すことすら必要なかった。その原因とやらは俺のすぐ傍にいたのだから。
「祐二君、お昼いっしょに食べましょう」
すぐそこにいたのは彩音だった。「会田君」ではなく「祐二君」と名前呼びされたものだから反応が遅れてしまう。
学校で、しかも自分から話しかけてくるなんて今までの彩音にはなかった行動だ。しかもお昼の誘いとかどういうわけ? 混乱に支配されてしまう。
視線を遠くにやるといつも彩音といっしょにいる女子連中が視界に入った。信じられないといったリアクションである。俺だって信じられないよ。
井出なんか固まってるし。こいつがいざって時に弱いのはこないだの騒動で充分わかってる。
「べ、別にいいぞ」
返事がぶっきらぼうになってしまったのはご愛嬌というやつだ。いや、こんな人前でちゃんと接するなんて無理だからね。俺は目立つの嫌いなんだってば。
俺の了承で教室がさらに煩わしい反応を見せる。居た堪れない気分になる。クラス内は昨日以上の大騒ぎになってしまった。
「なら場所を変えましょうか」
それを察知してくれたのか彩音は俺を教室から連れ出してくれる。
「静かな場所知ってるんでしょ。案内して」
教室を出た途端、丁寧な言葉づかいが消えてしまう。彼女から圧力みたいなものを感じて言う通りに先導する。ご主人様の威厳はどこ行った?
並んで歩いているわけではないからか周りから注目されることはなかった。彩音を見かけた男子が見惚れてしまうことがあるくらいなもので、順調に進んでいった。
いつも琴音といっしょに昼を食べている茶道部の部屋を考えたが却下した。琴音なしで彩音を連れて行くのに罪悪感みたいなものが浮かんだためである。
昼食を食べる場所を考えて、俺の出した結論は屋上前の踊り場だった。
「ここ……ねぇ」
彩音は腕を組んで眉をしかめる。何か嫌な思い出ででもあるかのようだ。
いや、そういやあったわ。この屋上、井出と真有ちゃんが結ばれた場所である。目撃していた彩音に良い印象がないのも頷ける。
とはいえ二人っきりで飯を食べるのに他が思いつかなかったのだ。勘弁してほしいと視線で訴えかける。彩音はため息をついた。
「まあいいわ。早く食べましょ」
「お、おう……」
彩音はハンカチを取り出すとシートの代わりにと座る場所に敷く。俺は汚れるのなんて気にならないからそのままどかっと座る。
彩音があまりにも自然体だからか戸惑ってしまう。というかこれって本当に彩音の自然体なのか? 敬語はないしちょっと高圧的に映らなくもないんだけど……。学園内でもこんな彼女を見るのなんて初めてだ。
俺が見てきたのだって遠くからだったのだ。案外友達相手にはこんな感じなのかもしれない。知らんけど。
無言で食事をする俺達。わずかに遠くから喧騒が耳に届く。井出と真有ちゃんがエッチしてもばれなかった場所である。この辺りに人がいる気配はなかった。
会話が交わされることなく食事は進む。隣合っているのに彩音はこっちを見ようともしない。俺がチラチラと窺うくらいなものである。
ち、沈黙が重いんですけど……。変に緊張してしまって味がわっかんねえ。気まずさを誤魔化すため階段に投げ出している脚をばたばたさせてみる。
「あの……美味しい?」
「は、え?」
「え? じゃないわよ。この場合お弁当の感想を聞いているに決まってるでしょ」
「あ、うん。……美味いぞ」
「……そう」
彩音はまた食事に戻ってしまった。あれ、今のなんだったの?
そんなの聞かなくたって同じ物食べてるんだからわかるでしょうに。ちなみに本日の琴音の弁当も彩音が作っている。
また沈黙が訪れる。家で飯食べる時はこんなんじゃないのになぁ。琴音がいないというのもあるけど、なんかやりづらい。今までと雰囲気が違うというかなんというか。
もぐもぐしながら彩音を観察してみる。手早く箸を動かしているわりに口が小さいからか減りが早いわけではないようだ。急いで食べているからか顔が赤くなっている。
飲み物買ってないからな。こんなとこで喉に詰まりでもしたら大事である。
「飲み物でも買ってこようか?」
「……ごくん。喉渇いたの?」
「俺は別に」
「なら行かなくていいじゃない」
「彩音はいらないのか?」
彩音は不思議そうに小首をかしげる。
「私に?」
「うん」
彩音はふいと顔を逸らす。つーんとそっぽを向いてしまった。
「私のことなんて気にしなくてもいいわ。ね、ご主人様」
「ご主人様」のあたりを強調されてしまう。なんかいやらしい言い方してたな。
ま、本人がいらないならいいだろう。俺が労力を使うことでもないということだ。
「ごちそうさまでした」
なんだかんだで食事終了。何か特別な話があるわけでもなく、普通に食べて終わってしまった。
なんで今日に限って誘ってきたんだろうか? 今までなかった彼女の行動に頭をかしげずにはいられない。
思い当たるのは昨日のことだろうか。あれはあれで俺の中では解決した出来事なのだが。彩音にとってはそうではないのか?
でもあの乱れっぷりを見るに彩音だって気持ち良かったはずだ。今朝だって琴音と普通に接してたみたいだし、引きずっている様子もない。
琴音のことは彩音公認となったのだ。もう家の中でばれるばれないの心配をしなくていいのは大きい。
と、色々とエロいことを考えていると、ムスコが反応してしまった。ムクムクとズボンを押し上げる。
座ってる体勢でよかった。じゃなきゃばれてたかもしれん。
「食欲が満たされたら今度は性欲なのね。本当に理性の足りない人」
しっかりばれてましたー! ばれてないとか思ってた俺恥ずかしいっ。
パッチリとした彩音の目が俺の股間を捉えていた。逃れられない魔性の瞳。俺のムスコが元気になっていく。
おいおい、昨日あれだけ彩音のためにってがんばってたのに。欲望丸出しで性処理とかしてもらえないだろ。どうしようかと視線を逸らせるしかない。
視線を外しているとムスコが捕まえられてビクリと身体が跳ねる。見ると彩音の手が俺の股間を握っていた。
「何遠慮してるの。ご主人様なんだから命令でもなんでもすればいいじゃない」
「いや、でも……」
「今さら怖気づいたなんて言わないわよね? 私にあれだけのことをしてきたのだから。まさか忘れたなんて言わせないわよ」
「う……」
彩音はふぅ、と小さくため息。多くなった彼女のため息に優しさみたいなものが混じってきたのは、きっと俺の気のせいだろう。
でも、やっぱり変わってきたのは事実だ。だってほら。
「私はあなたのメイドなのだから。命令だって聞いてあげる。したいことだって、してあげるわよ」
こんなことを言ってくれるようになったのだから。
口の中に溜まってきた唾をごくりと飲み込む。思いのほか音が大きくて、聞かれてしまったんだろうなぁと恥ずかしくなった。
「じゃあ……屋上に出ようか」
※ ※ ※
真上にある太陽が熱光線を浴びせてくる。日差しから何も守ってくれるものがない屋上は暑かった。六月に入ってだいぶ熱くなってきたなぁと感想を漏らす。
そんな中、俺は屋上の中央で仁王立ちしていた。脚を肩幅に開き、根を張った大樹の如く不動の心持である。
「んじゅっ、んじゅっ、んぶぅっ、じゅるるるぅぅぅぅ」
水音が響く。視線を下にやれば彩音が恭しく膝をついていた。
彼女は両手を俺の腰に回し固定している。頭を大きく前後に動かして俺にご奉仕していた。
あまりにも動きが大きいので先端が喉に当たっている。彩音は苦しそうに眉をしかめながらも動きに支障が出る様子がない。
かつてこれほどの彼女主導でのフェラチオがあっただろうか? いやない。彼女自身の積極的な奉仕なんてあまり受ける機会がない。
だって今まで俺がしてほしいからで、俺は自分が気持ち良くなることに必死だったのだ。
これじゃあまるでよく教育されたメイドではないか。彩音を眺めていると上目遣いの視線にぶつかる。
彼女は俺を見ていた。観察していると言った方が正しいだろうか。だってほら、俺の反応を見てフェラの調子を変えてくる。
「おお……いいな」
「ちゅぱ……れろー。れろれろ……あむ、むちゅっ、ぶちゅっ、ずずーっ」
俺の快感をより高めようと工夫しているようだった。舐めたり咥えたり吸ったりと、バリエーション豊かに俺を攻め立てる。
最初は拙いフェラだったはずなのに。いつの間にか琴音にも負けないほどのフェラテクを身につけていた。さすが学業成績優秀者。こっちの学習も早い。
俺は彩音の髪を撫でる。艶のある長い黒髪。サラサラとして手の動きも流れるように滑らかになる。
頭を撫でていると彩音の目が細まる。それにどんな意図があるのか俺には読みとれない。
まあいいや。彩音がこんなにも積極的ご奉仕をしてくれるのだ。することしてくれるなら彩音が何を考えていようと気にしないことにする。
ジュッパジュッパと響く水音。もし屋上に誰かいたならすぐに気づいてしまうほどの大きさだ。しかし辺りには誰もいない。遠いところで喧騒みたいなものが聞こえるくらいなものだ。
野外という解放感のある状況。けれど誰もいないであろうという安心感。そんな感情が混じって快感が増していく。
天使の輪がかかっている黒髪が揺れる。フェラに激しさが増していった。
「うぅ……あ、彩音ぇ」
両手で彼女の頭を抱える。少しだけ前傾姿勢になってしまう。
込み上げてくる衝動に耐える。そんな俺に気づいたのだろう。チンポを咥えている彩音が笑った、気がした。
「ぶちゅっずちゅっんむぅっんぶっんごっ」
「うわっ。や、やばっ……!」
彩音の頭の動きが速まる。残像が見えそうと言っても言い過ぎじゃないくらいの速さだ。比例して俺の快感が急速に高まる。
手に力がこもる。彩音の手もしっかり固定しようと力が入っている。
「うおおおおっ!」
天を見上げる。太陽だけが俺達の行為を見ていた。
ドピュドピュドピュドピュルルルゥゥゥゥゥーーッ!
彩音の頭を押さえつけて精を放つ。容赦なく彩音の口内を蹂躙していった。
全部出し切ってから力を抜いた。彩音はしばらく固まっていたがやがてチンポをズルズルと吐き出していく。
彩音は俺の腰から手を離すと、その手を口元に持っていく。俯いているし吐いちゃうのかなと心配になる。
願望のまま飲んでくれ、と命令しようとした時である。彩音は上を向いて俺と目を合わせる。やがて閉じられていた口が開かれていく。
白い糸が上唇と下唇を繋いでいる。奥の口内には白濁した液体が溜まっていた。さっき俺が出したばかりのザーメンである。
口を開けて俺にそれを見せつけてくる彩音。口を開けっ放しにしており、彼女の端正な顔立ちがちょっと間抜けなものへと変わる。それでも可愛く思えるのはこんな顔してても学園のアイドルだからだろうか。
それと征服感だ。命令せずともここまでやってのける藤咲彩音。そんな彼女に再び興奮が高まる。
彩音は俺に口の中を見せる格好から動かない。視線はずっと俺を捉えている。
もしかして俺の命令待ち? そう思うと彼女の行動がいじらしくてたまらない。
ごくりと唾を飲み込むと、命令を下した。
「じゃあ、飲んでいいぞ」
ようやく彩音は開いていた口を閉じた。目を閉じると喉がこくりこくりと動く。一気に飲めないだろうから少しずつにわけて飲んでいるらしかった。
彼女の白い喉が動く度に俺の精液が体内に入っていくのだ。彼女を征服しているという感覚に囚われてにやけずにはいられなくなる。
彩音は再び上を向いて口を開けた。全部飲んだことをアピールしているかのようだ。
覗きこむと精液は残っていなかった。ちょっと唇についているくらいだろうか。
俺の心を読んだわけではないだろうが彩音は舌をペロリトして唇の精液を舐め取る。そしてごくりとまた飲み込んだ。
「スッキリした?」
「あ、ああ。スッキリした」
彩音からこんな風に尋ねられるとは思わなかった。俺の方がちょっとぎこちなくなる。
なんだか彩音に主導権を握られっ放しだな。俺は頭を振って気を取り直す。
それでも従順な彩音を眺めていたらまた勃起してきた。第2ラウンド……始めるか。
「そろそろお昼休みも終わりそうだし、教室に戻りましょうか」
「え、あれ?」
言われて時間を確認する。確かにもう10分も残ってはいなかった。
なんだか物足りないような気分。身支度を済ませている彩音を凝視するがすぐに目を逸らされた。
「もうっ、そんな情けない顔しないの。どうせいつでもできるでしょ」
「いや、今は今しかできないことがあるんだ」
「学生の本分は勉強よ。ね? 祐二君」
意識的にか無意識的にかはわからんが、最高の角度の上目遣いだった。見せ方を知っているような完璧な上目遣い。彩音のチャーム持ちの瞳だと効果は倍増だ。
もろに喰らった俺に顔中に血液が集まるのは必定。どうにかこうにか「はい」と返事するのが精一杯であった。
俺達は屋上を出た。先を歩く彩音の脚は軽やかだ。仕事をやり遂げたといった感じ。
後ろ姿からだと腰まで届く長い艶のある黒髪と白く長い美脚が目立つ。彩音は前から見ても後ろから見ても美人だ。
普通なら俺なんかが声をかけるのだって恐れ多いほどの美貌だ。改めてそれを認識すると本当に俺はついていると思わざるを得ない。
対する彩音の方は俺を恐れなくていい存在とでも思ったのだろう。接し方が雑というか、なんだか砕けた感じになった。まあずっと琴音のことで騙していた俺に対する意趣返しみたいなものだろう。
ご主人様的には怒ってもいいのだろうが、せっかく彩音も立ち直ったばかりである。とりあえず今は様子見ということにしてやろうじゃないか。自分の寛大さに惚れ惚れするぜ。断じてヘタレとかじゃないからな。
この後、彩音といっしょに教室に戻ると男子共の強烈な視線を浴びせられることとなった。それは嫉妬の視線だった。これも宿命か。俺はそのすべてを甘んじて受けるのであった。