一日中クーラーの効いた部屋でだらだらする。夏休みならではの過ごし方である。
去年までの俺ならゲーム漬けの生活だったであろう。それはそれで悪くはないのだが、今年の夏は一味違っていた。
「ご主人様、これをどうぞ」
「……何これ?」
「メイド服です」
琴音から綺麗に折り畳まれたメイド服を差し出されている。なぜだかいつもとは違う状況に立たされていた。
なぜ琴音からメイド服なんぞを渡されようとしているのか? 振り返ってみても思い当たるものなんて何もなかった。突然過ぎるだろ。
しかし、琴音からは無邪気な善意が見て取れる。そのキラキラした目はなんなんだよ。
「もしかして……俺にメイド服を着ろって言ってんの?」
「きっと似合いますよ」
その意味のわからん確信はなんなんだよ。
「だってご主人様はメイド服が好きなんでしょ?」
それなんか違うから。メイド服が好きなんじゃなくて、メイド服を着た美少女が好きなんだよ。つーかそんなもん説明しなくてもわかるだろ!
俺の渋い顔を見て悟ったのだろう。琴音は自分の思い違いに気づいたようにしゅんとする。
「せっかくお小遣い全部使ったのに……」
お小遣いはたいて買ったのが俺用のメイド服って……。無駄遣いにもほどがある。ちなみに、うちのメイドにはささやかながらお小遣いを与えるようになった。それがこういう使い方をするとは思ってもなかったけどな。
ただまあ……、せっかくのプレゼントだ。美少女からのプレゼントを無下にするわけにもいかないか。俺のメイドからのものならなおさらだ。
琴音からメイド服を受け取る。半ば受け取ってもらえるのを諦めていたのだろう。琴音の表情は少しの困惑を見せた後、満面の笑顔へと変化した。
「受け取ってくれてありがとうございます!」
「プレゼントされたのは俺なんだけどな」
それにしてもなかなかに手触りが良い。お手軽コスプレ用の安い物でもないらしい。……これ、高かったんじゃないの?
「ではご主人様、着て見せてください」
「え?」
俺がメイド服を着るの? マジ?
※ ※ ※
俺は抵抗した。本当に抵抗したんだ。それだけは信じてほしい。
「わあっ! ご主人様すごく似合ってますよ!!」
「……」
琴音は嬉しそうだ。反対に俺の心はブルーである。
結局琴音に押し切られてメイド服を着てしまった。これは琴音が強く望んだからであって、俺の趣味じゃない。それだけは信じてほしい。本当に信じてほしい!
黒を基調としたメイド服は最初に彩音と琴音に渡した物とほとんど同じである。
さすがに今の夏用の物じゃなくて安心した。それでもスカートというのは変な感じなのだがな。
俺に女装なんかをさせて琴音は何を考えてるんだ。イケメンならそれなりに似合うのかもしれないが、ブサイクな俺のメイド服姿なんてゲロものだろう。
「たまにはこういうのもいいですね。はぁ……ご主人様メイド可愛い……」
「何がだよ……」
そんなうっとりと嬉しそうにされると怒るに怒れない。俺の文句は力なく消えていく。
「では失礼しまーす」
「お? おおっ!?」
琴音はおもむろに俺のスカートの中へと潜り込んだ。戸惑う間もなくパンツを下ろされた感覚に襲われる。もちろんパンツは女物なんかじゃない。
すぐに露出されたチンポが温かいものに包まれる。
「んちゅ……ずずーっ」
「くおおっ……」
スカートの中で見えないが、琴音がフェラを始めたようだった。見えないからこそ刺激に無防備だった。
日に日に上手くなってやがるな。気持ち良さに膝が震える。傍から見ればメイド服を着た男が突っ立ったまま震えている図だ。そう考えるとキモいな。
でもいいや。琴音の口は気持ち良い。今は彼女の奉仕に身を任せるのみである。
フェラのストロークが速くなる。ぐっぽぐっぽと俺に快楽を与える音だけが室内に響いていた。
スカートが大きく揺れている。それだけ琴音が頭を大きく動かしているということだ。隠れてしまっているからこそ、想像力がかき立てられて快楽を倍増させてくれる気がした。
「うっ……出る!」
ドピュッ! ドピュピュピュピュドクドクドピュルルルーーッ!!
見えない琴音の口に向かって射精した。天井を見ながら快楽に身を任せる。
射精が終わると、琴音はちゅうちゅうと尿道に残った精液も吸い出してくれる。命令なんかしなくても奉仕してくれる琴音はさすがは俺のメイドだった。
俺のチンポを綺麗にし終わったのだろう。琴音がもぞもぞとスカートの中から出てきた。あれだけのフェラをしておきながら、彼女は無邪気な笑みを見せる。
「ご主人様、目がトロンとしていますよ。そんなに気持ちよかったですか」
琴音に指摘されて自分がぼーっとしていたことに気づく。口を半開きにしていたのが恥ずかしさに拍車をかける。
いやいや、俺が恥ずかしさなんて感じてどうすんだ。
頭を切り替えて琴音を見ると、トン、と胸を押された。
フェラで膝がガクガクしていたせいで踏ん張れなかった。軽く押されただけなのに後ろへと倒れてしまう。そこにはベッドがあり、ギシリと音を立てながら優しく受け止められた。
そこへすかさず琴音が俺に覆い被さった。
「うふふ。いけないメイドさん♪」
「こ、琴音?」
情欲に満ちた瞳が俺を捉えている。なんかこないだも似たような目を見た気がするんですけど……。
「えいっ」
かけ声とともにメイド服の長いスカートがめくられる。思いっきりめくられてしまい俺の下半身が露わになる。ロマンもクソもない。
「ちょっ、やめ……」
さすがにこんな格好でエロいことをする気にもならない。メイド服は可愛い女の子に限る。断じて俺に女装趣味はないのだ。
だというのに、俺のメイド服姿に琴音は終始嬉しそうだ。ぶっちゃけ反応に困っている。女装男子が好きなのか? ちょっと良さが理解できないよ。
そんな俺の戸惑いを無視して琴音は俺の肉棒を摩る。イッたばかりで敏感なモノはビクビクと震えてしまう。再度勃起してしまう俺はチョロいのだろうか。
「ふふっ。ご主人様の表情、とっても可愛いな」
俺を見下ろす琴音の顔は熱に浮かされたようだった。俺自身、彼女の変化に気にする余裕はなくなっていた。
「メイドなご主人様の可愛いところをもっと見せてもらっちゃいますね」
言うが早いか、琴音は俺に跨ると腰を下ろした。触ってもないのに琴音の膣は濡れていたようだ。簡単にズブズブと俺のモノを飲み込んでしまった。
「ああっ! ご主人様のいい!」
嬌声を上げる琴音に対して、俺は呻くことしかできない。どっちが上を取っているかなんて見た目から明らかだった。
腰を動かし始めた彼女に主導権を握られてしまった。それを喜んでいるかのようにツインテールが踊っている。
メイド服姿の俺を犯している琴音。事実、俺は彼女に犯されていた。
ズチャズチャと規則正しい水音が鼓膜を震わせる。俺と琴音の結合部から発せられている音だった。
「おお……ぐっ。くああっ……」
「はあああっ……オマンコいいよぉ……。あたしの中……すごいことになってる……」
琴音の蜜が俺のモノに絡まり弾ける。腰が打ちつけられる度にパチュンという音と感触が彼女の快楽を表していた。
俺を犯しているという感覚は琴音も抱いているのだろう。水音が激しさを増し、膣がぎゅっぎゅっと締めつけてくる。
「いい! ああっ! ふにゃあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!! ダメダメ! もうイッちゃうっっ!!」
琴音は盛大に絶頂を迎えたようだ。動きを止めて、喉を逸らしてビクンビクンと痙攣している。
琴音に想いのまま使われてしまった……。さっき出したばかりというのもあって、チンポはまだまだ元気だ。
そんなわけで腰を突き上げた。
「ひあっ!? あ、あたし今イッてます! イッてますからぁっ!!」
「俺はまだ出してねえ……よ!」
大きく腰を突き上げる。下から琴音を犯してやる。
好き勝手に腰を振られていた。まるで主従が逆転しているみたいだった。これはもう一度主導権を取り戻さないといけない。
俺がご主人様だ。俺がメイドを従えている。俺が、琴音を好き勝手にしていいのだ。
俺の腰使いで琴音の身体が跳ねる。その身体は見るからに熱っており、いやらしく汗ばんでいた。
支配欲が満たされていく。腰が勝手に速くなり、グチュグチュという音がどんどん大きくなる。琴音がビクビクッと一段強く跳ねた。
「ひやあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
イキっぱなしの琴音の絶頂。そんなところを見れて、俺の気持ち良さも最高点に達した。
ドピュドピュドピュドピュビュビュビュビュゥゥゥゥゥルルルルルゥゥゥゥゥゥゥーー!
やられた分を返す勢いだった。犯されたら犯し返す。それができてスッキリできた。
出し過ぎで腰がガクガクする。精液が出たがってキンタマが震えている気がした。
ベッドに寝ていてよかったな。立っていたら踏ん張っていられずに倒れていただろう。それほどに今は力が抜けている。脱力感が心地よかった。
琴音が静かに俺の上へと倒れてきた。
「はぁ、はぁ……。んっ」
余韻に身を任せる。琴音も同じく荒い息遣いをしていたが、腰を持ち上げて俺のモノを引き抜いた。
そのまま彼女は俺に覆いかぶさって密着する。一体感に身体が弛緩する。
こんな感覚もいいかも。しばらく俺と琴音の息遣いだけが部屋に満ちていた。
「ふふ……」
汗ばんだ琴音が小さく笑う。まるで満たされているような、気のせいかもしれないが俺はそう感じた。
なぜ琴音はそんなに笑っていられるのだろうか?
俺のメイドになって、自ら身体を差し出してきた。彩音と違っていつも笑っている。最初からそうだった。
そんな彼女が都合良くて、なんの文句もなかった。でも、内心ではずっと疑問だった。
「ご主人様……可愛い♪」
ぎゅっと抱きしめられる。この好かれているみたいな感覚が俺を高揚させる。だからこそ、追及するなんてしてこなかった。
「祐二くんここでしたか。お客様が――」
俺と琴音が抱き合っている中、第三者の声が聞こえた。
ドアの方に目を向ければ彩音の姿。なんだか固まっているように見えるのだが……?
「わ、私は何も見なかったわっ」
すぐさま彩音は背を向けた。
今更妹と俺がエッチしているのを目撃したところでどうということはないだろうに、この反応はなんだ? 俺の疑問は次の彩音の発言で解消されることとなる。
「祐二くんがメイド服を着たいくらいメイドが好きなことはわかったから。今更あなたの趣味にとやかく言ったりはしないから。うん、勝手にすればいいわ」
「は?」
言葉の意味が頭に浸透するのにそれほど時間はかからなかった。
俺は琴音とエッチした。メイド服を着たまま……。
「うふふっ」
耐えきれないとばかりに琴音が笑った。オイ、彩音にこの姿を見られるようにするのが目的だったな!
「どうぞゆっくり趣味を楽しんで」と彩音は早口で言うと、俺の部屋から出て行った。このまま誤解されるのはまずいと思って俺はその後を追った。琴音はあとでお仕置きな!
部屋を出ると、彩音が階段を下りていくのが見えた。俺もすぐに階段へと向かって駆ける。
「待てって彩音!」
「きゃっ!?」
階段の半ばで彩音に追いついた。手を伸ばして彼女の背を捕まえる。
と、思ったら体勢が悪かったのか、バランスを崩してしまう。俺に巻き込まれる形で彩音もいっしょになって階段から落ちてしまった。
彩音を下敷きにするわけにはいかないっ。咄嗟に彩音を抱きしめた。そのまま床へと転がる。
衝撃を逃がそうとしたのか、壁までごろごろと転がる。そのおかげか俺と彩音にケガはなかった。
「ふぅ……、大丈夫か彩音?」
「え、ええ……。私は大丈夫よ……。ゆ、祐二くんは?」
「俺もどこもぶつけてねえよ」
安心して息を吐いた。
身体を起こすと、彩音を押し倒す形になっていた。どうやら転がっているうちにこうなっていたらしい。
見つめ合う俺と彩音。先に目を逸らしたのは彩音だった。
なんだか彩音の顔が赤い。そこに色気を感じて反応してしまった俺は悪くない。悪いのは俺をこんな気持ちにさせた彩音だ。
「会田様。楽しそうに過ごされているようで何よりですな」
身を沈めようとして、この場にはいない奴の声を聞いて動きが止まる。声の方へと顔を
上げる動きはとてつもなくぎこちなかった。
「ど、堂本さん……?」
玄関にいたのは堂本だった。油の浮いてそうな顔で、俺達を見ていた。
「それにしても良い趣味ですな。女装したままことに及ぶなんてさぞ興奮することでしょうな。おっと、いえいえ、私は何も見ておりませんよ。会田様がメイドに何を望もうとも自由なのですから」
そう、俺がメイド服に身を包んでいるところまでバッチリ見られてしまったのである。死にたい……。