「どうぞ」
「いやはやありがたいですなぁ。外は暑いもので、冷たい飲み物がほしかったんですよ」
彩音が出した麦茶を堂本は待ちきれないとばかりに飲み干した。いい大人の割に遠慮なんか持ち合わせていないみたいだ。
現在リビングにて堂本と向かい合っている。もちろん俺はメイド服なんて着ていないし、傍に控えさせている彩音と琴音も夏用ではなく通常のメイド服だ。俺のメイドの肌を他の男なんかに見せてやるつもりはない。それが俺にメイドを売ってくれた堂本でも変わらない。
「で、今日は何の用だ?」
「これを持ってきたんですよ。会田様も待ちきれないと思いましてな」
そう言って堂本が出したのは分厚いカタログだった。その内容はメイドの一覧になっているのだろう。これ見て買ってるから知ってる。
「これだけなら送ってくれればよかったのに」
「あとこれも。サービスですな」
堂本はさらに一つの紙袋を差し出してきた。そんなに大きくはないが、中に何が入っているかはわからないようになっている。
「これは?」
「会田様のようなお得意さまに配っている試供品ですな。メイドとの生活を充実させるための物です」
「ふーん」
お楽しみアイテムってか。後で確認しておこう。
どうでもいいが、メイドを二人買っただけでお得意さま扱いか。まあ高かったけどな。高かったけどな!
「それとですな……会田様だけにお教えして差し上げようと思いまして」
堂本はチラリと控えている彩音達に目を向ける。どうやら藤咲姉妹には聞かせたくないらしい。
「彩音、琴音。外してくれないか」
彩音が逡巡を見せたが、あっさりと俺の言うことを聞いて退出した琴音に続いて部屋から出て行った。残されたのは汗臭いおっさんと……俺も人のこと言えないか。
二人のメイドがいなくなって少し間が空く。堂本はにたぁと笑いながら俺に顔を近づけてくる。
「な、なんだよ?」
「会田様には教えておこうと思いましてな。実は――」
※ ※ ※
堂本を玄関まで見送ってからリビングに引き返した。ソファにダイブする。だらだらと寝転がって過ごしていると、藤咲姉妹が戻ってきた。
「ご主人様。堂本さんはお帰りになりましたか?」
うかがうような調子で彩音が尋ねてくる。きっと堂本のこと自体はどうでもいいのだろうと予想できた。
「祐二様。もしかして新しいメイドを買うんですか」
琴音がずいと前に出てきた。おちゃらけた雰囲気ではない。割と真面目なようだ。
「んー……」
それに対し、俺は寝転がったままで気のない返事。
少しだけ怒気を感じて目を向ければ、琴音の目じりがほんのちょっとだけ上がっているように見えた。普段は怒るなんてなさそうな奴なだけにちょっぴりビビる。
「琴音、落ち着きなさい」
しかし、妹を止めたのは姉だった。静かな口調に迫力を感じる。なんか矛盾してない?
さすがに姉には逆らえないのか、琴音はしゅんとするように頭を下げた。別に謝られることでもないけどな。
「で、どうなんですか?」
「え?」
「新しいメイドのことです」
話を終わらせてくれたと思いきや、彩音は琴音の意思を引き継ぐように追及してきた。感情的ではない。事実を述べよと口調から察せられた。
妹の方はしゅんとしていたのも忘れて「いいぞお姉ちゃん!」と応援モードだ。お前後で覚悟しとけよ。俺にメイド服着せた分含めて覚悟しとけよ。
なんか流せない雰囲気なので座り直してメイド姉妹を見る。どちらも俺の答えを待っているようだった。
「二人はどうなんだ? 新しいメイドが来たら嫌なのか?」
「あたしは嫌です」
即答したのは琴音だった。俺がエロいことをするのに文句がないのに、メイドが増えるのが嫌ってどういうことなんだよ。
「……」
「ほら、お姉ちゃんも祐二様に言ってよ」
反対に彩音は無言だ。妹に急かされても口を開く様子はない。
ただ、真っすぐ俺を見据える目は、美しさもあってかものすごいプレッシャーを与えてきた。人は黙っていても恐怖を感じさせることができるらしい。
「……まだ決めてねえよ」
なんとなくぶっきらぼうに言ってしまう。安堵の息はどちらからのものだったのかわからない。
「そんなに言うんだったらお前らも見てみるか? もしかしたら気に入る娘がいるかもしれないぞ」
俺はカタログを彩音に手渡した。素直に受け取った彼女はページをめくる。普通に読むんだな。
「私もこんな風に載せられてたんだ……」
彩音がショックを受けているかのような声色で呟く。実際に載せられた方からすればショックか。自分が商品扱いされていたと思えばそりゃそうかと頷くしかない。
「あたしはどんな写真が使われてたんだろう? 祐二様ー。あたしエロかわでした?」
さすがは琴音。姉とは心配するベクトルが違う。
「もし気に入った娘がいたら言えよ。あと一人くらいなら余裕があるからな」
「いらないですよ。ね、お姉ちゃん。あたし達だけで十分だよね」
琴音の言葉に彩音はあまり反応を示さなかった。彩音からは俺に文句はないようだ。いや、俺が決めたことは覆らないとわかっているのだろう。その態度が俺の胸の奥にもやりとした感覚を残す。
「へえ……、じゃあ琴音の言う通り。二人で俺を満足させてみろよ」
俺はにたぁと笑った。その手には堂本からもらった紙袋があった。
※ ※ ※
「ん……ふわああっ……ご、ご主人様ぁ……」
「ひあっ……むずむずしちゃうよぉ……ふにゅぅ……」
場所は変わって俺の部屋。
俺の眼前でメイド姉妹は淫らに悶えていた。
二人とも見てわかるくらいに身体をほてらせている。涙を浮かばせるほどにつらそうだ。完全に発情していた。
「二人とも可哀そうに。そんなにオマンコ濡らしてつらそうにしちゃってさ」
「だ、誰のせいで……くぅんっ」
俺を睨もうとした彩音から甘い声が漏れる。エロいですね。
あまりもったいぶってもしょうがないので暴露すると、彩音と琴音は媚薬の効果を受けてしまったのだ。もちろん犯人は俺だけど。
堂本からの贈り物は媚薬効果のあるスプレーやローションなど、とにかく女を発情させるものばかりだった。ちなみに男には効果がないのでイキっぱなしになって大変、なんてことはない。便利だな。
とりあえずスプレータイプの物を手に取って、一噴き二噴き三噴きとやってみた。その結果が目の前で発情してしまった二人というわけだ。
全裸に剥いてしまえばこれ大丈夫かな? と思ってしまうほどに身体がほてっていた。オマンコなんてグチョグチョである。俺まだ触ってもないのになぁ。
「仕方がない。俺が慰めてやるよ」
「ダメッ! 今は……はあああぁぁぁぁぁんんっ!?」
彩音のクリトリスを一撫でしてやると喉を反らせてビクビクと痙攣した。あれ、もしかしてこれだけでイッたのか?
「くぅぅぅぅん……ああああああああぁぁぁぁぁぁ!! ダメダメダメ!! もう触っちゃダメェッ!!」
試しにもう一撫で二撫で、もういっちょ撫でてやると面白いくらいイキまくっていた。心なしかクリトリスが大きくなった気がする。勃起でもしちゃいました?
彩音は我慢できないとばかりに俺の方へと倒れてきた。大きく胸を上下させている。ちょいとイカせ過ぎたようだ。
しかしまあ、ここまで媚薬の効果テキメンとはな。これチンポ挿入しちゃったらどうなるんだろ? まさか狂ってしまうだなんて、ないよね?
彩音が心配になったので休ませてあげることにする。ベッドに横にさせても、彼女は目をつむったまま荒い呼吸を繰り返すだけだった。
「ふぅぅぅぅん……ご主人様ぁ。ご主人様ぁぁん……っ」
琴音はうつむいてうわ言のように喘ぎ交じりの言葉を繰り返す。さっきまで俺が彩音を絶頂させていたことにも気づいていないようだった。
「おーい琴音。大丈夫か?」
「身体が熱い……。熱いよぉ……、ムズムズが収まらないよぉ……ぐすっ」
悶えるどころか泣き出してしまった。媚薬スプレーかけ過ぎちゃったかな。今度からは一噴きくらいにしておこう。
「ひにゃあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
潮を噴いて絶叫が部屋を震わせる。姉と同様、琴音のクリトリスに触れた時の反応である。
よっぽど我慢していたんだろうな。少し撫でただけでこの有様である。
だが、容赦はせんけどな。
「ひあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!! うぐぅああああああああああっ!! はやああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
琴音のクリトリスをいじめまくる。どんなに泣き叫んでもやめてやらない。身体を押さえつけ、狂いそうなほどの快楽を与えてやる。
くくく、可愛いぞ琴音。俺がメイド服を着たことなんて目じゃないくらい可愛いぞ。決して忘れないほどの恥辱ってやつをお前にも教えてやろう。
何度もブシュッブッシュと愛液が噴き出す音がする。膣には指を入れてないってのに、俺の手はもうびしょびしょだった。
どれほどの刺激を与えたかなんて覚えていない。抵抗するように身体を跳ねさせていた琴音だったが、いつしか力が抜けてぐったりしている。イク時だけは痙攣しているが、それ以外の反応を見せなくなった。
「……やり過ぎたかな?」
いつも俺がどんなことをしても喜ぶばかりだった琴音から反応がなくなった。さすがにやばいと思ってクリトリスから手を離して、その手で彼女の頬を叩く。ねばりのある液体が琴音の顔についた。
「おーい琴音ー? 返事しろー」
まるで反応がない。……媚薬スプレーは控えた方がいいかもな。
まあ少し休ませてやるとして、どうしたものか。メイド二人は気持ち良くなったかもしれないが、それを眺めていた俺の興奮をどうしてくれる。このまま快楽のまま挿入してやろうと思ったのに、二人ともダウンしてしまうなんて情けない。
とか思っていたら、琴音がゆらりと起き上がった。
「はぁぁぁん……ゆ、祐二様の……」
琴音は虚ろな瞳のまま、俺のチンポにしゃぶりついた。まともに意識があるとは思えないのに、しっかりとした技術のあるフェラだった。
意識を失ってなお闘争本能だけで戦うボクサーを思い浮かべる。きっと琴音はそんな状態なのだ。無意識でもメイドの本能、ご主人様へのご奉仕をしてくれる。なんというメイドだ。俺は感動した。
「ダメ……祐二くん……ダメ……」
うわ言じみた声がしたかと思えば、唇に柔らかくて温かいものが押しつけられる。彩音の唇だと気づくのに時間はかからなかった。
まさかの積極的な彩音だった。彼女の目はどこを見ているのかわからないほどにとろんとしている。媚薬で快楽を求めるメスとなってしまったようだ。
下半身ではジュポジュポと、上の口ではクチュクチュと舌を絡めている。どうやら藤咲姉妹に身体を求められてしまったようだ。支配欲が満たされていき、気分良く二人の頭を撫でた。
「んああああああっ!」
「くぅぅぅぅぅんっ!」
性器に触れてもいないのに、彩音と琴音は同時に絶頂を迎えた。なんか段々媚薬の効果が上がってない?
大丈夫かよ、と思いつつも俺の我慢も限界だった。こんなに何度もそんなイキ顔を見せられたら誰だって我慢なんてできない。
喘ぎ声で琴音の口から放り出された俺のモノはぬくもりを求めて硬くなった先っぽを向けていた。どこにといえば、彩音にである。
「んあああああああああぁぁぁぁぁっ!? あ、熱い……熱いぃぃぃぃぃああああああああぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
彩音をベッドに押し倒しながらマンコへと挿入を果たした。この流れる動きには自分ながら慣れてきたもんだと感心してしまう。
膣内はかつてないほどの熱さとドロドロとした感覚だ。表情も今までにないくらいふやけきっている。こんな彩音は初めてだ。
彩音の態度は軟化してきたし、俺との行為に気持ち良さを感じてくれているのだろうとは勘づいていた。それでも目の前の彩音の姿は見たことがないほどの快楽を受けているのだと俺に伝えてきた。
……なんか、なんだろうな。なんというか……ちょっと悔しい。
「はあぁぁぁぁんっ! ゆ、祐二くんのが……祐二くんのが熱いっ! 熱いよぉぉぉぉ!! 頭おかしくなっちゃうっ!!」
「オラ! おかしくなれよ! 俺のチンポでおかしくなれ!! 彩音は俺で気持ちよくなるんだ!!」
遠慮なんてない。俺は熱で浮かされてしまった彩音の身体をきつく抱きしめると、腰を思いっきりぶつけてやった。
ガンガンと腰を打ちつける。俺が抱きしめているためその身体は固定されている。衝動のまま、衝撃を逃がすことなく伝えてやる。
彩音は俺が気持ちよくしている。膣の収縮でイッたのがわかったが腰を振り続ける。またイッたが構わない。喘ぎ声が強くなっても、俺はきつく彼女の柔らかい体を抱きしめ続けた。
「やめっ……やめてっ! もうイッたからぁ!! もうっ……ま、またイク!! イッちゃう!! はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁんっ!!」
綺麗な声だ。淫らな声色で、美しさを感じさせる。そんな美しい存在を犯している事実を改めて認識させられた瞬間、俺の快感は最高潮に達した。
ドピュドピュドピュドクンッブビュビュビュルルルルルルルルゥゥゥルルゥゥゥゥゥーーッ!!
俺が欲望を吐き出したと同時、彩音もぐったりと脱力してしまった。気を失ってしまったらしい。
しばらく彩音を抱きしめて余韻を味わった。冷静になってくると、彩音の身体があったかいどころか熱いんじゃないかって思った。
「あ、彩音? 本当に大丈夫か?」
どの口が、とか言ってはいけない。気持ち良かったんだから気遣う余裕なんてなくたって仕方がないね。
声をかけたり、軽くほっぺをつんつんしてみたりする。けれど反応は返ってこない。気を失っているみたいだが、息はしているし大丈夫だろう。
堂本の野郎、効果がこんなにも強いなら先に言っとけよな。……今度からは調節しながら使っていこう。
「……」
それにしても、彩音ってば艶のある唇だこと。思わずむしゃぶりつきたくなる。
「むちゅ……っ」
てなわけでむしゃぶりついてみた。起きている時にしてもいいのだが、意識を失っている時にする口づけも乙なものである。
「祐二様ぁ……うぅん……」
隣では同じく気を失っている琴音から寝言が聞こえてきた。
……媚薬の効果がある状態で、バイブを突っ込んでどれくらいの時間耐えられるんだろうな?
好奇心に突き動かされた俺の表情は邪悪に染まっていたに違いなかった。長い長い絶叫まで、あと数秒。
※ ※ ※
翌日。早朝の時刻である。
まだ薄暗く、涼しさを感じさせる。普段早起きなんてしないが、たまには新鮮な空気を吸うためにもいいかもしれない。
「会田様、おはようございます」
良い気分を台無しにさせるようなでっぷりとした中年顔が近づいてくる。こっちはあくび交じりだというのにいつも通りの調子だな。眠くないのだろうか。
本日のお出かけはこの堂本にエスコートしてもらうことになっている。決して間違えのないように言わせてもらうが、デートなんかではないので変なことを考えないように。
堂本の背後には黒塗りの車が異彩を放っていた。リムジンとかこんなところにあっていいものじゃないだろうが。……これからそのリムジンに俺が乗るんだけどな。
このお出かけのことは藤咲姉妹には詳細を伝えていない。ただ出かけてくると言っただけだ。まさか堂本といっしょにとは思ってもないだろう。
「堂本さんを疑うわけじゃないけどさ、本当にいるんだろうな」
「ええ、それを含めて会田様には判断してほしいのですよ」
ここまでしてくれるのはなぜだろう。堂本が俺にしてくれることは度が過ぎているんじゃないかって、薄々感じていた。いや、戸倉坂兄の襲撃を助けてくれた時点で確信はあった。あの時だって上手くやれば俺からもっと金を引き出すことだってできたはずなんだし。
でも、まあ、とりあえずあれだ。
俺が俺のためにすることは変わらない。堂本が手伝いをしてくれるって言うのなら、その厚意ってやつを受けてやろうと思う。
車に乗り込む。続いて堂本も乗ると、すぐに車は発進した。